メンター制度の面談シートとは?記載すべき点と活用例を紹介

メンター制度の面談シートとは?記載すべき点と活用例を紹介

メンター制度を実施するうえで役に立つのが面談シートです。面談シートを使うことで、メンタリングの質を担保しやすくなり、実施から振り返りまでがスムーズになります。

 

記事ではメンター制度における面談シートの効果を紹介すると共に、面談シートに記載すべき項目や活用例を紹介します。

<目次>

メンター制度とは?

相手の話を聴くビジネスマン

 

メンター制度とは、社員に対して他部署の社員や管理職、経営層などを「相談役」として設定する制度です。

 

直接のレポートラインや上下関係ではない緩い関係の相手に、悩みや課題を相談することで、悩みの解消とパフォーマンス向上、成長促進や組織社会化の促進などにつながります。詳しくは下の記事で解説しています。

 

なお、一般的にメンター制度では、相談する人をメンティ、相談を受ける人をメンターと呼びます。記事内でもメンティ、メンターという表現をしていきますので、ご了承ください。

メンター制度でおすすめの面談シート

メンター制度を運用する上で、面談シートを用いるのがおススメです。

 

メンター制度は、面談の回数を重ねるにつれて話題が多岐に及び、目的が曖昧になってしまうこともあります。

 

また、限られた時間を有効に使う上でも、面談シートの事前記入を通じてメンティ自身が状況や課題を整理する、メンターに対して効率的に状況を共有することが有効です。

面談シートでメンティ・メンターが記載すること

面談シートに「こうでないといけない」という型があるわけではありません。

 

また、メンター制度を導入する目的も企業によって異なりますので、目的に応じて記載項目も変わるでしょう。

 

以下では汎用的に使える面談シートの項目を紹介します。

 

メンティが記入すること

メンティが記入することは以下のとおりです。

 

事前記入・メンター制度内で設定・取り組んでいる目標やテーマ
・前回からの実施事項や変化
・相談したい内容(新たな目標やテーマでも可)
事後記入・面談での気付きや感想
・ネクストアクション

 

はじめに、メンティが取り組んでいる目標やテーマを書いてもらいましょう。事前に記入することで相談したいテーマやゴールがメンティのなかで明確になります。

 

また、ある程度具体的に書くことでメンターへの情報共有となり面談の時間を有効に使えるようになります。

 

2回目以降は前回からの実施事項や変化を記載してもらいましょう。そして、前回から今までに新しく生まれた相談や不安、新たな目標、テーマなどを書きましょう。

 

また、面談が終わったら、気付いたことや感想を記載します。そして、面談のなかから生まれたネクストアクションを具体的に書いてください。

 

以上が一般的な項目ですが、自社に合ったように項目を増やしたりカスタマイズしたりするのがおすすめです。

 

メンターから見た面談シートの使い方

メンターはメンティが記入した面談シートを共有してもらい、それをもとに面談を実施します。面談では、面談シートに書かれていない主観的な状況や感情などを聞くことが大切です。

 

そのうえで、メンティの成長や課題に関してアドバイスやフィードバックを行ない、ネクストアクションを決めていきましょう。

面談シートの内容・項目の具体例

ここからは面談シートの内容・項目の詳細、具体例を紹介します。

  • 取り組んでいる目標やテーマ
  • 前回からの進捗と実践
  • 相談したい内容
  • 面談から得られた気付き
  • ネクストアクション

 

取り組んでいる目標やテーマ

取り組んでいる目標やテーマは、上述したとおりメンティが事前に記入します。

 

中長期的なテーマを扱って複数回面談する場合には、取り組んでいる目標やテーマに対して「どのように進捗しているか」も記入するとよいでしょう。

 

例えば、自己成長やキャリアパス、中期目標の達成、マネジメントの課題がある場合、「◯◯という資格を取得するために自己研鑽している」「売上を◯%伸ばすために生産性の向上に取り組んでいる」などです。

 

メンターはここに書かれている目標やテーマを見て、具体的なサポートを考えます。
明確化されていない場合は、対話やフィードバックを通してメンティに考えてもらうことがおすすめです。

 

