アイスブレイクは、場の雰囲気を和ませたり、相手との関係づくりを進めたりするコミュニケーション方法の一つです。職場や学校、ワークショップ、歓迎会など、さまざまな場で活用されていますが、ビジネスシーンにおいても有効なスキルです。
記事では、アイスブレイクの効果とともに、会議や研修で使えるアイスブレイクのおすすめネタ10選と実施の注意点を解説します。
<目次>
アイスブレイクとは?
アイスブレイクとは、初めて会う人同士や会議の場における緊張を緩和し、コミュニケーションをスムーズにする手法です。緊張感や堅苦しい雰囲気をアイス(氷)に例え、その状況を和らげる・壊す(ブレーキング)という意味で、「アイスブレイク」と呼ばれています。
ビジネスシーンにおいては、商談で使うトーク手法として有名ですが、会議・研修においてもアイスブレイクの活用は有効です。この記事では、会議や研修で使えるアイスブレイクの手法を紹介します。
会議や研修におけるアイスブレイクは、参加者の不安や緊張をほぐし、生産性を高めるのが主な目的です。会議や研修などの冒頭5~10分程度で近況報告や自己紹介、場を和ませるゲームなどを行なうことで場の雰囲気をやわらげ、発言しやすい空気を作り、意見や提案しやすくします。
なお、アイスブレイクの効果を得るためには会議や研修、参加者の人数に適したゲームを実施する必要がありますし、同じネタだけを繰り返しているとマンネリ化してしまいますので、いくつかのネタを場に応じて使い分けられるようにしておくことが大切です。
アイスブレイクの効果
会議や研修において「アイスブレイクの時間がもったいない」と考える人も多いですが、適切なアイスブレイクを実施することで会議や研修の生産性を高めることが可能です。
生産性を高める具体的な効果は、以下の4つです。
会議や研修前の緊張感を和らげる
初めて会う人やあまり話したことのない人との会議や研修では、緊張感やけん制的な雰囲気が生じて、なかなか議論が進まなかったり、意見が出にくかったりする場合があります。会議や研修の本題からはいったん離れて、アイスブレイクを実施することで、緊張を和らげることが可能です。
会議参加者の相互理解を深める
会議や研修において決められた時間内で高い成果を生み出すには、相互理解と心理的安全性が重要です。場の緊張感と類似しますが、相互理解と心理的安全性があってこそ、参加者は本音を喋ったり、提案したりしやすくなります。
心理的安全性がない場では、初歩的な質問をしたり、懸念を表明したりすることが困難になります。結果として、表面的で浅い意見交換になってしまったり、すれ違いが解消されないまま会議が終わってしまったりするリスクがあります。
積極的な発言を促す
アイスブレイクをすることは、物理的に「喋る」ことで口が滑らかに動きやすくなる(発言することに慣れる)効果もあります。また、アイスブレイクでリラックスした状態で会議や研修に臨むことで、柔軟な発想やアイデアも出しやすくなるでしょう。
チームビルディングに役立つ
研修でグループワーク等を行なう場合には、参加者同士でコミュニケーションを取って、真剣かつ和やかに研修に参加してもらう必要があります。しかし、研修などでのチームはその場で組まれたチームとなるため、どうしても始めは雰囲気が硬くなってしまうものです。
そのため、はじめにアイスブレイクで相互理解を深め、チームビルディングすることで、研修本番を良いチーム状態でスタートさせ、研修効果を高めることができます。
アイスブレイクのおすすめネタ10選
アイスブレイクのネタやゲームにはさまざまな種類がありますので、会議や研修の場面、参加者の人数等によって使い分けるのが効果的です。本章では会議で使いやすいおすすめネタと、研修で使いやすいおすすめテーマをそれぞれご紹介します。
会議などでも使いやすいアイスブレイク
GOOD&NEWは、直近(24時間や数日以内)にあった愉快なことやうれしいこと、新しい発見等を発表するというアイスブレイクです。発表する内容はどんなに些細なことでも良く、仕事だけでなくプライベートでもOKです。
参加者の価値観やプライベートを手軽に知ることができます。また、ポジティブな内容だけを発表するため、ゲームが終わったあとも前向きな気持ちで会議に入れます。
<適正人数>
1グループ2~6人
<やり方>
1. 2~6人のグループに分かれる
2. 直近で起こった楽しいことやうれしいことを順番に発表していく
3. 他のメンバーは一緒に喜んだり、お祝いの言葉を言ったりして反応する
