アルバイト人材の採用は少子化の影響が大きく、この10数年、人手不足の状況になりがちです。
最近では、コロナ禍における休業などで他業界に流れた人材が戻らず、人手不足に陥る飲食業や宿泊業も多くなっています。
こうしたなかで効率的かつ確実にアルバイト人材を採用するには、自社の特徴や採用目的、採用ターゲットに合った募集方法を選ぶことが大切です。
記事では、従来型のアルバイト募集方法とおすすめの求人媒体、また最近導入されている新たなアルバイト募集の手段、人材採用の確実性を高めるアルバイト募集のポイントを紹介しますので参考になれば幸いです。
<目次>
従来型のアルバイト募集方法とおすすめ求人媒体
まず、従来のアルバイト募集では、以下のような方法や求人媒体の活用が一般的でした。それぞれの特徴を見ていきましょう。
求人サイト
アルバイト求人サイトに求人広告を出稿して、求職者からの応募を待つ手法です。
求人サイトには、仕事内容・職場の雰囲気・シフト・賃金など、多くの情報を掲載できるメリットがあります。
また、求人広告は、24時間いつでも見てもらえますし、若手層にも強いです。リゾートバイトなど、全国から人材を集めたいときにもおすすめとなります。
主要なアルバイト媒体は、以下のものがあります。
- マイナビバイト
- バイトル
- イーアイデム
- DOMO NET など
フリーペーパー
フリーペーパーとは、駅やコンビニエンスストアなどに設置されている求人情報誌です。
その場所を日常的に利用する人に見てもらえるため、地域密着型のアルバイト募集におすすめです。
過去にはコンビニなどでの有料販売もされていましたが、現在では、大半が無料配布となっています。主要なフリーペーパーは、以下のとおりです。
- タウンワーク
- 求人ジャーナル
- ジョブアイデム
- WorkinFreeなど
なお、求人情報に特化した求人フリーペーパーのほかに、幅広い地域情報が掲載されている一般のフリーペーパーにアルバイト募集広告を掲載する方法もあります。
こちらは家庭に配布されているものが多く、エリア密着でのパート募集などに効果的です。
大学への求人依頼
大学や専門学校の学内システムに求人広告を掲載してもらう方法です。一般的に大学の就職課やキャリアセンターに申し込みを行ないます。
大学でアルバイト募集をするメリットは、採用コストがかからないことです。
また、大学の場合、学校・学部によって学生のレベルや専攻が異なることから、アルバイト学生の属性を絞り込みたい企業にもおすすめとなります。
募集店舗・企業が大学キャンパスから近かったり、すでにアルバイトの採用実績などがあったりする場合は、特に採用しやすくなるでしょう。
ハローワーク
厚生労働省の機関・公共職業安定所(ハローワーク)に、アルバイト求人を出す方法です。
正社員採用のイメージが強いハローワークですが、実は、アルバイト求人も依頼できます。
ハローワークも、コストがかからない点が魅力です。また、場合によっては、助成金の対象になることもあります。
ただし、ハローワークを利用した場合、求人掲載や選考の手続きに手間がかかります。急募の場合は注意しましょう。
人材派遣や日雇いの利用
アルバイトとは少し意味が違いますが、人材派遣会社を利用したり、日雇い労働者を活用したりする選択肢もあります。
たとえば、「決算期だけ簿記の仕訳ができる人材を派遣してほしい」などの利用が可能です。
ただし、人材派遣の場合、本人の時給に社会保険料や派遣会社のマージンも上乗せされてくるため、アルバイトを直雇用とすることに比べると、時間単価はかなり高くなります。
新たに伸びているアルバイト募集方法とおすすめ求人媒体
近年では、アルバイトの募集方法も多様化しています。自社の採用要件に合えば、以下のような方法を併用してみるのもおすすめです。
求人検索エンジン
求人検索エンジンとは、さまざまな求人サイトや企業ホームページの掲載求人を集中的に検索できるものです。
求人検索エンジンは、“求人情報に特化したGoogle検索”のようなイメージで、以下のようなサービスが登場しています。
- Indeed
- 求人ボックス
- Googleしごと検索(Google for Jobs) など
