課長の役割とは?役割や求められるスキルを解説

課長の役割とは?役割や求められるスキルを解説

多くの企業において、課長は数名~10名程度のチームをまとめて現場の活動を担う役割です。戦略や事業計画の実行を担い、職場の人間関係や人材育成、エンゲージメントにも大きな影響を与えます。

 

本記事では課長に求められる役割、また必要となるスキルや育成のポイントを紹介します。

<目次>

課長とは?

ミーティングをするビジネスマン

 

課長は企業の現場をまとめて業績を担い、戦術を遂行する中枢ポジションに立つ役職です。
組織によって異なりますが、一般的には部長に次ぐ職位であり、本格的な管理職のスタート地点です(組織によっては部長代理や次長などのポジションが部長と課長の間に入ることもあります)。

 

冒頭で紹介した通り、組織にとって重要な役割であると同時に、本格的にマネジメント業務に入るポジションとなり、個人にとっても大きな変化を迫られるタイミングとなります。

課長に求められる5つの役割

課長には以下の5つの役割が求められます。

  • 目標を設定しメンバーに共有する
  • 計画を実行して成果をあげる
  • 業務を見直し、ムリ・ムダ・ムラをなくす
  • リスクを洗い出し、対策を考える
  • 人材を育成する

 

目標を設定してメンバーに共有する

課長は事業方針や経営計画を十分に理解したうえで、具体的な数値目標を設定し達成するための戦術を決める役割を担います。

 

目標を策定する際のアプローチは、以下の2つがあります。
└経営計画を踏まえて、リーダーである課長が策定するトップダウン型
└メンバーに目標を考えさせて積み上げるボトムアップ型

 

現実には上位目標との整合性が取れるトップダウン型、部下の納得感や主体性を生み出しやすいボトムアップ型、この2つを融合させることが大切です。

 

目標設定を効果的にするためのポイントは、部下個人にとっての意味付けをきちんとすることで、そして、SMARTの原則を押さえることです。

 

チーム・個人の目標が決まったら、チーム内に浸透させて、各メンバーの努力や行動のベクトルが同じ方向に向くように尽力しましょう。

 

計画を実行して成果をあげる

目標達成に向けて計画を実行して成果をあげることが課長の大きな役割です。

 

課長はプレイングマネージャーである場合もあると思いますが、大切なことはプレイヤーとしてパフォーマンスすることではなく、役割分担や進捗確認などを通じてメンバーの実行をマネジメントすることです。

 

計画を実行する上で、まず大切なのが適材適所な役割分担です。

 

業務を遂行するのに必要なスキルや経験が備わっているかを確認して、また強みを生かすことも考えて、適材適所に割り当てましょう。その上で、任せっぱなしにするのではなく、しっかりと進捗の確認、サポートして、計画が実行されるようにしていきます。

 

業務を見直し、ムリ・ムダ・ムラを徹底的になくす

係長などのポジションが計画を実行して結果を出すことにフォーカスしていたとすると、課長はもう一段階高い視座で組織や個人の生産性などを考えることも必要になります。

 

業務プロセスの分析や再構成を行ない、IT化、オートメーション化、外注化などを組み合わせて、生産性向上を検討・実現することも課長の仕事です。

 

リスクを洗い出し、対策を考える

部長と連携をとりながらチーム内のリスクを洗い出して対策を考えましょう。
特に労務管理や個人情報の管理、業界や職種に関する規制などの法令に則った対応が求められる項目は、しっかりとした知識を踏まえたうえで対策を講じる必要があります。

 

コンプライアンスや労務管理、ハラスメントなどは、10年ほど前とは求められる基準も変わっていますので、注意が必要です。

 

人材を育成する

“経営の神様”と呼ばれた松下電機(現在のパナソニック)の創業者 松下幸之助氏が「ものをつくる前に、人をつくる」と語るほど、人材育成は組織における重要事項です。

 

課長の場合、個人をケアできる組織規模でマネジメントしていることが多いですので、部長が仕組みや配置で人生育成するウェイトが増えるのに対して、課長は1対1の関わりを通じて人材育成することが多くなります。

 

人の弱みではなく、強みを活かすことが人材育成を進める基本の考え方です。前述したように、その人の強みにあった業務分担を行なうことも、人材育成の一つになるでしょう。

課長に求められるスキルと育成ポイント

握手をするビジネスマン

 

課長には以下5つのスキルが求められます。5つのスキルの概要と育成ポイントを解説します。

  • タスクマネジメント力
  • リーダーシップ力
  • 人材育成力
  • フォロワーシップ
  • セルフマネジメント

 

タスクマネジメント力

タスクマネジメントは、目標達成等に向けた施策や行動を管理する能力です。組織の成果をあげていくうえで、決定した施策をタスクに分解すること、そして、自分やメンバーでタスク進行を分担しながら、その進捗をマネジメントしていくことが必要です。

 

単に進捗を把握・管理していくだけではなく、遅れているものがあればサポートしたり、タスクの優先順位や納期を踏まえながら、割り振りを調整していったりすることが必要です。

 

