面接で有効なアイスブレイクとは?鉄板の話題やオンラインでのコツも紹介

面接で有効なアイスブレイクとは?鉄板の話題やオンラインでのコツも紹介

面接の際、応募者の緊張をほぐし、素の姿や魅力を引き出すために、アイスブレイクをすることが一般的です。

 

記事では、面接でのアイスブレイクを成功させるコツや、オンライン面接におけるアイスブレイクの注意点、誰でも即実践で使える鉄板の質問や具体的なトーク例、さらにはアイスブレイクのNG事例をわかりやすく紹介します。面接官をされる方の参考になれば幸いです。

<目次>

アイスブレイクとは?

アイスブレイク(ice break)は「氷を壊す/溶かす」という意味があり、初対面同士などの打ち解けやすくなるために用いられるコミュニケーション手法を指します。ビジネスでは、商談や会議、面接などで、場の“硬い空気”を壊し、喋りやすくするために実施されます。

 

採用活動においては、面接の冒頭で応募者の緊張感をほぐして場の空気を和ませることで、候補者と面接官の双方が話しやすくするために行われます。

なぜ面接でアイスブレイクが必要なのか?

面接時にアイスブレイクを入れる効果としては、主に以下4つが挙げられます。

 

①応募者の緊張をほぐす

応募者の多くは、大なり小なり不安感や緊張感を抱えた状態で面接に参加してきます。そこで面接の本題に入る前にアイスブレイクを入れ、リラックスした状態で面接に臨める雰囲気を作ることで、応募者の自然なコミュニケーションを引き出して魅力点を確認すると共に、見極め精度を高めることに役立ちます。

 

②企業に良い印象を持ってもらう

面接官の態度や気遣いは、応募者の会社に対する印象につながります。「冷たい印象だった」「事務的だった」とのイメージを持たれてしまうと、応募者の志望度が下がる可能性もあります。

 

面接の冒頭でアイスブレイクを入れて打ち解けた空気を作ることは、応募者に良い第一印象を与えるという観点でも、採用成功に向けて効果があります。

 

③応募者の本音を引き出す

採用面接となれば、応募者は企業研究して “合格をもらえるように”準備をしてくるものです。この時、入社後のミスマッチを防ぐためには、自社の社風や求める人材像に適っているかどうかが判断できるよう、応募者の本音や素の部分をしっかり引き出したいものです。

 

応募者の本音を引き出す上でも、アイスブレイクによって緊張をほぐし、お互いがざっくばらんに話せるような空気を作ることが有効です。

 

④面接の流れをスムーズにする

面接において、いきなり志望動機などの本題から入ると、応募者の受け答えも硬くなりがちです。特にビジネスパーソンとの対話に慣れていない学生などは、そうした傾向が顕著に表れます。面接の本題に入る前にアイスブレイクを挟んで応募者の緊張をほぐすことは、面接の精度を高めると共に、面接の流れをスムーズにするためにも欠かせません。

オンライン面接でもアイスブレイクが重要な理由

コロナ禍を機にオンライン面接を導入する企業が増えていますが、オンライン面接においてもアイスブレイクの重要度は変わりません。

 

①オンライン面接でも緊張は変わらない

対面とオンラインを比べた時、「オンライン面接の方が、対面よりもリラックスできる」と答える応募者は少なくありません。理由としては、自分の“ホーム”である自宅から実施できるケースが多いこと、あるいは画面越しに接するため、対面よりもプレッシャーを感じにくいことなどが挙げられるでしょう。

 

ただ、オンライン面接であろうが、採用面接という場自体が一定の緊張感を生み出すものです。対面であろうが、オンラインであろうが、応募者本来の能力を発揮してもらうためにも、アイスブレイクで緊張を緩和することが大切です。

 

②細かい表情や仕草が確認しにくい

オンライン面接は対面での面接とは違い、画面上で細かい表情の変化や仕草が確認しづらくなります。だからこそ、見極め精度を高めるためにも、アイスブレイクを行うことで、モニター越しでも応募者の素の部分を引き出せるような雰囲気作りがより重要になります。

オンライン面接におけるアイスブレイクの注意点

具体的なアイスブレイクのネタや質問例を紹介する前に、オンライン面接ならではの注意点も簡潔に説明しておきます。

 

通信状況と不具合時の対応を確認する

コロナ禍を通じて、オンライン面接やWeb会議は広く普及しました。ただ、慣れていない人もいますし、またオンライン面接の場合、応募者は普段使っているものとは違うツールを使用することも多いでしょう。

 

また、双方がある程度Web会議などに慣れている状況でも、オンライン面接の場合、途中で通信環境の不具合が生じる可能性は否めません。

 

