内定者懇親会とは、内定者(未承諾者を含む場合もある)を集めて行なうイベントを指します。内定者と社員、内定者同士との交流を通して、入社意欲を高めたり、未承諾者の内定承諾に繋げたりする目的で行なわれます。
記事では、効果的な内定者懇親会を実施するためのポイントや注意点、実施内容の例を人事の方向けに紹介します。
<目次>
内定者懇親会の目的を再確認
「内定者懇親会」には2つの実施パターンがあり、それぞれで目的は異なります。
内定承諾者だけを集めるケース
内定者懇親会で多いのは、「内定承諾者だけを集める」ケースです。内定承諾者だけを集める場合は、社員との繋がり・内定者同士の交流を通じて、承諾後の辞退やリアリティショックを軽減したり、入社への意欲を高めたりする目的があります。
未承諾者も集めるケース
もう一つは「未承諾者を集める(たいていの場合、内定承諾者も参加)」ケースです。未承諾者を集める場合、社員や内定承諾者との交流を通じて疑問点や不安を解消し、内定承諾に繋げることが目的になります。
記事では、内定承諾者だけを集める内定者懇親会(辞退防止と入社への意欲アップを図る内定者懇親会)にフォーカスして解説していきます。
なお、内定承諾を獲得するためのポイントは、下記の記事などでも解説していますので、ご興味あればご覧ください。
内定者懇親会を効果的にするためのポイントと注意点
内定者懇談会の効果を高めるには、以下のポイントに注意すると良いでしょう。
接触頻度を高める
内定承諾後の辞退を防ぐためには、接触頻度を高めることが最も重要です。最近はLINEやTwitterなどのSNSを通じた情報発信や接点づくりも増えています。そのなかで、企業と内定承諾者がリアルタイム・双方向でコミュニケーションできる場が内定者懇親会です。
内定者懇親会の特徴から考えれば、可能であれば「1回だけ開催して入社まで放置」にしないことが理想です。しかし実際は、大規模な懇親会を複数やることは難しいと思います。
近年では、コロナ禍によって、オンラインでのやり取りが当たり前の時代になりました。そのため、オンラインで小規模かつラフな形式の座談会や懇親会を月1回ぐらいの頻度で開催することもおススメです。
目的を明確にして行なう
内定者懇親会は以下の3つが目的となるケースが多いでしょう。何となく実施するのではなく、3つのうち、どれが重要なのかを意識して設計・実施しましょう。
- 入社への不安を解消する
- 入社後の期待値を再度高めていく(魅了付けの情報発信)
- 社員や内定者間の人的な繋がりを深める
月1回ぐらいの頻度で開催する場合、各回で上記テーマのいずれかを設定して行なうことも良いでしょう。
内定者同士の交流
内定者同士の交流は、辞退防止や入社意欲の向上に効果的です。一方で、「他の内定者と価値観やレベルが合わない…」と感じて入社を辞退する例もあります。
従って、内定者同士を交流させる際には、近しいパーソナリティの内定者同士で交流させたり、内定者と個別に接触を取ってケアしたり、といった工夫も必要です。
HRドクターを運営するジェイックでは、強み診断であるストレングスファインダーなどを使ったワークを行なうことで、他の内定者と価値観の共通項を見つけると同時に、性格の違いを受け入れやすくする工夫をしています。
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内定者懇親会のポイントは?効果的にするための内容や注意点、実施例を解説...
