中国人採用(新卒・中途)で採用側が注意すべきポイントやリスクとは?

更新:2023/01/23

作成:2022/12/22

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

中国人採用(新卒・中途)で採用側が注意すべきポイントやリスクとは?

近年の日本では、少子化などによる採用難や人手不足の対策として、外国人採用に取り組む企業も増えるようになりました。

中国人採用を実施している企業も、珍しくなくなっています。

一方で、最近の日本は、国力の相対的な衰退、また、進む円安によって以前ほどの魅力は薄れており、外国人労働者の“ニッポン離れ”が加速している側面もあります。

記事では、日本における外国人雇用や中国人採用の現状を確認します。

加えて、中国人採用、また、定着・活躍を成功させるうえでの注意点やポイントも紹介します。中国人採用や、外国人採用の参考になれば幸いです。

<目次>

日本における中国人採用の現状

中国の国旗
これから中国人採用を始める企業のために、まずは、近年の日本における中国人採用の現状を確認しておきましょう。

日本における中国人労働者・留学生の推移や割合

まず、外国人労働者と中国人労働者の人数や推移を見ていきます。

外国人労働者の人数は、厚生労働省の以下グラフのとおり、2020年・2021年にはコロナ禍の影響で伸び率が低かったものの、2012年~2019年までずっと上昇傾向が続いています。

在留資格別外国人労働者数の推移
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和3年10月末現在)

また、日本で働く中国人の労働者数(香港・マカオを含む)は、コロナ禍の影響を受けた令和2年までは、上昇傾向が続いていた形です。(カッコ内は、外国人労働者全体に対する割合です)

  • 平成27年:322,545人(35.5%)
  • 平成28年:344,658人(31.8%)
  • 平成29年:372,263人(29.1%)
  • 平成30年:389,117人(26.6%)
  • 令和元年:418,327人(25.2%)
  • 令和2年:419,431人(24.3%)
  • 令和3年:397,084人(23.0%)

日本で働く中国人労働者は、外国人労働者のなかで長年ずっと1位を占めていました。

しかし、令和2年になると、ベトナムの労働者数が443,998人になったことで、1位の座は明け渡すことになります。

また、上記のカッコ内の数字を見ると、日本で働く全外国人労働者数に対する中国人労働者の割合も、減少傾向であるとはいえます。

出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和3年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和2年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(令和元年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成30年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成29年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成28年10月末現在)
出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ【本文】(平成27年10月末現在)

次は、外国人の全留学生と、中国人留学生の状況を見ていきます。

独立法人日本学生支援機構の「2021(令和3)年度 外国人留学生在籍状況調査結果」によると、2021年までの過去10年間における外国人留学生の数は、以下のとおりです。

こうした数字から、外国人留学生の数も東日本大震災の翌年~コロナ禍前までは、伸び続けてきたことがわかります。

  • 2011年(平成23年):163,697人
  • 2012年(平成24年):161,848人
  • 2013年(平成25年):168,145人
  • 2014年(平成26年):184,155人
  • 2015年(平成27年):208,379人
  • 2016年(平成28年):239,287人
  • 2017年(平成29年):267,042人
  • 2018年(平成30年):298,980人
  • 2019年(令和元年):312,214人
  • 2020年(令和2年):279,597人
  • 2021年(令和3年):242,444人

対して、中国人留学生の数は、以下のように推移してきました。カッコ内の数字は、全留学生に対する割合です。

  • 平成28年(2016年):98,483人(41.2%)
  • 平成29年(2017年):107,260人(40.2%)
  • 平成30年(2018年):114,950人(38.4%)
  • 令和元年(2019年):124,436人(39.9%)
  • 令和2年(2020年):121,845人(43.6%)
  • 令和3年(2021年):114,255人(47.1%)

上記の数字を見ると、中国人留学生の数も、コロナ禍までは伸び続けていたことがわかります。

また、中国人留学生の数はずっと1位であり続けており、令和3年のデータを見ると、2位であるベトナム(49,469人)の2倍以上となっています。

出典: 2021(令和3)年度外国人留学生在籍状況調査結果(独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)
出典:2021(令和3)年度 外国人留学生在籍状況調査結果
出典:2020(令和2)年度 外国人留学生在籍状況調査結果
出典:2019(令和元)年度 外国人留学生在籍状況調査結果
出典:2018(平成30)年度 外国人留学生在籍状況調査結果
出典:2017(平成29)年度 外国人留学生在籍状況調査結果
出典:2016(平成28)年度 外国人留学生在籍状況調査結果

中国人が日本で働く理由

中国人が日本の労働市場に注目する背景には、大きく以下2つの要因が影響しています。

  • 自国との賃金格差
  • 日本の暮らしやすさ

中国は、地域・戸籍・学歴によって就ける仕事や賃金に大きな影響が出る超格差社会の側面もあります。

一方で、たとえば、日本のIT業界などでは、高い技術力やコミュニケーション力などがあれば、中国人であっても国籍に関係なく、高い賃金がもらえるチャンスがあるでしょう。

