プレゼンテーションは、ビジネスを進めるなかで、上司や他メンバー、お客様などに、内容を理解、納得、そして意思決定や行動してもらうために実施するものです。
プレゼンテーションというと、スライドを使った発表がイメージされやすいものですが、メンバー向けに口頭で発信したり、提案書や商品を見せながら説明したりすることもプレゼンテーションの一種です。
本記事では、まず、プレゼンテーションの概要・目的・ゴールなどを確認します。確認したうえで、後半では、実践編として、プレゼンテーションの準備のコツ、プレゼンテーションで失敗しないポイント、プレゼンテーションの上達方法を解説します。
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<目次>
プレゼンテーションとは?
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プレゼンテーション(presentation)とは、聞き手に対して発表・概要説明・提案することです。ビジネスでは、以下のようにさまざまなシーンでプレゼンテーションが行なわれています。
- 経営会議で新規事業の概要をプレゼンテーションする
- 自社製品の導入を検討中のお客様にプレゼンテーションする
- 合同企業説明会で就活生にプレゼンテーションする など
冒頭で紹介したとおり、プレゼンテーションというと、プロジェクターでスライドを投影したり、Web会議で画面共有して実施したりするようなイメージがあるかもしれません。
しかし、スライドなどを共有したものだけがプレゼンテーションではなく、「聞き手を動かすための発表、提案、説明」などは、すべてがプレゼンテーションと考えてよいでしょう。
プレゼンテーションの目的とゴール
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プレゼンテーションというと、多くの人は、「どう発表するか?」に意識がいってしまいがちかもしれません。しかし、プレゼンテーションを成功させるには、そもそもの目的・ゴールを意識しながら、準備や実施をしていく必要があります。
ゴールは「行動してもらう」こと
プレゼンテーションの目的・ゴールは、プレゼン内容の理解・納得を経て相手に行動・意思決定してもらうことです。
たとえば、お客様に新製品の紹介プレゼンテーションでは、製品の魅力やメリットなどを理解・納得してもらったうえで、相手に導入・購入などの意思決定をしてもらうことがゴールでしょう。
また、社員にミッションやビジョン、方針を伝えるのであれば、プレゼンテーションの目的・ゴールは、ミッションやビジョン、方針に納得してもらい、内容に沿って行動してもらうことになるでしょう。
プレゼンテーションを成功させるうえでは、まず「相手に何をして欲しいのか?」というゴールを明確にすることが大切です。
行動を促すために必要なものとは?
プレゼンテーションを聴く側に行動を起こしてもらうために必要なのは、“行動する”ことに対して相手に感情的、また論理的に納得してもらうことです。
具体的には、プレゼンテーションのなかで、以下のようなことを伝える必要があるでしょう。
- いま行動することで何が得られるのか?
- なぜ行動したほうがいいのか?
- 行動の根拠は何か?
行動がゴールという意味で、プレゼンテーションは、営業や販売活動における商談ともよく似ています。
商談において、行動を起こしてもらう「型」はいくつかありますが、グローバル企業などでも導入されている型の一つが「4つの不」と呼ばれる行動を阻害する“壁・ハードル”を解除する以下の考え方です。
- 不信感:「この人は信用できるのか?」
- 不要感:「これは必要なのか?」(課題を解決する/これを実現する必要はあるのか?)
- 不適感:「いまのはベストな選択なのか?」
- 不急感:「これはいま必要なのか?
