コンピテンシーとは?意味や組織導入のメリット・注意点を解説

更新:2022/08/05

作成:2022/08/03

コンピテンシーとは?意味や組織導入のメリット、注意点を解説

コンピテンシーとは優れたパフォーマンスを生み出す社員に共通する行動特性を指します。

ビジネス場面においては、コンピテンシー採用やコンピテンシー評価などの形で、二、三十年前からコンピテンシーの概念は広がっています。

 

記事では、コンピテンシーの基本的な意味から、導入のメリットや注意点などを解説します。

<目次>

コンピテンシーの意味やスキルとの違い

コンピテンシーとは?

コンピテンシーとは優れたパフォーマンスを生み出す社員に共通する行動特性を指します。行動とつながるコンピテンシーを特定することで、人材育成や採用に生かせると考えられています。

 

コンピテンシーを活用するためには、職務や役割ごとに、パフォーマンスの高い社員の行動特性を特定するコンピテンシー分析を行って、自社(特定部署や職種)のコンピテンシーを明らかにします。

 

「普段どのようなこと意識しているのか」「行動理由は何なのか」など思考も分析の対象となります。
後述しますが、コンピテンシーの考え方を採用や人材開発に導入して活用するためには、行動特性だけでなく、行動特性の裏側にある性格特性や動機が重要になります。

 

コンピテンシーとスキルの違い

スキルは社員一人ひとりが持つ、能力や技術を指します。コンピテンシーはスキルのような技術や能力ではなく、行動パターンを指します。

 

具体的なイメージでいうと、“業界や職種の専門知識“、”特定の資格“、”商談能力“などがスキルなのに対して、 “タスクにすぐ取りかかる、連絡にすぐ対応するフットワークの軽さ”がコンピテンシーです。

 

スキルとは異なり、コンピテンシーはある意味、意識すれば誰でもできる行動になりますが、それを習慣として無意識のレベルで実施しているところに高い業績者の秘密があります。

 

多くの場合、持っているスキルを高い成果に結びつけるためにはコンピテンシーが必要となります。

だからこそ、入り口で高い成果を上げるためのコンピテンシーを持った人を採用する、そして、能力開発を通じて、一人ひとりのスキルを高めて発揮してもらえるようにすることが大切になります。

コンピテンシーの派生語の意味と関係性

コア・コンピテンシー(コア・コンピタンス)とは

コア・コンピテンシーは企業の核となる技術や能力を指し、他社にはマネできない独自の技術やビジネスプロセス、組織風土などが該当します。

コンピテンシーは、個人を対象にした言葉なのに対し、コア・コンピテンシーは組織を対象にした言葉となります。

 

組織が社会や顧客に優れたサービスを提供して、競合に対して打ち勝てる要因がコア・コンピテンシーであり、組織内の個人が優れた成果を生み出すための力がコンピテンシーです。

コンピテンシー・モデルとは?

“行動特性”全般を意味するコンピテンシーに対して職務や役割ごとにハイパフォーマーの行動特性を分析して、“該当業務で優れた成果を出すためのコンピテンシー一覧“としてまとめたものがコンピテンシー・モデルです。

 

コンピテンシー・モデルを作成して、そこに対して行動レベル等を設定して、評価項目や評価基準としてまとめることで、採用や人事評価、人材開発に活用できるようになります。

コンピテンシーが生まれた背景

コンピテンシーは1970年代にアメリカで生まれた概念です。ハーバード大学のマクレランド教授の研究によって次のことが明らかになりました。

 

  • パフォーマンスと学歴・知能には、あまり相関性がない。
  • パフォーマンスの高い人は特有の行動をしており、特有の行動に結びつく性格や思考パターン、動機などの要素にも共通した特徴がある。

 

マクレランド教授のこうした研究結果から、優れた成果を生み出す要素としてコンピテンシーの概念が使えると考えられ、採用や人事評価などの場で使われるようになりました。

コンピテンシーの活用シーン

  • 採用
  • 人事評価
  • 人材育成

組織におけるコンピテンシー概念は、大きく3つの分野で利用されます。

採用

コンピテンシーがまず利用されるのは採用シーンです。採用活動のゴールは、自社で定着し活躍してくれる人を採用することです。

 

コンピテンシーの考え方は、自社で活躍する人を見極めるために使えると考えられ、一時期採用面接にコンピテンシー面接を取り入れる企業や自治体が増えました。

 

採用する際に、重要なのは、採用したい人物像・採用基準を明確にすること、かつ、面接内できちんと採用基準に合わせて見極めることです。

 

コンピテンシー・モデルをきちんと採用基準へと落とし込むと同時に、面接で成果を上げたエピソードや挫折を乗り越えたエピソードを深掘りして、業務での行動特性をヒアリングしましょう。

コンピテンシーを確認する質問事項を用意しておくことで、求職者のコンピテンシーが把握でき、本質を見極めやすくなります。

 

なお、コンピテンシー面接は、ビジネス経験がある人を対象としたキャリア面接ではある程度有効です。しかし、新卒採用のように、ビジネス経験がないポテンシャル採用をするうえでは実施の難易度が高いとされています。

人事評価

コンピテンシーは人事評価でも活用できます。コンピテンシー評価では、職務や役割ごとに、ハイパフォーマーの行動特性を洗い出し、コンピテンシー項目を設定します。

評価の基準は、各コンピテンシー項目で、どこまでハイパフォーマーの基準に近づけたかどうかです。

 

一方で、コンピテンシーは定性的に表現される行動特性となるため、定量的にレベルを評価することが難しい側面があります。
したがって、成果指標やKPIなどを用いた評価と組み合わせて、次の人材育成とも連携させた補助的な評価として活用されていることが多くなります。

