新人への「電話対応」の教え方、基本と必ず伝えたいポイント

更新:2023/07/28

作成:2021/06/22

高嶋 阿由里

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

新人への「電話対応」の教え方、基本と必ず伝えたいポイント

電話対応は、入社した新人が初めに担う仕事の一つです。職種にもよりますが、新人がビジネスコミュニケーションを身に付けるうえでのトレーニングともなるでしょう。
一方で、電話対応は会社としての印象を左右する仕事でもあります。インターネットやスマートフォンが普及した現在、固定電話を使ったことがない新人も増えていますし、アルバイト等でも電話対応を経験している人も減っています。時代背景も踏まえて、新人には電話対応を教える必要があります。記事では、新人に対する電話対応の教え方について、基本や必ず伝えたいポイントを解説します。

<目次>

新人に電話対応を教える際に、まず伝えたい3つのポイント

新人に電話対応を教える際には、具体的な方法論を教える前に、ビジネス電話の特徴や電話対応にあたっての心構えを伝えておくと吸収が早まります。本章では、新人に電話対応を教えるにあたって最初に伝えたい3つのポイントを紹介します。

 

 

最初に伝えたいポイント① 電話対応は会社の印象を決める

電話対応を教える際には、まず電話対応は会社の印象を左右するものだということをしっかり伝えることが大切です。新人であれベテラン社員であれ、電話対応は会社の印象に繋がります。特に初めて電話をかけてきた顧客等にはその傾向が強いでしょう。

 

日本では新卒が入社してしばらく経つと、新人が電話対応を始めることが多く、敬語が多少誤っていたりしても“ご愛嬌”で通じる部分はあります。しかし、「ぶっきらぼう」「ちゃんと取り次ぎができない」「声が暗い」等の対応をすれば、会社のイメージダウンに繋がったり、提供するサービス品質を疑われてしまったりすることにも繋がります。「電話対応は会社の印象を左右する」ということを新人たちに伝えましょう。

 

最初に伝えたいポイント② 電話対応することのメリット

続いてしっかりと伝えておきたいことは、電話対応することのメリットです。最近は“TELハラ”という言葉が話題となり「電話対応を新人にやらせることが是か非か?」という議論があったり、生産性向上の視点から電話対応を外注したりするケースもあります。特に社内で電話対応するメリット・デメリットは会社の事業や働き方にとって判断が分かれるでしょう。

 

一方で、新人が積極的に電話対応することで得られることは確実にあります。敬語やビジネスコミュニケーションへの慣れ、顧客名を覚える、顧客のニーズや関心を知るなどです。だからこそ、自社の新人に電話対応を任せるのであれば、新人に対して、電話対応を積極的にすることのメリットを伝えましょう。

 

スマートフォンに慣れ親しんで固定電話をあまり使ったことがない新人たちは、「誰からか分からない職場での電話を会社の代表として取る」ことには心理的なハードルがあります。顧客からの問い合わせ、パートナーからの連絡、クレーム、営業電話まで様々な電話が入る中で、相手と用件をしっかり把握して担当者に取り次ぐことは新人にとっては不安が伴います。

 

電話対応することのメリットをしっかりと伝えて納得してもらうことで、積極的に電話対応する、素早く対応する(3コール以内に対応する)といった指導が実効性を持ってきます。

 

 

最初に伝えたいポイント③ 対応に責任を持つ

新人に伝えておきたい3つ目のポイントは、「承った伝言や用件に責任を持つ」ということです。電話対応に慣れないうちは、相手の名前をうまく聞き取れなかったり、誰宛か間違えてしまったりすることもあるでしょう。また、当然、取次先が不在である場合もあるでしょう。

 

どんな場合においても、自分が取った電話に責任を持って対応することが大事です。

たとえば、

 

  • 伝言や折り返しの連絡を依頼されたのであれば、相手から依頼された先に「伝わった」ところまで確認する
  • メール等で「こんな用件で電話がありました」で済ますのではなく、対応されたことを確認する
  • 「○○さんの携帯に連絡します」「また電話します」と言われたら、○○さん宛に電話があった旨を連絡しておく

 

等です。

 

ポイント①にも関連しますが、電話対応は会社の印象に繋がるからこそ、キチンと対応に責任を持つことを教えましょう。コミュニケーションの担い手として「伝わる」「対応される」に責任を持つことが習慣化されると、自分で仕事やプロジェクト等を進めるようになった時にも、その習慣が生きるでしょう。

新人への電話対応の教え方 5つの基本

前章では新人に電話対応を教えるにあたって最初に伝えたい3つのポイントを解説しました。本章では、3つのポイント(心構え等)を教えたうえで、具体的な「電話対応の教え方 5つの基本」を順に解説します。

 

 

教え方の基本1 ビジネス電話の基本と使い方

電話対応を教えるうえでまず教えなければならないものは、ビジネス電話の基本と使い方です。最近は社用スマートフォンを内線端末化したり、IP電話に切り替えたりしている企業も増えていますが、一方で、昔ながらの固定電話を使っている企業も多いでしょう。職場で使われる固定電話には、内線・外線の2回線対応、転送、保留など、一般の家庭用電話では使わない機能が多く備わっています。

 

使い慣れた人にとっては「そんなに難しいものじゃない…」と感じられると思いますが、前述の通り、最近は家族や友人との電話はLINE通話、家にも固定電話がないという環境で育った新人も増えています。また、実際に使う機能はたいして複雑ではありませんが、あまり使わないボタンも色々ついているのも、職場の固定電話の特徴です。

 

