リンゲルマン効果
お世話になっております。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックにて
取締役 教育事業部長を務めます
東宮美樹と申します。
今回は「リンゲルマン効果」について
お話ししようと思います。
このリンゲルマン効果、聞いたことがある
という方も少なくないのではないでしょうか。
この効果を提唱したドイツの心理学者の
リンゲルマンの名前から取ってつけられた
心理効果なのですが
簡単にご説明すると、、、
組織で共同作業を行う際に
組織への参加人数の増加に伴って
一人一人の課題や業務の遂行量が
減少する現象のことをいいます。
要は
「集団で何か作業に取り組んでいる場合
一人一人を見ていくと手抜きが発生している」
という現象です。
リンゲルマンが行った、綱引き実験の例が有名ですが
この実験では、被験者を複数人集め、1人で綱引きをする場合と
複数人でする場合の個人が発揮する力を調べました。
その結果、1人のときの力を100%とすると
2人の場合は平均93%、3人では85%、8人ではなんと49%にまで下がり
人数が増えるとともに1人の力が発揮されなくなる
という状態になったとのことです。
これは、参加人数が増えることによって
「自分ばかり頑張らなくても誰かがやるだろう」
「自分ばかり頑張るのは馬鹿らしい」
「人数が多いと自分は目立たなくなるから、頑張らなくても目立たない」
といった心理的要素が働き
結果として起こるものだと言われています。
いわば、「誰かがやるだろう」という
心理状態ともいえますね。
原因としては、様々な意見がありますが
調べたところ、大きく4つの原因に分けられるかなと
思いましたので、以下にまとめてみました。
(1)「方向性の不一致」の問題
各々の作業の目指す方向が一致していない
(あるいは、理解が浸透しきっていない)ことに起因するもの。
(2)「当事者意識」の問題
集団の中で自分の役割が見えにくいために
貢献しようという意識が低下することに起因するもの。
(3)「評価」の問題
「自分だけがんばってもきちんと評価してくれない」
と感じることでモチベーションが低下することに起因するもの。
(4)「意識持続」の問題
集団に埋没することで自分への注目が薄れ
緊張感や集中力が徐々に低下したり
「手を抜いてもばれない」という怠惰な意識が
芽生えたりすることに起因するもの。
いかがでしょう。
イメージが沸く、という方も
少なくないのではないでしょうか。
これらの原因は
複合的に絡み合って発生しているため
一概に何が原因でどうすればよい
ということはできませんが
弊社の例で申し上げますと
例えば弊社で行う新人研修では
講師の他に、サブ講師という役割の
スタッフを付けています。
このサブ講師は
例えば研修の休憩中に、挙手をしたものの
指名されなかった受講者の元へ行き
「今、頑張って手を挙げていたね。
今回は当たらなかったけど
この調子で午後も頑張って!」
と声をかけたり
あるいは姿勢を崩して受講してしまっている
受講者の元へ行き
「ちょっと疲れてきちゃったかな。
お昼の後は眠くなっちゃうけど
もうちょっと頑張ろう!」
と声をかけたりします。
すると、
怠惰気味だった受講者は
「見られている!」と意識し直してくれますし
頑張っている受講者は
「見てくれている!」と頑張りを継続してくれます。
もちろん、他にも様々な方法はあるかと思いますが
大事なのは、気にかけていることを伝える事。
ここに尽きるのではないでしょうか。
そしてこれは、研修中に限ったことではないでしょう。
普段からできる「声がけ」は
地道ではありますが、効果テキメンと
言えるかもしれません。
ぜひ出来るところから取り入れてみてください。
今週はここまでとさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
来週もよろしくお願いいたします。
追伸
ちなみに、“ある集団”の場合、
このリンゲルマン効果が起きず
全員が力を発揮しきるそうです。
その“ある集団”というのが
プロフェッショナル集団だそうです。
自らをコントロールし
パフォーマンスを100%発揮する必要がある
プロフェッショナルはさすがですね。
そのような集団に自組織も育てていきたいものです。