メンバーシップ型雇用には、以下の注意点やデメリットがあります。
採用難易度が上がる
前提として、知識労働の発達にともなって、今までは“総合職”とひとくくりにされてきた職種もどんどん専門分化しつつあります。
さらに、近年では、終身雇用の崩壊にともない、特に若手世代は「企業が自分のキャリアを保証してくれる」とは考えず、転職を前提に「市場に通用するスペシャリスト、プロフェッショナルでありたい」という志向が強まりつつあります。
転職志向が強まった結果、最近では“配属ガチャ”といった言葉もあるとおり、新卒世代でも特に優秀層を中心にメンバーシップ型雇用(本章でのメンバーシップ型雇用は“配属される部門や職種がわからない”状態)を嫌う傾向が生じつつあります。
大卒新卒に関しても、今まで大学進学率の上昇に隠されていた少子化の影響がいよいよ表出してくるなかで、メンバーシップ型雇用が採用のハードルになる側面が出てきました。
ただし、中途採用の場合は、前述のとおり、今までもポジションが特定されて採用活動が実施されることが大半であるため、求職者側から見たときに忌避感は生じにくいです。
ただし、中途採用で採用競争が激しい職種においては、次に紹介する「給与などが市場相場と合わせにくい」という点がメンバーシップ型雇用の採用におけるデメリットになることが多くなっています。
給与などを市場相場と合わせにくい
メンバーシップ型雇用では、全社員が同じ報酬制度、給与テーブル上で評価されることが一般的です。
一方で、組織における仕事が専門分化しているなかで、たとえば、AIエンジニアやデータサイエンティストなど、特に需給バランスが崩れており採用ニーズが高い仕事は、市場原理によって報酬相場がどんどん値上がりしています。
結果として、メンバーシップ型雇用に基づく人事制度では、待遇・給与的に競争が激しい職種を採用しにくくなるケースが増えています。
スペシャリストが育ちにくい
たとえば、高いプログラミング能力を持つ新卒人材がいると仮定します。
ジョブ型雇用であれば、プログラミング能力の高い人材の労働契約は、自分が得意なプログラミング業務だけに従事する形も可能でしょう。
一方で、メンバーシップ型雇用で年功序列の場合、経験や社歴に応じて以下のようなステップアップが求められるようになります。
- 1.プログラミングを行なう「プログラマー」
- 2.システムやプログラムの設計などを行なう「システムエンジニア」
- 3.システム開発チームを率いる「プロジェクトリーダー」
- 4.開発チームをマネジメントする「プロジェクトマネージャー」
メンバーシップ型雇用の場合、プロフェッショナルコースなどはあっても、まだまだマネジメント側にいかないと待遇が上がりづらく、徐々に現場から離れて管理する側になるケースがほとんどです。
よって、上の例のようにプログラミングでスペシャルな才能を持つ人材であったとしても、メンバーシップ型雇用の環境下では、特定のプログラミング技術だけを磨き続けスペシャリストになることは、かなり難しくなります。