新卒・中途マーケットにおける採用手法のトレンドとは?【2023年】

更新:2023/01/31

作成:2022/12/21

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

新卒・中途マーケットにおける採用手法のトレンドとは?【2023年】

生産年齢人口の減少に伴い、若年層の採用競争が激化している昨今、従来の求人媒体のように、求人情報を掲載して求職者からの応募を待つ“待ちの採用”ではなく、企業側から求職者へアプローチをかける“攻めの採用”を並行して行う企業も増えてきています。

 

本記事では、新卒・中途マーケットにおける採用市場の変化、基本となる採用手法、いま新たなトレンドになっている採用手法や効果的な使い方などを紹介します。

 

<目次>

採用市場の動向は?

採用市場に影響を与えた出来事としては、2020年からのコロナ禍が注目されがちですが、その裏側で大卒新卒の減少スタートや理系人材の採用競争、またそもそも働き方の多様化など、さまざまな変化が起こっています。採用市場を取り巻く変化について、大きなトピック5つを紹介します。

 

採用活動のハイブリッド化

2020年から始まったコロナ禍によって、採用活動のオンライン化が一気に加速しました。2022年現在、コロナ禍はある程度収束に向かいつつありますが、今後もオンライン採用の流れは継続するでしょう。

 

サマーインターンや説明会、一次面接などの母集団形成・ファーストコンタクトはオンライン、選抜インターンや最終面接などの深い関係構築やクロージングは対面というハイブリッド式の採用活動が定着しつつあります。

 

大卒でも始まる少子化と採用競争の激化

ご存じのとおり、少子化によって日本の生産年齢人口は減少傾向にあります。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、生産年齢人口は、戦後右肩上がりで増加をしていましたが、1995年の8,726万人を境に減少し始め、2015年には7,728万人にまで落ち込んでいます。2029年には7,000万人を割り、2065年には4,529万人まで減少すると予測されています。
参考:日本の将来推計人口(平成 29 年推計)

 

しかし、じつは少子化の一方で、大学進学率の上昇によって大卒人数は過去30年で大きく増加、直近10年間は横ばいになっていました。
参考:大学入学者数等の推移|文部科学省

 

ただ、大学進学率もついに頭打ちになりつつあります。したがって、過去30年間、高卒採用も多い飲食や建設、サービス業などで起こってきた人手不足が、今後は大卒の新卒採用、そして中途採用の市場でも起こっていきます。

 

日本経済自体の縮小による採用数の減少が生じるのはタイムラグがあるため、この先20~30年ほどは景況感に関係なく、新卒採用、中途採用分野における売り手市場化が一気に進行していくことが予想されます。

 

理系人材の獲得競争

“DX”がトレンドになり、どんな業種・業態であってもIT活用は避けられない状況になりつつあります。結果として、AIエンジニアやデータサイエンティストなどの専門職はもちろん、ITエンジニア全般が極度の人手不足に陥っています。

 

技術習得に一定の時間がかかるITエンジニアは、他職種からの転換が進みにくい側面もあり、育成しやすい新卒の理系人材を獲得しようと考えるIT企業が増加しています。少子化トレンドも後押しし、ITエンジニアの経験者はもちろん、理系人材の獲得競争が熾烈を増しています。

 

 

副業・兼業の促進

政府が副業・兼業を推進していることはご存じのとおりです。2018年1月に厚生労働省が働き方改革の一環として「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表し、それに伴って「モデル就業規則」なども改訂されました。企業は、正当な理由がなければ副業・兼業の禁止はできないとされています。

 

リモートワークの普及も後押しして、副業のマッチングサービスなども増加。副業ができるかどうかを会社選びの基準にする人材も増えています。

 

ワークスタイルの多様化

コロナ禍によるリモートワークの普及も相まって、ハイブリッドワーク、フルリモート、フルフレックス、時短勤務など、さまざまなワークスタイルが台頭しました。シニアや女性の活躍推進などの流れもあり、「正社員は週5日8時間勤務」という感覚も薄れつつあります。

 

上述した兼業・副業に加えて、「複業」として複数の会社や組織に所属する人も増加しています。また、フリーランス人口も増加しており、古くから日本に根付いていた“正社員至上主義”の意識が変わりつつあります。

 

従来からある採用手法の定番

上記のような変化もあるなかで、採用市場で大手企業から中堅中小、ベンチャーに至るまで幅広く活用されているのが「求人媒体」「人材紹介」「合同企業説明会」です。

 

求人媒体(就職情報サイト、転職サイト)

