JFKの遺産
今回の記事は、11月22日に原稿を書いていますが、
皆様は、この日が何の日かご存知ですか?
…
私は、今日より遡ることちょうど1カ月前の10月22日、
アメリカ発の、あるニュースに注目しました。
“米バイデン政権、ケネディ暗殺文書の全面公開を延期”
1963年11月22日、
第35代アメリカ合衆国大統領ジョン・F・ケネディは、
テキサス州ダラスを遊説中に暗殺されました。
この事件は、現役の、しかも史上最も若く注目を集めた大統領の
暗殺というだけでもショッキングな出来事でしたが、
実行犯が事件後何者かに殺されてしまい、犯行動機も不明のまま、
また目撃証言や検分により、組織的な犯行の可能性が指摘されつつ、
やや強引とも言えるような幕引きで様々な疑惑を残しました。
アメリカ政府はその機密文書の公開を決めていたのですが、
前大統領のトランプさんに続いて、バイデン政権もやはり、
その全面公開の延期を決定したのです。
…
学生時代に、ケネディ大統領暗殺に深く切り込んだ映画、
「JFK」(1991年製作 ワーナー・ブラザーズ配給)を観て以来、
この事件の謎に注目していたのでとっても残念です…。
そんなケネディ大統領ですが、もし生きていれば歴史が大きく
変わっていたといわれています。
「キューバ危機」という事件はご存知でしょうか?
暗殺事件の前年、1962年10月14日、
ソ連(現在のロシア)はキューバにミサイル基地を建設します。
キューバへの弾道ミサイルの設置は、すなわち、アメリカ全土を
その射程に捉えることを意味していました。
当時、冷戦中で外交手段のない、敵性国家の挑発に対して、
ケネディは「国家安全保障会議執行委員会(ExComm:エクスコム)」
を招集し対策の検討を主導します。
予期せぬ出来事や不確実性の高い事態に対して、
各部門の執行責任者を招集し対策を練るのは国も企業も同じですね。
しかし、ケネディ大統領が秀逸だったのは、
この会議に徹底した民主制と公平性を求め、演出した点です。
最終意思決定者への忖度や、大勢に依拠しやすい集団心理、
組織内の上下関係や声の大きさ、凝り固まった価値観などなど…、
集団の意思決定には多くの問題や障害が付きまとうものですし、
施政者には、遠くの小さな声よりも近くの大きな声が聞こえ易いもの。
驚くことにケネディ自身は、この会議には最低限の出席としつつ、
外交や軍事の専門家だけでなく、キューバ事情に詳しい商社マンや、
果ては、ポーカーの名手なども会議に招集したそうです。
結果としては、ケネディ大統領はキューバ危機を打開し、
民衆はこれを支持、ベトナム戦争等への反戦ムードも高まります。
ともすると、これらの成果が軍部や軍事産業の不興を買い、
ある種の政治的陰謀がうごめいたとも……真相は未だ闇の中です。
「マネジメントとは“遠くの声を聴くこと”である」
史上もっとも若くして大統領に就任したアメリカ大統領は、
就任演説の際に、こう言いました。
“国があなたの為に何をしてくれるかではなく、
あなたが国の為に何ができるかを考えてほしい”
従来の価値観に拘泥せず、権力におもねるのでもなく、
集団の心理に依存するでもなく、主体的に考え、発想すること。
ケネディ大統領はそういった市井の声を拾い、聴き分けられる、
そんな政治家たることを目指していたのかもしれませんね。
教育事業部様は、いかがお思いですか?
ちなみに、キューバ危機の緊迫の13日間を題材にした映画、
「13デイズ」(2000年製作 日本ヘラルド映画配給)も、
とても重厚な見ごたえのある良い映画ですよ。