研修でロールプレイングを成功させるポイントは?効果の高いロープレのやり方を解説

2020/08/18

研修でロールプレイングを成功させるポイントは?効果の高いロープレのやり方を解説

新人教育、営業教育、コミュニケーション研修等、幅広い研修シーンで導入されているロールプレイング。実践を通じて、スキルを習得したり、個人の課題を明確にしたりと、ビジネススキルの向上にとても効果的です。

 

ただし、ロールプレイングは何となく導入するだけでは効果性が高くなりません。しっかりと効果を高めるためには目的やテーマを明確にして、いくつかのポイントを押さえることが大切です。記事ではロールプレイングのメリットや実施の注意点、具体的な実施方法、効果を出すポイントを解説します。

<目次>

ロールプレイング(ロープレ)とは?

あまり知られていませんが、じつはロールプレイングには複数の種類があります。ロールプレイングの種類ごとに得られる効果も変わってきます。まず、ロールプレイングの種類を知っておくことで、研修に導入する幅も広がるでしょう。

 

 

ロールプレイングの定義

ロールプレイングは、「役割(role)」と「演じる(play)」を組み合わせた言葉です。現場や実際の場面を想定し、その中で自分の役割を演じる(疑似体験する)ことで、スキルを身に付けるという学習方法です。

 

とくに営業や接客、コーチングや褒め方・叱り方等、コミュニケーションを伴う仕事は、研修で知識をインプットしただけでは身に付きません。しかし、ロールプレイングを導入することで、現場に活かせるレベルの実践力をOff-JTで身に付けることができます。

 

ロールプレイングは非常に効果的ですので、Off-JTの研修内で実施したり、ロールプレイング&フィードバックという短時間のOff-JTをOJT期間内に繰り返しおこなったり、定期的に販売や電話対応、商談等のロールプレイング大会を実施したりしている企業も多いでしょう。

 

 

ロールプレイングの種類と活用例

ロールプレイングには大きく分けて4つの種類があり、それぞれ導入シーンや得られる効果が異なります。

 

<ケース型ロールプレイング>

特定の場面を想定し、条件等が設定された状況の中でロールプレイングをおこないます。最も多くおこなわれるロールプレイングです。

 

<問題解決型ロールプレイング>

実際に起きている、あるいは過去に起きた問題をテーマにロールプレイングをおこない、問題発生時の対応をさまざまな視点から協議します。MBAや幹部育成等における「ケース」として、よくおこなわれるイメージです。

 

<グループロールプレイング>

グループごとに分かれ、それぞれの役割を変えながら繰り返しロールプレイングをおこなう手法です。全員がそれぞれの立場に立つことができるため、対応方法を広い視野で考えることができます。ケース型ロールプレイングと組み合わせておこなわれることも多いでしょう。

 

<モデリング型ロールプレイング>

代表者がロールプレイングをおこない、全員で模倣したり、対応したりする方法です。全員を同じスタンスに立たせたい場合や、イメージを共有させたい場合に効果的です。講座形式で研修を実施している場合に実践をイメージしてもらう、個別のロールプレイングに入る前に試してみる等でおこなわれることが多いでしょう。

 

研修にロールプレイングを取り入れる目的とメリットと注意点

研修でロールプレイングをしている社員達

研修効果を高めるために効果的なロールプレイングですが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。社員研修にロールプレイングを盛り込むメリットと注意点を解説します。

 

 

研修にロールプレイングを取り入れるメリット

社員研修にロールプレイングを導入すると、以下のようなメリットがあります。

 

<ロールプレイング導入のメリット>

  • 学んだ知識をアウトプットすることによる学習効果の向上
  • 現場を想定した中で、口に出す・振る舞うことで実践的なやり方が身に付く
  • 実践する中で個人ごとの課題や成長テーマが明らかになる
  • 「本番」ではないところで、成功体験を積み自信を付けられる
  • 実績を上げている人のノウハウや知恵を共有できる

 

ロールプレイングは、実際の場面や出来事を想定した中で対応をおこないますので、効率的に実践的なスキルを身に付けられます。また、実績を上げている人のロールプレイングを見せたり、個人へのフィードバックをおこなったりすることで、ノウハウを共有できるほか、個人ごとの課題や成長テーマを明確にすることもできます。