求人媒体とは、掲載費用を支払い、求人情報を掲載できるサービスです。新卒向けの「マイナビ」や「リクナビ」、中途向けの「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」、アルバイト募集の「マイナビバイト」や「バイトル」など、雇用形態に応じてさまざまなサービスが存在します。

 

サイト構築のハードルが下がったことで、上記のような総合型の大型サイトに加えて、エリア特化、業種や職種特化、特定の母集団に特化したものなど、さまざまな種類の求人媒体が存在しています。

 

一部、成果報酬型もありますが、一般的には広告掲載型がほとんどです。別途費用を支払うことで、上位枠への掲載、掲載期間の延長、DM配信、インタビューの追加などのオプションサービスを受けることができます。

 

人材紹介(新卒紹介)

採用したい会社と、転職あるいは就職したい候補者をマッチングするサービスです。この数十年で利用者も増加し、新卒採用においても人材紹介(新卒紹介)の利用は一般的なものとなっています。

 

料金体系は、完全成果報酬が基本であり、入社まで一切の費用がかかりません。また、人材紹介のエージェントが求人票の作成、応募意思の獲得、面接日程の調整、待遇の打診、内定承諾の獲得まで代行してくれるため、企業側は採用に関する手間を大きく削減できます。

 

完全成果報酬で手間がかからない分、報酬単価は少し高めで、中途採用であれば理論年収の30~35%、新卒採用であれば60~120万円程度が相場です。

 

なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、新卒の人材紹介「新卒カレッジ」、また第二新卒や既卒層など若手の人材紹介「採用カレッジ」を提供しています。ご興味あれば、下記より資料をご覧ください。

 


 

合同企業説明会(就職フェア・転職フェア)

さまざまな企業がブースを構え、同時に企業説明会を実施するイベントです。「求人媒体のリアル版」というイメージです。求人媒体の運営会社が企画・実施するもの、大学主催のもの、行政が実施するものなど、運営主体はさまざまです。

 

規模も幕張メッセなどで行なわれる数万人規模のものから、大学内やビルのセミナールーム等を利用して実施される数百人規模のものまでさまざまです。参加に費用がかかり、イベント規模やブースの大きさで費用が変わります(大学や行政が実施するものは基本的に無料)

 

ハローワーク、新卒ハローワーク

厚生労働省が全国に設置する公共職業安定所です。無料で求人を出稿でき、採用に一切の費用はかかりません。ただし、若手やキャリア層は求人媒体や人材紹介、後述する新たな採用手法を利用することが多く、採用したい属性によっては、有効な応募が見込みづらいでしょう。

 

採用手法のトレンド7選

近年は、上述した求人媒体や合同企業説明会のような、いわゆる“待ちの採用”ではなく、“攻めの採用”であるダイレクトリクルーティング、また、SNSを活用したソーシャルリクルーティングなどが広がっています。本章では、採用手法で新たなトレンドとして登場している7つの手法を紹介します。

 

採用手法のトレンド①ダイレクトリクルーティング

その名のとおり、第三者を経由せずに、企業が候補者に直接アプローチして採用活動を行う手法です。

 

採用企業は、ダイレクトリクルーティングサービスを運営する企業と契約することで求職者データベース(匿名状態)を検索して、求職者にメッセージを送付できます。求職者がメッセージを読んでエントリーすると個人情報が公開され、面談や選考に進むことができます。企業側からアプローチできることから“攻めの採用手法”とも呼ばれます。

 

ダイレクトリクルーティングサービスを契約する以外に、LinkedInやSNSなどのメッセージ機能などを使って、直接候補者にアプローチする活動もダイレクトリクルーティングに含まれます。

 

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、新卒のダイレクトリクルーティング「FutureFinder」、また地方学生に強い「地方のミカタ」を運営しています。ご興味あれば、下記より資料をご覧ください。

 


 

採用手法のトレンド②リファラル採用

紹介を意味するリファラル(referral)から派生して生まれた言葉で、社員に人材を紹介・推薦してもらう採用手法です。古くからある“縁故採用”の進化版ともいえるでしょう。

 

社風も仕事内容もよく理解している現役の社員がマッチングするため、ミスマッチが少なく、求人広告などでは自社に応募しない転職潜在層や優秀な人材層にリーチできることが魅力です。

 

採用手法のトレンド③アルムナイ採用

アルムナイとは、英語で卒業生や同窓生を表す「alumnus」の複数形「alumni」で、学校等における卒業生を示す言葉です。ここから転じて、HR分野では、企業を退職したOB・OGを指します。

 

