
マルチタスクの例として、前章では営業の事例をあげましたが、「あれぐらいのマルチタスクは自分もやっている」と思う方も多いのではないでしょうか。仕事において一定のマルチタスクは誰にでも生じるものです。マルチタスク状態で生産性を高めるためには、以下のコツを押さえることがおすすめです。
“いま”取り組んでいる業務に集中する
たとえば、資料作成の合間に問い合わせメールへの返信を書き、気がついたときに新人のOJT指導をして、再び資料作成に戻る……のような進め方をしていると、それぞれの仕事の集中力やスピードが低下してしまいます。
マルチタスクのなかで仕事の質やスピードを上げていくには、「シングルタスクを切り替えていく」イメージで進めるのがおすすめです。
- 13時~15時 :展示会の資料作成
- 15時~16時 :問い合わせメールへの返信を一気にやる
- 16時~ :新人のOJT指導をする など
大切なのは、“いまこの瞬間”の業務に集中すること、集中できる状態を作ることになります。
適度な休憩をとる
マルチタスクをしていると、あれこれ考えることが多すぎて、いわゆる“脳疲労”の状態に陥り、集中力や注意力などが低下しがちです。
なお、人間の集中力は90分が限界であり、また、集中力の波は15分周期ともいわれています。そのため、マルチタスクの効果を最大化するには、いまの90分周期を意識しながら、適度な休憩をとることも大切です。
休憩をとる時間的余裕がないときには、デスクから離れて少し身体を動かすだけでも、脳疲労などから回復しやすくなるでしょう。
集中力の傾向などを把握して生かす
マルチタスクの効果を高めるには、自分の集中力の傾向を知り、時間帯によってやる仕事を変えるのも一つです。たとえば、朝型であれば、朝~午前に思考系の業務、日中はミーティングや作業を入れるなどもよいでしょう。
なお、時間帯の傾向には、個人差があります。たとえば、低血圧の人の場合、「朝はどうしても思考が回らない」ということもあるでしょう。まずは、いろいろことを試しながら振り返りを行ない、「作業Aは朝に向いている」など、自分なりの法則や最適なやり方を見つけていくとよいでしょう。
関連する業務はまとめて対応する
マルチタスクを効率よく進めるには、関連する業務をグループ化したうえで、それぞれをまとめて対応するのがおすすめです。
たとえば、客先に持っていく請求書・見積書などの書類も、“気がついたときに都度発行”よりも、“一日分をまとめて発行する”のほうが効率的なことが多いでしょう。
また、メールの確認・返信も、大事な資料作成中に都度チェックするのではなく、お客様などに迷惑がかからない範囲内で“1時間に1回”や“30分に1回”などのルールをつくったほうが、業務効率化につながりやすくなります。
タスク管理力を高める
マルチタスクに対応していくためには、まず、「自分がどのようなタスクを抱えているか?」をきちんと管理することが大切です。
タスク管理の最も基本となることは、タスクの一元管理です。繰り返しですが、1ヵ所ですべてのタスクを管理して、自分のタスクを一覧できる状態にしましょう。
抜け漏れを防ぐためには、会議やメール、電話などを通じてタスクが発生したら、必ずタスク管理の場所に書き込むことも大切です。
書き込んだうえで、タスク一覧に対して優先順位をつけて、前述したようなスケジュールへの効率的な入れ方を考えたうえで、スケジュールに当てはめて実行していきましょう。
最近は、デジタルのタスク管理ツールも増えています。
タスク管理ツールのなかには、タスクの可視化や優先順位付けが可能になるほかに、メンバーとの情報共有に使えるものもあります。一方で、紙のタスク管理にも、いくつかの良さがあります。自分に適したやり方を見つけて、うまく運用していきましょう。
適切な優先順位を付ける
マルチタスクを効果的に実施していくためには、タスクに適切な優先順位をつけていくことが求められます。
タスクの優先順位は、「時間管理のマトリックス」の考え方に基づいて、“緊急性”と“重要度”の2軸で考えることが効果的です。そして、タスクの優先順位を見極めたうえで、各タスクの所要時間などをかけ合わせて、具体的なスケジュールに落とし込んでいきます。
兼任を減らす
マルチタスクはある程度は必然的に生じるものですが、マルチタスクの範囲が広くなりすぎると、どうしても集中力が分散して、生産性が落ちてしまいがちです。
マルチタスクのデメリットやリスクを考えると、組織においては、なるべく兼務などが生じないようにするべきでしょう。
ただし、組織の成長過程などでは、どうしても兼務が必要になることもあります。しかし、マルチタスクの難しさを考えると、成長過程での兼務は一時的になるようにきちんと手を打っていくことが大切です。