営業の目標設定はSMARTの法則に則る必要があります。SMARTの法則は、ジョージ・T・ドランが提唱した手法であり、効果的な目標を設定するための大原則となるものです。
SMARTは、効果的な目標設定に必要な5つの要素の頭文字をとったものとなります。
・S:Specific(具体的か?)
・M:Measurable(測定可能か?)
・A:Achievable(達成できるか?)
・R:Relevant(上位目標にリンクしているか?)
・T:Time‐bound(期限が定められているか?)
では、SMARTの法則を用いた営業の目標設定方法を解説しましょう。
Specific(具体的)
Specificとは、具体的で明確な目標を設定することです。言い換えれば、以下のように漠然としたものは、目標ではなく夢や理想、方針です。
・日本中のお客様に買ってもらう
・競合に負けない
・日本一の営業マンになる など
SMARTの法則でSpecificを意識する場合、先ほど紹介したように「渋谷区の新規顧客で500万の受注を獲得する」といった誰が見てもわかる具体性が重要となります。
Measurable(計測可能)
営業の目標設定では、計測可能であり、達成の可否や進捗を第三者にも共有できるMeasurableを意識することが大切です。Measurableは、先述のSpecific(具体的かつ明確)とも大きな関連性があります。
達成の判断が感覚的なものになったり、人によって判断が異なったりする表現の場合、人事制度などには使えません。また、上司や周囲が進捗を把握してサポートすることも難しくなるでしょう。当然のことながら、振り返りも困難になります。
例えば、先ほどの「渋谷区の新規顧客で500万の受注を獲得する」という目標が、「渋谷区で新規開拓を進める」などの漠然としたものだった場合を想像すると、Measurableの重要性は理解しやすいでしょう。
Achievable(達成可能)
Achievableは、現実的に挑戦、達成できる水準の目標であるということです。例えば、3年間連続で平均1,000万円前後の受注だった人が「来年は1億円の売上を達成する」という目標を立てるのは、非現実的である可能性が高いでしょう。
「いつか年間1億円売れるようになる!」という夢や理想、高い目標を心に期することは素晴らしいですし、努力やモチベーションにもつながります。ですが、「来年に1億円の売上を達成する」という高すぎる目標では、行動計画などを立てることが難しくなります。
一方で、「来年は年間2,000万円の売上を達成する」という目標であれば、現実的にチャレンジできる範囲であり、やり方の改善や上司のサポート、自己成長などによって達成できる可能性が十分にあるかもしれません。
反対に「来年は1億円」などの非現実的な目標を立てた場合、行動計画が立てられないことはもちろんのこと、目標達成の成功体験が得られず、自信や自己効力感も高まりづらくなります。
Relevant(関連性)
組織におけるすべての目標設定は、事業計画や事業方針、究極的にはミッションやビジョンを達成することにつながっている必要があります。そういう意味で目標設定する際には、上位目標の実現に貢献できるかという視点が重要です。
例えば、営業部門全体で「今年は新規営業に力を入れて、新規顧客で年間1億円の受注をする」という方針や目標があるのに、全メンバーが「既存顧客での受注目標」だけを掲げてしまったとします。
これでは各メンバーが目標設定しても上位目標である「新規顧客で年間1億円の受注をする」という部門目標を達成することはできないでしょう。したがって、場合によりますが、全員ではなくてもある程度のメンバーが「新規顧客で年間1億円の受注」を達成することに貢献する目標を持つ必要があるでしょう。
また、例えば10人の営業メンバーで1,000万円の部門売上を目指す場合、もし均等に分担するとしたら、1人平均で100万円の売上目標が必要になるわけです。これが、全員が50万円の売上目標を設定していたら、全員が目標達成しても部門目標は達成されません。
以上のように、営業の目標設定では、個人目標はチーム目標の達成に、チーム目標は部門目標の達成に、部門目標は全社目標の達成に、といった形で、全社目標やビジョン、事業計画の実現に貢献するように設定される必要があります。
Time‐bound(期日)
目標にはいつまでに達成するかという期限の定めが必要です。一般的な目標管理制度は、3ヵ月や6ヵ月、12ヵ月などで期間設定されています。
また、短期の行動計画などであれば1週間や1ヵ月、逆に中期の事業計画や経営計画であれば、3年や5年といった時間軸もあり得ます。
期限が設定されなければ、行動計画の作成やアクションの納期、また進捗管理や振り返りが困難です。組織における目標設定で期限が設定されないということはほとんどありませんが、目標設定するうえでは欠かすことができない要素です。