そして、アルムナイのネットワークから社員を再雇用することをアルムナイ採用、また“出戻り採用”と呼びます。過去に自社の選考基準をクリアしている、実務を経験している、自社の雰囲気や仕事の進め方も熟知している、その上で“出戻り”を決める覚悟も定まっていることから、リファラル採用以上にミスマッチがありません。

 

採用手法のトレンド④ソーシャルリクルーティング

FacebookやTwitter、InstagramなどSNSを活用した採用手法がソーシャルリクルーティングです。ソーシャルリクルーティングでは、多くの投稿を通じて自社の社風や雰囲気など定性的な魅力を発信できることがメリットです。

 

SNSを通じて母集団形成するには、一定数のフォロワーを獲得する必要があり、時間もかかります。しかし、一切の費用が掛からないため、ベンチャーや中堅中小企業などで多く採用されています。

 

採用手法のトレンド⑤採用ミートアップ

採用ミートアップは、企業説明会よりも交流会に近いカジュアルな採用イベントを指す言葉です。キャリア形成についての座談会、仕事ノウハウの共有といったテーマで開催されたり、ピザや軽食がつまめるようなカジュアルなパーティーに近い形式で開催されたりすることも多いです。

 

ダイレクトリクルーティングやソーシャルリクルーティングと組み合わせて、転職意欲や応募意思が低い層と接点をもつために行われます。

 

採用手法のトレンド⑥タレントプール

タレントマネジメントやタレントプールという言葉は自社の従業員を対象として利用されることが多いですが、採用領域では、過去に選考や説明会などを通して接触した人材の情報を蓄積・データベース化する取り組みを指します。

 

タレントプールを作って、定期的に接点を持ったり、求人情報などをアナウンスしたりすることで、採用コストや工数の削減を実現できます。こちらもソーシャルリクルーティングや採用ミートアップと組み合わせることで、効果的に進行できるでしょう。

 

採用手法のトレンド⑦長期インターン

採用活動におけるインターンは、大学3年生を対象とした1dayなど短期間での実施が主流となっています。一方で、長期インターンは主に大学1年生や2年生を対象に、有給で実施されることが大半です。

 

企業側は長期インターンを通じて、意欲が高い学生と早期に接触でき、かつ実務を通じて能力を見極める狙いがあります。また入社までに即戦力として育成することも可能です。求職者も業務を通して会社のカルチャーや雰囲気を知れるため、ミスマッチが生じにくいメリットがあります。

 

採用活動を成功させるポイント

前章で紹介したような新たな採用トレンドもあるなかで、どのようにすれば採用活動を成功させる、自社の採用力を高めていけるでしょうか。3つのポイントをご紹介します。

 

採用課題を明確にする

まず、解決したい採用課題を明確にしましょう。よくある採用課題には下記の4つがあります。

 

  • 特定のターゲットにアプローチしたい
  • 認知度を向上させたい
  • 採用コストを抑えたい
  • 採用の工数を減らしたい

 

採用課題によって、選ぶべき採用手法が変わります。例えば、採用コストを抑えることを重視するのであれば、ソーシャルリクルーティングやアルムナイ採用、リファラル採用などが適切です。また、採用の工数を減らしたいなら人材紹介が向いています。特定のターゲットにアプローチするなら、短期的にはダイレクトリクルーティングや人材紹介が適しています。

 

複数の採用手法を活用する

採用手法はその会社によって、また採用ターゲットによっても向き不向きがあります。また、HR分野のなかでいうと、採用市場は定期的にトレンドが変化するという特徴があります。従って、1つの採用手法だけに固執せず、さまざまな方法をトライアルしていくことが重要です。

 

振り返りと検証を行う

それぞれの採用手法を実践したら、どのくらい効果があったのか、年度ごとにきちんと振り返りと検証を行うことが大切です。「エントリー」「選考応募」「内定」「入社後」の4つのフェーズに分けて、検証するとよいでしょう。応募数や内定者数だけでなく、入社後の活躍まで振り返る、また、エントリー者の質に関してもきちんと振り返ることが大切です。

 

なお、ソーシャルリクルーティングやタレントプールなどは、短期的には成果が出にくい採用手法です。振り返りや検証をしていくうえでは、それぞれの採用手法や採用トレンドが、どれぐらいの期間で効果を発揮するものかということも考慮して進めていくことが大切です。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

関連記事

  • HRドクターについて

    HRドクターについて 採用×教育チャンネル 【採用】と【社員教育】のお役立ち情報と情報を発信します。
  • 運営企業

  • 採用と社員教育のお役立ち資料

  • ジェイックの提供サービス

pagetop