縁故採用とは?リファラル採用との違いや導入のメリット・デメリット、注意点を解説

更新:2022/07/15

作成:2022/07/14

縁故採用とは?リファラル採用との違いや導入のメリット・デメリット、注意点を解説

“縁故採用”は昔から用いられて来たおなじみの採用手法で、“コネ入社”と揶揄されることもあるため、ネガティブなイメージや古臭いイメージを持っている方もいるかもしれません。

 

ただ、SNSによって“人とのつながり”が過去よりも大きく広がり、また維持されるようになった今日、縁故採用はリファラル採用として生まれ変わり、再度注目されています。

 

記事では、縁故採用とは何かリファラル採用とどう違うのか、導入のメリット・デメリット、導入する際に注意すべきポイントなどを紹介します。
 

<目次>

縁故採用とは何か?

縁故採用とは、おもに自社の社員や役員などによる人的つながりを利用して、血縁者、友人、知人などを紹介してもらって採用につなげる手法を指します。企業によっては自社の社員だけでなく、取引先・得意先の人間関係を活用する場合もあります。

 

縁故採用と聞くと、選考なしで無条件に採用を決定するイメージを持たれがちですが、必ずしもそうしたパターンだけではありません。なかには書類選考や面接など通常の採用フローを通さずに採用するケースもありますが、通常どおり書類選考や面接を経て採用に至るケースもあれば、面接は行なうものの書類選考や試験を免除するというケースもあるなど一概にはいえません。

 

ただし、あえて“縁故採用”という場合には、多少なりとも採用基準や採用プロセスに影響を与える、通常のフローよりも省略されたり緩くなったりするという印象があることは事実です。

縁故採用とリファラル採用はどう違う?

最近注目される採用手法であるリファラル採用は縁故採用とどう違うのでしょうか? リファラル採用も縁故採用と同様に、自社の社員に知人や友人を推薦してもらう手法であり、人のつながりを利用するという点ではまったく同じです。

 

ただリファラル採用の場合、自社で実力を発揮できそうな友人・知人などを社員が紹介し、通常の採用試験や面接を経て採用するケースが多く、選考過程や選考基準は通常の採用プロセスと基本的に同じです。

 

一方で、昔ながらの縁故採用は前述のとおり、個人同士の関係性を重視して選考する傾向があります。社員や役員の家族・親族などを採用するケースが典型例で、企業によってはスキルや経験が求める基準に満たない場合でも、関係性を重んじて採用するケースも見られます。

 

とはいえ、かつてのように「採用基準には満たないが、紹介された以上は人間関係を考えると採用せざるを得ない」といった露骨な採用は減少しており、リファラル採用とほぼ同じ意味合いで使われることも増えています(ただし一種のコネ採用、昔ながらの縁故採用が残っていることも事実でしょう)。

 

一般的には“縁故採用を現代版にバージョンアップしたもの”がリファラル採用であり、この記事でもほぼ同じ意味合いの手法として縁故採用の解説を進めていきたいと思います。

縁故採用のメリット

人脈を活かした縁故採用には、雇用する側にとっていくつものメリットがあります。

 

採用コストを削減できる

一般的に人材の採用にはさまざまなコストが発生します。例えば求人サイトや求人広告のメディア掲載費、企業説明会イベントの参加費、人材紹介企業への成功報酬などです。

 

その点、縁故採用でスムーズに人材を獲得できれば、上記のようなコストの発生を抑えることが可能です。また、書類選考などの選考活動に関する作業も簡素化できる場合が多く、採用担当者の工数を最小限に抑えることができます。

 

選考をスムーズに進めやすい

縁故採用の候補者は社員または役員の親族や知人等であるため、事前に志望度や懸念点などの情報交換がスムーズに進むことが期待できます。

 

また、企業の説明と候補者からの自己紹介をそれぞれ簡略にできる場合も多く、面接日程の調整や入社手続なども迅速に進めやすくなるため、採用プロセスをスムーズに進めることができるでしょう。

 

身元が明確である程度人物像を把握したうえで採用できる

紹介者も自分自身の信頼に関わるため、人物を吟味して推薦してくれるという期待があります。そのため身元が信頼できるのはもちろん、性格や特徴、スキル等も事前に確認しておくことができます。

