ビジネス分野における一般常識レベルにまで普及しているPDCAですが、近年では古いと言われることもあります。その理由を紹介します。
改善に時間がかかる
PDCAが古い・遅いと言われる最大の原因が、近年のビジネスは求められるスピード感が高まっていることです。
PDCAサイクルは、一定の時間軸で取り組むことに適したフレームワークです。つまり「計画作成」するような中長期的な時間軸で運用することが前提のサイクルになっています。
そのため、「悠長に計画を作成し、実行してから検証して改善。そして次の計画を作成する、というPDCAのスピード感では、近年のビジネスについていけない」というのがPDCAサイクルは古い、という人の主張です。
確かに、PDCAは人事評価制度などをリンクして運用されることも多く、そうすると半年や1年のサイクルでまわされがちです。もし半年や1年に1回転しかしなければ、確かに現代のビジネスには付いていけない側面はあるでしょう。
新しいアイデアを生み出すのが難しい
PDCAサイクルは新しいアイデアやイノベーションを生み出すのには向かない側面もあります。
PDCAサイクルの長所は、実行して改善を繰り返すというサイクルによって、現在の延長線上で最良の結果を導き出すことです。しかし、現代はネットサービスやDXの進行により異業種が競合となったり、新サービスが一気に世界中に広がったりする時代となっています。
その中で生き残るためには、ビジネスにおけるイノベーションの重要性が増しています。イノベーションがビジネスで優先されるようになったことに伴い、改善を積み重ねていくPDCAの考え方は古いと言われることがあるわけです。
ただし、トヨタ自動車が世界に冠たる自動車メーカーとなった一因は、間違いなくその卓越した改善力です。改善が古い、無意味というわけではなく、改善と同時にイノベーションが大事になっているというニュアンスで捉えることが必要です。
運用が目的化しやすい
PDCAサイクルは、前述の通り、人事評価制度とリンクしたMBOや年間の事業計画などと連動して動かされることも多い仕組みです。
そのため、全社制度として運用するうちに、いつの間にかPDCAサイクルを回すこと自体が目的になってしまう事例も少なくありません。
PDCAサイクルを行う目的は業務を改善し、品質や生産性を向上させたり、事業を成長させたり、計画やプロジェクトを成功に導いたりすることです。しかし、全社展開して制度化すると、PDCAサイクルの計画・検証などが定型化され、運用するのに大きな労力がかかり始めます。
労力が大きくなるほど、運用が目的化し、本来の目的を見失って成果を出せないという事態に陥りがちです。