著しい格差があり、厳しい環境に置かれた労働者もいる中国をはじめとする諸国では、こうしたいわゆる“ジャパンドリーム”への注目度が高い傾向があります。

また、コロナ禍前のインバウンドで、多くの中国人が訪日していたことからもわかるように、日本の文化や安全安心な社会などに注目し、純粋に“日本が好き”な中国人も非常に多い傾向があります。

こうした複合的な理由から、日本で働く中国人は長きに渡って増加傾向にありました。

しかし、近年では、コロナ禍による入国規制などの影響で、中国人を中心とする外国人労働者や留学生の受け入れ数がかなり減少していました。

また、近年の日本では、冒頭で触れたとおり著しい円安傾向であることから、賃金面などの相対的な魅力が減少することで、中国人労働者などの“ニッポン離れ”も加速しています。

日本での就職方法・就職形態

中国人も日本人と同様に、新卒・中途の両方で就職しています。ただ、即戦力人材を求めるなら、新卒よりも中途採用のほうが有効でしょう。

なお、厚生労働省が行なった法人アンケートによると、外国人労働者における正規雇用・非正規雇用の割合は、以下のとおりとなっています。

  • 正規雇用:30.8%
  • 非正規雇用:69.2%

また、雇用ではなく、業務委託という契約形態もあります。

もちろん、すべてが中国人というわけではないですが、外国人の個人事業主と請負契約を交わす日本法人も6.1%あります。

出典:法人アンケート結果の概要(全産業分野)

中国人の採用でリスクとなりうる注意点

腕組みをする中国人ビジネスマン
中国人労働者に限ったことではないですが、企業が外国人労働者を受け入れると、現場でトラブルが生じることもあります。

したがって、中国人などの外国人労働者を雇用するときには、以下の点に注意をしながら環境整備などを進めていく必要があるでしょう。

仕事観の違い

リクルートワークス研究所の客員研究員・田中信彦氏の調査結果によると、上海における学卒者の平均勤続年数が2年以下となっています。

一方で日本の一般労働者(男性)における平均勤続年数は、12年以上(独立行政法人 労働政策研究・研究機構)です。

上記は、異なる研究であるため、数字をそのまま比較できるものではありません。

しかし、中国人は、日本人労働者と比べて、組織への帰属意識は低く転職しやすい傾向があるといえます。

また、帰属意識も仕事観の一つですが、海外で生まれ育ってきた外国人は、日本人とは仕事に対する価値観が違う場合も多いでしょう。

そうした理由から、好条件で入社しても「企業の風土や価値観が自分に合わない」となれば、日本人以上に転職、早期離職しやすい傾向があります。

特に、中国人は全般的に上昇志向が強く、「発展空間」と呼ばれる“就職した企業でキャリアを作れる可能性”に対して敏感です。

就職した企業ではキャリアを作っていけないと考えれば、早めに見切る傾向があるといわれています。

中国人を受け入れる場合、こうしたポイントを知ったうえで採用を実施していくことが必要でしょう。
出典:中国で長期雇用は実現できるか―成長志向に応える仕組みとは―(リクルートワークス研究所・客員研究員 田中 信彦 )
出典:図13‐1 平均勤続年数(独立行政法人 労働政策研究・研究機構)

日本語力

日本での就職を希望していても、ビジネスで使えるほど日本語が堪能かはわかりません。

また、たとえば、以下のAさんとBさんでは、同じ新卒であっても、日本語力が大きく変わってきます。

  • Aさん:日本の専門学校(語学学校)に通った学部卒の中国人(日本で6年の居住経験)
  • Bさん:現地の大学を出て、日本の大学院を卒業する中国人(日本で2年の居住経験)

また、Aさんのように日本で長く居住して、学部卒の場合、アルバイト経験があるケースも多くなります。

一方で、現地の大学を卒業後、大学院だけのために日本に来たBさんのような中国人の場合、アルバイト経験がないこともあります。

また、たとえば、IT業界などの場合、エンジニア同士であれば日本語力が多少低くても、コミュニケーションできる部分もあります。

また、最近では、越境ECなどで、中国市場・中国人向けに仕事をする場合は、日本語力が多少低くても活躍できる側面も出てきました。

したがって、自社がどれぐらいの日本語力を必要とするかを明確にしたうえで、個々の求職者ときちんとコミュニケーションして日本語力を見極めておくことが大切です。

なお、中国人労働者に高い日本語スキルがあるとしても、現場における共通語のリスト化などの整理を行ない、配布や説明できるようにしておくのが理想です。

また、外国人労働者の日本語能力が低い場合は、翻訳機能の付いたコミュニケーションツールが必要になることもありますし、日本語学校などへの派遣も検討の余地があるでしょう。