求人検索は「エリア×職種」などでWeb検索結果の上位に表示されることが多く、上記で検索されるようなアルバイト採用には有効な手段になりえます。
なお、無料での掲載も可能ですが、有償掲載されているものが優先表示される仕組みです。したがって、無料の場合、応募数はあまり期待できません。
求人検索エンジンの料金体系は、求人広告と違って、クリック単価で料金が決まる形です。
いつでも掲載・停止できる手軽さも、求人検索エンジンのメリットになります。
アルバイトマッチングアプリ
以下のようなアルバイトマッチングアプリは、明日だけ手伝ってほしい・急に欠員が出た……などのシーンに有効な手法として話題になっています。
- wakumo
- Baitry
- Timee
- シェアフル など
利用者からすれば、勤務時間やスキルなどを指定するだけで、条件に合う求人がマッチングされる仕組みです。
そのため、「好きな時間だけ働ける」「履歴書なしで働ける」などのメリットがあり利用者が増えています。
企業側のメリットは、従来型の方法のような「求人広告をつくる・申し込みをする」などの面倒な手続きだけでなく、面接も不要であることです。
マッチング精度を高めるために、数時間単位でお試し体験(アルバイト)ができるアプリもあります。
オウンドメディアリクルーティング
オウンドメディアリクルーティングとは、以下のような自社メディアでアルバイトを募集する方法です。
- 自社の公式ホームページ
- 自社の採用サイト
- 自社ブログ
- note
- Wantedly など
オウンドメディアリクルーティングの魅力は、求人サイト以上にたくさんの情報を自由に発信できることです。
たとえば、スキー場などの観光スポットで、幅広い業種のリゾートバイトを大量募集する場合、自社メディア内で独自発信したほうが、求職者も職種などを選びやすくなります。
また、たとえば、社長ブログ内で新店舗や新事業の紹介をするなかで、アルバイト募集ページへのリンクを貼るなどの方法もあるでしょう。
ただし、オウンドメディアの場合、作成したサイトにどうやってアクセスを増やすか?という問題を解決できないと意味がありません。
ある程度実施できる企業は限られてくる部分もありますので取り組む際は注意が必要です。
SNSの活用
アルバイト採用では、以下のようなSNSを使ったソーシャルリクルーティングもおすすめです。
- TikTok
- YouTube
- LINE
フォロワーが多いアカウントであれば、以下のように求人募集のメッセージを投稿することで応募が得られます。
また、採用ページのリンクをTwitterなどで拡散することもおすすめです。
地域密着の店舗などは、Instagramの運用なども集客・アルバイト募集は両側面でおすすめです。
今後の見通し
冒頭でも少し触れたとおり、アルバイト採用は、少子化によってどんどん難しくなっています。
また、最近では、コロナ禍で一度休業した飲食業などがアルバイトの募集に苦戦していることもあります。
マイナビの「アルバイト採用活動に関する企業調査」によると、「アルバイトの人手不足」と回答した企業は58.8%にのぼっており、この数字は前年比+2.5%になります。
なかでも、人材が大幅に不足しているのは、以下の業種です。
- 配送・引越し・ドライバー(陸運)
- ホールキッチン・調理補助(飲食・フード)
- 販売・接客(パチンコ・カラオケ・ネットカフェ)
こうしたなかで自社にマッチするアルバイトを獲得し、定着や活躍につなげるには、後述するポイントを大事にしながら募集や採用活動を進める必要があります。
アルバイト募集のポイント
アルバイトの場合、上述したとおり、面接~初出勤までの間の応募後辞退(内定辞退)や早期離職が生じやすい傾向があります。
こうした問題を防ぐには、アルバイト募集時に以下のポイントを押さえておくことが大切です。
採用したい人材条件の明確化
まず、どういうアルバイトを採用したいかを、以下のように言語化しましょう。
- ファーストフード店で、将来的にはリーダーを任せられるアルバイトが欲しい
- 経理補助のアルバイトなので、簿記資格を保有もしくは事務処理が得意そうな人がほしい など
