教育研修計画を立てる際は、次に紹介する7つの手順に従うとスムーズに行えます。
①組織のビジョンを設計する
前述した「バーナードの組織の3要素」など、組織開発の基本となる考え方はいくつかありますが、自社の事業特性、価値観なども踏まえて、どんな組織を作りたいかという組織ビジョンの設計が中長期的には重要です。
組織課題の抽出、教育体系の設計、採用活動、採用基準などが組織のビジョンから逆算して実施されている状態が理想です。現実的には、両者が並行しながら進捗・修正していくことになりますが、組織ビジョンがないままに教育研修を考えると、どうしても場当たり的なものになってしまいますので注意が必要です。
②組織の現状整理と課題抽出
何のために教育研修を行うのか、解決すべき課題を抽出するステップです。既にある程度の組織が成立している場合、組織内で生じた課題・問題の解決に向けて教育研修が行われることがほとんどです。ただ目先の問題だけを見て場当たり的に教育研修を実施すると、効果が得られないものになりがちです。
組織の中でも、人事、経営、現場などそれぞれの立場によって見える課題は異なるため、組織ビジョンも踏まえ、それぞれが意見を交換しながら解決すべき課題を明確化する必要があります。
ただしこれはあくまで理論的な話であり、実務的には目先の問題解決と、中長期的な組織ビジョンに向けた課題解決の2つを、うまくバランスを取りながら取り組むことが大切です。
③対象者を決定する
課題抽出と並行して実施されるのが対象者の決定です。研修を実施するには工数や費用が発生します。従って、なるべく多くの対象者をまとめて研修したくなりますが、対象者を絞り込んだ方が研修の効果性は高くなります。
対象者が広がるほど研修の内容が一般的なものになり、抽象度が高くなってしまうので注意が必要です。
④教育研修の目標・ゴールを設定する
課題を洗い出して対象者を決定したら、各教育研修の目標・ゴールを設定します。個別の研修設計をする際、「何を教えるか」に意識が行きがちですが、「研修が終わった後に何をしてほしいか、どう変わってほしいか」というゴール設定が最も重要です。
内容や方法を決める前段階で目標・ゴールを設定することが大切であり、明確に目標・ゴールを設定することで、内容や方法をブレずに考えることができるようになります。
⑤実施するタイミング、方法を決定する
教育研修の目標・ゴールが決まったら、該当の社員研修をいつ、どんなタイミングで、どの程度の期間で行うのか等を決めていきます。
タイミングは非常に重要であり、例えば新入社員研修を入社半年後に行っても意味がありません。また、スキル向上のための教育研修の中には繰り返し行うべきものもあります。目標・ゴールに従って、いつ行うのか、どのくらいの期間行うのか、定期的に行うのか、などを決めることが重要です。
そしてこの段階でプログラムの内容や、OJT、OFF-JT、eラーニング等の実施方法の細部も併せて詰めていきます。
⑥参加者や参加者の上司への告知方法を決める
教育研修において、「効果」と実施後の「行動変容」に影響するのは、事前アプローチが4割、研修自体が2割、事後のフォローが4割と言われています。
参加者が「通常業務で忙しいのに…。会社の業務指示だから参加するけど。できれば内職していたい」と考えながら参加するのか、「今回の研修ではこのスキルを身に付けたい。今の仕事の“ここ”に活かせるものを学びたい」と思って参加するのかで、研修効果は大きく変わってきます。
前向きな姿勢で参加してもらうために、本人にどう告知するか、上長から何を伝えてもらうかなどが非常に大切になります。同時に課題や参考動画を事前に提供するなど、「反転学習」を実施することも有効です。
⑦アフターフォローを決める
上述の通り、教育研修の効果を高めるのに、フォローアップは非常に重要な取り組みとなります。
学んだことを実務の中で実践してもらい、結果につなげてもらわなければ教育研修の意味はありません。研修内での実践課題の設定、オンライン上でのフォロー、フォローアップ研修の実施など、アフターフォローの実施方法をきちんと設計しておくことが大切です。
また、研修を実施した側も「振り返り」を行うことで課題や成果を見つけたり、効果測定を実施して今後も研修を続けるかどうかを検証したりすることが大切です。