4. 全員の発表が終わったら終了
好きな〇〇は会議の主催者もしくは司会者が「好きな〇〇」というお題を出し、お題に沿って1人1分程度で「好きな〇〇とその理由」を発表していきます。
コミュニケーションのきっかけになったり、共通点を見つけることで親近感がわきやすくなったりします。
なお、研修などであれば、前の人が言った発表を復唱してから自分の発表をしていくといった形にすると、ゲーム的な要素も出て盛り上がります。
<適正人数>
1グループ4~8人
<やり方>
1. 4~8人のグループに分かれる
2. お互いの顔が見えるように座って、お題に沿って1人目が好きな〇〇を発表する(お題例:好きな食べ物 発表例:「私は焼肉が好きです。最近行ったのは……」。研修等で暗記する形式でやる場合は「焼き肉が好きな〇〇です。特に〇〇が好きです」くらいに短くとどめます。)
3. 順番に自分の発表をしていく(暗記式でゲーム形式にやる場合には、「焼肉が好きな××さんの隣にいる、カレーが好きな○○です」といった形で、1人目からの自己紹介をすべて暗唱していくイメージです。)
自己紹介する際に、最近楽しかった〇〇を発表するというアイスブレイク。GOOD&NEWや好きな〇〇と似た内容ですが、少し範囲を限定するようなイメージです。
GOOD&NEWと同じように、相手のプライベートなどが垣間見えますし、前向きな状態で会議に入れます。
<適正人数>
2~8人
<やり方>
1. 2~8人のグループに分かれる
2. 自己紹介と一緒に最近楽しかったことを順番に発表していく
3. 他のメンバーは一緒に笑ったり、コメントを言ったりして反応する
4. 全員の発表が終わったら終了
研修などでおすすめのアイスブレイク
自己紹介をする際にサイコロを振り、出た面に書かれた質問に答えるというアイスブレイクです。サイコロを振るまで答えるべき質問がわからないため、ありがちな自己紹介も大いに盛り上がります。
<適正人数>
4~8人
<やり方>
1. 4~8人のグループに分かれる
2. 自己紹介をする際にサイコロを振り、自己紹介と一緒に答えていく
3. 他のメンバーは一緒に笑ったり、コメントを言ったりして反応する
4. 全員の発表が終わったら終了
他己紹介は、ペアになった相手のことを紹介するというアイスブレイクです。相手のことを紹介するためには、はじめに相手をインタビューして、特徴的なポイントや要素を知る必要があります。
さらにそれをグループ等に発表することで、インタビューした人は紹介相手のことを深く覚えるとともに、普通の自己紹介とは異なる角度で紹介が行なわれます。参加者全員がほかの人から紹介されますので、初対面の人同士でも盛り上がります。
<適正人数>
2人(他己紹介のペア)
<やり方>
1. 2人ずつのペアに分かれる(奇数の場合は講師やスタッフがペアを組む)
2. ペアの相手に3~5分ほどインタビューを実施(名前、仕事、出身、趣味など……)
3. チーム全員がインタビューを終えたら、インタビュー相手を1人ずつ紹介していく
進行役に続いてじゃんけんを行ない、事前に指定されたあいこ、勝ち、負けになるものを出すというゲームです。通常のじゃんけんとは異なり、勝ち負けは関係なく、指示通りになかなか出せない困難さに楽しさがあります。「発見」や「知っていてもできない」といった点から研修本番につなげていくと有効です。
<適正人数>
特になし
<やり方>
1. 進行役はあいこ、勝ち、負けの指示を出す
2. 進行役は「じゃんけんポン」のリズムでグー、チョキ、パーのいずれかを出す
3. 参加者も続いて「ポン」と言いながら指示通りのものを出す
4. これを数回繰り返す
5. 進行役は指示を変え、再度あと出しじゃんけんを行なう
マシュマロチャレンジは、乾燥パスタとマシュマロでタワーを作り、いちばん高いタワーを作ったチームが勝ちというゲームです。マスキングテープやひも、はさみを使ったチーム戦になるため短くても30分ほどかかりますが、PDCAサイクルを回す練習やチームビルディングに効果的です。
<適正人数>
1グループ3~6人
<やり方>
1. チームに分かれ作戦を考える
2. 乾燥パスタ、マスキングテープ、ひも、はさみを使ってタワーを組立る
3. タワーの上にマシュマロを置く
4. 各チームの高さを測定し、いちばん高いチームが優勝
2人1組のペアになり、相手と自分の共通点を「制限時間内になるべく多く」もしくは「なるべく早く〇個見つける」というゲーム。通常の自己紹介以上に相手を深く知る必要があるため、相手との距離がグッと縮まります。
