わかりやすい業務マニュアルのつくり方とは?|作成の5ステップとおすすめツール

更新:2022/09/02

作成:2022/09/02

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

 仕事の属人化を防いで業務運営の継続性を保つ、繁忙期の増員などをしやすくする、また、自動化などに向けて業務を標準化するうえでは、わかりやすい業務マニュアルを作成することが大切です。

 業務マニュアルを意味あるものとして役立てるためには、目的や対象者に応じたわかりやすさが大切になります。

 記事では、業務マニュアルの必要性を確認したうえで、効果的な業務マニュアルの条件や作成ステップとコツを紹介します。記事後半では、わかりやすいマニュアル作りに必要な要素とおすすめのマニュアル作成ツールも紹介します。

<目次>

業務マニュアルの必要性

 業務マニュアルは、仕事の全体像・考え方・作業の流れ・ポイントなどが記載された資料や手順書の総称です。たとえば、チームメンバー全員がベテランであり、みんなが阿吽の呼吸で連携やサポートをし合えていれば、業務マニュアルの必要性は感じられないかもしれません。

 しかし、そこに新入社員が入ってきた場合、業務マニュアルがなければ、現場では「先輩社員の仕事を見て覚えろ」のOJT教育になってしまうでしょう。また、新人の教育係が複数人いた場合、先輩によって使う用語ややり方が異なることで、新人を混乱させる問題が生じるかもしれません。

 わかりやすい業務マニュアルを作成しておけば、作業に不慣れな新入社員などでも、基本的なやり方を指導さえすれば、マニュアルを見ながら一人で仕事をこなせるようになります。また、教育や引き継ぎも効率的に行なえるため、属人化を防ぐことも可能になるでしょう。

 新入社員の受け入れに限らず、たとえば、繁忙期に他部署などの力を借りる、一時的に人を雇用する、非正規雇用のメンバーに仕事を切り出すなどの際にも、業務マニュアルは有効です。

優れた業務マニュアルの条件

業務マニュアルを閲覧する
 わかりやすい業務マニュアルを作成するには、以下のポイントを押さえておくとよいでしょう。

業務の目的やゴールが記載されている

 仕事は、覚えた手順どおりに、ただやれば良いわけではありません。各作業には、作業をやる目的や意味(何のために?)、品質などの求められる水準(何がゴールか?)があります。

 マニュアルを通して目的やゴールを把握すると、自分がやる仕事の価値を理解できるようになります。また、仕事へのやりがい、うまくできるようになる喜び・達成意欲なども生まれるでしょう。

 そして、目的やゴールを理解するからこそ、もっと良くするための工夫やイレギュラーに対する対応を考えたりすることもできるようになります。

業務の全体像を把握できる

 業務の全体像とは、全体の流れや作業工程のことです。

 たとえば、新人がOJT研修を受ける際、全体像がわからない状態で作業Aや作業Bなどの部分的な仕事を教えてもらっても、以下のような不安や違和感が生じてしまいます。

  • 今日教えてもらった作業Aは、どのような位置づけの仕事なのか?
  • いまの自分は、全体の何割ぐらいの仕事を身につけられたのか? など

 業務マニュアルにおいても同じです。目的やゴールの次に、仕事の全体像をぱっと理解できるようにしておくことで、詳細な手順の理解が早くなります。

チェックリストなど使いやすい工夫を施す

 業務マニュアルは、必ずしも自分のパソコンやタブレット端末上だけで閲覧するものではありません。また、常に頭から順番に読んでいくものでありません。

 新入社員などに業務マニュアルを見ながら教えたり、業務マニュアルを見ながら仕事を進めていったりする場合には、手順が順序だてて詳しく書かれたマニュアルが理想です。

 一方で、業務内容などによっては、チェックリストなどの形で簡略化された資料があると使いやすいでしょう。

 例えば何かの準備等であれば、業務マニュアルの巻末にチェックリストなどがついていれば、多少業務に慣れた人などは、チェックリストを見て作業する、チェックすることで抜け漏れを防いで効率的に作業することができるでしょう。

わかりやすく見やすい

 業務マニュアルは、新入社員や実際の業務を知らない人が見ても、わかりやすいことが大切です。そのため、ベテラン社員なら誰もが知る共通言語や専門用語などは、注釈や索引の形でつけておくと親切です。

