ノンバーバルコミュニケーションとは、言語以外で行うコミュニケーションのことを意味しています。
コミュニケーション力を高めようと思ったとき「言葉」や「表現」に注目しがちなこともありますが、実際のコミュニケーションでは言葉以外の情報もたくさんあります。言葉以外のコミュニケーション要素は「ノンバーバル」と呼ばれ、相手の心情や本音を読み取ったり、自分の熱意を伝えたり、人を動かしたりするうえで非常に有効です。
記事では、ノンバーバルコミュニケーションの概要や要素、活用事例を解説します。
<目次>
- ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは何か
- ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)で重要な2つの要素
- ビジネスにおけるノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)の活用事例
- まとめ
ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)とは何か
相手としっかりとした意思疎通を図るためには、言葉だけでなく、ノンバーバルコミュニケーションを意識することが重要です。まずは、ノンバーバルコミュニケーションの概要、バーバルコミュニケーションとの違い、重要性を理解しましょう。
ノンバーバルコミュニケーションとは?
ノンバーバルには「言葉を使わない」「非言語」という意味があり、ノンバーバルコミュニケーションは言語以外で行なうコミュニケーションのことを指します。
我々が日常的に行なっているコミュニケーションのなかには言葉で伝えられない情報がたくさんあり、言語以外の情報(ノンバーバル)のやり取りに注目したものがノンバーバルコミュニケーションです。
- ジェスチャー、表情、身振り手振り、目線の動きといった動作
- 挨拶、ハグ、相手に触れるといった接触行動
- 相手との距離、守備範囲、縄張りといった空間行動
- 照明・温度・香りといった環境要因
- 顔つき、体つきといった身体特徴
など
人間が五感によって受け取る印象は大きく、言語以外の情報(ノンバーバル)は第一印象にも大きく影響します。
ノンバーバルコミュニケーションは無意識に使ったり取り込んでいたりするケースが多いですが、意識的に行なうことでコミュニケーション能力をより高めることが可能です。コミュニケーションの受け手としても、また発し手としても、意識的にノンバーバルをうまく使っていきましょう。
なぜノンバーバルコミュニケーションが重要なのか
後述する「メラビアンの法則」では、コミュニケーションの93%はノンバーバルで行なわれるといわれています。ノンバーバルコミュニケーションは自分の意思をしっかりと伝えるうえでも、相手の意思をキチンととらえるうえでも非常に大切なのです。
例えば、営業やマネジメントでノンバーバルコミュニケーションを活用すれば、言葉以外の情報から相手の本当の気持ちを感じ取ることができます。相手の真意や感情を汲み取ることができれば適切な商談進行をしたり、メンバーの感情をくみ取ってケアしたりするなども実現しやすくなるでしょう。
自分の意思を伝えるうえでも、ノンバーバルコミュニケーションを活用すれば本気度や愛情、誠意など、言葉だけでは伝えられない思いや空気感を相手に伝えることができます。このように、言語の情報を補完できるのがノンバーバルコミュニケーションです。
バーバルコミュニケーションとの違いは?
ノンバーバルコミュニケーションが言語以外で行なうコミュニケーションであるのに対し、バーバルコミュニケーションは言葉を使ったコミュニケーションです。
バーバルコミュニケーションは「言語的コミュニケーション」とも呼ばれており、対面での会話や手紙、メールなど、文法を用いたコミュニケーション全般を指します。普段当たり前のように用いられていますが、相手と言語が違う場合やより意思疎通を深めたい場合など、ノンバーバルコミュニケーションとの併用が効果的です。
https://tech-camp.in/note/pickup/66292/#i-3
ノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)で重要な2つの要素
ノンバーバルコミュニケーションをうまく活用するためには「メラビアンの法則」を知るとともに、視覚情報・聴覚情報の重要性を理解することが大切です。
ノンバーバルコミュニケーションを理解するうえで大切なメラビアンの法則
メラビアンの法則とは、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによって発表された法則で、「7-38-55ルール」「3vの法則」などとも呼ばれています。
「人が誰かとコミュニケーションをとる際に受け取る情報全体を100%とすると、相手の言葉から得ている情報はわずか7%であるのに対し、非言語情報から得ている情報が93%にもなる」というのがメラビアンの法則の実践結果です。
アルバート・メラビアンの実験は限定的な状況であり、7%と93%という数字自体は我々の日常やビジネスにおけるコミュニケーションにそのまま当てはめられるものではありません。しかし、ノンバーバルコミュニケーションが重要であることを一目瞭然に示してくれる非常にわかりやすい法則です。
