【中途採用を成功させるための方法】中小企業が明日から実践できる採用プロセスの作り方

更新:2023/07/28

作成:2020/08/07

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

【中途採用を成功させるための方法】中小企業が明日から実践できる採用プロセスの作り方

中途採用で、自社で活躍する可能性の高い優秀な人材を獲得するには、適切な採用プロセスを設計して、候補者を魅了付けすることが重要です。記事では、中途採用の基本を踏まえたうえで、中小企業が明日から実践できる採用プロセスの作り方を解説します。

 

<目次>

中途採用の基本

面接官と向かい合う求職者

中途採用は、新卒採用と異なる特徴があります。中途採用のメリットや中途採用で獲得できる人材の種類、中途採用の時期といった、基本的な事項をまずは確認しておきましょう。

 

 

中途採用のメリット

中途採用のメリットは下記のような点です。

 

一斉入社の新卒採用とは異なり、中途採用は企業側のタイミングで人材を確保できます。人手が不足した際に、特定の採用時期を待つことなく人材を獲得できるのは、中途採用ならではのメリットです。また、一般的に中途採用は選考のスパンも新卒採用より短いため、スピード感を持って人材を獲得できます。

 

候補者の年齢が幅広いことも中途採用の特徴です。既存社員の年齢構成に偏りがある場合、中途採用を活用して調整できます。

 

また、中途採用は一定のスキルを備えた人材やマネージャー層等、すぐに活躍できる人材を採用できるのが最大の魅力です。自社の事業展開、成長計画を実現するうえで、不足するスキルを持った人材、必要な人材がいないポジションを充足できます。

 

このように、中途採用には新卒採用にはないさまざまなメリットがあり、成長企業にとって、中途採用はきわめて有効な手段の一つです。

 

 

中途人材の種類

一口に中途採用といっても多様な種類があります。大まかな中途採用の分類を知っておくことで、自社でのニーズに応じて、適切な採用手法を取れるでしょう。ここでは中途採用を大きく4タイプに分けて、概要や特徴を解説します。

 

タイプ1. 既卒

学校を卒業した後に、正社員としての職歴がない若手人材です。就職後に海外留学していた人、アルバイトをやり過ぎて就職しなかった人、資格試験等からの転向、プロスポーツや芸能の世界からの転身、大学中退者等が含まれます。

 

新卒採用と同じのポテンシャル採用の対象です。すぐに入社してくれる、かつ、社会人経験がないため自社に馴染みやすい、理念や仕事の仕方を教えやすいという点が魅力です。

 

タイプ2. 第二新卒

新卒で正社員として就職した後、1~3年程度で離職した人材です。新卒や既卒と比較すると一定のビジネススキルがあるので、入社後の教育期間を短縮できるのが魅力です。

 

もう少し年齢が上の層と比べると、企業の色に染まり過ぎていない部分はありますが、とはいえ、「前職との比較」が生じてきます。また、転職理由等によっては、退職のハードルが低くなっていることもありますので、採用時には注意を払いましょう。

 

なお、派遣社員として働いていた方や、専門学校卒でサービス業やパティシエ、美容師等で数年働いていた層も、既卒と第二新卒のカテゴリに含まれるでしょう。

 

タイプ3. 即戦力の20代後半~30代(プレイヤーからリーダー層)

20代後半以上の年代で、ある程度のキャリアを積んできた人材です。現場の第一線やチームリーダークラスの即戦力として活躍してくれることが期待されます。

 

他社でしっかりと経験を積んでいる分、自社の組織風土や文化に馴染むかが非常に重要なポイントになります。もちろん、受け入れ側でオンボーディング等の仕組みを整えることも重要ですが、選考時にも注意が必要です。

 

また、本当に前職で活躍している人は、その会社で高く評価されていますので、転職市場に出てくるケースは少ないです。とくに業界内で転職するケースは非常に稀です。職務経歴書や面接で語られる実績が、どれだけ事実(その人の実力で成し遂げた成果)かの見極め、また転職理由をしっかりとヒアリングしましょう。

 

タイプ4. ミドルシニア層(マネージャー~CXOレベル)

主に40~50代の人材です。豊富なビジネス経験、マネージャークラスのスキルを持った人材が多いでしょう。タイプ3の即戦力層以上に、採用難易度は高くなります。やはりこのクラスでも、自社に適した人材かどうかをしっかりと見極めることが重要になります。

 

とくにタイプ3、タイプ4の即戦力層は、最近では、フリーランスやプロ派遣のような働き方も増えており、ますますフルタイムの正規雇用で、優秀な経験者層が市場に出てくるケースは減ってきました。採用する際は、即戦力としての期待値を高く持ち過ぎない、また、面接での見極めをしっかりとおこなっていきましょう。

 

 

中途採用の時期

中途採用は欠員が生じた際や人員が必要なタイミングでおこなわれるのが一般的です。ただし、転職市場には時期によっても人材状況に若干の変動があるため、ある程度時間的な余裕を持って採用活動がおこなえる場合には、時期を見て採用活動をおこなうことで、効率よく採用活動ができるケースもあります。

 

転職市場が活性化する時期は、1~2月、5~6月、10月頃等です。4月や10月の期首に合わせて採用したい、また夏のボーナスをもらって退職する人が多いこと等が活性化の理由です。

 