また、個々のタスクを進捗していくだけではなく、計画全体のPDCAサイクルを回すこともリーダーである課長の役割です。

 

PDCAサイクルは、P(計画)⇒D(実行)⇒C(評価)⇒A(改善)を繰り返して目標達成に近づいていくプロセスです。PDCAはビジネスパーソンであれば大半が知っている用語ですが、きちんと実践できている人は意外と少ないのが現状です。

 

課長に求められるのPDCAサイクルを実践するには、ロジカルシンキングが必要となります。現状や実績、課題の整理や分析を行ない、対策・実行計画を策定して、PDCAを一種のプロジェクトとして進めていくことが必要です。

 

リーダーシップ力

課長はチームを引っ張っていくリーダーシップ力も求められます。リーダーシップはビジョンやゴールを定めて、メンバーを鼓舞する力です。

 

上述したPDCAサイクルは、最近では、G-PDCAサイクルなどとも言われます。G-PDCAの「G」はゴール、目標です。PDCAサイクルはゴールがなければ、そもそもスタートできません。また、明確な共通ゴールがあるからこそ組織のメンバーは協力・連携することができます。

 

リーダーシップの上述の通り、ビジョンやゴールの定めてメンバーを鼓舞することですが、その発揮方法には様々なものがあります。

 

最近のリーダーシップ研究では、絶対的に優れた正しいリーダーシップがあるわけではなく、状況や特性に応じたリーダーシップを発揮することが大切だというシチュエーショナルリーダーシップの考え方が主流になっています。

 

ダニエル・ゴールマンによれば、主なリーダーシップのあり方は6種類あります。

  • タスクマネジメント力
  • ビジョン型リーダーシップ
  • コーチ型リーダーシップ
  • 関係重視型リーダーシップ
  • 民主型リーダーシップ
  • 実力型リーダーシップ
  • 強制型リーダーシップ

さまざまなスタイルがありますが、自身の性格や組織の性質、状況に合うリーダーシップを取り入れて発揮することが大切です。

 

人材育成力

社員たちがスキルアップすれば、今と未来の目標達成に近づきます。
課長には新人を一人前のプレイヤーへ、そして、プレイヤーとしての成果創出を経て、次の係長や課長を生み出す人材育成が求められます。

 

課長が担う人材育成は、現場への関わりを通じた1on1やOJTに近いものであり、ティーチングやコーチングを組み合わせることが大事です。

 

ティーチングはアドバイスを通して個人やチームのパフォーマンスを向上させる方法、コーチングは問いを活用して相手の意見や考えを引き出す方法です。2つのアプローチを使い分けながら人材育成に取り組みましょう。

 

フォロワーシップ

フォロワーシップは、アメリカのカーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授が提唱したもので、リーダーシップ育成のステップとして近年注目されている概念です。
フォロワーシップはチームの成果を最大化させるために、“自律的かつ主体的にリーダーや他メンバーに働きかけ支援すること”を意味します。

 

課長は自分が担当する”課の長”ですが、同時に”部のマネジメントチームの一員”でもあります。従って、課長として活動するに際しては、部長や上層部に対するフォロワーシップが求められます。

 

フォロワーシップとは、上述の通り、“従順に上の指示に従う”ということではありません。例えば、上司の意思決定や行動に誤りがあると感じた場合には臆することなく提言したり働きかけたりと、組織ゴールの達成に向けて主体的に行動する姿勢がフォロワーシップです。

 

管理職になると、自分のチームに対する“リーダーシップ”ばかりが意識されがちですが、成果を上げるためには上司に対するフォロワーシップと信頼関係も非常に重要です。部長や経営陣に対するフォロワーシップの現状を認識して、良きフォロワーを目指すことが大切です。

 

セルフマネジメント

セルフマネジメントとは、“目標達成や自己実現のために、自分自身を律すること”です。自分自身をマネジメントできなければ、メンバーをマネジメントすることはできないでしょう。

 

セルフマネジメントの対象は自分自身の言動です。課長には継続的な目標達成に向けて、進捗管理と人材育成を始めとするたくさんの業務と責任が生じます。
その中で、メンバーと良好な人間関係を作るうえでも、意思決定や計画・実行の品質を高めるうえでも、自分自身の心身を良い状態に整えることが大切です。

課長の役割を把握しチームを成功に導こう

組織における課長職は経営計画や事業方針を実行する要であり、現場における価値創造や人材育成をマネジメントする重要な立場です。
課長には、目標設定や進捗管理、人材育成、リスクマネジメントや業務改善まで幅広い役割が求められます。

 

課長職は本格的なマネジメント業務のスタート地点でもあり、プレイヤー時代とは異なる能力やスキルを求められるようになります。

 

新任管理職研修などの支援を通じて、課長や必要な役割認識や能力・スキルをしっかりと身に付け、組織の成果をあげていけるように支援しましょう。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
・社長が知っておくべき、業績達成する目標管理と人事評価
・社長の右腕 ~ナンバー2の上司マネジメント / 部下マネジメント~
・オーナー経営者が知っておきたい!業績があがる人事評価制度と組織づくりのポイント
・社長の右腕 10の職掌 など

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop