『7つの習慣』とは?全体像と各習慣を分かりやすく解説

『7つの習慣』とは?全体像と各習慣を分かりやすく解説

『7つの習慣』は、スティーブン・R・コヴィー博士によって書かれた書籍で、1989年に初版が発行されました。同書は国や時代を超えて支持されて、2021年8月現在、全世界4000万部、日本国内240万部の売上げを誇る大ベストセラーとして有名です。

多くのビジネス雑誌でも、非常に影響力のある、役に立つビジネス書として同書は取り上げられています。さらに、書籍『7つの習慣』をもとにした研修プログラムは世界147ヵ国で展開され、多くの大企業・優良企業で社員教育に導入されています。

記事では、『7つの習慣』の概要を紹介するとともに、「7つの習慣🄬」をすっと理解できる、大まかな全体像を解説します。

<目次>

『7つの習慣』とは?

『7つの習慣』の著者であるフランクリン・コヴィー博士は、本の中で「成功を目指すならば、まず成功を支える土台となる人格を構築することが何よりも重要である」と説いています。人生の成功をテーマにした本は他にもたくさんありますが、人格を成功の土台に据えていることが同書の大きな特徴です。

 

本章では、『7つの習慣』の“人格主義”という考え方を紹介するとともに、『7つの習慣』が今なお世界中で支持を集めている理由を解説します。

 

 

人格主義という考え方「まず、優れた人間になる」

コヴィー博士は『7つの習慣』を執筆するにあたり、アメリカ合衆国の建国から200有余年に渡る「成功に関する文献」を徹底的に調査・研究しました。

 

結果として、直近の約50年間に出版された文献には、「成功は社会的イメージ、態度・行動、スキル、テクニックなどによって人間関係を円滑にすることから生まれる」という考えが中心に書かれていることがわかりました。コヴィー博士は、直近50年間の文献に共通する考えを「個性主義」と呼んでいます。

 

一方、建国から約150年の間に書かれた文献には、誠意、謙虚、誠実、勇気、正義、忍耐、勤勉、質素、節制、黄金律など、「人間の内面にある人格的なものが成功の条件である」と書かれています。コヴィー博士は建国から約150年の間に書かれた文献に共通する考え方を「人格主義」と呼んでいます。

 

そして、コヴィー博士は、スキルやテクニックは必要ではあるけれども、個性主義の考えのみで成功しようというのは、“応急処置”や“一夜漬けの勉強”のようだ、と言っています。スキルやテクニックは、人格という土台が備わっていて、はじめて本来の効果を発揮し続けることができるということです。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、企業向けに「7つの習慣®」研修を提供しています。某IT系企業でシステムエンジニアを対象に「7つの習慣®」研修を実施した時のことです。実施企業の役員が受講生に向けて以下のような話を伝えられていました。

 

「システムエンジニアとしてスキルを磨き、優れたエンジニアになることは重要です。ですが、その前に人格を磨き、優れた人間になることはもっと重要です。なぜなら、スキルは、どのように使うかに価値があり、正しく適切に使うためには、優れた人格や人間性が備わっている必要があるからです。」

 

完訳版『7つの習慣』の書籍には、「人格主義の回復」という副題がついています。上記役員の言葉は、とかくスキルやテクニックがもてはやされるなかで、あらためて「人格」に目を向けようという「7つの習慣🄬」の考えを表すようなメッセージです。

 

 

7つの習慣が大きな支持を集める訳

『7つの習慣』の中で、コヴィー博士は以下のように言っています。

 

人格主義の土台となる考え方は、人間の有意義なあり方を支配する原則が存在するということである。自然界に存在する引力の法則などと同じように、人間社会にもまた、時間を超えて不変であり異論を挟む余地のない、普遍的にして絶対的な法則があるのだ。

『完訳 7つの習慣』より引用

 

人間の有意義なあり方、つまり誠実さや正直さ、奉仕や貢献、公正さ、忍耐、励まし、などを重んじることが人生をより豊かにする、人生の原理原則だということです。一見古臭いように聞こえるかもしれません。しかし、書籍『7つの習慣』やそれをもとにした研修が、時代や国を超えて支持されることこそが、「原則」の存在を示しています。