転職市場が活性化する時期には、転職活動をおこなう人材が増えるため、母集団形成がおこないやすくなります。ただし、競合他社との取り合いも増えますので、スピーディーに選考を進め、しっかりと口説いていくことが大切です。

 

 

中途採用のプロセス

プロセス図

中途採用は、以下のようなプロセスで実行していきます。各プロセスの概要と実施のポイントを見ていきましょう。

 

 

採用計画と目標設定

中途採用でも新卒採用と同様に、まずは採用計画と目標を設定することが必要です。「いつ」「どのような人材を」「何名」採用したいかということを、しっかりと定めましょう。

 

中途採用の場合には、「年齢構成を是正したい」等のケースを除けば、採用したいターゲットが明確になっていることが多いでしょう。ただし、採用市場の状況や自社の採用力を把握していないと、現実的に実行可能な採用目標から乖離してしまうこともあります。

 

「採用市場や自社の採用力を客観的に把握できていない」と感じる場合には、計画と目標を決め切る前に、複数の求人広告会社、人材紹介会社等から市況感や自社の採用力について聞いてみることがおすすめです。

 

 

ターゲット設定(ペルソナ作成)

採用目標が決まったら、「どのような人材を獲得するのか」というターゲットを具体的に設定します。年齢、経験、特性等から、採りたい人材像を落とし込んでいきましょう。ペルソナ設定の段階では、人事担当者と現場部門が密に連携を取ることが大切です。

 

採用ターゲットは、どうしてもスペック(能力)に目が行きがちですが、自社の組織風土や仕事の仕方に合った人材かを意識することも重要です。中途採用において、職務遂行能力だけに目がいって、会社の風土や価値観に合わない人を採用すると、組織が壊れるリスクもあります。どんなタイプであれば、自社に合うのかもしっかりと検討しておきましょう。

 

 

母集団形成(募集要項の作成や採用手法の検討)

採用ターゲットが明確に決まれば、母集団形成の検討に入ります。母集団形成の手段には、求人サイトでの募集やリファラル採用、ダイレクトリクルーティングや人材紹介企業の活用等、さまざまな手法があります。

 

母集団形成の手法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

 

形成する母集団の規模は、目標とする採用人数から逆算するのがポイントです。一般的な中途採用であれば、1人の採用枠に対して、20倍ぐらいの母集団が欲しいところです。“20人の応募者⇒15人の選考⇒2人の内定⇒1人の承諾”という感覚です。

 

なお、母集団形成は、あくまでターゲット層を集めるための活動です、母集団の規模が大きかったとしても、ターゲットとする人材がいない母集団になっては意味がありません。自社が採用したいターゲットに合わせて母集団形成のチャネル、求人原稿の訴求等を調整しましょう。

 

 

選考・内定

選考の際に重要なポイントは2つあり、「目の前の候補者が自社に必要な人材かどうかを正しく判断すること」「採用したい候補者に自社の魅了付けをしっかりとおこなうこと」です。

 

経験者採用の場合、職務経歴書の記述内容でバイアスや先入観が生じがちです。面接時に生じやすい認知バイアスについて学んでおくことや相手の経験値をしっかりと理解するために構造化面接の手法を用いることがポイントです。

 

また、中途採用の場合、相手に合わせて選考フローの調整をおこなうことも有効です。例えば未経験者層であれば、人事、現場部門長、担当部門役員の3人程度で、見極めも魅力付けもおこなうことができるでしょう。

 

一方で、リーダー層やミドルシニア等の経験者層になるほど、選考は慎重におこなう必要があります。ミスマッチだった場合のダメージが大きいので、自社に本当に馴染むか、実力が本物かをしっかり見極めなくてはいけません。

 

相手方も同様で、実力のある人ほど、「社長だけに会って決める」等、限られた情報で入社を決めるのはリスクであることを分かっています。こうしたケースでは、複数の役員クラスが面談したり、直接の上司はもちろん、部下候補との面談機会を作ったりする等のフローも有効です。

 

中途採用の場合には、選考中や内定承諾後の辞退というのはあまりありませんが、ゼロではありません。相手の状況に合わせてスピーディーな選考をおこなうこと、また、内定承諾後にもコミュニケーションをしっかりと取っていくこと等は意識しましょう。

 

中小企業の中途採用は待っているだけでは厳しい

少子高齢化により、企業の人材獲得競争が激化しています。今後はますます、優秀な人材を確保できる企業と確保できない企業が分かれてくるでしょう。

 

とくに中小企業は大企業と違い、ただ応募を待っているだけでは人材を確保できないケースが多いです。ダイレクトリクルーティングやリファラル採用等、新たな採用手法にも積極的に取り組んでおくことがおすすめです。また、自社のことをよく理解してくれている人材紹介会社を作ることも有効です。

 

 

まとめ

中途採用には、新卒採用にはないメリットがたくさんあります。とくに新卒と違って、企業のニーズに合わせて「すぐ入社してくれる人材」を確保できることが最大の魅力です。採れる人材も、既卒、第二新卒から即戦力層のプレイヤーからリーダー層、マネージャー層からCXOクラスまで幅広く、自社のニーズに沿って人材を採用することが可能です。

 

プロセスごとのポイントを理解し、適切な採用手法を効果的に活用して、自社で活躍できる中途人材を採用しましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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