ただし、自分が学生時にアルバイトに応募したことなどを思い出せば、正社員への就職や転職活動などと違って、そこまで深い思いではなく、「興味本位」「面白そうなアルバイトがあれば……」ぐらいの感覚で応募する人がいることもわかるでしょう。
人材像をつくるときには、理想像に偏り過ぎないように注意が必要です。
業務内容などに応じた募集方法の選定
アルバイト募集に適した方法は、業務内容や緊急度、人材の属性によっても変わってきます。
- ・皿洗いアルバイトが突然辞めたので、明日から働ける人がほしい
- ⇒アルバイトマッチングアプリ、SNSの活用
- ・決算期の経理補助をお願いしたいので、事務処理が得意な人が1人ほしい
- ⇒ハローワーク、求人サイト、人材派遣
- ・総合リゾートで夏季のホテル・レストラン・売店スタッフを100人募集したい
- ⇒オウンドメディアリクルーティング、SNS活用、フリーペーパー、求人サイト など
業務の魅力ポイントの整理・創出
アルバイトの入社前辞退や早期離職を防ぐには、求人広告や面接で自社の働きやすさ、仕事のやりがい、魅力をきちんと伝える必要があります。
上述のとおり、アルバイトの場合、正規雇用と違って応募する側もさほど深い志望動機はないことが多いです。
したがって、採用したい人材要件を踏まえて、その人たちに向けた現実的かつシンプルな魅力を洗い出すことが大切になります。
求職者の不安を解消する求人広告の作成
アルバイト募集は、まずは人材から応募してもらわないことには何も始まりません。
したがって、求人広告を出すときには、求職者の不安を解消し、応募の敷居を下げることも大切になります。
<求職者の不安や懸念を解消する文章の事例>
- 【接客の仕事に不安がある人向け】初心者も大歓迎!1ヵ月は研修期間!丁寧に仕事を教えます!
- 【あまりシフトに入れない人向け】週1日3時間のシフトでもOK!土日だけも大歓迎!
- 【なるべく多く稼ぎたい人向け】週5日~6日の出勤、月◯万円以上も可能!
採用後のフォロー
ディップ総合研究所の調査結果によると、長期就業を前提に入社したアルバイトの人ですら、半年以内に約2割が早期離職しています。
出典:アルバイト・パートスタッフの離職事情 ~早期離職防止・長期定着に必要な対策とは~(ディップ総合研究所)
早期離職の理由として多いのは、以下の2つです。
- リアリティショック(理想と現実のギャップ)
- 仕事中の放置
リアリティショックの問題は、面接で仕事の具体的内容を伝えたり、不安や疑問を解消して面接官と求職者における認識のズレを解消したりする対処によって、ある程度は解消可能です。
仕事中の放置は、アルバイトに教育担当者をつけたり、手が空いたりわからないことが生じたときに、先輩に話しかけやすい雰囲気をつくることで解消することが大切です。
組織に馴染みやすくする意味では、はじめのうちは短時間でいいので個人レビューを定期的に実施したり、他のスタッフと交流できる休憩スペースを設けて雑談が生まれるようにしたりすることもおすすめです。
まとめ
従来のアルバイト採用は、以下の方法で行なわれていました。
- 求人サイト
- フリーペーパー
- 大学への依頼
- ハローワーク
一方で近年では、以下の新しい方法によるアルバイト採用も増えています。
- 求人検索エンジン
- アルバイトマッチングアプリ
- オウンドメディアリクルーティング
- SNSの活用
アルバイト募集で、求人サイトは今も王道の募集手段ですが、求人検索エンジンやアルバイトマッチングアプリなどは、一定のシェアを持ちつつあります。
また、オウンドメディアやSNSの場合、効果を出せるようになるまでには時間もかかりますが、成功すれば費用をかけずに採用できるメリットがあるでしょう。
また、自社に合うアルバイトを採用し、活躍や定着につなげていくには、以下のポイントを押さえて募集活動をしていくとよいでしょう。
- 採用したい人材条件の明確化
- 業務内容などに応じた募集方法の選定
- 業務の魅力ポイントの整理・創出
- 求職者の不安を解消する求人広告の作成
- 採用後のフォロー
アルバイトの面接をするときには、以下の記事も参考にしてください。