 

ケース内で会話や対応に慣れれば、本番で新たな知識やスキルを実践することに抵抗感がなくなります。また、ロールプレイングを繰り返す中で、成功体験を積んで自信を付けることで、本番も自信を持って実行できるでしょう。

 

 

研修にロールプレイングを取り入れる際の注意点

ロールプレイング導入の際に気を付けるべきなのが、最も注意すべき点は「緊張感の欠如」です。

 

研修内でのロールプレイングは緊張感に欠け、馴れ合いになってしまいがちです。とくに、いつも一緒に仕事をしている同僚やチーム内でロールプレイングをおこなうと、ロールプレイングに徹しきれず、私語が飛び交ってしまうような場合もあります。

 

「疑似的な本番」としての緊張感が欠けると、ロールプレイングの効果は一気に落ちてしまいます。この後に紹介する通り、ケース等をしっかりと準備したうえで、真剣に実施する緊張感を創り出すことが効果を高めるポイントです。

 

また、想定するシーンや形式がパターン化してしまうと、取るべき対応も決まってくるため、新しい課題が見つけにくくなります。そのため、必要に応じて内容や形式を見直したり、風数のケースを準備しておいたりする等の工夫も大切です。

研修におけるロールプレイングのやり方

研修でロールプレイングをしている社員達

ロールプレイングでは実際のシーンを想定する必要があるため、具体的な設定をおこなうことが肝になります。また、実施後のフィードバックや振り返りも欠かせません。これらを踏まえたうえで、効果的なロールプレイングをおこなうための準備を確認しましょう。

 

 

役割を設定する

まずは、ロールプレイングでの役割を設定します。なお、イメージしてもらいやすくするために、記事内では、この先「営業のロールプレイング」を例にとり、「営業役-顧客役」という組み合わせで表現します。実際にはロールプレイングのテーマにより、「上司役-部下役」「販売員役-顧客役」「コーチ役-クライアント役」等、さまざまな組み合わせになるでしょう。

 

まず、決めるべきは、ロールプレイングを2人でおこなうか、3人でおこなうかの決定です。2人でおこなう場合には「営業役-顧客役」、3人でおこなう場合は「営業役-顧客役」に「オブザーバー」が加わります。

 

2人でおこなう場合のメリットは、3人でおこなう場合よりも回数を実践しやすくなることです。また、当たり前ですが、営業役と顧客役、2人いれば実践できますので、OJT内等でおこなうにはやりやすいでしょう。

 

一方、2人でおこなう場合には、自らも演じていた顧客役がフィードバックをおこなうため、フィードバックの質が浅くなりがちです。従って、

・時間が短めのロールプレイング、学んだ表現や言い回し等を「口に出して馴染ませる」ことにウェイトをおくようなロールプレイング・新入社員が「営業役」、先輩営業が「顧客役」等で、実務経験を持ったメンバーが未経験者を指導するためのロールプレイング

等に向いています。

 

逆に言うと、

・1回のロールプレイングが5分を超え、進行の自由度が高いもの・受講者全員が新たな知識やスキルを学んでいる状態で、「顧客役」も実践経験が浅い場合

等は、3人組でのロールプレイングをおこなうことがおすすめです(回数を重ねるために2人組でやる場合にも、最初と最後だけは3人組でやる等の工夫をすることが良いでしょう)。

 

何故ならロールプレイングにおいては、「口に出して実践すること」と同じように、「フィードバックをもらう」ことが重要です。

 

・『○分のところで、営業役がこの発言をしたことで流れが変わった』・『○分の質問に対して、顧客役がヒントになる回答をしたのに、先に進むことを急ぎ過ぎて拾わなかった。それにより提案が浅くなった』

・『○分の発言は、顧客側に確認しないまま決めつける表現になっていて、顧客が一瞬むっとした表現をしており、信頼を損ねた』

等の質の高いフィードバックがロールプレイングの効果性を高めます。

 

質の高いフィードバックをおこなって、ロールプレイングの質を高められるかは、オブザーバーにかかっています。オブザーバーには、ロールプレイングをおこなう際に、どのようにメモ等を取り、どんなフィードバックをすべきかをしっかりと伝えましょう。