 また、幅広い人が読みやすいレイアウトであることも大切です。場合によっては、パソコンの操作画面や機械などの画像があると、わかりやすいマニュアルになるでしょう。

修正や更新しやすい

 業務マニュアルは、作成して終わりではありません。実際に使った人からのフィードバックや、業務のやり方が変わったときに、修正・更新されていくものとなります。修正・更新作業をスムーズに行なうには、以下のような工夫が必要でしょう。

  • 誰もが使えるツールで作る
  • あまり凝りすぎないシンプルなフォーマットに統一する
  • 最初に更新履歴のページを作っておく など

業務マニュアルの作成ステップとコツ

 業務マニュアルの作成は、基本的に以下の流れで進めていきます。この章では、各ステップで大切にすべきコツも紹介します。

作成目的や利用対象の明確化

 業務マニュアルを作成するときには、以下のように、利用対象と作成の主目的を明確にしておくと、どこまで細かく解説する必要があるか、どの程度までが共通言語になるかなどが明確になります。結果として、途中で迷うことなく最小の手間で作成を進められるでしょう。

  • 新入社員のOJT教育
  • 業務の属人化を予防するために部門内メンバー向けに作成する
  • 繁忙期に向けて他部署の社員の手を借りる など

骨子(目次)の作成

 業務マニュアルを作成するときには、まずは目次・構成などの骨子を考えると効率的に作成できるでしょう。以下の4つを軸に、箇条書きで構成を書いていくことがおすすめです。

  • 目的
  • ゴール
  • 業務の全体像
  • 詳細手順

マニュアル作成に必要な素材(情報)の収集

 ライティング中に作業が止まらないように、必要な資料や素材は集めておきましょう。

  • 業務で使うソフトウェアやツール、機械の取扱説明書
  • 業務で使う機械の写真
  • 現場で使われているチェックシート
  • 自社の各種ガイドライン・規定集(個人情報保護・情報セキュリティ など)
  • Off‐JT研修で新入社員に配布された資料 など

各手順内容のライティング

 新入社員などでも「誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように」を理解できるようにするために、5W1Hのフレームワークなどを意識的に使うことも大切です。また、「あれ」「それ」「これ」などの指示代名詞はなるべく使わないことも大切になります。

 専門用語や難しい共通言語を初めて使うときには、注釈を必ず入れましょう。

 リリース前に業務を知らない新人や若手に読んでもらい、わかりづらい点を指摘してもらうことでブラッシュアップするやり方もおすすめです。

わかりやすいマニュアルを作るために必要な要素

フローチャート
 マニュアルをわかりやすい内容にするには、以下の要素を押さえておきましょう。

論理的でわかりやすい文章

 業務マニュアルは、作業手順や仕事のやり方などを、論理的な文章で的確に伝えることが求められます。そこで使われるのが、ロジカルシンキングやロジカルコミュニケーションという考え方です。

 結論先行で物事を伝える、因果関係(なぜそうなるか?)を適切に伝える、などの配慮をすることで、マニュアル内容がわかりやすくなります。

フローチャート

 フローチャートは、業務の流れや構造の整理・可視化に使われるものです。フローチャートを簡単につくるには、パワーポイントや無料のグラフィックツールなどを使うとよいでしょう。
 
canvaのテンプレート
 たとえば「Canva」というツールでは、このようなフローチャートのテンプレートが豊富に用意されており、誰でも簡単に作成できます。

図解や図表

 先述のとおり、混同しやすい項目の比較や、文章による説明ではイメージしづらい内容は、図解や図表を活用します。図表も、パワーポイントや無料のグラフィックツールなどを使うことで、簡単に作れるでしょう。

パソコン画面のキャプチャ

 パソコンで作業する業務システムのログインや入力手順などは、パソコン画面のキャプチャに解説をつけることで、仕事の流れや画面遷移を把握しやすくなります。使うボタンに◯印・番号・コメントをつけるのもおすすめです。

チェックリスト

 前述したように業務内容によっては、チェックリストを作成しておくことがおすすめです。チェックリストがあると、作業ミスが削減できますし、作業手順自体はわかっている人にとっても価値ある業務マニュアルとなります。

FAQの反映

 FAQとは、よくある質問のことです。各業務には、習得するなかで多くの人が感じがちな疑問や悩みがあります。そのため、OJT教育担当の先輩は、何度も同じ質問を受けていることも珍しくありません。こうしたよく受ける質問も、業務マニュアルに反映していくことで、より使い勝手のいい業務マニュアルになるでしょう。

