蘇れ、セリカ1600GT【人を残すvol.128】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

 

今回は、お世話になっているお客様からお伺いした、
心温まるお話をご紹介します。

 

皆様は、お車はお持ちですか?
はじめて乗ったのは、どんなお車でしたか?

 

近年は、旧車ブームだそうで、往年の名車をレンタルできるサービスもあるそうです。

 

愛知県豊田市に本社を構える、新明工業株式会社様は、
http://www.shinmei.co.jp/

 

日本を代表する自動車メーカーの生産設備システムの設計と製作を主な事業としています。

以前、その工場と現場を見学させて頂きました。

さすが、日本の自動車産業を支える生産設備の設計、開発、
製作現場はとても活気があり沢山の方が懸命に働いていました。

 

新明工業さんでは、上記以外にも、自動車販売や整備に加えて、
道路作業車や教習車など特装車両製作、旧車レストアも行っています。

子供の頃、スーパーカーブームでクルマが大好きだった私は、
この旧車レストア現場の見学はとても楽しみでした。

 

トヨタ2000GT!
トヨタスポーツ800!!

 

写真や漫画でしか見たこともないような名車が…!

そして、レストア現場では往年の名車の作業が行われていました。

「クルマ好きなのか?」

感激している私に、ツナギを着た老紳士(?)が話しかけてきました。

 

「はい!好きです!これ、初代ソアラですよね!?」

すると、見学に付き添って下さった総務の方が、
私のことを、その老紳士に紹介してくださいました。

 

「研修講師~?(ジロジロ)
クルマが好きなヤツにろくな人間はいないからなぁ…ガハハ」

 

この老紳士は、新明工業株式会社の顧問、石川實さん。
御年83歳、旧車レストアの世界では、かなりの有名人だそうです。

「古いクルマが好きなら、こっち来な、いいもん見せてやる」

そう言ってスタスタと工場ガレージ内を歩くお姿と軽快な語り口は
とても80代とは思えない軽快さでした。

 

石川さんは、その後、あるお手紙を見せてくださいました。

達筆の直筆で書かれたお手紙の内容は、

ご主人の定年退職のお祝いに、倉庫に眠ったままの「セリカ」を
直してプレゼントしたい、という女性からのお願いでした。

 

その「セリカ」は新婚の頃にご主人が大事にされていたそうです。
しかし、子供もできて仕事も忙しくなり、次第に用を足さなくなった、

でも手放すのが惜しくて40年もの間ガレージに眠っていたそうです。

 

朽ちたガレージで土をかぶった「セリカ」の写真も添えられていました。

「いい手紙だろ?旦那さんには内緒だ、サプライズってやつ」

石川さんは、大事にファイリングしたそのお手紙を愛おしそうに
眺めておられました。

石川さんのもとには大手メーカーの技術者たちも教えを乞いに尋ねます。
それくらいクルマのことを熟知しています。

 

メディアにも何度か登場する石川さんの噂を聞きつけた奥様が、
ご主人の為にお手紙を書いてレストアを依頼された、素敵なお話です。

 

それから約7カ月、
今年の2月にその「セリカ1600GT」は、見事に蘇り、
奥様からご主人への定年のプレゼントとして自宅に帰ったそうです。

その様子はこちらのブログに公開されています。

40年の時を超えて蘇る【セリカ1600GT-第1回】

 

自動車産業は、いま大きな変革期に来ています。

我々の生活様式もかわり、クルマに求められる構造や機能も変化し、
これからもきっと大きく変わることでしょう。

 

しかし、今回のお話のように、
大切にしていたものを蘇らせ、新しい命を吹き込み、また新しい感動を生む。
暮らしを彩り、豊かにしてくれるのは新しいものばかりではないですね。

石川さんには、長い時間ためになるお話をお伺いできて嬉しかったです。

展示してあったトヨタ2000GTの運転席に座らせてもらい、
写真を撮ってもらいました。

窮屈で小さな窓から顔を出している私…
そしてその横に立ってニッコリピースサインの石川さん。

大切にしたい記念写真です。

 

追伸

石川さんには、もうひとつ良いお話を聞きました。

高速道路工事の際に、片側車線をふさぐ三角コーンを見かけませんか?
以前はあのコーンを人の手でひとつひとつ並べ撤去していたそうです。

今は、あのコーンを自動で並べ置き、自動で回収する“ロボコーン”
という特装車があり、その開発に石川さんも関わったそうです。

“ロボコーン”のミニカーを手に、石川さんはこう話してくれました。

「高速道路で工事作業員がな、三角コーンを回収してたんだ、

そしたらすごいスピードで走ってきた車に轢かれてしまってな、

ご遺体の損傷が激しくて、葬式の時に棺を開けられんかったそうや、

ふたりの娘さんが一晩中お父さんの棺に覆いかぶさって泣いたそうや、

そんな可哀そうなことは2度と起こしたらいかん、

だから、この車をつくったんだ…」

 

仕事の目的や動機について深く考えさせられました。

今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

蘇れ、セリカ1600GT

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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