内定者研修の目的とは?目的に合った成功のポイントとプログラム例

内定者研修の目的とは?目的に合った成功のポイントとプログラム例

多くの企業で実施されている内定者研修ですが、実施に際しては目的をしっかり設計して実施することが大切です。内定者研修の一般的な目的とそれぞれのメリット、研修内容を考える際のポイント等を解説しきます。

<目次>

内定者研修とは?

内定者研修とは、内定承諾者(学生)が入社前に抱える不安や悩みを解消するために、実施する研修の総称です。内定承諾後の辞退を防ぐと共に、入社後の新人研修や現場配属へとスムーズに接続する内定者フォローの一つでもあります。

 

 

内定者が企業に抱く3つの欲求

内定者研修を計画するうえで注目しておきたいのが、「内定者は企業に何を求めているのか?」ということです。マイナビの調査結果では、「2018年卒の学生の79.5%が、入社までの研修やフォローを求めている」ことが分かっています。調査結果を見ると、内定者が内定先企業に求める3つの欲求が見えてきます。

 

  • 「繋がりたい」

⇒得てして内定接触後は、選考中と比べて企業との接触頻度が減少します。結果として「この会社で本当にいいのか」不安が生じます。自分が選んだ会社と、また一緒に働くことになる内定者と、「繋がりたい」という欲求です。

 

  • 「知りたい」

⇒学生からすれば、内定承諾したとはいえ、会社のことについては分からないことだらけです。とくに“入社後のリアル”、説明会でいわれたことはどれぐらい事実なのか、一緒に働く先輩や同期はどんな人か、実際の仕事はどんなことをするのか?といったことを「知りたい」という欲求です。

 

  • 「自信を持ちたい」

⇒「知りたい」という欲求ともリンクしますが、内定者には「自分は社会人としてやっていけるのか?」「成長・活躍できるのか?」という不安があります。同時に「本当にこの会社で良かったのか?」という“マリッジブルー”に似た“内定者ブルー”の感情も生じます。だからこそ、自分に、また自分の選択に「自信を持ちたい」のです。

 

内定者研修における具体的な目的やプログラムは、企業によって異なります。ですが、研修で目指すところは、上記の3つの欲求を満たすところであるとも考えられます。

 

研修設計をするうえでは、「3つの要素を満たしているか?」という視点を持っておくと、より効果性の高いプログラムを設計できるでしょう。

内定者研修を実施する目的やメリット

こちらを見つめている3人のビジネスパーソンたち

内定者研修を実施する目的とメリットは大別すると、「内定辞退の防止」と「入社後の戦力化促進」です。もう少し詳しく解説します。

 

 

内定辞退の防止

内定者研修の目的の一つが内定辞退防止です。とくに昨今では、内定承諾後の辞退も増加しています。内定承諾後、とくに内定式後等に辞退されると、追加採用することも難しく、採用計画が崩れてしまうこともあり得ます。

 

従って、内定承諾後のコミュニケーション設計や内定者研修によって辞退防止を図ることは非常に大切です。

 

マイナビの調査結果によると、内定承諾から入社までの間に「本当にこの企業でいいのか?」といった不安を抱いたことがあるという学生は、2013年卒では39.4%、2018年卒では54.9%と確実に増加傾向にあります。

 

従って、内定者研修では、内定者の不安を解除して、「内定承諾した自分の選択は誤っていなかった」と自信を持たせることが重要です。

 

また、内定辞退を防ぐうえでは、同期との人間的な繋がりを作ることも一つのやり方です。これから社会人になる内定者の多くは、一緒に入社する同期に対して「どんな人がいるのか?」「うまくやっていけるか?」という不安を抱えがちです。

 

内定者研修を通じて、同期との繋がりを作ることで不安が解消され、また人間的な繋がりによって、内定辞退を防ぐことができます。

 

ただし、同期との交流は、「社風が合わない」「同期のレベルが低い」等の理由で内定辞退を生み出すリスクもあります。内定者の層や状況に応じて検討しましょう。

 

 

入社後の戦力化促進

社会人に必要な基礎スキルの習得や学生から社会人への意識切り替えは、入社後の即戦力化に向けて効果を発揮します。

 

同時に、内定者が抱える「入社後に自分がやっていけるか」という不安を解消することにも役立ちます。働いたことがない内定者は、就職に際して、

 

  • どのような仕事をするのか?
  • 自分は仕事をこなせるのか?
  • どのようなスキルが必要なのか?