また、内定者間のコミュニケーションは、人事や既存社員も少し介入するイメージで設計しておくと良いでしょう。内定者同士のコミュニケーションを妨げる必要はありませんが、内定者同士だけで自由に交流させると、見えないところでトラブルが起きたり、辞退者が生じたりした場合に悪影響が出やすくなります。
内定者懇親会の基本的なコンテンツ例
内定者懇談会は、以下のようなコンテンツが基本となります。
自己紹介
最近の学生はPPTなどにも慣れていますので、プレゼンテーションさせることも有効です。
なお、自己紹介は、企業側で多少のトピックを決めてあげると行ないやすくなります。自己紹介の項目に承諾を決めた理由や志望動機、入社後の目標などを入れると、辞退防止にも繋がります。
交流を生むうえでは出身や趣味などのプライベートの側面を入れることが有効です。普通に自己紹介するだけでは面白みに欠ける場合は、自分の出身地や意外な一面などをクイズ形式で答えてもらうゲームなどもおススメです。
ゲーム感覚の自己紹介には、アイスブレイクとしての側面もあり、新人の緊張をほぐし雰囲気を和ませる利点もあります。
グループワーク
グループワークの目的は「交流」と「志望度UP」になることが多いでしょう。前述のように、HRドクターを運営するジェイックでは、ストレングスファインダーを使ったワークを行なっています。
ストレングスファインダーに限らず、コミュニケーションスタイルなどの診断を使ったワークは、共通言語をつくると同時に、共通点を見出したうえでお互いの違いを受け入れやすくするのに効果的です。また、志望度UPに繋げる場合は、組織のビジョンや仕事のやりがい、自己成長など、内定承諾の理由に紐付くようなテーマで行なうことが有効です。
既存社員、経営陣との座談会
人事だけでなく、内定者のロールモデルとなるような若手社員との交流機会をつくるのも内定者懇談会の定番コンテンツです。内定承諾にミッションやビジョンなどの役割が大きいようであれば、経営陣との座談会・質問会を実施するのも有効となるでしょう。
社内イベントへの参加
社内イベントへの参加には、手間もかからず、社員との良い交流機会になるメリットがあります。
ただし、社内イベントを活用する際には、社内イベントの内容が内定承諾者にとって適切かどうか、参加者が内定承諾者にとって適切かどうか(志望度を下げるような内容や人がないか)といった視点でのチェックは必須です。
食事会や飲み会
内定者懇談会では、食事会や飲み会をセッティングして終わりではなく、自己紹介やグループワークと同じように、運営する人事側で意図を持って進行することがおススメです。
グループワークほど厳密に進行する必要はありませんが、内定者が話す相手を調整したり、場が盛り上がるように話題を提供したり、幅広い交流を生むために席替えしたりすることは大切です。
オフィスツアー
入社意欲を高める意味では、実際に仕事を行なう社内や施設をまわるオフィスツアーもおススメです。企業のリモートワークが増えるコロナ禍では、オンライン上で行なうバーチャルツアーも多くの企業で実施されるようになりました。
オフィスツアーを通して社内の雰囲気などを目にすると、「どのような場所で働くのか?」といった不安が解消できます。既存社員との座談会などと併せて実施すると良いでしょう。
オンラインで内定者懇親会を実施する際のコツ
コロナ禍やコスト(交通費や会場費)、参加者の時間的な負担といった視点から、オンラインでの内定者懇親会・イベント実施は必須になりつつあります。ジェイックでは内定者懇親会をオンラインで実施することで、地方や海外留学中の内定者なども参加しやすくなりました。
ここでは、オンラインで内定者懇談会を行なう場合のポイントを紹介していきましょう。
オンラインと対面の良いところを組み合わせる
コストや手間の点でオンラインが便利なことは事実ですが、一方で、対面だからこそ生み出せる価値や感情的な繋がりもあります。「オンラインが良いか?対面が良いか?」ということではなく、両者の良いところを組み合わせて考えていきましょう。
対面でしかできないコンテンツは対面で行ない、オンラインを通じて接触頻度を維持するようなハイブリッド型のコミュニケーション設計が、最近の社員教育や人材育成のスタンダードです。内定者フォローもハイブリッドを意識していくと良いでしょう。
オンラインで実施する際の注意点
内定者懇談会をオンラインで行なうときには、大前提として、実施側・参加側、双方の接続・通信環境の整備、テストなどの準備も大切です。オンラインの場合、映像や音声のトラブル、“聞こえづらい”などの問題があると、雰囲気が盛り下がりやすくなります。
特に、関係性がまだ薄い場合は、雰囲気やモチベーションが下がってしまう傾向が顕著です。また、対面に比べて集中力が持続しづらいため、双方向性や進行テンポ(気持ち速めに)を意識することも重要です。
オンラインでは、参加人数が5人ぐらいを超えると交流が一気に進みづらくなります。したがって、参加人数に応じてZOOMなどのブレイクアウトセッション(オンライン上でのグループ分け機能)などを使って、少人数での交流をつくり、双方向性を持たせることが大切です。
まとめ
内定者懇親会は、内定者と社員、内定者同士との交流を通して、承諾後辞退を防いだり、入社意欲を高めたりするものです。また、内定の未承諾者を対象とする場合は内定承諾に繋げたりする目的があります。
内定者懇談会を実施する際には、
- 入社への不安を解消する
- 入社後の期待値を再度高めていく(魅了付けの情報発信)
- 社員や内定者間の人的な繋がりを深める
という目的のうち、どこに重点をおいて実施するのか、どのプログラムでどの目的をカバーするかも意識してプログラムを設計しましょう。
なお、内定者フォローは接触頻度が重要です。オンラインであれば開催にかかるコストも抑えられます。対面での実施する良さを生かした内定者懇親会と併せて、月1回ぐらいは緩い懇親会や座談会を行なって接触頻度を高めることが効果的です。