面接官向けWeb面接の注意点。成功のポイントも押さえよう

更新:2022/04/22

作成:2022/01/27

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

面接官向けweb面接の注意点!成功ポイントも押さえよう

Web面接は候補者の表情や雰囲気が分かりにくく、対面時に比べて採用のミスマッチが起こりやすくなります。面接官には候補者の素や本音を引き出し、自社にふさわしい人材を選ぶ工夫が必要です。Web面接を成功に導くポイントと注意点を解説します。

 

<目次>

理解しておきたいWeb面接の注意点

非対面・非接触で行う『Web面接』は対面の面接よりも誤解や認識のズレが生じやすく、結果的に採用のミスマッチが起こる可能性があります。コミュニケーションや評価において、面接官はどんな点に注意すべきなのでしょうか?
理解しておきたいWeb面接の注意点
(出典) photo-ac.com

双方の発言の意図に誤解が生じやすい

カメラやマイク等の機器、そしてインターネットを介したWeb面接は、映像の乱れやタイムラグが生じやすく対面時と比べて会話のスムーズさに微妙に欠ける部分があります。画面越しだと相手の微妙な表情や反応が分からなかったり、声が聞き取れなかったりするケースもあるでしょう。結果的に双方の発言の意図や解釈に誤解が生じるケースもあります。『伝えたのにうまく伝わっていない』『相手の意図が分からない』『本音をくみ取りづらい』といったミスコミュニケーションを防ぐには、丁寧なコミュニケーションが必要です。面接官側が表情や身振り手振りなどの非言語によるコミュニケーションを少しオーバーに取ること、また、気になった点等は言葉によるフィードバックや深掘りの質問を通じて、誤解やミスコミュニケーションが生じないようにしましょう。

面接官によって判断基準が偏りやすい

対面式に比べ、Web面接は面接官の評価が偏りやすい傾向があります。大きな理由が、面接中に得られる『非言語情報』の少なさです。もちろん相手の顔や声は分かりますが、微妙な表情や視線の動き・話し方といった言葉で表せない情報の精度が大きく下がります。人柄や雰囲気の見極めが難しくなり、話の内容のみで評価を下しやすいのです。従って、対面での面接と比べると、Web面接では言葉のやり取りに表れる論理性や思考力による評価ウェイトが高まり、愛嬌や雰囲気のような非言語のコミュニケーション要素の評価ウェイトが減る、評価が粗くなる傾向があります。入社後の業務もWeb越しでの業務が中心であれば、Web越しの評価で意思決定しても問題ありませんが、対面での業務が中心になるようだと、Web面接での評価と入社後の評価にズレが出やすくなります。入社後の業務内容等も踏まえたうえで、Web面接だけではない選考プロセスも入れたハイブリッド型の選考プロセスにすることも大切です。

会社の雰囲気が伝わりにくい

Web面接のメリットは、移動の手間や会場の準備が省けることです。しかし実際の職場へ足を運んでもらう機会がないため、候補者に会社の雰囲気を伝えにくいという欠点もあります。実際にWeb面接が一般化した中で、求職者からは「職場環境や会社の雰囲気が分からない」「本当に自分にふさわしい会社なのか判断材料に欠ける」といった声は増えています。優秀な人材を逃さないためにも、企業側には会社の良さを視覚的に伝える工夫が必要でしょう。会社説明の資料に写真や動画を多く採用するほか、バーチャルで疑似会社見学を実施するのも1つの手です。また、来社してもらうことが難しいようであれば、座談会やオンライン懇親会のような少しくだけた雰囲気の場を作ることもおすすめです。

 

Web面接を成功させるための基本的な準備ポイント

Web面接でまず起こりやすい問題は、通信トラブルや操作ミスです。『映像が映らない』『資料が共有できない』といった事態で中断すると、面接が成立しなくなる、かつ学生からの印象も悪くなります。基本として面接官が覚えておきたい対策を紹介します。
Web面接を成功させるための基本的な準備ポイント
(出典) photo-ac.com

ツールやデータを使えるよう準備しておく

スムーズにWeb面接を行うには、事前準備が欠かせません。面接に最低限必要なものは以下の通りです。

  • 速度の安定したインターネット環境
  • パソコン・イヤホン・マイク
  • Web面接ツールのアカウント
  • 候補者のデータ(エントリーシート・履歴書・職務経歴書など)
  • 会社紹介のスライド資料

 