プレゼンテーションを設計するうえでは、こうした型も知っておくと役に立つでしょう。
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プレゼンテーションを準備するコツ
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行動を生み出すプレゼンテーションを行なうには、まず、準備段階では以下のことを意識するとよいでしょう。
いきなりスライドを作り始めない
プレゼンテーションを準備するとなると、なかには、いきなりスライドを作り始めてしまう人もいるでしょう。
たしかに多くの場合、プレゼンテーションするうえでスライドは重要です。しかし、いきなりスライドを作るのは、設計図もないまま、家を建て始めるようなものです。
効果的なプレゼンテーションを行なうためには、いきなりスライドを作り始めるのではなく、まずは、プレゼンテーションの全体像や構成を設計することが大切です。
まずは、紙に手書きなどでゴールや伝えたいメッセージ、プレゼンの構成を設計することがおすすめです。
ゴールを明確にする
前述のとおり、プレゼンテーションのゴールは聞き手に行動を起こしてもらうことになります。したがって、まずは、「誰にどのような行動をして欲しいのか?」を明確にすることが必要です。
ゴールが不明瞭なままプレゼンテーションの構成を考えると「何を伝えるか」の羅列になってしまい、ストーリーやシナリオがないものになってしまいがちです。
基本設計を決める
プレゼンテーションの流れや基本設計には、いくつかの種類があります。
まず、最も一般的なのは、「導入⇒本論⇒結論」の流れで進めていくものです。導入で背景や基礎知識などに触れることで、最も伝えたい本論に聴衆を引き込んでいくという流れになります。
ほかには、結論・伝えたいことを最初に話し、続けて理由・根拠を解説していく方法もあります。先に結論を話す方法は、各ステップの頭文字をとり、PREP法と呼ばれています。
- P(Point) :最初に伝えたい(結論)ことを述べる
- R(Reason) :結論の理由や根拠を述べる
- E(Example) :具体例を挙げる
- P(Point) :結論を再び述べたうえでまとめる
基本設計の流れは、自分の目的・ゴールに合うものを選択しましょう。また、少し難易度は高くなりますが、物語に引き入れていく方法(ストーリーテリング)なども有効です。
盛り込みすぎない
プレゼンテーションを作っていくと、「いまのも伝えたほうがいい」「補足しておいたほうがいいか…」と伝えたい内容が増えがちです。しかし、内容を盛り込みすぎると、メッセージがぼやけ、聞き手は「何がポイントか?」「何がコアメッセージか?」をつかみにくくなります。
プレゼンテーションの内容は、ゴールから逆算して、なるべくそぎ落としシンプルにすることが大切です。
ただし、“質問されるかもしれないこと”を想定して、事前に対応用の資料を準備しておくなどはおすすめです。
プレゼンテーションで失敗しないポイント
本章では、プレゼンテーションで失敗しないコツ・ポイントを紹介していきます。まずは押さえておきたいポイントです。
繰り返し練習する
効果性の高いプレゼンテーションにするうえで何より大切なことは、本番と同じ流れで繰り返し練習することです。
アップルのスティーブ・ジョブズやソフトバンクの孫正義、トヨタ自動車の豊田章男など、プレゼンテーションの名手と呼ばれる人たちが、何度も入念にリハーサルなどを繰り返すことは有名です。
また、プレゼンテーションはじつは短い時間になるほど難易度が上がります。たとえば、30分よりも3分のプレゼンテーションのほうが、情報をそぎ落として、短い時間で相手を動かさないといけません。
つまり、短いプレゼンテーションのほうが、準備をきちんとする必要があるのです。当然、練習することも大切です。
プレゼンテーションの練習でポイントになるのは、声を出すことです。自分一人でも声に出して、スライドなどを操作しながら練習すると、多くの気付きがえられます。
また、さらに誰かに聞いてもらうと、以下のような率直なフィードバックももらいやすくなるでしょう。
- 何が言いたいのがわからない…
- 内容が多すぎて、時間内に終わらない…
- 専門用語を多用しすぎている…
繰り返しの練習を通じてプレゼンテーション原稿・スライドに何度も触れると、次第に自信がついています。自信がつくと、緊張などもしづらくなるでしょう。
スライドはシンプルに作成する
先ほども少し触れましたが、プレゼンテーションに多くの情報が詰め込まれていると、相手はポイントをつかみにくくなってしまいます。
つかみにくいのはスライドに関しても同じです。スライド1枚に情報を“盛り込みすぎないこと”が大切です。基本は、“1スライド1メッセージ”になります。
大きな声で、はっきり・ゆっくり話す
説得力や信頼感を高めるには、大きな声で、はっきり・ゆっくり話すことが大切です。小さな声や早口の場合、どれだけ良い話をしても、内容が相手に伝わりづらくなってしまいます。物理的に聴きとりづらくなりますし、自信を感じられなくなります。
