高卒採用で企業の人材不足を解決。独自ルールや採用の流れを知ろう

更新:2023/07/28

作成:2022/04/07

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

高卒採用で企業の人材不足を解決!独自ルールや採用の流れを知ろう

人材不足を解消するうえで、高卒採用に取り組む企業が増えています。

 

高卒採用は大学生等の採用とは異なる独自ルールやスケジュールがありますので、それを知ることで採用活動をスムーズに進められます。

 

高卒採用の基礎知識やメリット、採用活動の大まかな流れについて解説します。

<目次>

近年注目を集める高卒採用

近年注目を集める高卒採用

 

人材不足の解消方法として、高卒採用が注目を集めています。まずは、高卒採用の現状やメリットを確認しておきましょう。

 

高卒採用の現状

高卒の求人が増加している理由として、少子化による大卒者の減少があるのではないかと考えている人もいるでしょう。しかし、大卒の人数は過去30年で見ると上昇しており、直近10年はほぼ横ばいです。

 

これは大学進学率の上昇が関係しています。大学側が自校の入学者確保に向けて推薦入学を増やしたり、偏差値の低い大学では受験がほぼ全入に近い状態になっていたりしており、結果的に大卒の学力レベルが低下しているのです。

 

このような状況の中で、今まで積極的に高卒を採用していた製造業や飲食業などの業界以外でも、優秀な高卒を欲しがる動きが広がっています。
特に今まで高卒採用に消極的であった情報通信業やサービス業においても、地方へのサテライトオフィスの設置に伴い、地元の高卒を採用するケースが増えています。

 

高卒人材を採用するメリット

人材採用の対象に高卒を追加すれば、人材不足を解消しやすくなります。大卒採用や中途採用で十分な数の人材を確保できない場合におすすめです。
とくに前述のように地方拠点で人材確保するうえでは、高卒採用は有効な選択肢となるでしょう。

 

高卒採用のメリットとして、大卒に比べ採用コストを抑えられる点も挙げられます。採用単価を大幅に安くすることが可能です。

 

長期の戦力として期待できる点も、高卒採用の魅力といえるでしょう。基礎知識などは大卒と比べて低くなりますが、入社して4年の実務経験を積んだ時点では、大卒の新入社員よりも圧倒的な戦力となっている事でしょう。

高卒採用に関する独自ルール

高卒採用に関する独自ルール

 

高卒採用には、大卒採用や中途採用にはない独自ルールがあります。どのようなルールが定められているのか見ていきましょう。

 

応募は1人1社まで

大卒は就職活動で複数社に同時応募できますが、高卒は原則として1人1社しか応募できません。1社目で内定をもらえなかった場合に、初めて2社目に応募できます。

 

高卒採用で1人1社制がルール化されている理由は、高校生の就職活動が忙しくなって学校生活に支障をきたさないようにするためです。1人1社制には、内定辞退が発生にしにくいという企業側のメリットもあります。

 

ただし、1人1社制は徐々に解禁の方向へ向かっており、一部の地域では既に解禁されていますので、高卒採用に取り組むうえでは、注意を払っておく必要があります。

 

厳格な採用フロー

高卒採用における採用フローは、関係各所による協定で厳格にルール化されています。地域や学校により例外はあるものの、基本的にはルールのもとで採用活動を行なわなければなりません。

 

高卒を採用したい場合、企業はハローワークに求人を申し込むことになります。そして、ハローワークで発行された求人票を高校へ送り、高校生は学校推薦を受けて就職活動を行なうというのが一般的な流れです。

 

採用フローがルール化されている大きな理由は、就職への知識や経験に乏しい高校生でも、学校の斡旋によりスムーズに就職活動を行なえるようにする、未成人である高校生が就職活動の中で損失を被らないようにするというのが大卒よりも厳格にルールが運用されている背景です。

 

面接時のNG質問に注意

高卒採用に限らず、採用においては面接時に質問すべきではない項目が存在します。たとえば、両親の出身地・職業や尊敬する人物などの項目で、就職差別につながる恐れがあるためです。

 

もちろん面接時のNG質問は大卒採用や中途採用でも避ける必要があります。ただし高卒採用では、高校生が面接後に受験報告書をハローワークに提出したり、面接に高校教員が同席したりします。

 

中途採用のように社会人経験がない、また、大卒採用よりも年齢が低く、家庭環境等の影響も大きいからこそNG質問に関してしっかりと配慮することが必要です。

高卒採用のスケジュール

高卒採用のスケジュール

 

