ドラッカーは、『マネジメント』の中で、従業員のモチベーションを引き出し、成果を出せる組織にするにはどうすればいいのかについても言及しています。
ここではいくつかのポイントに絞って紹介しましょう。
自ら決めさせ、働きがいを持たせる
成果を出すためには、自らの仕事について責任を持つ必要があります。
上からの指示を受けて機械的に仕事をこなすだけでは、仕事に対して受け身になってしまい、やりがいも感じられません。
そのことについてドラッカーは、以下のように述べています。
「働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たさなければならない」
責任を持つといっても、日本語でいう責任は「何かあった時に取らされるもの」という印象もあり、あまり前向きなイメージではないかも知れません。
しかし、ドラッカーがいう「責任」とは、英語でいう「responsibilty(response+ability」であり、対応する能力や権限があり、それに伴って生じるという前向きなものです。
ここで登場するのが、ドラッカーが生み出した目標管理制度(MBO)です。
目標管理制度では、会社の方向性と社員自らが進みたい方向性を擦り合わせ、一人ひとり目標を設定し、その達成度合いによって人事評価を行うものです。
ドラッカーはこの手法について、以下のように述べています。
「自己目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることある。自己管理は強い動機づけをもたらす。適当にこなすのではなく、最善を尽くす願望を起こさせる。したがって自己目標管理は、たとえマネジメント全体の方向づけを図り活動の統一性を実現するうえで必要ないとしても、自己管理を可能とするうえで必要とされる」
人は、自分が決めたことであれば責任を持って取り組めるようになり、やりがいも出てきます。人材の力を最大限に引き出すためには、ぜひ意識しておきたいポイントです。
強みを発揮させる
成果をあげるためには、責任を持って取り組むだけでなく、強みを最大限に生かすことも重要です。
強みを生かすことの必要性について、ドラッカーは以下のように述べています。
「人が成果を出すのは強みによってのみである」
また、組織は成果を出すための手段であるということを踏まえて、ドラッカーは組織における強み活用ということについて以下のように述べています。
「組織の目的は、人の強みを爆発させ、弱みを無くすこと」
日本の文化は、弱点克服に目がいきがちです。確かに弱点の克服は必要なことかもしれません。しかし、弱点を克服するためには強みを伸ばすのに比べると、多くの時間と労力を必要とします。
逆にいえば、同じ努力をしたとき、弱点を克服するよりも強みを伸ばすことのほうが効率がよいのです。
従って、成果を出すということを考えた場合も、弱点を無くすことに力を入れるよりも、いかに強みを最大限に発揮できるようにするのかが重要になってきます。
そして、ドラッカーは、多様な人が集まる組織だからこそ、人と人を組み合わせ協力することで、お互いの強みを活かし、弱みを無きものとすることができるといっています。
成果主義を維持するには?
組織として成果を出し続けるためには、成果がちゃんと評価される仕組みも重要です。成果主義について、ドラッカーは以下のように述べています。
「成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意思決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。それらの決定は、人間行動に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるのかを知らせる」
人事制度というのは、組織がどのような成果を求めているのかを従業員に伝える強力なコミュニケーションツールです。
公平で透明性のある人事制度を作り、制度に基づいて、成果を出している人を評価して、昇給、昇進させることで、組織としてどのような成果を求めているのかを伝えることができます。