
冒頭でも触れたとおり、近年のビジネス界では、「GRIT」というスキルに注目が集まっています。そして、イニシアチブは、GRITにおける4スキルの一つとしても、注目を集めています。
本章では、イニシアチブとGRITの関係を、詳しく掘り下げていきましょう。
GRITとは?
GRITは、端的にいうと「やり抜く力」です。アメリカのペンシルヴァニア大学教授で心理学者でもあるアンジェラ・リー・ダックワース氏が提唱した概念になります。なお、アンジェラ・リー・ダックワース氏の著書「GRIT やり抜く力」は、日本のビジネス書部門でもベストセラーとなりました。
アンジェラ・リー・ダックワース氏の研究によると、優れた成果を残す人には、「後天的に伸ばすことができる情熱・粘り強さ」があります。また、生まれ持った才能・資質ではなく、情熱・粘り強さをもとにした「やり抜く力(=GRIT)」こそが、優れた成績につながります。
GRITは、大きな成功を収める起業家の多くにある特徴でもあります。たとえば、Facebookのマーク・ザッカーバーグ氏も、自身の成功要因としてGRITを挙げています。
GRITにおける「イニシアチブ」の意味とは?
GRITは、以下の4要素(4つのスキル)から構成されています。
- Guts :困難に立ち向かう力
- Resilience :失敗しても諦めずに続ける力
- Initiative :自分で目標を見据える力
- Tenacity :最後までやり遂げる力
上記のとおり、GRITにおけるイニシアチブとは、「自分で目標を見据える力」です。これは、主導権や率先するなどといった意味とどうつながるでしょうか?
イニシアチブで大切なのは、上司などの他者から設定された目標ではなく、自分で見出したり設定したりした目標を見据えるということです。
たとえば、上司から与えられた目標に対して「言われたから達成に向けて頑張る」では、場合によっては、我慢して耐え忍ぶ状態になることもあるでしょう。我慢しているようでは、モチベーションも上がりませんし、仕事の質も低下する可能性も出てきます。
一方で、たとえば、「今年度こそは売上1,000万円を達成する!」や「DXチームの課題を今月中に絶対に解決させる!」などの目標を自分で見出し設定することができれば、目標達成は“自分事”になり、達成までの過程で困難や新たな課題が生じても、諦めずにやり遂げようとするでしょう。自分事にとらえるのがイニシアチブです。
現実の組織においては、目標設定には、チームの目標や上司の意向なども反映されてきます。こうしたなかでイニシアチブを発揮するには、前述したような「意思決定」する力や「意味づけ」する力が重要になってくるでしょう。
GRITにおける「イニシアチブ」の重要性
近年では、コロナショックやウクライナ侵攻、DX化の影響など、企業が置かれる環境や顧客ニーズなどが激動し、ビジネスするうえで複雑な課題がいきなり生まれることも多くなっています。
また、産業がサービス化するなかで、トップダウンで事業や組織を動かすのではなく、より小さな単位や現場の一人ひとりが自律的に動くことが求められています。
こうしたなかで、迅速な課題解決や変化対応し続けるには、上の指示がなくても各メンバーが自発的に課題を見つけ、目標・計画を立て、実行する姿勢を持つことも大切です。また、各企業が困難な時代を乗り越えるためには、イニシアチブを含めたGRIT(やり遂げる力)の高いメンバーの育成が大切になってきます。