人材育成

コンピテンシーは、人材育成にも活用されます。ハイパフォーマーの行動特性を示し、社員一人ひとりが自身とのギャップを認識し、改善すべく行動することで成長が促進されます。

 

コンピテンシーは“行動特性”という通り、具体的な行動をイメージしやすいため、模倣・実践しやすく、人材育成に有効だと考えられてきました。

ただし、行動の素になるのは、価値観や性格特性、動機であり、自分の性格特性に合わない行動を継続・定着させることは難しいという課題もあります。また、ハイパフォーマーの成功モデルが必ずしも一つとは限りません。

 

したがって、先端的な人材育成では、定量的な特性分析等を通じて複数のコンピテンシー・モデル(活躍モデル)を形成して、自分の強みや性格特性に合った活躍モデルを目指して成長を促すというやり方が導入されています。

組織にコンピテンシー概念を導入するメリット

コ ンピテンシーとは?意味や組織導入のメリット、注意点を解説

  • 社員に求める行動特性を明示できる
  • 情意や能力評価がブレにくくなる
  • 社員のパフォーマンス向上が期待できる

組織にコンピテンシー概念を導入するメリットはおもに、次の3つです。

社員に求める行動特性を明示できる

コンピテンシーを導入する際には、前述したようにハイパフォーマー分析を通じて優れた成果を上げるためのコンピテンシーをまとめたコンピテンシー・モデルを作成します。
コンピテンシー・モデルを社員に開示することで、組織は社員に求める行動特性を具体的に明示できます。

 

求められる行動特性が明確になれば、社員は自分の課題や取るべき行動が明確になり、自助努力やマネジメントもしやすくなります。

コンピテンシーを浸透させることで、職務や役割ごとの最適な行動特性が共通認識化し、人材育成への好影響や企業全体の生産性向上が期待できます。

情意や能力評価がブレにくくなる

コンピテンシー項目に基づいて評価を行なうことで、情意や能力評価に評価者の主観が入りづらく、評価がブレにくくなります。そのため、公平性や納得感の高い評価ができるようになります。

 

情意や能力評価は、元から表現が定性的になりやすい項目群であり、さらに主観で評価してしまうと、評価者によるブレが生じやすい側面があります。それを成果に繋がることが分かっており、かつ、具体的な表現の行動特性、コンピテンシーにすると、情意評価や能力評価のズレが生じにくくなるでしょう。

社員のパフォーマンス向上が期待できる

あるべき姿が明示されることで、社員も自分が取るべき行動を具体的にイメージしやすくなります。

上司とメンバーが発揮すべきコンピテンシーと達成度合いをすり合わせることで、マネジメントや人材育成のPDCAも回しやすくなります。これにより社員もモチベーションを維持したうえで、スキルを磨きやすくなるでしょう。

 

そして、社員一人ひとりが、コンピテンシーを意識して行動すれば、組織全体のパフォーマンス向上が期待できるでしょう。

コンピテンシー導入の注意点

  • コンピテンシー・モデル作成の負荷
  • 設定・運用の難易度
  • コンピテンシー・モデルの限界

コンピテンシーを導入すると、成果を上げるための行動パターンがある程度具体的にイメージできるようになり、評価や人材育成に役立ちます。一方で、以下のような注意点もあるため、メリットと注意点を踏まえて導入を検討することが重要です。

コンピテンシー・モデル作成の負荷

コンピテンシー・モデルは職務や役割ごとに異なるため、各部署と連携したり、アンケート調査を実施したりして、策定する必要があります。成果を上げているモデルとなる社員を選定し、特性を抽出し指標を定めるのは容易ではありません。

 

コンピテンシー・モデルを適切に作るためには、知見やノウハウが必要となり、社内だけで作ることが難しい場合が大半です。したがって、コンピテンシー・モデルの作成自体に工数や費用がかかります。

設定・運用の難易度

コンピテンシー・モデルは、成果主義やプロセス(KPI)評価等と比べると、設定と運用の難易度が比較的高くなりがちです。

汎用的に利用しようと思うと抽象度が高くなりすぎ、評価や育成に使いづらくなります。また、理想を求め過ぎると現実との乖離が大きくなり、形骸化してしまう可能性があります。

 

したがって、コンピテンシー評価等の運用にあたっては社内の状況と運用結果を見ながら、見直しやこまめな修正も必要となります。

コンピテンシー・モデルの限界

行動を生み出すのは、内的な性格特性・価値観・動機などです。
したがって、人が本来持っている特性と異なる行動特性を身に付けることは、非常に難易度が高くなります。たとえば、“せっかち”という性格特性を持った人に、“入念に準備する”という行動特性を身に付けさせることはかなり困難です。

 

コンピテンシー・モデルの考え方は極端に書くと、「一定の行動をするように、枠に当てはめて人材を育成する」という考え方です。
メリットもありますが、上記のように異なる性格特性や動機を持った人間に同じ行動を強制することは難しい、また、そもそもコンピテンシー・モデルが一つに特定できない場合もある、という注意箇所があります。

まとめ

コンピテンシーとは、組織内のハイパフォーマーに共通する行動特性のことです。

たとえば、コンピテンシーを人事評価に導入することで、求められる行動が明確になり、社員のパフォーマンス向上が期待できたりするメリットがあります。また、採用に活用することで、活躍する人材を見極めることが容易になります。

 

一方で、コンピテンシー評価は運用の難易度が高く、運用負荷も重い側面があります。また、利用する上での限界もありますので、自社の状況に合わせてうまく導入を検討するとよいでしょう。

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