静かな退職は、増加すると組織に大きな悪影響を及ぼします。静かな退職を増やさないためにどのように対処すればいいかというポイントを解説していきます。
従業員のエンゲージメントや本音の把握
静かな退職を起こさないためにも、従業員のエンゲージメントや本音の把握をしましょう。
静かな退職と一時的にパフォーマンスが落ちている状態は見分けがつきづらい側面があります。ですので、従業員のエンゲージメントや本音、組織の状況を正しく把握することが重要です。
従業員や組織の状況を把握するうえでは、パルスサーベイやエンゲージメント調査も有効です。パルスサーベイは従業員個々のモチベーションやストレス状況、エンゲージメントを知ることができます。また、エンゲージメント調査は組織全体や各部署の状況を掴むことができます。
ただ、パルスサーベイやエンゲージメント調査は表面的な情報になってしまう側面もありますので、外部サービスを使った1on1やキャリア面談などと組み合わせることも有効です。
ミッション・ビジョン・バリューの浸透
ミッション・ビジョン・バリューを組織に浸透させることも、静かな退職を防ぐ上では重要なことです。「何のために働くのか」が明確になることで、働きがいが生まれ内発的動機につながります。
現代においては物質的な欲求がある程度充足する傾向にある中で、社会貢献や精神的な価値を重視する傾向は強まっています。ミッション・ビジョン・バリューを浸透させることで「何のために仕事をするのか」「何を実現するのか」「何に貢献するのか」が明確になり、内発的動機につながります。
仕事を「価値のある」「やりがいのある」ものにすることも、静かな退職を防止するためには重要になってきます。
働きがいの発見
個人の働きがいを作るということも重要です。そのためには、組織のミッション・ビジョン・バリューの浸透だけでなく、個人のミッションステートメントを創出することで内発的動機を高めることが有効です。
ミッションステートメントとは、「私たちがどんな人生を生きるか?」を文章やビジュアルとして形にしたものです。ミッションステートメントを持つことで、個人として人生で何を大切にしたいのか、その中でどんな仕事にどんな意味があるのかが明確になります。
個人にとって最も大切なものは自分の人生となりますので、個人のミッションステートメントと組織のミッション・ビジョン・バリューを紐づけることで、働く意味がより明確に強固になるでしょう。
業務範囲や成果の明確化、正当な評価制度
業務範囲や期待する成果を明確化するとともに、正当な評価制度を作ることも、静かな退職を防ぐのに有効です。個々の従業員にどんな期待をしているか、どんな業務範疇や権限なのか、どのような成果を評価するのかを明確にして、成果を正当に評価することが大切です。
このように、やるべきことや成果に対する報酬が明確になれば、目標達成のための行動計画も立てやすくなり、主体性も発揮しやすくなります。
また、人事の評価基準を明確にし、成果をあげた従業員に対して成果に見合った報酬を得られるようにすることが大切です。パフォーマンスに応じた評価が得られることで、外発的な動機付けにつながります。
なお、基準を明確にして成果創出をサポートしたうえで、成果が上がらなければ、それに見合った評価をすることも大切です。成果をあげなくても組織に残れてしまうことも静かな退職を生み出す要因となります。
ウェルビーイングの実現
ウェルビーイング向上も静かな退職の防止に大事な要素です。ウェルビーイングとは、肉体的、精神的、社会的に、満たされた状態を指します。ウェルビーイングを実現することで、従業員は健康な状態で働くことができます。
日本経済全体で右肩上がりの成長を描くことが難しくなっているなかで、報酬やポジション以外にやりがいを見出す人は増えています。貪欲に組織の成長ばかりを追い求めるよりも、従業員の心身の健康にも配慮することの大切さが増しています。
また、女性活躍が進んでいきますし、今後は介護問題なども大きくなってきますので、個々の価値観や家庭の事情などを考慮してウェルビーイングの実現をサポートする制度を整える必要があるのです。
カウンセリングや人間ドックを導入したり、休暇や手当などの福利厚生を充実させることなどが有効でしょう。
多様なキャリアパス・キャリアモデルの構築
静かな退職を防ぐには、多様なキャリアパスモデルを構築することも有効です。
従業員が現在の部署で自身のやりたい仕事がない場合、自社で将来的に希望のキャリアパスが歩めない場合、自身のやりたいことが見つけ出せない場合などに、モチベーションやエンゲージメントが下がり、静かな退職の状態になる可能性があります。
例えば、社内公募制度で望むキャリアに挑戦する機会が得られる、マネジメントとプロフェッショナルという複線的なキャリアパスを用意する、時短勤務や週3・週4日勤務のような多様な働き方を準備するなど、キャリアパス・キャリアモデルの多様化を進めることが有効です。