ノンバーバルコミュニケーションで重要な2つの要素
アルバート・メラビアンは、コミュニケーションで受け取る情報を「視覚情報」「聴覚情報」「言語情報」の3種類に分けて比率を出しています。
┗視覚情報 :55%
┗聴覚情報 :38%
┗言語情報 :7%
上記からわかるように、人がコミュニケーションで得る情報は視覚から得るものが全体の過半を占めており、次いで聴覚情報の割合が多くなります。
したがって、コミュニケーションで相手を理解するには、見えているもの(ジェスチャーや表情)と、聞こえているもの(声色やペース、強弱)に注意を払うことが重要です。自分が何かを伝えるときも同様で、「何を言うか」以上にジェスチャーや表情、声に注意を払うことが大切になります。
https://tech-camp.in/note/pickup/66292/#93
ビジネスにおけるノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)の活用事例
ビジネス場面はコミュニケーションの連続であり、さまざまなシーンで意識的・無意識的なノンバーバルコミュニケーションが行なわれています。本章ではビジネス場面においてノンバーバルコミュニケーションを意識的に活用する事例をご紹介します。
クライアントや取引先との商談での活用
ノンバーバルコミュニケーションは、まずクライアントや取引先との商談で活用できます。一番基本的なところでは、髪型や服装など、清潔感のある身だしなみ(視覚情報)を整えることで相手に良い印象を与えるのもノンバーバルコミュニケーションの一つです。
逆に、商談の雰囲気をラフに、砕けた感じにしたい場合は、服装をオフィスカジュアルにするのもノンバーバルコミュニケーションの活用です。状況や作り出したい空気に応じて身だしなみ(視覚情報)を調整するのです。
また、初対面の挨拶、商品サービス案内などで、声のトーンや表情、話し方を意識すると、相手により伝わりやすくなったり、場の空気を作ったりしやすくなります。
ノンバーバルコミュニケーションは対面だけでなく、オンライン上でも活用できます。オンラインの場合はモニター越しになるため、相手と心理的な距離感が生じがちです。
対面と比べるとオンラインでは、視覚情報のウェイトが下がりやすく、声の大小やペース、声色といった聴覚情報のウェイトが増します。それを踏まえて、身振りや表情などの視覚情報を少し大げさに使う、聴覚情報である声の大きさ、速さ、間、などをしっかりと意識することが有効です。
クライアントや取引先との商談などで、ノンバーバルコミュニケーションを意識することで、相手に安心感や信頼性といったポジティブな印象をより効果的に与えたり、場の雰囲気を作ったり、相手に影響を与えたりすることができます。
┗作りたい場や与えたい印象に応じて身だしなみを整えたり、空間を演出したりする
┗表情を明るくしたり、真剣にしたりする
┗話している際に身振り手振りを付ける
┗相づちを多めにする
┗部屋を明るくする
┗大きな声ではっきりとしゃべる
┗声のトーンを高め・早めにする
など
メンバーとの面談での活用
メンバーとの面談などにおいても、ノンバーバルコミュニケーションは大いに活用できます。
例えば、メンバーと話す際に相手の目を見て話したり、感情を表情や仕草で表したりすることで、相手の話を真剣に聞いているというメッセージを送ることができます。リラックスした雰囲気で面談を行ないたい場合は、相手が気軽に話せるような環境、雰囲気を確保するのも効果的です。
また、本気で相手を動かしたい場合には声にしっかりと力を込めたり、相手の表情を見ながら話を進めたりすることが大切です。
┗相手が話しやすい環境・空間を確保する
┗ミラーリング(相手の動きを真似る)を活用する
┗相手のペースに合わせて話す
┗相手の目を見て話す
┗しっかりと相づちをうつ
┗感情を仕草や表情で表す
┗真剣な話をするときには声に力を込める
また、メンバーとの面談の際には、自分の気持ちを相手に伝えるノンバーバルコミュニケーション以上に、相手の本音を読み取るという、受け手としてのノンバーバルコミュニケーション活用が大切です。
メンバーの意見を聞いたり、指示したり、こちらの意見に対する反応を確認したりする際には、ノンバーバルに表れる相手の本音を読み取ることが非常に重要です。
まとめ
ノンバーバルコミュニケーションとは、ジェスチャーや表情、声のトーンなどといった、言語以外で行なうコミュニケーションを意味します。
メラビアンの法則では、私たちがコミュニケーションで受け取る情報のうち、言語から得ている情報はわずか7%であり、93%は視覚・聴覚からの情報であるとします。
コミュニケーションの質を高めるためにはノンバーバルコミュニケーションの要素である「視覚情報」「聴覚情報」から相手の本音を読み取ったり、こちらのメッセージを伝えたりすることが非常に重要です。
ノンバーバルコミュニケーションはさまざまなシーンで活用されており、クライアントや取引先との商談はもちろん、メンバーとの面談、さらにメンバーの意見を聞いたり、指示したりする際に非常に有効です。