新人たちにとっては「職場の固定電話はよく分からない機能とボタンが色々ある」感覚です。企業で電話対応するうえで基本となる「保留」と「内線(取り次ぎ)」のやり方はしっかりとマスターさせましょう。保留したつもりで電話を切ってしまう、保留したつもりでしておらず、社内の声が筒抜けになるといったミスは新人がやってしまいがちなミスです。

 

 

教え方の基本2 電話対応において確実にすべきこと

続いて、電話対応において確実にすべきポイントを確認しましょう。基本的には

 

  • 相手を確認する
  • 宛先と用件を確認する
  • 宛先に取り次ぐ。

不在であれば、伝言や折り返し等の対応を確認する

 

という単純な3ステップです。

 

大事なのは、メモを取ることを習慣化させることです。新人が電話対応していると、用件を聞いているうちに相手の名前を忘れてしまう、不在対応をしているうちに用件が曖昧になってしまう等がよくあります。また電話が多い会社では、電話対応を終えた瞬間に次の電話がくるといった場合もあります。2本目の電話対応を終えたころには1本目の内容は頭から消えてしまうのが人間の常です。

 

電話対応する時には、必ずペンとメモを片手にその場でメモを残すことを徹底させましょう(現在であれば、その場でパソコン等にメモを残す形もあるでしょう)。いずれにしても、相手の情報や用件を正確に取り次げるようにメモを残すことは徹底させましょう。

 

 

教え方の基本3 電話対応での正しい敬語や言葉遣い

電話対応は、新人たちが敬語やビジネスマナーを実践する機会です。もちろん実践する中で身に付けていく部分も大きいのですが、基本的なマナーや言葉遣いを実践できるようにしておく必要があります。

 

研修等で触れたほうが良い内容ですが、OJT担当者や上司、先輩社員が一つひとつ説明するよりも、動画や書籍などを調べて自分たちなりにスクリプトを作ってみてもらうといったアクティブラーニングの要素を入れたほうが学習効果は高いかもしれません。また、言葉を覚える時には「繰り返し口に出す」ことが重要です。文字を見ていると頭に入った気がするのですが、実際には覚えられていないことが大半です。ロールプレイングと実践テストなどをして、「実際に口に出す」ことが大切です。

 

教え方の基本4 主な電話の用件や顧客情報、社内の取次先

基本3までが終われば、基本的な電話対応はできるようになる状態です。次に教えておきたいのは、以下のポイントです。

 

  • かかってくる主な電話の用件や種類
  • 社内の主要な取次先
  • 知っておいたほうがいい顧客の情報

 

どこまで新人に教えるのが適切かは会社にかかってくる電話の量や種類、顧客状況によっても異なります。ただ、上記3つのポイントを新人たちに教えておくと、新人たちが電話対応しやすくなったり、顧客にも良い印象を与えたりすることができます。電話の用件や種類、対応する主要な取次先、新人にも覚えておいて欲しい重点顧客は、一覧に整理して新人たちに渡しておくことがおすすめです。

 

 

教え方の基本5 予行演習

基本4までが終われば、実際に電話対応に取り組んでもらうまで、あと一歩です。最後にやっておきたいのが、研修会場ではなく、実際の職場と電話を使っての予行演習です。「上司や先輩が実際の電話を取ってお手本を見せる」、そのあとに「上司や先輩が外から(携帯から)会社宛に電話して新人に予行演習させる」ことです。

 

実際の職場と電話で上司や先輩社員がお手本を見せて、そのあとに、上司や先輩社員を相手に練習させて、それから実際の電話対応に取り組んでもらうと、新人もスムーズに電話対応に取り組むことができるでしょう。

おわりに

電話対応は入社した新人がよく担う仕事の一つです。電話対応は新人たちがビジネスコミュニケーションや自社の顧客、顧客の興味や関心を学ぶ成長の場であると同時に、会社の印象を左右する仕事でもあります。従って、新人たちにはしっかりと電話対応のやり方を教えてからデビューしてもらうことが必要です。

 

電話対応を教える際には、いきなり具体的なやり方を指導する前に、

 

  • 電話対応の重要性
  • 新人が電話対応で得られるメリット
  • コミュニケーションの取り次ぎ役として持つべき責任

 

など、心構えの部分を伝えておくことが大切です。

 

そのうえで、具体的なやり方について、ビジネス電話の機能や使い方や確実にすべき基本ステップ、敬語やマナー、かかってくる電話の主な要件や種類、主な取次先や主要な顧客等を順に伝えていきましょう。研修内でロールプレイング等の実践練習したうえで、職場の電話で予行演習をして、デビューさせるとスムーズです。

 

時代変化に伴って、最近は家族や友人とはLINE通話、家庭にも固定電話がない環境で育った新人も増えています。昔より心理的なハードル等が上がっている部分もありますが、ステップを踏んで教えていけば電話対応は誰もができるようになります。記事で紹介した教え方を参考にしていただき、新人の電話対応を指導いただければ幸いです。

著者情報

高嶋 阿由里

株式会社ジェイック

高嶋 阿由里

明治学院大学卒業後、精密機器メーカーに勤務。新規事業をPJとして立ち上げから収益化までを行い、事業部にまで発展させる。その後、住生活関連のベンチャー企業に入社し、人事として社長直下で働いた後、ジェイックに入社。ジェイックでは、講師として受講者に寄り添い、現場でチームメンバーと協働して動ける「自立型人材」を育てる研修に特徴がある。

保有資格

「7つの習慣®」担当インストラクター、アンガーマネジメントファシリテーター、EQPI®トレーナー等

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