パソコンやイヤホン・マイクといった機器は、前日までのチェックに加えて当日も問題がないか確認します。慣れてくるとつい時間ギリギリに入室するようなことも増えてきますが、使うツールが変わったりするなかで、急にカメラや音声のエラーが発生することがあります。必ず5分前・10分前には一度接続して確認しておきましょう。使用するWeb面接ツールによっては、アプリのインストールやアカウント登録・ミーティングルームの作成といった準備が必要です。慣れてくれば大丈夫ですが、本番になって慌てないよう、一連の手順を確認しておきましょう。候補者のデータや会社の資料は、スムーズに面接を進めるためにも事前に開いておかなければなりません。面接開始後に、面接官がデータ準備に手間取っていると、企業に対しての不信感、魅力付けの失敗につながります。

トラブル発生時の対策をする

通信が途切れてしまうのは、Web面接特有の問題です。『画面は見えているのに音声が途切れる』『音声と動作が一致しない』というトラブルは、通信速度や利用する端末に起因します。また、ネット障害等の対策できない原因でトラブルが生じることもあります。候補者側のネット環境に問題があるケースも多いため、事前に通信環境や操作の確認を行うように依頼しておくのは基本です。また、質の高い面接を行うために、面接環境や照明等に関しても注意事項を記載しておくと安心です。また、面接中に通信不能となった場合を想定し、事前、もしくは面接の冒頭で、トラブルが生じたときの連絡先を渡しておくのがベターです。また、最近ではおかしな『Web面接マナー』などが出回っていたりもしますので、応募者が戸惑わないように、入室から面接中・退室までのガイドラインがあれば提示しておくと応募者は安心できるでしょう。

面接中に雑音が入らない環境を作る

Web面接は雑音が入らない静かな環境で行うのが原則です。パーティションで仕切っただけのフロアだと周囲の話し声や雑音が入り、候補者が面接に集中できなくなってしまいます。また、面接しながらパソコンで記録を取る際は、タイピング音が入らないように注意しましょう。なお、そもそもタイピングしながら面接する面接官は、候補者に集中していない印象を与えるリスクもあります。手書きやパソコンでメモを取る場合には、冒頭で「聴き洩らし等がないように途中にメモを取るので目線等がずれることがありますが、”内職”するわけではないので安心してください(笑」など、一言断っておくと良いでしょう。なお、ダブルモニターで履歴書や職務経歴書等を別画面に映している場合も、目線がカメラから飛びがちになります。こういった場合も併せて一言添えておくと好印象です。なお、できればマイクはパソコンの内蔵マイクではなくイヤホンマイクを使用しましょう。パソコンに内蔵されているマイクは操作音や雑音が入りやすく、候補者の集中を妨げます。

 

素を引き出すWeb面接のコツ

Web面接を成功させるポイントは、いかに候補者の『素』を引き出すかです。面接官には候補者の緊張を和らげると同時に、面接に集中できる環境作りが求められます。前章ではテクニカルな注意ポイントを紹介しましたが、本章では面接の進め方に関するポイントを解説します。
素を引き出すWeb面接のコツ
(出典) photo-ac.com

長めのアイスブレイクで緊張を和らげる

就職活動において重要なイベントである面接では、緊張しすぎて素の自分を出せない候補者が続出します。Web面接の場合、自宅や大学等の自分の“ホームグラウンド”で面接に臨むため、対面の面接よりは緊張しない傾向はあります。一方で、Web面接は表情や視線の変化などから相手の素や心理を読みづらい傾向があります。また、Web面接や商談ではアイスブレイクが短くなりがちな傾向もあります。従って対面時よりも若干長めの『アイスブレイク』で場の雰囲気を和ませるのが“場作り”のポイントです。『アイスブレイク』とは、会議・商談・面接などで面識がない人等が集まった際に、場の緊張を解す(“氷”のような雰囲気を壊す)ことを指します。選考に直接関係のない雑談をしたり面接官側からパーソナルな情報を開示したりして、相手が話しやすい雰囲気を作りましょう。対面式の面接であれば、アイスブレイクの目安時間は30分の面接で1~3分程度です。オンラインではこれより気持ち長めに設定するとよいでしょう。ただ長くなりすぎると肝心の面接に影響が及ぶため、アイスブレイクの時間を含めて面接の時間配分を決めておきましょう。

複数回に分割して面接を行う

オンラインで行う面接では、複数回に分けて行うことで『精度』が上がり採用のミスマッチを防ぐことも1つのノウハウです。Web面接は移動時間がないからこそ、お互いに日程調整しやすいという特徴があります。それをうまく使って、今まで一次選考⇒二次選考⇒最終選考だったところを、もう1回面接を増やす等をするのも採用精度を高めるうえで有効です。