 

履歴書と面接で判断するしかない一般の採用プロセスよりは、多くの情報が得られますので安心だといえるでしょう。

 

採用後のお互いのギャップが少ない

縁故採用で推薦を受ける人材は、紹介者を通して企業のリアルな実情や業界でのポジション、実際の業務内容などを事前に詳しく確認することができます。そのため情報のギャップが少なく、入社後のギャップを減らすことができるでしょう。

 

内定辞退や早期退職のリスクが少なく定着しやすい

縁故採用される人材は、紹介者から弱点や短所も含めた情報を耳にしていることが多いため、ミスマッチが起こりにくく、内定辞退や早期退職のリスクが通常より少なくなります。また入社後に悩み事や相談事ができた場合も、紹介者によるフォローが期待できるため、定着しやすいといえるでしょう。

縁故採用のデメリット

縁故採用にはメリットだけではなく、次のようなデメリットもありますので、導入する際には注意が必要です。

 

既存社員や他の新入社員が不公平感を感じる

通常とは異なる選考プロセスや基準で縁故採用を行なうと、通常の選考や複数回の面接を経て採用された既存社員や、同じタイミングで入社した同期の社員から不公平感を持たれる可能性があります。

 

たとえ縁故採用された本人が十分な能力を備えていたとしても、“縁故採用での入社”ということで、色眼鏡で見られてしまうことはあるでしょう。

 

入社後に、本来の経験や能力に見合わないポジションと待遇を与えられた場合も同様であり、そうした社内のあつれきを防止するのも課題の一つとなります。

 

不採用にしづらい

縁故採用の運用ルールを明らかにしておかないと、紹介された人材のスキルと能力が採用基準に満たない場合でも、人間関係などの背景から不採用にしづらいという事態になりかねません。

 

その結果、意図的なものではないにしても、企業の採用基準自体が歪んでしまう場合もありますので注意が必要です。

 

入社後に解雇や降格等をしにくい

紹介された人物を採用したあとでスキルや能力に問題があることが発覚しても、紹介者との関係の悪化やトラブルへの発展を恐れて、異動や降格、解雇などが難しくなる可能性があります。

 

採用計画が立てづらい

縁故採用を導入した場合、社員・役員など関係者からの推薦次第となるため、応募人数の見込みを立てるのが難しくなり、計画的な採用を実施することは難しくなります。

 

数年に1度しか採用をしない企業であれば問題は少ないでしょうが、毎年計画的に人材を採用し続ける意向のある企業にとっては、縁故採用だけでの採用は現実的ではありません。縁故採用を導入する場合でも、他の手法との組み合わせが必須となります。

 

多数の人材採用には不向き

採用計画が立てづらい点と同じですが、既存社員等からの紹介に頼ることになるため、場合によっては候補者が一人も集まらない可能性も考えられます。多くの人材を採用したい場合には不向きといえるでしょう。

 

“縁故採用”という言葉へのネガティブイメージ

“機会の平等”が尊重される今日、個人的なコネクションが前提の採用手法を取ることによって、時代遅れな企業という印象を持たれるおそれがあります。そのため活用する場合は、リファラル採用と言い換えて取り組んだほうが社内外への印象も含めて良いかもしれません。

縁故採用の注意点

縁故採用で優秀な人材を採用するためには、どのような点に注意して運用すればよいのでしょうか。ここでは縁故採用で注意すべきポイントをいくつか紹介します。

 

採用計画を公開する

縁故採用を導入する際には、あらかじめ役員や社員などに向けた周知を徹底しておく必要があります。

 

どのような目的で、どういった人物を採用するのか、採用計画が社内で共有・理解されていれば、“縁故だから必要もないのに採用した”という悪印象を避けることが可能になります。

 

反対に社内周知が徹底されなければ、縁故採用で入社した社員との間に摩擦が生じてしまうおそれがあります。また、既存社員が企業や人事に不信感を抱きかねず、人材流出につながる場合もあります。

 