 

といった不安を抱えます。こうした不安を解消するためには、内定者研修で社会人に必要なビジネスマナーの基本や一般常識、マインドセットを教えることが効果的なのです。

 

研修を通じて、成長実感を得られると、内定者は「これなら自分でもやっていけそうだ」という自信が抱き、不安が解消されます。

 

また、内定者研修で“社会人としての心構え”についてマインドセットしておくことは、入社後のリアリティショックを減らし、入社後の戦力化に非常に有効です。

内定者研修を計画する際のポイント

START→STEP1→STEP2→STEP3→GOAL

内定者研修は、何となく「内定者との接触機会を作る」という曖昧な目的で実施されることがあります。しかし、効果性の高い内定者研修を計画するためには、目的とゴールをしっかりと設計することが大切です。

 

目的とゴールによって、適した研修内容がアプローチは変わってきます。以下では、「内定辞退の防止」と「入社後の戦力化促進」という2つの目的をさらに細分化して、内定者研修を計画するうえでのポイントを解説します。

 

 

内定辞退の防止

内定者の辞退防止で大切なのは、以下の2つです。

 

  • 自社の魅力を再度伝える
  • 企業との繋がりで不安を解消する

 

内定承諾者は、面接等の選考段階で自社の魅力を聞き、内容に一定の納得感を経ているからこそ、内定承諾したわけです。しかし、時間がたつにつれて記憶や熱量は薄くなり、「本当にこの会社で良かったのか?」という不安が忍び寄ってきます。

 

従って、選考内容で伝えてきた理念や事業内容、社風について再度しっかりと伝え、また各内定者の選択軸や大切にしている想いと紐づけるプロセスが大切です。

 

また、不安を解消するうえでは、繋がりの濃さや接触頻度も重要です。「100の情報を1回で伝える」よりも、「1回に一つずつ100回接触する」ほうが繋がりを強くするには効果的です。

 

コロナ禍の影響でオンライン上のコミュニケーション手段が一気に浸透、定着しました。研修以外も含めて、接触頻度を作るためのコミュニケーション設計も辞退防止のポイントです。

 

 

同期との交流による安心感の醸成

昨今の学生は、人間関係に対して非常に敏感です。従って、同期との人間関係を作ることも内定辞退の防止には有効です。

 

内定者研修を通じて、新人同士の交流機会をなるべく提供し、同期との相互理解と信頼関係の構築を目指すと良いでしょう。

 

  • 懇親会
  • 内定者SNS
  • 合宿
  • 社内イベント参加

 

ただし、注意点が3つあります。

 

  • 入社意向度が低い内定者がいた場合、周囲も影響を受ける可能性がある
  • 能力のレベル差があると、得てして能力が高い側が同期に失望する可能性がある
  • 人事から見えないところで人間関係のトラブル等が起こる可能性がある

 

同期との交流手段を作って終わりではなく、交流のされ方に気を配ったり、内定者と個別に接触を取ったりする等のケアを並行して進めることが大切です。

 

社会人に必要な基礎スキルの習得

入社後に新入社員研修で習得してもらいたいスキルを考えると、以下のように非常にたくさんあります。

 

  • 社会人の身だしなみ
  • 挨拶の仕方
  • 名刺の受け渡し
  • 敬語
  • 電話応対
  • パソコンの使い方
  • ビジネスメールの作成方法
  • 報告・連絡・相談
  • 仕事で必要な知識 等

 

とくに業界によっては仕事で必要な知識がかなり膨大な量になるケースもあります。これらの基礎スキルや知識を入社までに多少なりとも身に付けてくれれば、入社後の教育はスムーズになり、戦力化も加速されます。

 

また、スキル習得を支援することは、“彼らの成長を支援する”というメッセージを感じさせたり、成長実感を通じて“この会社でやっていけるのか”という不安を解消したりすることもできます。

 

後述するeラーニングや教材等を使って、スキル習得の支援を行なうことも有効な内定者研修の一つです。

 

 

学生から社会人への意識切り替え

入社後の戦力化を促進するうえで、非常に重要なテーマが「学生から社会人への意識切り替え」です。プロのビジネスパーソンとしてのマインドセットを持ってもらうことで、スキル習得もスムーズになりますし、OJTや部門配属等の現場への接続もスムーズです。