<適正人数>
1ペア2人
<やり方>
1. 2人1組でペアになる
2. 自己紹介をしたうえでコミュニケーションを取り、「制限時間内でお互いの共通点をなるべく多く見つける」もしくは「お互いの共通点を〇個見つけた時点で座る」
3. 終了後に1位ペアに共通点を発表してもらうなどしても盛り上がります
4~5人のグループで1人がメンバーに向けて自己紹介を行ない、それを聞いたメンバーがその場であだ名を決めるというゲームです。あだ名を決めるには具体的な情報を聞き出す必要があるため、コミュニケーション力が養われます。また、ほかの人の名前を憶えやすくなるほか、親しみも感じやすくなるでしょう。
<適正人数>
1グループ4~5人
<やり方>
1. 4~5人のグループに分かれる
2. メンバーに向けて1人が具体的な自己紹介を行なう
3. 自己紹介を聞いたメンバーはその場であだ名を決める
4. 決めたあだ名を紙に書き、見えるところに貼っておく
5. グループ全員で同じことを行なう
連想ゲームは、テーマに対して連想するものを紙に書き出し、同じものを書いた人が多いほど高得点になるというゲーム。紙とペンがあれば簡単にできるので、研修前のアイスブレーキングとしてよく利用されています。
<適正人数>
10人程度
<やり方>
1. 主催者もしくは司会者がテーマを提示する(例:「ランチと聞いて思い浮かぶもの」)
2. 参加者はテーマから連想されるものを紙に書く
3. 全員が書き終わったら一斉に見せる
4. 同じものを書いた人1人につき1ポイントでカウントする
5. 同じことを何度か繰り返す
6. 最終的に最もポイントが多かった人が勝ち
アイスブレイクを行なう際の注意点
アイスブレーキングにはさまざまな効果が期待できますが、何も考えずに実施するとただのお遊びになってしまう可能性もあるので注意が必要です。の効果を高めるためアイスブレイクにも、ぜひ以下の3つを意識してみてください。
目的を明確にする
アイスブレイク、特にゲーム形式のものは内容によってはかなり盛り上がることもあります。ただ、アイスブレイクする本来の目的は会議や研修の生産性を高めることです。
アイスブレイクで緊張が和らいだとしても、会議や研修がゲームの延長線上になってしまえば、逆に生産性が下がってしまいます。また、アイスブレイクは雑談の時間にもなりやすいので、しっかりと時間等も意識したうえで実施しましょう。
全員が参加できる内容を選ぶ
アイスブレイクは全員参加することが大事です。複数のグループに分かれるようなゲームであっても、その場にいる全員が参加しなければ意味がありません。また、特定の人しかわからないネタを選んでしまうと他の人が参加できなくなってしまうので、全員が参加しやすいネタを選ぶことが大切です。
時間を決める
会議のアイスブレイクは5~10分程度、研修であれば場合によりますが10~30分程度で行なうことが一般的ですが、アイスブレイクの時間が長引くと場の空気がマンネリ化して、会議や研修の生産性を下げてしまう可能性があります。
アイスブレイクは短時間でバッと盛り上げて雰囲気をつくる。和やかな雰囲気は残しながら、会議や研修の本題に意識を切り替える、という進行が理想です。しっかりと時間を決め、ダラダラと長引かないように注意しましょう。
「アイスブレイク」に関してよくある質問
Q.「アイスブレイクの例題は?」
アイスブレイクの例題は下記が代表的です。
- 「good&new」
- 「他己紹介」
- 「共通点探し」
- 「好きな○○は?」
上記の例題は記事内で解説していますので、ぜひご覧ください。
Q.「アイスブレイクの意義は?」
アイスブレイクの意義は、「初めて会う人同士や会議の場における緊張を緩和し、コミュニケーションをスムーズにする手法」です。
Q.「アイスブレイクの重要性は?」
アイスブレイクの重要性は、主に下記の内容です。
- 生産性の向上
- 緊張感/強張った雰囲気の緩和
- 参加者同士の相互理解
アイスブレイクをうまく活用することで、会議/研修全体の生産性アップが期待できます。
まとめ
会議や研修におけるアイスブレイクは参加者の不安や緊張をほぐし、相互理解を深めることが可能です。またチームビルディングにも役立つため、会議や研修の生産性アップにつながります。
ただし、アイスブレイクがただの遊びにならないように、会議や研修、参加者の特性などに適したネタを選ぶことが大切です。多くのネタを持っておき、場面に応じて適切なネタを使い分けていくようにしましょう。