 

 

目的やテーマ、顧客や場面を具体的に設定する

ケース型のロールプレイングをおこなう際には、場面設定が重要になります。曖昧なままスタートしてしまうと、ロールプレイングの緊張感も損なわれがちです。

 

「営業役」と「顧客役」、それぞれに具体的な場面設定をシート等で渡しましょう。商談のロールプレイングであれば、営業役には「何回目の商談で、どんな会社か」「事前に調べた範囲でどんな情報が手に入っているか」「商談のゴールはどこか」等、顧客役には「営業と同じ場面設定」「さらに深い会社の内情やニーズ」等が場面設定になります。

 

簡単なものであれば、ロールプレイングを始める前に、大枠の場面設定「自社の○○サービスにおける問合せからアポイント取得した1回目の商談、ゴールは契約すること」を伝えて、顧客側に自由に設定させるようなやり方でも構いません。

 

ただし、この場合、顧客役にも場面設定できるだけの経験値が必要ですし、顧客役が真剣に取り組まないとロールプレイングが良いものになりません。可能な限り、場面設定は、進行側で準備しておきましょう。

 

 

フィードバックシートを作成する

評価の軸が決まっているようであれば、ロールプレイングの目的やテーマに合わせたフィードバックシートを作成することもおすすめです。評価項目をいくつか作成し,S~D等の段階別の評価にチェックを付けたうえで、詳細なコメントを書き込んでいきます。

 

なお、ロールプレイングのフィードバックで大切なことは、評価の点数ではなく、相手の実践レベルをより高めるためのコメントです。フィードバックシートは、「評価シート」ではありませんので注意しましょう。

 

また、一般的に、相互に評価する場合、「自分が評価されるときのこと…」が頭をよぎってしまい、点数が甘くなる傾向にあります。その意味でも、評価に重点をおくのではなく、コメント(Good & More)が重要です。

研修でロールプレイングの効果を高める3つのポイント

少し繰り返しとなる部分もありますが、ロールプレイングを効果的におこなうには、以下3つのポイントを意識しましょう。

 

 

1. ケースの準備

前述の通り、きちんとケースを準備することがロールプレイングの質を高めます。現実に起こり得る場面を想定して準備しましょう。参加者の経験、また、研修テーマに応じた内容を設定することが重要です。

 

営業役に渡す情報、顧客役に渡す情報、書かれていない内容について顧客役が事前に考える設定、ロールプレイング内に自由に対応していい部分等、しっかりと検討しましょう。

 

 

2. 場の準備

ロールプレイングの効果を高めるのは「ロールプレイングを実践する真剣さ」です。ロールプレイング中に『これって、どうなの?』等の私語が飛び交うと、ロールプレイングの効果性は一気に下がります。

 

営業役・顧客役・オブザーバー、それぞれに対して、真剣に取り組むようにメッセージすること、また、そのための準備時間をきちんと取ることが大切です。

 

 

3. 質の高いフィードバック

ロールプレイングでのフィードバックは、その場で簡潔、具体的に伝えることが大切です。複数の課題を長々と伝えても頭に入りません。なお、短い言葉であることは重要ですが、抽象的なフィードバックは改善に繋がりにくくなります。営業役の「具体的な言動」をフィードバックしましょう。

 

なお、悪い点ばかりを指摘するとモチベーションの低下に繋がりますので、改善点と共に、良い点も必ず伝えましょう。

まとめ

ロールプレイングは、営業、販売、部下への接し方等、幅広いビジネススキルを実践的に身に付けることができる研修方法です。

 

効果的なロールプレイングを実施するためには、本番と同じような緊張感や真剣さを持って取り組むことが非常に重要です。そのためには、ケースの準備等をしっかりとおこない、研修本番でも、馴れ合いにならないように「場づくり」を意識しましょう。

 

また、ロールプレイングの効果性を高めるために、もう1つ重要なことはフィードバックです。質の高いフィードバックが必要なロールプレイングは、「オブザーバー」を立てた3人制でおこなう、フィードバックシートを準備する等がおすすめです。

 

記事で紹介したポイントを押さえれば効果的なロールプレイングが実施できますので、ぜひ社員研修にロールプレイングを取り入れてみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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