『7つの習慣』影響の輪と関心の輪とは?主体的な生き方で影響の輪を拡げる

更新:2021/11/30

作成:2021/11/27

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

スティーブン・R・コヴィー博士の著書『7つの習慣』は、全世界で4000万部、日本国内でも240万部の売上げを誇る大ベストセラーとして有名です。ビジネス誌をはじめ多数のメディアで「非常に影響力のある」「役に立つ」「経営者や高年収者が薦める」ビジネス書として取り上げられ、読んだことはなくても、「名前を耳にしたことのある」という人も多くいることでしょう。

 

『7つの習慣』ではタイトルのとおり、人生を成功に導く原理原則となる習慣が7個紹介されています。最初の習慣である第1の習慣「主体的である」の中でコヴィー博士は、私たちが主体的であるかどうかは「影響の輪」と「関心の輪」のどちらにエネルギーを注いでいるかによって決まるのだと話しています。

 

記事では「関心の輪」と「影響の輪」とは何か、「影響の輪」に集中することで主体的な人生を過ごすポイントを解説します。

<目次>

「影響の輪」と「関心の輪」とは?

最初に「影響の輪」と「関心の輪」とは何か、それぞれの具体例と併せて解説します。

 

私たちの関心事は2つの輪に分けることができる

 

私たちは皆それぞれ、多くの関心事を持っている。健康、家族、仕事の問題、経済、世界の平和など。関心の輪を描くことで、関心を持っている事柄と関心を持っていない事柄とを分けることができる。そして、関心の輪の中に入っている事柄を見つめれば、実質的にコントロールできないものと、コントロールできるもの、あるいは大きく影響できるものがある、ということがすぐに分かる。後者の範囲は、もっと小さい輪、つまり影響の輪を描くことによって示すことができる。

出典:『完訳 7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

 

私たちは普段、身の周りで起こっているさまざまな出来事に関心を持っています。人にとって関心ある事柄は異なるでしょう。景気や株価、明日の天気、期末の賞与、上司の機嫌、週末の予定、好きなスポーツチームの勝敗まで、関心事はさまざまです。『7つの習慣』では、私たちの関心事を「関心の輪」、その中でも私たち自身で変えたり影響したりできる事柄を「影響の輪」と呼んでいます。

影響の輪と関心の輪を図で示すと以下のようなイメージです。

影響の輪と関心の輪

以下で、関心の輪と影響の輪に入る事柄の具体例をそれぞれ見ていきましょう。

「関心の輪」の具体例は?

まずは、「関心の輪」の具体例をご紹介します。

 

例えば、あなたが“明日の天気”に関心があったとします。何か予定があるとき、明日の天気が気になるという人は多いでしょう。この場合、明日の天気は関心の輪に入ります。一方で、「明日の天気を自分の意思で変えられる」という人はいません(おそらく)。したがって、明日の天気は影響の輪には入りません。

 

“明日の天気”のように自分が関心はあっても、自分が変えたり影響したりすることができない事柄が「関心の輪」です。天気のほかに関心の輪にはどのようなものがあるでしょうか。いくつか紹介しましょう。

 

<多くの人にとって「関心の輪」に入る事柄>
  • 天気
  • 景気
  • 株価
  • 上司や家族の機嫌
  • 顧客の意思決定
  • 会社からの評価
  • 好きなスポーツチームの勝敗

など

 

関心の輪を考えるうえで忘れてはならないのは、基本的に「他人の意思や考え方」は関心の輪であるということです。他人の内面をコントロールしようとする試みは、関心の輪に影響しようとする行動です。

 

「影響の輪」の具体例は?

続いて、私たちが変えたり影響したりできる「影響の輪」に入る事柄を見ていきましょう。例えば「夕飯のおかず」です。自分で作るにせよ、スーパーでお総菜を買うにせよ、外食するにせよ、夕飯のおかずは好みに応じて変化させることが多いでしょう。したがって、夕飯のおかずは自分で影響できること、すなわち「影響の輪」に入ります。

 

ただし、関心の輪も影響の輪も人や状況によって変わりますので、ある事柄が絶対的に「影響の輪」「関心の輪」に入るわけではありません。例えば、「会食のコース料理の予約がしてある」「すでに家に夕食が準備されている」状況では、夕飯のおかずは影響の輪ではなく、関心の輪になるかもしれません。

 

影響の輪に入るのは、究極的には「自分自身」です。自分の態度や言動、あるいは普段の習慣や言葉遣いは、変えようと思えば自分次第で変えることができます。そして、私たちは、自分自身の態度や言動を通じて、間接的に関心の輪に入る事柄に影響を与えることもできます。

影響の輪を広げる主体的な生き方

前章では、「関心の輪」と「影響の輪」を具体例も交えて解説しました。影響の輪に入るのは「自分が影響をおよぼすことのできる事柄」です。そして、じつは影響の輪の大きさはずっと同じはありません。私たちの考え方や行動によって、影響の輪は大きくも小さくもなります。

 

コヴィー博士は、どのような状況であっても自分で選択し、物事に主体的に関わることで影響の輪を大きくできるとし、このことを「影響の輪を広げる」と表現しています。本章では、影響の輪を広げるポイントを解説します。

 

影響の輪に集中することが、主体的な生き方につながる

 