採用基準を明確にしておく

縁故採用であっても一般採用と同じように採用基準を明確にしておくことにより、その基準をクリアしている人物のみ採用できるため、不満を抑える効果が期待できます。もちろん入社後も、縁故採用と他の社員を公平に評価するルール作りも必須です。。

 

採用フローを十分に検討しておく

縁故採用では、顔合わせのみで採用を決めるケースもあれば、社員からの紹介を受けたうえで一般的な採用フローで選考するケースもあります。

 

紹介された人材のスキル、経験、人柄などが事前に把握できており、“本人の意向さえ良ければ採用したい”という場合には、あえて一般的な採用フローを則る必要はなく、むしろある程度簡素化したフローにすることも有効です。

 

一方でスキルや経験などの情報が十分でなく、人物を把握しきれていない場合には、一般的な採用フローを経て検討するほうがベターでしょう。

 

縁故採用では、“自社で力を発揮できる人材かどうか”を合理的に見極めるためにも、状況に応じた採用フローを十分に検討しておくことが重要です。

 

紹介者と採用者の関係に注意する

縁故採用に至った“個人のつながり”がどういったつながりなのか、注意が必要なケースもあります。

 

近しい人間関係にあることがメリットになるケースも多々ありますが、逆にマイナスに働くケースも少なくありません。紹介した恩義を理由にセクハラが起きたり、紹介したことで採用者のパワーバランスが弱くなって、パワハラに発展したりすることもあります。

 

紹介者と採用者の人間関係次第では、社内で労働問題を引き起こす恐れもあると認識しておく必要があります。

 

入社後に優遇しない

能力、スキル、経験など本人の実力を踏まえて管理職や専門職に就かせることにはまったく問題ありません。しかし紹介者の影響力など、それ以外の要因に配慮して幹部とするような特別待遇は避けるべきです。

 

縁故採用であるが故に優遇すると、既存社員の間にあつれきが生じます。入社後公平に評価されるよう、透明性の高い人事評価の運用が求められます。

 

複数の採用方法を組み合わせる

縁故採用は“あくまでも数ある採用方法の一つに過ぎない”と認識したうえで、複数の採用方法を組み合わせることが重要です。採用する側も他の採用手段があり、十分な母集団があることで、無意識に採用基準を甘くしてしまったりすることを避けることができます。

中小企業にとっての縁故採用

縁故採用は現在も多くの中小企業が実施しており、採用競争が激化している昨今にあっては、認知度のない中小企業にとって有用な採用手法です。

 

先に挙げた注意点に配慮したうえで、“リファラル採用”として制度化し積極的に社員からの推薦を募れば、一般の採用選考手法では会えない人材と出会えるチャンスが広がるとともに、採用コストの削減にもつながるでしょう。

 

実際に野村総合研究所の調査によれば、中小企業での人材確保の“知人、友人(親族含む)の紹介”は、“ハローワーク”に次ぐ2番目に多い採用手法となっています。同じく新卒採用でも“ハローワーク”“教育機関の紹介”に次ぐ3番目に多い採用手法となっています。

 

ただし縁故採用に頼り過ぎた採用活動は、短期的な人材確保や採用コストのカットを期待できる反面、長期的に見ると採用力低下による人材難を引き起こす可能性があります。

 

中小企業庁が発表した『中小企業白書(2016年版)』では、「小規模事業者においては(中略)採用の基本的なノウハウの蓄積が十分ではない可能性が高いと考えられ、人材確保に課題を抱える企業では、まずは基本的な採用のノウハウを身に付けることが求められている」と指摘されています。

 

中小企業にとっては、縁故採用を手段の一つとして活用しつつ、採用に関する幅広い知見とノウハウを地道に蓄積しておくことが大切だといえるでしょう。

まとめ

縁故採用に関しては,“採用基準を緩くして採用する”“一般よりも優遇する”といったイメージもあり、ネガティブな感情を抱く人もいます。しかし人材獲得競争が激しくなるなか、特に中小企業にとっては、人のつながりを介して費用をかけずに採用できる手法として有効なものだといます。

 

上記のような悪印象を取り払うため、縁故採用の現代版ともいえる“リファラル採用”などをうまく取り入れて、優秀な人材と出会う機会を増やす手段として活用するとよいでしょう。

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