 

真の自立を実現し、豊かな人間関係を生み出し、成功を収める人生の原理原則がわかりやすくまとまっているからこそ、『7つの習慣』は世界中で多くの人々から支持を集めているのです。

『7つの習慣』の全体像

本章では『7つの習慣』の全体像を簡単に解説します。『7つの習慣』はタイトルのごとく、人生を成功させるための7つの習慣が書かれています。ただ、実際の全体像としては4つのブロックでとらえるとわかりやすくなります。本章で『7つの習慣』の全体像を示し、次章以降で、詳細を解説します。

 

 

基礎原則

じつは『7つの習慣』には、第1の習慣に入る前に、基礎原則というパートがあります。基礎原則は字の如く、「7つの習慣🄬」を実践しようとするうえで、土台となる考え方です。「パラダイム」「パラダイムシフト」「インサイド・アウト」という3つの単語を理解することで基礎原則の理解につながります。

 

 

私的成功 第1~第3の習慣

「7つの習慣🄬」の前半、第1の習慣、第2の習慣、第3の習慣は、個人として真の自立を実現するための習慣です。精神的に他人に頼ったり、選択や結果の責任を周囲に求めたりするような依存状態から抜け出し、自分自身の力で成功を収めるための考え方です。

 

 

公的成功 第4~第6の習慣

「7つの習慣🄬」では、自立が最終的な成長段階だとは考えていません。自立した人同士が信頼関係を築き、お互いの違いを利用して相乗効果を発揮する、いわば1+1を3にも5にも10にもするような人間関係を作り出すことが最終的な成長段階だと考えています。豊かな人間関係に基づいてさらに大きな成功を手に入れる状態を「相互依存」と呼びます。第4の習慣、第5の習慣、第6の習慣が相互依存に至るための考え方です。

 

 

刃を研ぐ

「7つの習慣🄬」において、第7の習慣は私的成功・公的成功とは少し性格が異なる習慣です。時代が変わり、環境が変わるなかで、自分自身や人間関係をメンテナンスし続けなければ、成功をおさめ続けることはできません。第7の習慣は、私的成功や公的成功を実現し続けるための自己研鑽とメンテナンスの考え方を示した習慣です。

『7つの習慣』基礎原則

『7を理解して実践するうえでの基盤となる考え方が基礎原則です。本章では基礎原則を理解する肝となる3つの単語(考え方)、「パラダイム」「パラダイムシフト」「インサイド・アウト」を解説します。

 

 

パラダイム

パラダイムとは、私たちの物事の見方、考え方、感じ方のことです。パラダイムは人それぞれの人生経験に基づいて形成され、人によって異なります。

 

私たちは物事をありのままに見ているのではなく、自分のパラダイムに従って、自分が見たいように物事を見ています。パラダイムによって、人と人との間で解釈の違いが起こり、時に争いに発展することもあります。パラダイムこそが、物事に対する捉え方を左右して、私たちの態度や行動を決め、私たちが手にする結果を左右します。

 

 

パラダイムシフト

パラダイムシフトとは、パラダイムが変わることを言います。コヴィー博士は、状況や結果を大きく変えたければパラダイムを変えなければならないと言っています。

 

「状況や結果を変えるためには行動を変えることが大切だ」と考える方もいるでしょう。もちろん、その通りです。ただ、例えばうまくいっていない人間関係を変えたいとします。その時、相手に対する接し方やコミュニケーション頻度を変えることで、人間関係を改善させることは可能です。

 

しかし、例えば根底にある「あいつは嫌な奴だ」という捉え方が変わらないまま、行動を大きく変えることは可能でしょうか。そういった見方をしたまま、本当に相手と良好な人間関係を築くことができるでしょうか。行動を変えることで結果を変えることはできます。しかし、状況や結果を大きく変えるためには、自分自身のパラダイム、常識や物の見方(パラダイム)を変える必要があるのです。

 

今までと違う視点で考えたり、他者の意見を取り入れたりすることで、自分の常識やものの見方が変わる、すなわちパラダイムシフトが起こります。パラダイムシフトを起こすことで、私たちは人間的に成長し、新たな見え方や考え方を獲得できます。

 

