VUCA(ブーカ)とは何か?
実は、「VUCA」は元々軍事用語として使用されていた造語です。それが、2010年ごろからビジネス用語として用いられるようになりました。まずは、「VUCA」がどのような状態を指すのかを紹介したうえで、VUCAに対応することの必要性を紹介します。
VUCAとは
VUCAは、「不安定で予測不能な未来」という意味から成る4つの英単語の頭文字を取って作られた造語です。
「変動性」は、市場ニーズの変化スピードが増していることを指します。Volatilityの変動が顕著な例としては、ソーシャルゲーム業界が挙げられるでしょう。スマホとSNSの浸透に従って、SNSをプラットフォームとしたソーシャルゲームは、2010年代の前半に大流行しましたが、そこから10年弱の間に市場規模が半減しています。
他にもIT技術やAIの進化によって、ビジネス世界も大きく変わろうとしています。少し古い話になりますが、米デューク大学の研究者であるキャシー・デビッドソン氏が、2011年にニューヨークタイムズ紙のインタビューで話した『2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時にいまは存在していない職業に就くだろう』という一文は、まさに変動性を象徴するようなものかもしれません。
突発的な疫病の流行や自然災害、テロ事件等が起こった場合、先の見通しがきかないケースが大半です。2020年のコロナ禍等は、まさに不確実性の象徴のような出来事でした。また、少子高齢化や過疎化等も、現象自体は“確実にくる未来”ですが、それによるビジネスへの影響等は「不確実性」に挙げられます。
次の複雑性とも関連しますが、世界的に経済が繋がる中で、一つのエリア等で経済が完結することは少なくなっています。そのため、他エリアや海外で起こった災害や事件が、自分たちのビジネスに影響をもたらすようになっていることも不確実性が増す要因です。
ビジネスが不確実化し、成功や失敗の要因を検証することが難しい状況となっています。特定の国や地域で成功したビジネスを他の地域に持ち込もうとしても、複雑性が原因で成功しない場合もあります。たとえば、中国の都市部では100%近く普及しているQR型キャッシュレスの導入率も、日本ではいまだに低い水準にとどまっています。クレジットカードや交通系電子マネーの普及状況、年齢構成による価値観の違い等、さまざまな要因が結びついています。
また、経済がグローバルに繋がる中で、グローバル企業や輸出入に直接関係していなくても国際情勢が自社のビジネスに影響を及ぼすこともあります。さらに、SNS等で個人の情報発信があっという間に拡散するようになったことによるブランドや企業イメージの毀損リスク等も「複雑性」の一つといえるかもしれません。
「曖昧性」は、ビジネスにおける確かな指標や手段が信じられなくなってきていることです。たとえば、価値観の多様化により、これまでのマスメディア中心の情報とは異なるインターネットやSNS等の情報が有力な情報源になりました。
その一方で、フェイクニュースの問題等も含めて情報が膨大かつ多様化し、顧客一人ひとりがさまざまな価値観で判断する状況が生まれています。それに伴って市場自体のセグメントも、これまでと比べて膨大なセグメントになっていますし、顧客の購買行動もインターネットの普及により変わりつつあります。
VUCAに対応する必要性
上記のように、技術発展、情報の流通、また世界中で経済がリンクする中で、現代社会は「未来が予測できない」度合いが加速しています。
しかし、予測できないからといって、手をこまねいているわけにはいきません。VUCAの度合いが増しているからこそ、どのような状況になっても企業を継続、発展していけるようにVUCAに対応できるようにする必要性が高まっています。
たとえば、2020年の新型コロナウイルスの感染拡大はまさにVUCAを象徴するような事例でしょう。中国で端を欲した新型コロナウイルスは、国を超えて人々が行き交う中で、あっという間に世界規模でのパンデミックを引き起こしました。日本国内でも外出自粛要請による経済活動への影響は甚大なものがありましたし、宣言解除後の感染者数の上昇等を見ると、収束がいつになるか、どう収束できるか、見通しを立てることは困難な状況が続いています。
情報発信においても、デマやフェイクニュースが飛び交ったり、情報発信の在り方が問われたりする中で、どの情報が正しいのか、「感染が拡大している」のは事実なのか、判断が難しい状況もあります。
また、コロナ禍の中で、リアル店舗からECへのシフト、オンライン会議やオンライン営業等といった企業活動の在り方、判子から電子押印への移行等、ビジネス世界も急激に変化しつつあります。多少の揺り戻しはあっても、これらの変化は不可逆的なものであり、すべてリアルに戻るということはないでしょう。
コロナ禍はまさに変動性、不確実性、複雑性、曖昧性といったVUCAの時代を象徴するようなものだったといえるでしょう。その中で、リスク管理や情報収集、対応の意思決定、スピード感で劣ってしまう企業は、業績への影響も大きく、社員のモチベーション等も低下する傾向にあります。
もちろん業種自体による影響度の大小がありますが、その中でも、一般企業ではリモートワークやオンライン採用、オンライン営業の導入スピードによってサービス提供の継続や業績への影響も大小がありました。また、飲食店においてはテイクアウトや宅配への切り替えや対応の早さが明暗を分けるケースもありました。
VUCAの度合いが増す中で、対応の遅れは、社員のモチベーションやサービス提供、業績に影響を与え、企業の存続さえも危うくなってしまうことがあります。VUCAの時代を前提として、対応力を高めることは、企業の継続・発展に不可欠だといえるでしょう。






