
中途の人材紹介(転職エージェント)は、先述のとおり、工数がかからないうえに、自社に合う中途人材との定性的なマッチングをしてくれるサービスです。しかし、求人企業のスタンスや使い方によっては、うまくメリットが得られないことがあるかもしれません。人材紹介の効果を最大限に引き出すために、求人企業側が知っておくと良いポイントを解説します。
1.採用への意欲(採用人数と納期)を明確にする
中途人材紹介の効果性を高めるうえで最も重要なのは、人材紹介会社に注力してもらうことです。そのために必要なのが、採用への意欲(採用人数と納期)を明確に示すことです。
たとえば、「営業人材を採用したい」という目的で、以下の2社が同時期に中途人材紹介サービスに相談をしたと仮定します。
- A社:「今年の6月リリースの新製品発表に向けて、5人の営業人材を獲得したい」
- B社:「営業を増強したいが、人数・納期は未定。良い人がいれば採りたい」
中途人材紹介のエージェント側からすると、「6月までに5人」という採用計画が明確なA社に注力することが自然な流れです。一方で、B社のように「採れれば採りたい」という話の場合、採用基準も曖昧かつ高くなりがちですし、土壇場で採用しなくなる、といったリスクもあるでしょう。
中途人材紹介会社の視点で考えれば、内定につながらなければ成功報酬も入ってこないため、担当者のモチベーションも上がらなくなってしまいます。紹介会社やエージェントに注力してもらうには、採用人数と納期を明確にして依頼することが有効です。
2.自社の特徴や魅力などの要点を多く伝える
中途人材紹介の効果を最大限に引き出すには、エージェントに自社のファンになってもらうことも大切です。前節では、ビジネスとして注力してもらうというポイントを説明しましたが、次は心理的な視点にフォーカスします。
エージェントが自社のファンになるとは、「この企業はいい会社だから求職者に紹介したい!」と感じてもらうことです。定量的、また、定性的な部分の両面で、紹介会社の担当者に自社の魅力をしっかりと伝えることが大切になります。
エージェントに伝えた魅力は、自社へのエントリーを悩む求職者の背中を押すことに役立てられるでしょう。
3.営業やキャリアアドバイザーと関係構築する
登録型の中途人材紹介会社は、その多くが分業型と呼ばれ、以下2つの職種で企業接点と求職者接点を分業しています。
- RA(リクルーティングアドバイザー):求人企業を担当
- CA(キャリアアドバイザー):求職者を担当
なお、登録型のなかにも、RAとCAを兼務する一気通貫型・両面型と呼ばれる仕組みの中途人材紹介会社もあります。
いずれにしても、人材紹介を使った採用活動を成功させるには、RAやCAに自社のファンになってもらうことが理想です。
一気通貫型・両面型の場合には、RAが求職者とも接点を持つため、RAにしっかりと魅力を伝えればスムーズです。一方で分業型の場合には、求職者を担当するCAに自社の魅力を伝えることが大切になります。場合によっては、CAに対して企業紹介するような時間を作ってもらうことも有効でしょう。
4.適切な採用要件を設定する
たとえば、認知度や際立った魅力のない中小企業やベンチャー企業が、以下の厳しい採用要件を設定したと仮定します。
- 早慶上智レベルの大学出身
- SaaSサービスの法人営業経験者
- マネジメント経験がある
- 年収は500万円以下 など
上記の全要件を満たす中途人材は殆ど見つからないでしょうし、見つかったとしても企業の認知度や魅力が低い時点で、応募につながる可能性はそう高くありません。そして、このように応募意思を獲得しにくい求人になると、CA(キャリアアドバイザー)やエージェント側で、求人の優先度が下がっていきます。
だからこそ、人材紹介会社やエージェントに依頼する際には、自社の採用力・外見的な魅力度、採用市場の相場観をすり合わせて、現実的な採用要件を設定することが大切です。特に最初のうちは、定量的な基準は少し甘めにして、下記のフィードバックを通じて定性的な要件をすり合わせていくことをおすすめします。
5.スピーディーかつ丁寧にフィードバックする
中途人材紹介会社を使って採用する場合、面接の合否、同時に面接や求職者とのやり取りで感じた評価ポイントやNG理由などを担当者にスピーディーに共有することが有効です。
- 求職者のスキルは申し分ないが、行動特性や価値観が少し合わなかった(次回は◯◯も含めた要件で探してほしい……)
- 30代2人に内定を出したので、次回以降の3人は若手を湯煎したい
- 語学力はもちろんのこと、海外留学もしくは赴任経験があったほうが、自社のニーズにマッチするかもしれない など
採用要件には、必ず定性的な部分が含まれてきます。その定性的なポイントをしっかりとフィードバックすることで、エージェント側も推薦しやすくなるでしょう。
なお、スピーディーさという点では、選考に付随する以下のコミュニケーションを迅速に行なうことも大切です。
- 推薦をもらった後、面接するかどうかの意思決定
- 面接の日程調整
- 面接後の合否決定 など
6.担当者を通じて求職者の本音をヒアリングする
面接で自社の魅了付けをするには、求職者の不安やニーズなどの本音を知ることが大切です。しかし、多くの求職者は、企業の人事担当者や面接官には本音を言わない傾向があります。
そのため、求職者の本音が知りたい場合は、人材紹介会社を利用して、CA(キャリアアドバイザー)などから以下のような情報をヒアリングしてもらうことが大切です。
- ほかに応募中の企業はありますか?
- 入社するうえで懸念に思っている点はありますか?
- 志望順位はどうなっていますか? など
担当者を通じて上記の質問の答えが得られたら、次の面接や内定者フォローでその不安や悩みを解消していくことが大切になります。
7.むやみな価格交渉は避ける
人材紹介会社の担当者は、売上を目標としているため、たとえば、以下のようなA社とB社を比べた場合、A社を優先して求職者に紹介したいと思う心理が働くことは否めません。
- A社:料率40%で契約(価格交渉なし)
- B社:料率25%で契約(強引な価格交渉あり)
価格交渉をしてはいけないわけではありません。ただし、人材紹介会社が持つ優先順位の決定ロジックも把握したうえで、自社求人の紹介しやすさ、求人としての魅力度なども踏まえて、価格交渉すべきか否かを検討することが必要です。
なお、以下の条件に該当する求人の場合、ある程度の価格交渉は有効でしょう。
- 大量採用である
- 内定が出やすい求人である
- 紹介しやすい魅力的な求人内容である など