マニュアル作成ツールのおすすめ

 業務マニュアルを効率的かつわかりやすく作るには、以下のような作成ツールを活用するのがおすすめです。本章では、それぞれの特徴を紹介します。

メモ帳

 メモ帳のアプリは、最もシンプルな文書作成ツールです。大半のタブレット端末やスマートフォン、パソコンに初期インストールされています。

 Apple製品のメモアプリの場合、比較的新しいバージョンであれば、手書きや描画、画像挿入なども可能です。一方で、Windows標準のメモ帳ソフトは、テキスト入力だけのシンプルなものになります。

 基本的にはテキストだけで作ることになりますが、最も簡単にマニュアルを作る方法です。フォーマット等も作りこむ余地がありませんので、逆に更新等もしやすくなります。手間をかけずに業務マニュアルを作るには最適です。

Word

 Wordは、Microsoft社が開発・販売する文書作成ソフトです。

 目次の挿入機能や差し込み印刷機能があるため、メモ帳よりももう一段しっかりした業務マニュアルを作成可能です。画像を差し込んだり、シンプルな図表なども挿入したりできます。

 また、変更履歴の機能を使えば、マニュアルの修正・更新の引き継ぎもスムーズに行なえるでしょう。多くのWindowsパソコンにインストールされていますので、共有や更新なども比較的容易に行うことができるでしょう。

Googleドキュメント

 Googleドキュメントは、オンライン上でドキュメント作成・編集ができるGoogleのソフトウェアです。Googleドキュメントは、クラウド上に文書を保存することで、複数人が共同で編集作業を行なえる魅力があります。

 使い勝手はWordと同じで履歴の自動保存や画像や図表の挿入も可能です。何より有料のアプリ等が必要なく、ブラウザさえあれば編集や閲覧が可能なことが魅力です。また、URLさえ共有すれば、どの端末からも閲覧できますので、その点でも使いやすいでしょう。

Googleスライド

 Googleスライドは、オンライン上で使える無料のプレゼンテーションソフトです。MicrosoftのPowerPointと比べて機能は若干限定されますが、基本的には、同じ感覚で操作できます。

 Googleスライドの魅力は、Googleドキュメントと同じくオンライン上で閲覧、複数人での共同編集、履歴の自動保存などができる点です。パワーポイントと同じスライド形式ですので、画像を豊富に使うようなマニュアルに向いています。

マニュアル作成に特化したSaaSサービス

 普段からMicrosoftのOffice製品を使い慣れている人であれば、ここまで紹介したWordやGoogleドキュメントなどで十分業務マニュアルを制作できるでしょう。

 ただ、個人や組織でさらに業務マニュアルを作りこみたいという場合には、マニュアルの制作に特化したSaaSサービスもありますので、ニーズに合うものがあるか見てみてもよいでしょう。

 SaaSサービスには、無料と有料のものがあります。有料のものは機能が豊富で使い勝手も良いですが、対象人数が増えていった場合などにかなり高額になってくる場合もあります。欲しい機能や将来性なども考えたうえで、サービスの比較検討、導入可否を決めるとよいでしょう。

まとめ

 業務マニュアルは、新人からベテランまでの全メンバーが、同じ価値観・認識で仕事を進めるうえで欠かせないものです。業務マニュアルは、新入社員のOJT教育から業務の引き継ぎ、業務効率化などのさまざまなシーンで活用できるものとなります。

 業務マニュアルの作成では、以下を満たすわかりやすいものを作ることが大切です。

  • 業務の全体像をすぐに把握できる
  • 目的や理由、ゴールが記載されている
  • チェックリストなど使いやすい工夫がある
  • わかりやすく見やすい
  • 修正や更新がしやすい

 業務マニュアルを作るときには、以下のステップで作業を進めていきましょう。

  • 作成目的や利用対象の明確化
  • 骨子(目次)の作成
  • マニュアル作成に必要な素材(情報)の収集
  • 各手順内容のライティング
  • 図解や図表などの作成

 わかりやすい業務マニュアルをつくることは、業務内容を整理して、また、手順を標準化することになります。仕事を振り返る機会にもなりますので、ぜひ取り組んでみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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