キャリア研修は、年代や階層に応じた、それぞれ異なる課題や目標を想定して行われます。ここでは、主な対象別にキャリア研修の種類を紹介します。
新入社員向けキャリア研修
新入社員向けのキャリア研修は、主として自分の適性や志向性を知ることによって、仕事への意欲・モチベーションを向上させるために行われます。
自分がどんな仕事に向いているか、どんな仕事にやりがいや楽しさを感じるのかなどを探りながら、自分の価値観や役割を明確にしたうえで、キャリアビジョンに向けた能力開発計画を立てていきます。
20代・若手向けキャリア研修
入社数年が経過し仕事に慣れてきた若手社員は、マンネリ感や不満感が生じたり、社内外の同期、同年代と比較して自分のキャリアに不安を感じやすかったりする傾向があります。
前述の通り、今の若手世代は、終身雇用が完全に崩壊した中で大学時代を過ごし入社していますので、転職に対するためらいが非常に薄い傾向にあります。キャリアに関する不満等が社内で解消できないと感じると、「隣の青い芝」に憧れて転職する人も少なくありません。
若手向けキャリア研修では、エンゲージメント向上を主な目的として、自分の価値観や目指す方向性の再確認や、自分に合ったキャリアプラン作成などに取り組みます。
社内でのキャリア構築だけに誘導することは反発を生みますが、一方で社内でキャリア構築できる可能性が十分にあることに気づいてもらうことが大切です。また、若手は考える成長やキャリアが非常に短期で、「いま~数か月」で不満が解消されないと見切りをつける傾向もあります。従って、ある程度の時間軸を持ってキャリアを考えてもらうことも大切です。
30代向けキャリア研修
30代は、専門性が身に付いてくる一方で、家庭や子育てなどプライベート面でも変化が生じる時期です。
家庭や社会とのバランスを取ることが難しくなったり、ある程度同期との待遇等の差が付き始める中で受け身になってしまったりする人も少なくありません。
また、順調に進めば、30代は小組織のリーダーとして中心的役割を期待され始める時期でもあります。計画を立ててやり切る実行力や、自分の専門性や経験を他者と共有することも求められるでしょう。特定の専門性を磨くか、マネジメントしていきたいかなど、両方の可能性を残しつつも考え始めるタイミングです。
このようなキャリアの転換期とも言える30代のキャリア研修では、10数年働いて得た自身のキャリアを棚卸し、自分と組織の成長を結びつけながら、今後のキャリアデザインを明確にしていきます。
40代向けキャリア研修
40代はこれまでに培ってきたスキルや経験を生かし、組織の中核人材として活躍が期待される年代です。同時に、既婚・未婚、子供の有無、自身の健康状態、親の介護の有無など、プライベートのバックグラウンドも多様化する年代です。また社内の同世代を比較した時、役職・待遇等に大きな差がついていることも多く、今後のキャリア展望に関する捉え方も異なります。
従って、40代を活性化させることは組織の生産性向上・活力向上に重要となってきますが、前述の状況を踏まえて、業務に対するモチベーションに大きな差が生じていることも多いでしょう。
40代向けキャリア研修では、基本としては自分自身の強み・持ち味を再確認してもらう。そして、今後のキャリアの変化・方向性を考えるために幅広い視野を持ってキャリア形成を考えられるようにすることが大切です。
キャリア研修も受講者にあった内容を用意し、実施することが効果を高めるポイントになります。自分自身の強み・持ち味を再確認し、組織に貢献できることは何か、今後の自分のあり方、キャリアの方向性が見つけられるようなプログラム内容とすることが大切です。
また、状況が個別化していますので、1対多での研修ですべて解決することは難しく、個別のキャリア面談等との組み合わせが重要になるでしょう。
50〜60代向けキャリア研修
50代向け、60代向けのキャリア研修も今後、ますます重要となってくるでしょう。特に50代という年齢層は、少子高齢化の影響で働き手が減少しつつあり、労働力不足に悩む企業にとって重要な戦力です。
また60代も豊富な経験・知識・スキルを持ち、まだまだ活躍しつつ、後進の育成において指導的な役割を果たすことも期待できるでしょう。
50代~60代が就職し育ってきた環境は、終身雇用や年功序列の環境であることが多いでしょう。しかし、経済や社会環境が大きな変化を遂げる中で、終身雇用や年功序列は完全に崩れました。加えて、現在のミドルシニア世代の多くは、定年後も働き続けることを選択するものと見込まれています。
こうした状況においては、かつてのように自身のキャリアは会社に任せるのではなく、自ら主体的に切り拓いていくことが求められます。
50代~60代向けのキャリア研修では、自分の経験や能力、強みを再評価し、自分のキャリアを自律的に構築するマインドの醸成が主な目的になります。
自発的に成長意欲を持って知識や知見をアップデートし、時代の変化に柔軟に対応しながら、的確に目標を立てて計画を実現し組織をよい方向に導いていく・・・そんなシニア・ベテラン社員であれば、いくつになっても企業の成長にとって重要な人材であり続けるでしょう。
女性向けキャリア研修
女性向けのキャリア研修では、結婚・出産・育児などのライフステージ変化がある中で、どう自分のキャリアを構築していくかといったことが、主なテーマになります。
女性向けのキャリア研修では、自分の能力や可能性を最大限に発揮できる働き方を見つけることが大切です。また、育児からの復帰や管理職としてのキャリアに向けて、自信やモチベーションを高めてもらうことも重要な目的です。
こうした観点に沿って、女性向けのキャリア研修では、自分のライフプランやキャリアビジョンを明確にし、それに沿った行動計画やスキルアップの方法などを学んでいきます。
管理職向けキャリア研修
管理職は、部下・メンバーや上層部、クライアントと関わる業務が増え、裁量が大きくなる代わりに責任も重くなります。上級管理職への昇進には、より高度なスキルや知識も求められます。これに伴い、ストレスを感じるだけでなく、場合によっては管理職として長く働く中で、自分の仕事に対する情熱や目標が薄れてしまう人も少なくありません。
したがって、管理職向けのキャリア研修では、自分の仕事への価値観やモチベーターをしっかり見極めながら、新たな挑戦や変化への意欲を高めることが重要な目的の1つとなります。
管理職向けのキャリア研修では、マンネリ感の打破と上級管理職へのステップアップについて学びます。自分のキャリアゴールやロールモデルを設定し、それに向かって効果的に行動する方法を学ぶことができます。
なお、管理職層がキャリア自律していないと、若手層にとっても悪影響を及ぼします。若手にとって将来のロールモデルである管理職層がキャリア自律していない、憧れのキャリアになっていなければ、それは会社を見切る原因となります。その意味でも管理職層向けのキャリア研修は大切です。
リスキリング研修との組み合わせ
リスキリングとは、変化する社会や市場で求められる新しい技術や知識を身につけ、自分の価値や可能性を高めていくことを言います。
現在、AIの進展やDX化などの技術革新によって、仕事の内容や求められるスキルが劇的に変わりつつあります。こうした新しい仕事に対応するためには、今まで培ったスキルや知識に固執せず、好奇心を持って学び直しや挑戦をすることが不可欠です。
キャリア研修をリスキリング研修と組み合わせることで、なぜリスキリングが必要か、リスキリングすることでどんなキャリアが開けるかといったことをイメージしてもらったうえで、リスキリングに取り組んでもらえ、学ぶ意欲が醸成されやすいでしょう。