 

インサイド・アウト

インサイド・アウトとは、問題や課題を解決するにあたって、自分のパラダイムや人格など内面に目を向け、自分のあり方や言動を自ら変えていく姿勢です。コヴィー博士は「問題が外にあると考えるのであれば、その考えこそが問題である」として、まず問題解決の糸口を自分に求めることの重要性を説いています。

 

インサイド・アウトの姿勢と逆の考え方が「アウトサイド・イン」です。問題に対処する際、相手や環境に原因を求める姿勢です。アウトサイド・インの姿勢は「問題が起こっているのはあなたのせいだ。あなたが変わることで問題を解決しなさい」というものです。

 

これでは現状改善に進まないことは想像できると思いますが、私たちはついアウトサイド・インで考えてしまいたくなることもあります。だからこそ、インサイド・アウトの姿勢を身に付けて実践していくことが大事なのです。

 

『7つの習慣』私的成功

「7つの習慣🄬」では人の成長を「依存」→「自立」→「相互依存」の3つの段階で定義し、依存から自立に成長することを、「私的成功」と呼びます。「7つの習慣🄬」の前半第1の習慣から第3の習慣までは、私的成功を実現する習慣です。本章では、第1の習慣から第3の習慣の内容を簡単に説明します。

 

 

私的成功を実現する3つの習慣

・第1の習慣:主体的である

⇒周りに流されず、自分自身の責任で行動を選択する

 

・第2の習慣:終わりを思い描くことから始める

⇒何事にもゴールやビジョンを明確に描いて進める

 

・第3の習慣:最優先事項を優先する

⇒重要なことにしっかりと時間を投資する

 

第1の習慣から第3の習慣を身に付けるにあたっては、基礎原則の内容を踏まえて、私たちがコントロールできる最も大きな資源「自分自身」に焦点を当てることが大切です。自分自身の考え方、行動プロセス、時間配分に焦点を当て、意識的に過ごしましょう。

 

 

私的成功によって、周囲からの信頼が高まる

第1の習慣から第3の習慣を実践した状態は、「人生と物事に対して明確なビジョンやゴールを持ち、常に自分自身の責任をもって選択と意思決定を行ない、重要事項に時間を投資できている姿」です。

 

精神的に自立した姿であり、望む結果にも近づけるでしょう。同時に周囲からの信頼性も高まり、周囲と共同で相乗効果を発揮していく公的成功の準備ができた状態でもあります。

 

一方で、3つの習慣が身についていない状態は、自分の意見や考えを持てずに優柔不断な態度を取ったり状況に流されたりして物事が進んでいく。また、ろくに計画も立てず行き当たりばったりの行動をしてしまったり、時間管理ができずいつもスケジュールに追われてしまったりといった状態です。この状態で望む結果を手に入れることはできませんし、周囲からの信頼を得ることも難しいでしょう。

 

『7つの習慣』公的成功

第1~第3の習慣を実践して、精神的に自立した人が進めるのが「相互依存」のステージです。「7つの習慣🄬」では周囲と信頼関係を築いて、相乗効果を発揮している状態を「公的成功」と呼びます。「7つの習慣🄬」の後半、第4の習慣から第6の習慣は、公的成功を収めるための習慣です。

 

仕事でも私生活でも、人間はひとりで生きていくことはできません。周囲の人と協力し、助け合い、強い信頼関係を築いて、お互いより良い結果を手に入れることが、望ましい人間社会といえます。第4の習慣から第6の習慣では、周囲の人たちとともにシナジーを創り出して、より大きな成果を得たりすることをゴールとしています。本章では以下、公的成功を実現する第4の習慣から第6の習慣を簡単に説明します。

 

 

公的成功のための3つの習慣

・第4の習慣:Win-Winを考える

⇒「自分の利益」と「相手の利益」の両立を考える

 

・第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される

⇒相手を深く理解して、信頼関係を築く

 

・第6の習慣:シナジーを創り出す

⇒「違い」を尊重し、より良い結果を求め相手と協力し合う

 

第1から第3の習慣が自分自身に焦点を当てているのに対し、第4から第6の習慣は、他者との関係構築に主眼を置いています。

 