フィードバックで応募者の素を深掘りする

Web面接ではどうしても候補者の表情や心理を掴みづらい点があります。面接者の素を掴むうえで有効なのが『フィードバック』を使った深掘りです。
応募者の回答やコメント等に対して「私からこんな風に見えましたがどうですか?」「お答えを聞いていて迷っている部分もあるのかなと感じましたが、どうでしょう?」「いまひとつ自信がないようにも見えたのですが、どうでしょう?」など、相手の “見え方”等に対するフィードバックを返して相手の反応を見ます。一問一答や内容の深掘りだけでは出てこない相手の感情の揺らぎや心理、フィードバックへの反応から推察される性格特性など、応募者の素を見やすくなります。

 

Web面接をスムーズに進める面接官の心得

Web面接をスムーズに進める面接官の心得
(出典) photo-ac.com

落ち着いて分かりやすく話す

Web面接では対面面接よりもコミュニケーションにおける『声』の重要性が増します。従って、ハキハキとして分かりやすい話し方が大切です。「聞き取りにくいなら大きな声を出せばいい」と思っている人もいますが、大きな声を出すとマイクが音割れして逆に聞き取りにくくなります。大きな声と聞き取りやすい声はイコールではありません。トーンや滑舌・スピード・抑揚にも気を配る必要があります。普段の会話と比較して、次のポイントを意識しましょう。

  • 大きさ:普段よりも大きめ
  • トーン:普段よりも高めに
  • 話し方:抑揚をつけてハキハキと
  • スピード:普段よりもゆっくり

 

スピードに関しては、通信トラブルで音声と映像にわずかなタイムラグが生じることを想定し、対面時よりもゆっくりと落ち着いて話したり、間を取ったりすると良いでしょう。また、説明では多くの情報を一度に伝えようとせず要点をまとめてシンプルに話すことがおすすめです。また、表情や相づち、ジェスチャー等に関しても普段よりも少し大げさにした方が相手に聞いていることがしっかり伝わります。

ツールの画面共有機能を活用する

Web面接に使えるツールには、多様な機能が搭載されています。ほぼすべてのWeb面接ツール/Web会議ツールには画面共有の機能がついていますので、活用しましょう。例えば、Web面接ツールとしてもポピュラーな『Zoomミーティング』では、『画面共有』機能で『表示中のアプリケーション』『デスクトップ』『ホワイトボード』などを共有できます。例えば、提出された職務経歴書やポートフォリオを共有しながら質問したり、会社説明の資料や職場の雰囲気が伝わるような写真等を共有しながら進めたりすると面接がスムーズに進むでしょう。また、中途採用などでケースやディスカッション的なことをする場合にはホワイトボードなどを使うことも有効です。ただし、デスクトップを共有した場合には、デスクトップ上のすべてが映し出されてしまうので、情報管理上、注意が必要です。応募者への評価、他の候補者から受け取ったデータや業務に関する資料などが見えてしまうと問題ですので、慎重な操作を心掛けましょう。

面接官が2名以上の場合

Web面接に携わる面接官が2名以上のとき、同時に複数人が話を始めると候補者は聞き取れずに困惑してしまいます。1人が話をしているとき他の面接官は極力声を発さずに、応募者が受け答えしやすい状況をサポートしましょう。候補者に対する質問は事前に準備しておき、それぞれの面接官が質問する時間配分を決めておいたりメインのファシリテーターを決めておいたりするとスムーズです。話者の交代や質問のタイミングでは手を挙げ、進行役の面接官の指示に従って話をします。またWeb面接では、面接官と候補者が同時に話しだしたり、話が被ったりするケースもあります。画面越しでは間の取り方が分かりにくい分、話の切れ目を把握しにくいのです。面接官はタイムラグも踏まえ、話し方や発言の仕方を工夫しましょう。

 

まとめ

コロナ禍を通じてWeb面接は完全に浸透しました。ただ、Web面接は特有の注意点もありますので、対面時との違いを理解せずに実施すると採用のミスマッチ等を引き起こすリスクも増えます。例えば、画面越しの面接は論理性の評価ウェイトが増えがちなことを前提に、入社後の業務内容に応じた判断も必要です。他にも、応募者の素が見えづらい点もありますので、フィードバックを通じて深掘りなども有効です。面接官は『自社にふさわしい人材を選ぶ』役割であり、かつ『応募者を魅力付ける』役割でもあります。候補者の素を引き出しながら、オンラインでもしっかりと良い採用を実現していきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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