自分が時間やエネルギーの大部分を、この二つの輪のどちらに集中させているかを考えることにより、主体性の度合いをよく知ることができる。主体的な人は、努力と時間を影響の輪に集中させ、自らが影響できる事柄に働きかける。彼らの使うエネルギーは積極的なものであり、その結果として、影響の輪が大きく広がることになる。

 

一方、反応的な人は関心の輪に集中している。他人の欠点、周りの環境、自分のコントロールの及ばない状況などに集中する。これらのものに集中すると、人のせいにする態度や反応的な言葉、あるいは被害者意識をつくり出すことになる。反応的な人は消極的なエネルギーを発生させ、影響を及ぼせる事柄を疎かにするので、影響の輪は次第に小さくなる。

出典:『完訳 7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

 

上記で引用したように、コヴィー博士は、影響できる事柄に働きかけることによって影響の輪は大きくなる、関心の輪に集中すると影響の輪が小さくなると伝えています。どういうことなのか、事例で解説します。

 

異動して新しい部署でチームを任されたリーダーがいたとします。メンバーからすると、今まで一緒に仕事をしたことがない、自分たちの仕事を全然わかっていないかもしれないリーダーです。メンバーは初めのうち、リーダーをあまり信頼しておらず、なかなか期待するように動いてはくれません。

 

それでもリーダーは、「どうやったらメンバーたちに信頼してもらえるだろうか?」と考え、率先垂範して行動したり、仕事しやすい環境を整えたり、メンバーと一緒に過ごす時間を増やしたりなど、試行錯誤を続けます。やがて、リーダーの期待に応えようとするメンバーが表れ始めます……。

 

 

事例のリーダーは、なかなか動いてくれないメンバーの態度を不満に思うことなく、自分ができることに集中しました。リーダーが主体的な姿勢、行動を続けることによって、メンバーから信頼されるようになります。すると、リーダーの指示や依頼を素直に実行してくれるメンバーが増えてきます。つまり、リーダーの“影響の輪”は広がったのです。

 

関心の輪に集中すると、影響の輪は小さくなる

前述のリーダーとは逆に、関心の輪に目を向けるとどうなるでしょうか。同じエピソードで考えると、関心の輪は「メンバーの行動」「メンバーから自分への信頼」「メンバーが自分の指示に素直に従うこと」などです。

 

こういった関心の輪に集中すると、「なんで上司の私がいうことを素直に実行しないんだ」「仕事なんだから実行すべきだ」「悪いのはメンバーだ」といった思いが生まれてくるかもしれません。こうした思いが態度や言動に出始めたらどうなるでしょうか。メンバーからの信頼はさらに減少して、関係性は悪化していくでしょう。

 

関心の輪に目が向くと「あの人が悪い」「環境が悪い」「こうなればいいのに」など、考え方や言葉遣いが他責・依存的になりがちです。自分が影響できないことに目が向けば、ネガティブな思考や他力本願となり、目の前ですべきことに全力投球できません。結果として、成果も出ず、周囲からの信頼もなくなっていき、影響の輪が小さくなってしまうのです。

 

影響の輪に集中することで、好循環の人生をつくる

先ほどはリーダーの行動を事例にして、「影響の輪に集中することで影響の輪を広げられる」ということを解説しました。コヴィー博士は、主体的な人は影響の輪に集中することで、自分自身の影響の輪を広げていくと言います。

 

影響の輪を広げるというのは、リーダーやマネージャーに限った話ではありません。ポジションや権限に関係なく、誰もが影響の輪に集中することで自分自身の影響の輪を大きくできます。

 

いま影響の輪が大きく見える人も、最初から大きかったわけではありません。何かやってみて期待した結果が得られなかったことも数多くあったでしょう。しかし、主体的な人は思うようにならなかったときにも「以前のやり方をこう変えてみよう!」「別のやり方を試してみよう!」など、自分が改善できること、自分の影響の輪に集中して行動し続けて、影響の輪を広げてきたのです。

 

いま時点で「自分の影響の輪は小さいな……」と感じる人も、「自分が今できることは何か?」「どのようなことで貢献できるだろうか?」と考えて行動に移し続けることによって、少しずつ影響の輪が広がっていきます。影響の輪に集中して主体的に物事に関わり続けることは、結果として、私たちの影響の輪を広げ、好循環の人生へとつながっていくのです。

まとめ

記事では、『7つの習慣』における「影響の輪」と「関心の輪」について解説しました。

 

「関心の輪」とは私たちが日常のなかで興味関心を持っているさまざまな事柄です。そして、「関心の輪」のなかでも、自分が影響を与えてコントロールできることが「影響の輪」です。例えば、「自分自身の態度、考え方、言動」は影響の輪であり、「他人の態度や考え方」は関心の輪です。

 

私たちは「影響の輪」に集中することで、自分自身の影響の輪を広げることができます。影響の輪が広がっていけば、自分自身が望む成果、望む人生を実現することに近付いていくでしょう。一方で、関心の輪に集中してしまうと、他責や依存的な考え方が増えて、周囲からの信頼を失い、影響の輪が小さくなってしまいます。

 

自分自身の影響の輪において、最もコントロールできる「自分自身の態度、考え方、言動」に集中することで影響の輪を広げ、主体的な生き方をしていきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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