近年の若者世代は、YouTubeやTikTokなどの動画によるコミュニケーションに馴染んでおり、採用動画は、有効な魅了付けの手段になります。
特に、オンライン採用も増えているなかで、職場の雰囲気や社員の人柄を伝えやすい点は、動画のメリットです。
しかし、初めて動画制作を行なう場合、どのような企画にすれば良いかイメージできないこともあるでしょう。
記事では、まず、採用動画における5つのトレンドを紹介します。
そのうえで、採用動画の企画における確認ポイントと、採用動画の内製と外注について、採用動画の効果的な活用方法を解説しましょう。
<目次>
採用動画における5つのトレンド
まずは、採用動画のトレンドと、それぞれの事例を紹介しましょう。
リアル感のあるカジュアル動画
いまの若い世代は、YouTubeやTikTokなどのカジュアルな動画を見慣れています。
そのため、しっかりと作り込まれた企業らしい堅い動画よりも、実際に働く社員の本音や雰囲気がわかるカジュアルな動画が好まれる傾向にあります。
たとえば……
- 株式会社◯◯◯の事業紹介
- オンデマンドサービス事業の沿革と強み
…といった固い動画よりも、求職者に自社の定性的な魅力を知ってもらえる以下のような動画のほうが視聴してもらいやすいかも知れません。
- 若手エンジニアの本音を語ろう!
- NG発言なし!ママ管理職のぶっちゃけ座談会 など
スマートフォンと相性の良い縦型動画
縦型動画とは、スマートフォンの向きを変えずにフルスクリーンで再生できる動画の総称です。
従来までの動画は“テレビ”を意識した横型でつくられていることが多い傾向があります。
なお、縦型動画は、同じく縦型で投稿・視聴される以下のSNSと特に相性が良い種類です。
- YouTubeショート
- Instagramのストーリーズ
- TikTok
説明会などでプロジェクターに投影するのではなく、採用サイトに掲載する、SNSで発信するなど、スマフォでの閲覧が主になる場合は縦型動画で作成することもおススメです。
視覚的にわかりやすいアニメーション動画
アニメーション動画は、言葉や写真では伝わりづらい以下のような情報を理解してもらう際に適しています。
- 一般の人にはわかりづらい事業内容
- ビジネスの仕組み
- 地域社会や取引先などとのつながり
- 顔出しできないメンバーへのインタビュー など
ストーリー性の強いドキュメンタリー動画
ドキュメンタリー動画は、以下のようなストーリー(物語)の紹介に適しています。
- 創業から業界No.1になるまでの物語
- 世界トップシェアの製品Aが誕生するまで
- 話題の製品Bを生み出すデザイナーのこだわり
- 新人の成長ストーリー やりがいと大変さ
- ママ社員のとある1日 など
ストーリーテリングという技法がありますが、「物語」は聞き手の記憶に残りやすく、共感を得やすいものです。
自社の価値観に共感する求職者を集めるうえでも、ストーリー性の高い動画はとても有効でしょう。
TikTokをはじめとするショート動画
最近の動画プラットフォームでは、TikTokやYouTubeショートなどの短い動画が中心になっています。
作る側からすると尺が短い動画というのは作成が難しいのですが、いまの若者は尺が短く、テンポが良い動画を次々と見るようなスタイルに慣れています。
逆に言うと、興味度が薄い段階で見てもらう動画は、30~90秒程度がおすすめです。
5分を超えるような動画、しかも堅苦しい内容だと、途中で離脱されてしまう可能性が高いでしょう。
採用動画を企画する際に確認したいポイント
自社の採用活動に役立つ採用動画をつくるには、企画段階で以下の点を確認しておくとよいでしょう。
自社の魅力や強みは整理できているか?
採用動画を制作するには、それなりに工数がかかります。
工数を無駄にしないためには、自社の魅力×求職者ニーズの交わる点でコンテンツの企画を考えていく必要があります。
まずは自社の魅力、何を伝えたいかをしっかりと洗い出しましょう。
- 女性が活躍している
- 風通しの良い環境
- エンジニアの早期離職が少ない
- 海外首脳のおもてなしに自社製品が使われている など
「興味深くおもしろい」といえる内容になっているか?
採用動画をお笑いやエンタメにする必要は必ずしもありませんが、企業情報や募集要件を淡々と説明するような動画では求職者の興味を引けません。
採用動画をおもしろい・興味深いと思ってもらうには、以下のような工夫も大切になります。
- ターゲットを明確にする
- 伝えたいポイントを1~3つに絞る
- 見やすい図表や写真も入れる
- 最初の3秒で視聴者を引きつける など
また、たとえば、「エンジニアの1日」や「ママ管理職の1日」などの動画では、自社ビル近くで食べている人気ランチや、帰宅後につくった料理といった仕事以外(プライベート)を少し組み込んだりするだけで、親近感も湧きやすくなるでしょう。
自社のブランドやイメージを棄損したり誤解されたりする内容になっていないか?
たとえば、新卒学生をターゲットにする場合、若手に好まれそうなカジュアルさや楽しさ、緩さなどが感じられる動画にしたいと考えるかもしれません。
しかし、そのような企業が以下のようなブランドイメージを売りにしている場合、若手向けにつくった採用動画の雰囲気と自社イメージとの間に、大きな乖離が生じる可能性があるでしょう。
- 富裕層向けのラグジュアリーブランド
- 真摯さが売りのプロ集団
- 職人の厳しい目と手仕事へのこだわり など
自社ブランドや打ち出したいイメージも踏まえて、動画のテイストは検討しましょう。
また、入社後のミスマッチ(こんなはずじゃなかった!)を防ぐ意味では、自社のイメージをあまりにも良く見せすぎる動画もNGです。
求職者の疑問に答えられる内容になっているか?