 

逆に、社会人への意識切り替えがうまくいかないと、“マインドセットとスキル習得が不十分なまま、現場に配属され、リアリティショックによるモチベーションが低下する”というリスクがあります。

 

社会人への意識の切り替えは、まず広義の働くことの意味や、学生と社会人の違いを考えてもらうことから始めます。また、自社のミッションやビジョン、バリュー、また企業ステージにも応じて、下記のようなことを考えてもらうことも有効です。

 

  • 自分はなぜ採用されたのか?
  • 企業から何を求められているのか?
  • 企業に必要なのはどのような人材なのか? 等

 

1回で浸透するテーマではありませんので、グループワークとフィードバック、読書課題、レポート、フィードバック等、さまざまな機会を通じて、じっくり浸透させていきたい重要項目です。

 

内定者研修の目的に応じたプログラム例

内定者研修として具体的に実施されるプログラムには、以下のようなものがあります。

 

 

内定者インターンシップ(アルバイト)

内定者インターンシップとは、内定承諾者が入社前に自社で働くことです。一般的には、社員の補佐的業務に携わることが多いでしょう。1回に大人数を受け入れることは難しいですが、

 

  • 入社後のギャップが解消される
  • 社員や同期との繋がりが増える
  • 企業側も内定者を深く知ることができる

 

等に大きな効果が見込めます

 

 

グループワーク

数人のチームで協力をしながら、与えられた課題に取り組むという内定者研修における定番プログラムです。

 

グループワークは、テーマ(お題)として設定されたものを自分たち自身が深く考える機会になりますので、一方的なレクチャーではない形で「自社の魅力」「社会人としての心構え」等を考えてもらうことができます。

 

また、グループワークには、時間配分、主体的な参加姿勢、ファシリテーション、合意形成、プレゼンテーション等、実務的なプロセスも発生します。グループワーク+各プロセスの要点レクチャーといった形で行なうと、知識習得による成長実感が生まれ、内定者の満足度も高まりやすくなります。

 

また、同期同士の理解を深めたり、交流を生み出したりする効果もあります。近年では、コミュニケーション効果に着目して、会社から離れて行なうオフサイトでのグループワークを中心とした内定者研修も増えています。

 

 

教材、eラーニング

ビジネスマナーや敬語、また業務に必要な基礎知識の習得は、集合型の研修ではなく、教材やeラーニングを活用することがおすすめです。

 

ビジネス系の基礎知識であれば秘書検定や簿記、PC系であればMOS検定やタイピング等、業務系の知識であれば各業界の初歩的な検定等、「資格」試験をうまく使うことも有効です。資格試験はゴールがはっきりしており、内定承諾者が成長実感を得やすい。また、教材等も揃っていることが多く、自社での手間がかからないというメリットもあります。

 

 

社員への質問会、座談会

内定承諾者の不安は、同期だけの繋がりや企業からの情報提供だけでは、解消しきれない場合があります。こうした問題への対応として、社員への質問会や座談会を開催することもおすすめです。

 

内定者の不安解消や人間的な繋がりを作ることに役立ちますし、選考時には合否を気にして聞けていなかった疑問を解消する場になります。参加する社員にちゃんと指示と準備しておいてもらうことで、自社の魅力を改めて伝える場にもなるでしょう。

 

コロナ禍の影響で、オンラインでの座談会等への抵抗は一気に減少しましたので、オンライン上で実施すると社員への負担も少なく、実施しやすいでしょう。

まとめ

内定者研修は大別すると「内定辞退の防止」と「入社後の戦力化促進」という2つの目的で実施されます。

 

  • 内定辞退防止
  • 同期との交流による安心感の醸成
  • 社会人に必要な基礎スキルの習得
  • 学生から社会人への意識切り替え

 

といった目的に応じて、適したプログラムを設計しましょう。研修プログラムを設計するうえで、内定承諾者の「繋がりたい」「知りたい」「自信を持ちたい」という欲求を満たしているかをチェックすると、効果的なプログラムが作れるでしょう。

 

22卒からはいよいよ大卒の少子化が始まります。効果的な内定者研修を行なうことで、内定辞退を防止するとともに、入社後の戦力化を加速させてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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