トルコのことわざ【人を残すvol.152】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

トルコのことわざ

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

 

2月6日にトルコで発生した地震が大きな被害をもたらしています。
これまで亡くなられた方が隣国シリアに跨り5万人を超えています。

 

建物が倒壊した現地の痛ましい映像は、12年前の東日本大震災、
28年前の阪神・淡路大震災の記憶を蘇らせます。

改めて自然の力の大きさに畏怖します。

 

ところで、トルコにはこんなことわざがあるそうです。

 

“明日できることは、今日するな”

 

その意味については諸説あるようですが、

 

「今日やるべきこと、やらねばならないことに集中しよう」とか、
「あまり先のことを考えずに、今日を精一杯生きよう」とか、

 

いろいろな受け取り方ができそうです。

 

トルコは、日本と同じように地震が多く過去にも幾度も大きな被害に見舞われています。

そんな経験もあってか、東日本大震災の時には、トルコの救援隊は、
福島第一原発の事故が判明して他国が引き上げるなか、最後まで
被災地に留まってくれました。

 

東日本大震災に先立ち1999年におきたトルコ大地震では、
日本の救援隊が他国に先駆けて駆け付けてくれたそうです。

 

今回も日本は政府だけでなく、民間の医療グループも現地に赴き、
救助支援活動に参加しているようです。

 

そもそも日本とトルコは友好国として長きに渡り助けあってきました。
それは、今から130年以上前のある事故がきっかけだそうです。

 

――――――

 

1890年(明治23年)9月のことでした。

 

和歌山県沖でトルコ(当時オスマン帝国)の軍艦エルトゥールル号が、
折からの大型台風により座礁沈没し、587名の乗員が死亡または、行方不明となりました。

 

現在の串本町にある灯台下に流れついた生存者が灯台守に事故を知らせ、
住民は総出で生存者の救助と介抱に努めたそうです。

 

しかも、この時、村人たちも台風の影響で何日も漁に出られず、
食料の備蓄もわずかであったにもかかわらず、荒れた海の中で捜索救助を行ったそうです。

 

当時の明治政府は、この知らせを受け2隻の軍艦を現地に派遣し、
生存者69名をトルコの首都イスタンブールまで送り届けました。

 

それから時が巡って・・・・・

1985年イランイラク戦争の最中、イラクのフセイン大統領は、
イラン上空の空域封鎖を宣言、国内からの退去猶予を48時間とします。

 

この時、在留邦人を乗せて出国する飛行機は空きがなく、
日本人だけがイラン国内に取り残される事態になったのです。

 

戦時下でもあり飛べるのは民間機だけですが、日本の航空会社は、
組合の強い反対で飛ばすことができなかったそうです。

 

その話を聞きつけたトルコ政府は、なんと、民間のトルコ航空に、
テヘランまで日本人をピックアップすることを依頼、

 

トルコ航空のパイロットは、全員がその任務に志願したそうです。
自らの危険を顧みず。

 

トルコの教科書には、1890年のエルトゥールル号事件のあらましが掲載されており、
子供たちは皆そのことを学んでいるそうです。

 

この時のトルコ航空のパイロットたちにはその記憶があったそうです。

 

エルトゥールル号の救助から始まった日本とトルコのつながりは、
こうして今回の痛ましい地震災害でも続いています。

 

――――――

 

上述したように今回の地震では、驚くほど多くの犠牲者が出ています。

 

トルコはこれまでも幾度も地震災害に見舞われており、その教訓から、
建物の建築基準は強化されてきていたそうです。

 

それにもかかわらず、これほどまでに建物の倒壊が起きたのはなぜか?

 

どうやらその安全基準は十分に徹底されていないようで、
基準を満たさない建築物に対しては、一定の金額を支払うことで、
行政処分が免除されてきていたようです。

 

“明日できることは、今日するな”

 

その教訓をどう解釈したのか…と暗澹たる気持ちになります。

 

串本の村人は明日を顧みずにエルトゥールル号の生存者を救いました。

トルコ航空のパイロットも、すぐさま危機にある日本人を救いました。

日本の救援隊もトルコの救援隊も、自分たちの身の危険よりも、
お互いの身を案じ、多くの時間を現地での救助活動に捧げています。

 

それぞれが“今日やるべきこと”に集中した結果ではないでしょうか。

 

トルコ政府のお役人さんたちにも、この両国の歴史から学び取り、
これらの教訓を生かしてもらいたいと思います。

 

間もなく、東日本大震災から12年がたちます。

 

今回のトルコ地震でお亡くなりになった方々と共に、
あらためて、被災された方々へお見舞い申しあげるとともに、
犠牲となられた方々のご冥福を、心よりお祈りいたします。

 

今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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