公的成功で書かれている3つの習慣は、人と良い関係を作るための当たり前だと感じる人も多くいます。しかし、私たちは、つい自分の都合を優先してしまったり、相手のことを理解しているつもりになったり、違う意見を認められなかったり、などといった姿勢を取ってしまいます。

 

「知っている」ことと「実践している」ことは違います。第4の習慣から第6の習慣を実践するうえでは、お互いのより良い成果を目指すために協力するのだ、という姿勢で相手に向き合うことが大切です。

 

 

私的成功は公的成功に先立つ

周囲との信頼関係を構築するにあたり、1つ念頭に置くべきことがあります。それは、「自分自身の信頼性が低いうちは、他者と信頼関係を構築しようとしてもうまくいかない」ということです。

 

したがって、第4~第6の習慣がうまく実践できないと感じたときは、私的成功ができているかどうかを問い直し、第1から第3の習慣の実践に立ち返ることが大切です。コヴィー博士は公的成功を実践するうえでの私的成功の大切さを「私的成功は公的成功に先立つ」と端的に表現しています。

 

 

『7つの習慣』刃を研ぐ

第7の習慣「刃を研ぐ」は、再新再生の習慣です。世の中のあらゆるものは、放っておくとどんどん劣化します。私たち自身も同様です。自分自身のメンテナンスを怠っていると、私たちが持つ成功を収めるための力、信頼性や関係性はどんどん失われてしまいます。

 

刃物が研ぐことによって切れ味が良くなり、長く使えるように、同様に人間も自らの「刃を研ぐ」ことで、長期的、継続的に高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

 

 

肉体・知性・社会情緒(人間関係)・精神の4つの側面でバランスよく刃を研ぐ

第7の習慣では、4つの側面をバランスよく研ぐことの必要性を伝えています。

 

<「刃を研ぐ」べき4つの側面>

1.肉体的側面

健康状態の維持

Ex)バランスのとれた食事、適度な運動など

 

2.知的側面

知的レベルの維持、時代や環境変化へのキャッチアップ

Ex)読書や自己学習など

 

3.社会情緒的側面(人間関係)

Ex)好ましい人間関係や社会との関り

家族や友人との交流、ボランティア、社会活動など

 

4.精神的側面

安定した精神状態の維持

Ex)瞑想、ミッションステートメントの見直し

 

4つの側面でバランスよく刃を研ぐことが、自分自身を良い状態に保つことにつながります。身体の健康が保たれ、知識や能力が磨かれ、周囲との人間関係があり、精神的に安定していてこそ、第1の習慣から第6の習慣を確実に実践することができます。

 

体調が悪かったり、必要な知識がなかったり、周囲との関係がギクシャクしていたり、イライラしていたりすれば、冷静な判断はできないでしょう。第7の習慣の実践が、第1から第6の習慣を続けるうえで欠かせないのです。

 

おわりに

『7つの習慣』は、表面的なテクニックやスキルだけで長期的・継続的に望む結果を得続けることはできない。自分自身の内面(人格)を磨くことこそが効果性の発揮、すなわち長期的・継続的に望む結果を得続けることにつながる、という考え方に基づく書籍です。

 

『7つの習慣』は、基礎原則、私的成功(第1~第3の習慣)、公的成功(第4~第6の習慣)、刃を研ぐ(第7の習慣)という大きく4つのブロックでとらえると理解しやすくなります。記事では、各ブロックの内容を簡単に解説しました。

 

人生のなかで、失敗したり物事が期待通りにいかなったりするときに大切なのは、結果を自分の責任として受け入れる姿勢・態度です。物事の結果を環境や他人のせいにすれば、一時は楽になるかもしれません。しかし、結果の責任を引き受けず、ごまかし続けていては、望む結果からどんどん遠ざかってしまうでしょう。

 

長期的・継続的に充実した豊かな人生を送るためには、人生の原理原則すなわち「正しい生き方」に沿って人生を過ごす必要があります。『7つの習慣』に書かれている姿勢や習慣は、豊かな人生を送るうえの原理原則です。内容も理解が難しいわけではありません。仕事や生活、人生のなかで「7つの習慣🄬」実践することを通じて、より豊かな人生につながります。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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