従って、オンライン面接を実施する際には、アイスブレイクと同じタイミングで、不具合が起きた場合の対処、たとえば、「聞き取れないときは遠慮せず聞き返して下さい」「接続が切れてしまった場合は入り直して下さい。数分以上かかってしまいそうな時は、焦らず一度こちらの電話番号に連絡ください」などを伝えておくことで、相手に安心感を持ってもらうようにしましょう。

 

面接官の声が聞き取りづらくないか確認する

アイスブレイクに入る前に、面接官側も「私の話すスピードは早過ぎませんか?」「声は聞き取れますか?」など応募者への確認を行い、場合によっては身振り手振りも用いながら話を伝わりやすくする気遣いも大切です。

接続不良で音声が聞き取りづらかった場合でも、中には聞き返すことをためらってしまう応募者もいます。オンラインに慣れていない応募者も安心して面接に臨めるよう、最大限の配慮を心がけましょう。そうした姿勢が企業のイメージアップにもつながります。

面接でのアイスブレイクを成功に導く鉄板ネタ7選

面接でのアイスブレイクを成功に導く鉄板ネタを、具体例も交えながらご紹介していきます。

 

①世間話(天気や気候、最近のニュースなど)

当日や最近の天気、ちょっとした身近なニュースなどは、アイスブレイクの鉄板の話題となります。特にオンライン面接などで遠方の応募者の場合、天候や気温の差も感じられるなど意外と使えます。

 

「今日は雨のせいか、少し冷え込みましたね。体調の方は大丈夫ですか?」
「だんだん暑くなってきましたね。もし暑ければ、上着は脱いでいただいて大丈夫ですよ。」

 

(オンラインの場合)
「今日こちらは雨で大変なのですが、そちらの天気はいかがですか?」
「ここ数日で一気に夏らしくなりましたね。そちらも暑いですか?」

 

②応募者の趣味・特技など

趣味や特技に関するネタは会話が弾みやすい上に、共通点がある場合は親近感を持ってもらえるため自己開示や安心感につながります。また、「履歴書をしっかり見てくれている」と応募者に伝わるため、企業や面接官に対する信頼度も上がります。

 

「趣味は○○なんですね。いつ頃から始められたんですか?」
「○○が趣味なんですね。実は私も○○が好きで休日にはよく友人と一緒に楽しんでいます。」

 

③住んでいる場所や出身地に関する質問

住んでいる場所や出身地の話題は、応募者の話を聞くだけでなく自分の出身地の話もできるため、お互いに自己開示ができます。

 

また、「以前に出張で何度か行ったことがあります」「私も◯◯さんと同じで関西出身なんですよ」など、話を少し広げて共通点を見出しやすいのも特徴です。

 

ただし、住所、とくに本籍情報などは就職差別につながりかねない質問ですので、注意も必要です。

 

「出身地は○○なんですね。おすすめのご当地グルメとかはありますか?」
「今のご住所は◯◯なんですね。ずっと◯◯にお住まいなのですか?」
「◯◯県だと◯◯が有名ですよね。私も学生時代に旅行したことがあります。」

 

④オフィスへの移動や交通手段の質問

対面形式の面接の場合は、面接会場までの交通手段や移動時間などの質問も、アイスブレイクの定番として活用できます。

 

「今日は電車でいらっしゃったんですか?」
「電車は混んでいませんでしたか?」
「ご自宅から当社まで何分くらいかかりましたか?」
「駅から少し分かりづらかったと思いますが、道に迷いませんでしたか?」

 

⑤面接官の自己紹介

面接は、一般的には応募者の自己紹介から面接を始めることが多いですが、面接官から一歩踏み込んだ自己紹介をすることによって、親近感を持たせることができます。面接官が自己開示することで、応募者も自分のことが話しやすくなります。

 

「本日〇〇さんの面接を担当する〇〇部の◯◯と申します。私も◯年前に中途で入社しまして…(省略)。今日はどうぞよろしくお願いします。」
「履歴書で拝見しましたが、私も前職では○○さんと同じ△△業界に勤めていたので、中途入社した当初はビジネススタイルの違いに戸惑ったものです。」

 

⑥休日の過ごし方についての質問

「お休みの日は何をされていますか?」と聞くことで、履歴書などの事前情報がなくても趣味の話題で盛り上がれます。ただ、いきなり聞かれると返答に困る人もいるため、出身地や交通手段、天気などの話を挟んでから聞くことをおすすめします。

 

「今日お仕事(学校)はお休みですか?(休みの場合)ふだんお休みの日には何をされているんですか?」

 

⑦Web面接やリモートワークに関する質問

オンライン面接の場合は、Web面接の経験の有無や、現在の職場におけるリモートワークの状況を聞くのも定番です。Web面接の操作方法や接続状況を確認した後に聞けば、自然な流れで会話を広げられます。

 

「オンライン面接は初めてですか?」
「(新卒採用の場合)大学の講義もオンライン形式が多いですか?」
「(中途採用の場合)現在のお仕事はリモートワークが中心ですか?」