前回からの進捗と実践

前回からの進捗と実践も、メンティが事前に記入します。前回決めたネクストアクションの実践状況や実施しての結果や感想を書きます。

 

加えて、取り組みテーマに関しての近況、変化なども記載しましょう。

 

ここで大事なのが本当のことを書く、という点です。

 

たとえ進捗や実践がうまくいってなかったとしても「怒られたくない」「かっこつけたい」などの気持ちで偽ったり水増ししたりすると、面談の効果性は下がってしまいます。

 

メンターもメンティがきちんと報告できるよう、二人の間で心理的安全性を築くことが大切です。

 

相談したい内容

相談したい内容もメンティが事前に記入します。冒頭に記載したテーマに関する詳細な質問、また新たな目標やテーマ、課題などがここに該当します。

 

業務に直接関わりがないことでも、そのことが心理的な不安や悩みにつながり生産性やモチベーションの低下につながっているなら相談のテーマです。

 

メンター制度における面談は、上司との業務レビューとは違います。

 

直接的に業務にかかわりがないこと、中長期的なテーマなども取り扱うテーマになります。

 

メンターもメンティがどのような相談を持ちかけてきたとしてもしっかりと受け止め、傾聴することを心がけましょう。

 

面談から得られた気付き

面談から得られた気付きは面談後にメンティが記入します。面談で何を得られたか、どのような気付きがあったかを言語化することで、メンティのなかで理解が深まります、

 

なお、面談を通じてメンティの気づきを深めるためには、メンターが適度に問いかけたりヒントを出してあげたりするとよいでしょう。

 

ただし、一方的に決めつけないことが大事です。「こうすべきだ」「こうしてはいけない」などと決めつけてはいけません。

 

メンター制度の面談はコーチングのアプローチを意識するとよいでしょう。「そう考えたのはどうして?」「なんでそのように思ったの?」「決意は固まっている?」など、メンティが自ら考えるよう促すのが大事です。

 

ネクストアクション

最後のネクストアクションも面談後にメンティが記入します。ネクストアクションに記入するのは、今後の具体目標や行動計画、実施することなどです。

 

すべての面談で明確なアクションが生まれるとは限りませんし、テーマによってはアクションプランに落とし込む必要がない場合もあるでしょう。

 

一方で、何かの変化を起こしたり成果を得たりするためには「行動」が必要であることも事実です。メンターも必要だと感じれば、行動に落とし込むことを促進しましょう。

メンター制度の実践例

面談をするビジネスマン

 

ここではメンター制度の実践例として、富国生命保険相互会社の事例を紹介します。

 

富国生命保険では、新入職員の育成と幅広い世代間交流による人的ネットワークの構築を目的としてメンター制度をスタートさせました。
制度のスタート時には、メンター・メンティの関係を構築する機会として合同研修を実施しています。

 

メンターには、研修後も電話によるコーチング研修やカウンセリングを学ぶ機会を設けさせ、毎月の活動報告書を提出することで、事務局が活動状況を把握できるようにしました。
この報告書はメンターが作成し、メンター自身の気付きと次回のメンタリングの目標を記載するものです。

 

富国生命の場合は、上述のように面談をスムーズに実施するというよりも、メンター制度の運用改善、メンター自身の整理として、メンターが活動報告書を作る形となっています。

 

なお、メンター制度の運用に際してはメンティ・メンターの双方に自己紹介シートを事前提出してもらい、出身地や趣味なども加味しながらメンターとのマッチングを行なっています。

 

現在は女性総合職にもメンター制度が浸透し、女性間のネットワークづくりにも貢献していて、新入社員の成長と同時にメンターの成長や若年層のモチベーションアップにつながっているそうです。

面談シートをメンター制度に活用しよう

面談シートを使うことで、メンティ自身が相談したい内容や状況を事前整理して、効率的に面談を実施することができます。

 

また、事後に気付きやアクションを整理してもらうことで、気づきが深まったり、アクションの実施率が向上したりします。

 

メンター制度の効果性を高める上では、メンターに対するコーチングやコミュニケーション研修と並行して、面談シートのような仕組みを導入することが効果的です。

 

面談シートの導入を検討しているようであれば、本記事の内容も参考にして、ぜひトライアルしてみてください。

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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