たとえば、女性求職者の「ママになっても活躍できるか?」という疑問・不安を解消するために、「ママ管理職の1日」という動画をつくると仮定します。
このコンテンツのなかで、ママ管理職がアグレッシブに働いている光景だけを見せると、視聴者の頭のなかで「ママになっても活躍できるか?」という疑問への答えは、自然にスッと入っていきません。
むしろ、視聴者のなかには、以下のような違和感を抱く人もいるでしょう。
- こんなに都合よく進まないよね…
- このママ管理職は、恵まれた環境にいるのだろうな…
- 私にここまでのアグレッシブさはないな…
こうした問題を解消するには、動画のなかでキビキビと働いていたママ管理職が「なぜ活躍できているのか?」や、また、「楽ではない場面」「しんどい場面」なども盛り込んであげるのがおすすめです。
そうすることで、視聴者の共感を得やすくなりますし、以下のようなリアルな描写も盛り込むことで、ママ管理職として働く現実的なイメージも湧いてくるでしょう。
- 入社~ママ管理職になるまでの道のり
- 日常で大変なこと、うまくいかないこと
- 仕事と家庭の両立をするうえで工夫していること など
採用動画を作る際には、「都合が良すぎるストーリー」にならないように注意することも大切です。
動画の目的(ゴール)や前後の導線は明確になっているか?
ゴールや前後の導線が曖昧では、せっかくつくった動画の効果も薄れてしまいます。そもそも、動画はつくっただけで視聴されるものではありません。
したがって、「誰にどうやって届けるのか?」の視点で企画を考えることが大切になります。
たとえば、ママ管理職の動画を女性の求職者に見て欲しいと思っているのであれば、「一次面接前の女性求職者に動画URLを参考として送付する」などの導線が必要でしょう。
また、見てもらったあとに、以下のように「どうしてもらいたいのか?」を踏まえた導線設計も大切になります。
- 動画をきっかけに、面接内で女性のキャリアに関する質問をしてほしい
- 動画を見たあとに、エントリーしてほしい など
動画の目的、前後の導線を踏まえて企画も実施しないと、動画の効果性は落ちてしまいます。
動画を企画する際には、「どこでどう見せて、見た後にどうしてほしいか?」もしっかり検討しましょう。
採用動画は内製か外注か?
採用動画を内製・外注のどちらでつくるかは、品質・完成までのスピード・コストに影響する大事なポイントです。
すべて内製する、また、企画撮影は内製して編集は外注するという形もあります。ドキュメンタリー風の本格的な動画は、企画から外注することも有効でしょう。
採用動画の効果的な活用方法
採用動画は、制作して終わりではありません。
前述したとおり、企画時点でどのように使うかを考えておくことが大切ですし、できれば、複数のチャネルやタッチポイントで活用できればよいでしょう。
複数のチャネルで使いまわす
まず、動画は以下のような複数のチャネルで利用することが出来ます。
- 採用サイトへの掲載
- 説明会での利用
- 選考プロセス内での送付
- 各種SNSへの掲載 など
また、動画の内容をテキストにして記事化するといったことも一つです。そうすることで、ゼロから記事を立ち上げる工数を削減できます。
また、動画と記事コンテンツ内容の同期も可能になるでしょう。
動画の目的や内容によって広げ過ぎないほうがいい場合もありますが、なるべく広く使うことがお勧めです。
説明会で上映する
企業説明会で動画を上映すると、プレゼンターのスキルだけに依存しない魅了付けが可能になります。
また、求職者側も上映された動画を視聴したほうが、プレゼンターの話をただ聞き続けるより飽きづらくなるメリットがあるでしょう。
企業説明会では、採用動画と採用パンフレットの内容を同期させ、「詳しく知りたい方は、パンフレットの◯ページを読んでみてください!」と促すのもおすすめです。
動画の効果を検証する
動画を採用活動の効果につなげるには、動画の効果を検証することも大切です。
必ずしも数字だけで分析できるわけではなく、求職者や内定者の感想といった定性的な情報も大切です。
ただし、求職者や内定者は「面白くなかった」「退屈だった」といったネガティブな感想は言いませんので注意が必要です。
YouTubeなどの動画プラットフォームで公開するようであれな、数字で以下のような内容も検証できます。
- たくさん再生された動画は?
- あまり再生されない動画は?
- 再生完了率はどのくらいか?
- 動画のどのあたりで離脱が多いか?
こうした数字なども参考にして、採用動画の企画に関するノウハウを蓄積していきましょう。
まとめ
近年の採用動画は、以下のような種類がトレンドとなっています。
- リアル感のあるカジュアル動画
- YouTubeやSNSと好相性の縦型動画
- 視覚的にわかりやすいアニメーション動画
- ストーリー性の強いドキュメンタリー動画
- TikTokをはじめとするショート動画
淡々と会社説明をするような長い尺の動画は、志望度向上どころか、逆に古臭い印象を与えてしまいますので注意が必要です。
採用動画を企画する際には、以下のポイントを確認するとよいでしょう。
- 自社の魅力や強みは整理できているか?
- 「興味深くおもしろい」といえる内容になっているか?
- 自社のブランドやイメージを棄損したり誤解されたりする内容になっていないか?
- 求職者の疑問に答える内容になっているか?
- 目的(ゴール)や前後の導線は明確になっているか?
なお、採用動画は、内製・外注どちらでも制作可能です。
制作した採用動画は、複数の箇所で利用したり、動画の内容を記事化して自社の採用サイトや採用ブログの記事として使いまわしたりするとよいでしょう。
採用動画を効果的なものにするには、作成した動画の効果も検証し、PDCAを回しながらノウハウを蓄積していくことも大切です。
採用動画の基本的な作成ポイントが知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。