また、早口は、交感神経が優位であり、緊張・興奮している状態です。プレゼンテーションする自分が緊張・興奮していると、緊張状態は聞き手にも伝染します。自分の話に耳を傾け、理解・納得してもらうには、大きな声ではっきり・ゆっくり語り、聞き手に話を受け入れやすい状態を作ってあげることも大切でしょう。
余計な言葉は使わない
プレゼンテーション内で、以下のように余計な言葉を何度も使うと、内容が伝わりづらくなるほかに、相手に対して“自信がない”や“落ち着きがない”などのネガティブな印象を与えてしまいます。
- 「えーっと……」
- 「あのぅ……」
- 「あのですね……」
- 「まぁ……」
プレゼンテーションや会話で上記のような余計な言葉が入りやすい人は、練習を繰り返して、スライドの継ぎ目などで余計なつなぎ言葉、“雑音”を入れないようにすることが大切です。
なるべく具体的に話す
たとえば、「いまの製品を導入すると、たくさん良いことがあります!」といった漠然な話では、製品導入の効果・メリットを相手に想像させることができません。プレゼンテーションを成功させるには、以下のように具体的な説明・情報を行ない、「なるほど、そうか!」と理解・納得してもらうことが大切になります。
- 数字を使う:「いまの製品を買ったお客様の85%が……」
- 図表や写真を使う:「いまの写真が示すとおり、とても明るい雰囲気です……」
- 体験談を使う:「いまの製品を導入されたA社様では……」
プレゼンテーション能力を上達させる方法
プレゼンテーションのスキルは、以下のような方法で上達させることも可能です。
ビデオに撮る
ビデオで撮影する方法は、自分一人で練習するときのほかに、上司やメンバーと一緒に練習するときにも有効です。撮影したビデオを再生すると、自分のプレゼンテーションを客観視しやすくなります。
最近は、スマホを使えば簡単に録音・動画撮影できますので、練習するときにはぜひ活用しましょう。
客観的なフィードバックをもらう
プレゼンテーションを上達させるには、やはり上司やメンバーなど“ほかの誰か”に見てもらい、客観視なフィードバックをもらうのがおすすめです。プレゼンテーションを見てもらうと、自分では気付かない以下のようなことも見えてくるでしょう。
- 声が小さい
- 内容がわかりづらい
- 早口で焦っている感じがする など
また、練習でほかの人に見てもらっていると、本番でも緊張しにくくなります。上司やメンバーが忙しく、みんなを集めてプレゼンテーション練習を行なえない場合、撮影した動画を視聴してもらう方法もおすすめです。
プレゼンテーション研修に参加する
たとえば、仕事のなかでプレゼンテーションする機会が多い以下のように人には、プレゼンテーション研修に参加をして、スキルやテクニックを磨くのがおすすめです。
- 社外に対して、また、社内に対して発表する機会が多い「経営者」
- 経営層やメンバーに方針などを発表する「幹部・管理職」
- お客様に自社製品・サービスの魅力を紹介する「営業マン」
- 企業セミナーや合同企業説明会などで自社の魅力を発信する「人事担当者」 など
プレゼンテーション研修に参加すると、プロのノウハウが吸収できるとともに、成功につながるフィードバックによって自分の問題点も改善しやすくなります。
おすすめのプレゼンテーション研修
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、世界トップレベルのコミュニケーショントレーニングを提供するデール・カーネギー・アソシエーションと契約して、日本でプレゼンテーション研修を提供しています。
デール・カーネギー・トレーニングには、米国大統領をはじめとする、著名な政治家、軍人、ビジネスリーダーなども参加している研修です。
プレゼンテーション・トレーニングでは、プレゼンテーションノウハウを体系的に身に付けられるとともに、毎回プロ講師からフィードバックをもらうことで、めきめきとプレゼンテーション能力を向上させられます。
プレゼンテーション・トレーニングに興味がある人は、以下の情報をチェックしてみてください。
まとめ
プレゼンテーション(presentation)とは、相手に行動を起こしてもらう、意思決定してもらうことなどをゴールとして、発表・概要説明・提案などを行なうことです。
プレゼンテーションを成功させるためには、まず以下のポイントを押さえて準備しましょう。
- いきなりスライドを作り始めない
- ゴールを明確にする
- 基本設計を決める
- 盛り込みすぎない
と絞ったうえで、以下のポイントを押さえて練習などを行なうと、プレゼンテーションの成功に近づくでしょう。
- 繰り返し練習する
- スライドはシンプルに作成する
- 大きな声で、はっきり・ゆっくり話す
- 余計な言葉は使わない
- なるべく具体的に話す
プレゼンテーション能力を上達させるには、自分のプレゼンをビデオ撮影したり、上司・同僚からフィードバックをもらったりして、客観的な分析と練習を繰り返すことが大切です。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、デール・カーネギー『人を動かす』を踏まえたプレゼンテーション力が身につけられるプレゼンテーション・トレーニングを提供しています。プレゼンテーション能力の向上に興味がある人は、ぜひ資料をダウンロードしてみてください。