ビザや在留資格

当然のことながら、日本で雇い入れられるのは法律で認められた労働者だけです。

したがって、中国人労働者をはじめとする海外国籍の労働者を雇用する場合、日本人のように選考に通りさえすれば、すぐ採用できるわけではありません。

定住者や永住者、配偶者などではない中国人労働者に日本で仕事してもらう場合、在留資格の取得手続きが必要となります。

中国人に限らず外国人労働者を採用する場合は、就労資格の確認、就労ビザの取得などが必要です。

初めての中国人や外国人の採用で手続きの進め方がわからないなどの場合は、外国人の人材紹介サービスを利用するのも一つです。


文化・習慣の違いからくるトラブル

仕事観の違いに近いところもありますが、メンバー同士の価値観・習慣・文化が違えば人間関係のトラブルも起こりやすくなります。

もちろん日本人同士でも、価値観や習慣の違いはありますが、日本人と外国人のほうが価値観のギャップは大きくなりがちです。

文化や習慣などの違いは、メンバー同士のコミュニケーションや相互理解ができる仕組みや場を設けることで、解消しやすくなります。

受け入れ側がダイバーシティー、異なる価値観の受け入れ、また、異なる価値観をかけ合わせてイノベーションを生み出していくような考え方や習慣を形成することも大切です。

社内規則の説明・見直し

仕事観や文化の違いに関連しますが、就業規則や雇用契約などでも、思わぬところで基礎的な認識のギャップがあったりするものです。

したがって、現状の就業規則などをそのまま使う場合は、中国語に翻訳したうえで、受け入れ時に丁寧な説明をすることが大切になります。

また、中国人の習慣に合わせた働き方などを導入する場合は、そうした内容を労働契約書と就業規則に反映したうえで、日本人メンバーにも周知しましょう。

中国人に安心して働いてもらうためのポイント

採用した中国人労働者に活躍・定着してもらうためには、中国人でも安心して働ける環境をつくることも大切です。以下で、環境整備のポイントを解説しましょう。

中国人に対して理解・共感する姿勢

日本に働きに来る中国人は、日本で働くことに一定のメリットを感じていたり、日本が好きであったりします。

しかし、先述のとおり、言語の壁や価値観、習慣などの違いから、日本人メンバーとのトラブルが起こる可能性は否めません。

中国人労働者を雇い入れ、活躍や定着をしてもらうには、日本人メンバーが中国人を理解する姿勢は不可欠となります。

勤務形態・休暇制度の整備

あくまで一般論になりますが、中国人は仕事よりプライベートを重視する傾向があります。

もし、優秀な中国人労働者を雇い入れるなら、自社の勤務形態や休暇制度などを一方的に押し付けるのではなく、面接時に本人の希望に耳を傾ける姿勢も必要です。

また、定期的な面談やアンケートを通じて中国人労働者の話に耳を傾け、必要があれば、働き方の選択肢を増やすなどの柔軟性も必要となるかもしれません。

人間関係と職場メンバーの理解

先述の理解・共感にもつながることですが、中国人労働者が安心して自分のスキルを発揮できる心理的安全性の高い環境を作ることも大切です。

また、メンバーと馴染めるように、ウェルカムランチの開催や、仕事以外で相互理解ができるイベントの開催、ミーティングルームの設置などのオンボーディングの仕組みづくりも大切でしょう。


能力を発揮し、スキルアップできる環境への配慮

中国人には、能力や実力向上を志向している人が多い傾向があります。大まかにいえば、前述のとおり上昇志向が強いといえます。

したがって、面接時に、日本での仕事で高めたいスキルやキャリア、取得したい資格などをヒアリングし、キャリアなどを叶えるサポートをすることも大切になります。

まとめ

日本で働く外国人労働者のなかで、中国人の割合はトップクラスです。

労働者数の比率では増加の著しいベトナム人に1位を譲りましたが、留学生はベトナム人の2倍以上と圧倒的な1位になっています。

中国人に限ったことではありませんが、外国人労働者を採用する場合、以下のポイントに注意をする必要があります。

  • 仕事観の違い
  • 日本語力
  • ビザや在留資格
  • 文化・習慣の違いからくるトラブル
  • 社内規則の説明・見直し

なお、中国人の場合、日本人の労働者と比べて転職しやすい傾向があります。

したがって、中国人に安心して長く働いてもらうには、以下のポイントも大切にする必要があるでしょう。

  • 中国人に対して理解・共感する姿勢
  • 勤務形態・休暇制度の整備
  • 人間関係と職場メンバーの理解
  • 能力を発揮し、スキルアップできる環境への配慮

初めての中国人採用で、手続きの進め方がわからない場合は、外国人に特化した人材紹介サービスを利用するのも一つです。

外国人向け人材紹介サービスに興味がある人は、以下の記事もチェックしてみてください。


著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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