面接でのアイスブレイクのNG事例

続いてアイスブレイクのNG事例をご紹介します。アイスブレイクの効果が薄いものから炎上などにもつながりかねないリスクがあるものまでありますので、一通り把握しておきましょう。

 

①面接で聞くような話題

「弊社を知ったきっかけは何ですか」「就職活動の状況はどうですか?」など面接で聞くような質問は、選考や合否に影響するのではないかと勘違いされてしまう可能性が高いです。

 

また、「面接は何度か受けているのですか?」など、面接経験に関する質問も避けた方が無難でしょう。転職活動の様子や他社の選考状況を探られていると思い、返答に困ってしまう応募者もいるからです。

 

②個人の思想・信条に関わる話題

政治、宗教などは、個人の自由であり、それを理由にして採用の合否を決めてはいけない項目です。また、尊敬する人物、購読新聞、愛読書なども個人の思想・信条に関わる場合があり、就職差別につながりかねない質問になりますので注意が必要です。

 

③家族に関する話題

履歴書で子供がいることなどが分かっていれば、自分の子供の話題なども含めてアイスブレイクのネタにすることは一つです。ただし、「お父様はどのようなお仕事をされていますか?」といった家族に関する話題も、就職差別につながりかねないので注意が必要です。

 

④ハラスメントと受け取られかねないプライベートな話題

オンライン面接では、背景にプライベートゾーンが映り込んでしまう状況も発生しかねないため、部屋の内装や住宅状況、生活環境などには極力触れないようにしましょう。また、性別やセクシュアリティー、恋愛対象などに関する質問も、ハラスメントになる場合があるため要注意です。

 

⑤ネガティブな時事ネタ

コロナ禍や台風・地震などのネガティブな話題は、応募者にとってはネガティブな記憶などにつながる可能性もあります。従って、ネガティブな時事ネタは、アイスブレイクのテーマとしては避けた方が無難でしょう。

面接でアイスブレイクを成功させるコツ

アイスブレイクを成功させるためには、下記に紹介するようなちょっとしたコツも知っておくと良いでしょう。

 

①まずは来社のお礼と自己紹介をする

候補者へ感謝の気持ちを伝えなかったり、名乗らないままトークを始めてしまったりする面接官は意外に多いものです。まずは来社(応募してくれたこと・時間を割いてくれたことを含む)に対するお礼を述べて、簡単な自己紹介を行います。

 

面接官から自己開示する、また、どのような立場の人と話すのかが分かることで、応募者は話しやすくなります。親近感を持ってもらううえで、自己紹介には役職やポジションだけでなく、ちょっとしたプライベートの情報なども入れると有効です。

 

②YES/NOで答えられるシンプルな質問から話を展開する

応募者が答えに詰まらないよう、まずはYESかNOで答えられる簡単な質問、考えずに答えられる質問から話を徐々に展開させていくと良いでしょう。最初の質問からその後の流れまでをあらかじめセットで考えておけば、自然に話を盛り上げることができます。

③面接官側から積極的に心を開いてみせる

応募者の緊張を和らげるために、上述の通り、面接官側から積極的に自己開示を行うことも必要です。

 

例えば「私も◯◯さんと同じで◯◯が趣味なんですよ」「◯◯県(応募者の出身地)なら旅行したことがあります」など、面接官のパーソナルな部分が適度に見えれば、応募者の緊張は解けやすくなり親近感や信頼感にもつながります。

 

④時間配分を決めておく

面接時間が60分ならアイスブレイクは5分程度、面接時間が30分ならアイスブレイクは3分程度が目安です。

 

アイスブレイクの時間が短すぎると応募者の緊張を和らげることができず、逆に長すぎると肝心の面接時間が少なくなってしまうので、応募者の状態を見ながら本題へ入るタイミングを探りましょう。

 

⑤質問やトークのパターンを準備しておく

何も準備をしないままアイスブレイクを始めてしまうと、思ったほど会話が弾まず、互いに気まずい思いをしてしまうことがあります。
従って、その場で話題を考えるよりも、自分なりに質問やトークのパターンをあらかじめ準備しておくようにしましょう。自分自身が話しを切り出しやすく、かつ場が盛り上がりやすい鉄板の質問をいくつか準備しておくとよいでしょう。

まとめ

面接におけるアイスブレイクは、応募者の緊張をほぐして素の状態を引き出し、自社に本当にマッチするのかを見極めることにつながります。一方で、迂闊に質問していくと、個人的な話題、また、いわゆるNG質問などになってしまう場合もありますので、その辺りはきちんと押さえておきましょう。

 

応募者に好印象を与えるとともに、スムーズな会話の流れを作ることで面接を有意義な時間にするためにも、今回ご紹介した具体的な質問例や成功へのちょっとしたコツをうまく活用いただければ幸いです。

 

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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