高卒採用の基本スケジュールを紹介します。スケジュールは地域により異なるほか、年度や社会情勢により多少の変更が生じる場合もあるため、紹介する具体的な時期はあくまでも参考としていただき、最新の情報を確認してください。

 

ハローワークに求人を申し込む

高卒を採用したい企業は、ハローワークに求人申込書を提出して高卒の求人を申し込みます。

 

一般的な受付時期は6月初旬です。7月初旬にハローワークから求人票が発行されたら、学校へ求人票を送付し、同時に学校訪問も行ないます。応募開始までの時期に、企業は職場見学を受け入れることも可能です。

 

従って、高校に対して企業がアプローチできるのは、7月初旬以降ということになります。職場見学の受け入れる場合は、8月中旬頃に行なわれるのが一般的です。

 

応募開始から採用内定まで

高卒採用の応募が開始されるのは9月初旬です。
求人票を送付した高校に就職希望者がいる場合、高校から企業に応募書類が送付されます。その後、企業による採用選考が解禁されるのは9月中旬です。書類による選考だけでなく、面接も実施するのが原則となっています。

 

現在、多くの地域では9月中は1人1社制が適用されているため、内定をもらえなかった学生に配慮して、選考結果は1週間以内に通知することが求められています。

 

二次募集による追加選考も可

9月中旬に解禁される一次募集で内定者が予定数に達しなかった場合、追加選考も可能です。9月下旬から10月にかけて、改めて高校への求人票送付や高校訪問を行なうとよいでしょう。

 

1人1社制が適用される地域でも、一般的に10月以降は高校生による複数社への応募が可能になります。東京都の場合、10月以降に応募できる企業数は1人2社までです。

 

二次募集が行なわれる時期の求職者には、部活が忙しくて就職活動ができなかった人や、大学進学・公務員試験がうまくいかなかった人も含まれています。優秀な人材が埋もれている可能性があることも覚えておきましょう。

高卒採用で押さえておきたいポイント

高卒採用で押さえておきたいポイント

 

高卒採用を成功させるために押さえておきたい3つのポイントを紹介します。具体的な採用活動を計画する際の参考にしてください。

 

高校との関係構築が重要

高卒の採用活動を行なう際は、高校と強い関係を構築しておきましょう。現時点では、大卒と比べると、高校または高校の進路指導教員が採用活動に大きく関与するのが、高卒採用の特徴です。

 

したがって、高卒採用を成功させるためには、高校との関係構築が大卒採用以上に重要です。特に、採用したいエリアでの高校訪問は必須と考えておくと良いですしょう。

 

最近では、高校教員と企業をつないでくれる合同説明会やイベントなども民間企業により開催されているため、うまく活用しましょう。

 

指定校求人のメリット・デメリット

ハローワークに求人を申し込む際は、『公開求人』と『指定校求人』を選択できます。

 

全国から応募の可能性があるのが公開求人、企業が指定した高校からのみ求人できるのが指定校求人です。指定校求人には、『募集人数の3倍までしか高校を指定できない』という暗黙のルールがあります。

 

求人票を送付する高校が少なければ倍率は低くなりますので、高校側は指定校求人のほうを強く生徒にすすめてくれるのが指定校求人を使うメリットです。

 

一方、指定校求人のデメリットとしては、広い範囲から生徒を集められない点が挙げられます。卒業者の評判がよい、実績がある高校と長く良好な関係を維持したい場合は、指定校求人が向くでしょう。

 

インターンシップの活用

高卒採用を成功させるためには、インターンシップを活用するのもおすすめです。高校生のインターンシップを積極的に受け入れてみましょう。

 

なお、大卒のインターンシップは授業の一環で行なわれるもの以上に、ナビサイトなどで募集されるインターンが一般的であり、採用の早期化に伴ってインターンから採用に直結させるケースも増えています。

 

しかし、高校のインターンシップは、あくまでも授業の一環として行なわれるものです。選考や採用に結びつくようなことを企業側が行なうのはNGですので、その点は注意が必要です。

 

高校と良好な関係を構築しやすくなる点が、インターンシップを受け入れる大きなメリットです。実際に仕事を体験してもらった高校生からアンケートをとれば、自社の魅力や改善点などを知る機会にもなります。

まとめ

高卒採用を行なえば、人材難の解消につながります。大卒採用に比べコストを抑えられることや、長期戦力として期待できることも、高卒採用の大きなメリットです。

 

高卒採用では、大卒採用と比べて、スケジュールやルールが厳格であり、それに従って採用活動を行なう必要があります。独自のルールをしっかりと理解し、ポイントを押さえて計画を立てることで、高卒採用を成功に導きやすくなるでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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