「スターバックス元CEOが語る、組織のミッション」【知見メール172号】

2013/04/10

スターバックス元CEOが語る、組織のミッション

 

 

皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。

 

 

 

 

先日3月31日、仕事で武蔵小杉に行きました。

(東京・渋谷から電車で10分くらいです)

午前10時前に、駅前のスターバックスに入って、

打ち合わせをしました。

 

席に着いて右隣をみると、60代半ばと思われる男性が、

ボイスレコーダーを片手に持ち、

イヤホンをして英語の勉強をしています。

左隣には若い女性がいて、企業法務関連の勉強をしています。

そして、ちょっと離れたところにある、

高いテーブル席では、30代の男性が

外国人の方と1対1で、英語で話しをしています。

英語のプライベートレッスンではないかと思いました。

 

そこで、周りを見回してみると、

一人で勉強している方ばかりで、

ほとんどの席が埋まっていました。

 

単純に「すごいな!」と感心すると同時に、

普段の仕事が入っていない自分の日曜日の

午前中を思い出して、「駄目だな。。。」と反省しました。

 

 

皆様は、休日に、自らを高める活動は何かされているでしょうか?

 

 

尚、12時頃に席を立とうとして、

右隣の男性をみると、今度は中国語の勉強をしていました。

本当にすごいです!

 

 

 

さて、今回は、スターバックの前社長だった

岩田さんのお話しをご紹介したいと思います。

(たまたま、スターバックス繋がりです。)

 

岩田さんはアトラス、ボディーショップ、

スターバックスと3社で社長を務めました。

 

アトラスでは3期連続赤字の企業を見事復活させ、

ボディショップでは売上を倍増させ、

スターバックスでは収益を急拡大させました。

日本人で数少ない「専門経営者」です。

 

この岩田さんに、弊社の社長が

インタビューをさせていただき、DVDを制作しました。

 

最終の編集したDVDを、確認のために視聴して、

考えさせられるのと同時に元気づけられました。

 

その中でも特に「ミッション」について、

語られていた内容をご紹介します。

いつもよりだいぶ長文となっていますが、

お付き合い宜しくお願いします。

(口語調で読みにくいかと思いますが、

臨場感が増すと思いますので、ご容赦ください。)

 

 

1.「ミッションはなぜ大切なのか」

 

3社で8年間、僕は社長の経験をしたわけですが、

結局、経営の中で一番大事なものはミッション、

要するに“何のためにその会社が存在しているんですか”

っていう、その意義をしっかりみんなで共有することが

一番大事かなって思い立ったんですね。

 

ミッションというのはどういうものかって、

基本的に、企業は世の中を良くするために

あると思うわけですね。

 

それぞれが、例えば

ボディショップなら化粧品を通じて、

スターバックスはコーヒーを通じて、

世の中を良くしている。

根本的には、世の中を良くする、その形として、

何を手段としてやるのかが

ミッションみたいな感じだと思うんです。

“何を通じて”っていうことだと思うんですね。

 

利益のためとか売り上げのためだけでは

人はついてこないですし、

僕は、ある意味お客様も、その会社のミッション

あるいは経営理念を買っていただいていると思うんですよね。

 

社長就任演説のときに、何のために自分は存在するのか、

例えばスターバックスだったら、

“人々の心に潤いを与える”っていうような

ミッションのために、われわれはコーヒーを

たまたま売っているんだっていうことを訴えるわけですよね。

 

「売り上げをいくらにしましょう、

利益こうしましょう、上場するために頑張りましょう」

とかって、響かないんですよ。

 

例えば他のコーヒーショップとスターバックスを比べた時に、

やっていることは99パーセント同じだと思いますね。

お客様からオーダーを受けてコーヒーをお出しする。

おいしいかまずいかっていうのはありますけど。

でも作業そのものは、まったく一緒ですね。

 

だけど、“単純にコーヒーを売っている”と思うのか、

それとも“人々を癒やす”のか、

どういう気持ちでやっているのかで、

やっぱり差が出てくるんですよ、笑顔一つとっても。

 

一番差が出るのは、異常時処理ですよね。

何か問題が起きたとき、例えばコーヒーをこぼしたとか、

お客さんに例外処理的なお願いをされたときに、

どう対応するか。

マニュアル中心の会社だったら、

マニュアルのことしかできないし、

マニュアルに書いてなかったらできない。

でもスターバックスは、そういうミッションを

しっかりみんなが体系化しているから、

「ミッションに照らして、この場合は

こういうふうに対応したらいいんですよね」

と対応できるんです。

 

スターバックスにはサービスマニュアルはありません。

ただミッションの共有だけ行って、

「あとはみんなが考えてください」と、

今風な言葉でいえば、エンパワーメントですよね。

やるべきことはちゃんと伝えて、やり方は皆さんに任せます。

 

世の中って、どんどん変化していくから、

事前にマニュアルを用意するなんてできないんですよね。

でも根本的に、何のために自分たちはこのビジネスを

やっているかっていうことさえちゃんと理解してれば、

その都度、対応はきくと思うんですね。

 

でも、それをちゃんとやらないでマニュアルだけやると、

分厚いマニュアルができてもダメなんですね。

世の中って、マニュアルに書き切れないことが

いっぱいありますから。

 

例えば、あるお客様から、お葉書をいただいたんですけれども、

スターバックスのショップの前で、

たまたま交通事故が起こったんです。

別にスターバックスのお客様でもないんですが、

窓越しに見ていたアルバイトの子が、

パニックになっていたドライバーの主婦の方に

コーヒー1杯いれて、そっと差し出して、

「これを1杯飲んで、心を落ち着けてください」と

言って渡したんです。

それで、そのドライバーの方から礼状をもらったんですね。

 

これって、マニュアルには絶対書きようがないですよね。

“もし、あなたの店の前で交通事故が起こったら、

1杯無料で差し出してください”

なんてあり得ないですよね。

でも彼女は、スターバックスのミッションっていうのは

こういうことだったから、だから助けるのが当たり前。

そういうふうに思って、

たぶん、自然にやってくれたんだと思うんです。

 

 

2.ミッションを浸透させる方法

 

本社の人たちは、直接お話ができるからいいですね、

朝礼の中で。

ただ、お店の人たちはなかなか話ができない。

特にスターバックスなんて900店舗ありますから。

そうすると、コミュニケーションの方法として、

マネジメントレターっていいますか、

お手紙をずっと書いていたんです。

 

朝礼の内容を、事前に全部、活字に落としておいて、

基本的には同日配信、できるだけ本社の人たちと

タイムラグなく、同じ情報を伝えたいと思っていたので。

 

それは、ボディショップで4年、

スターバックスで2年続けていました。

調べてみたら、アトラスのときも結構出していたみたいなので、

要するに、社長やっている間は

ずっと、手紙を出し続けていたみたいですね。

自分の気持ちを伝えたいからですね。

 

ボディショップは週に1回。

スターバックスは、月に1回が原則、

プラス、例えば決算発表があったとか、新商品が出たとか、

そういうイベントのときにも出していましたから、

平均すると月2回ぐらいは出していたと思います。

 

もし自分がお店のスタッフだったら、

離れ小島にぽつんと居るような感じじゃないのかなと。

情報が遮断されていますよね。

本社で何が起こっているのか、

社長は何を考えているのか、

会社はどの方向に向かっているのか、

それをできるだけ伝えたいと思っていたので、

時々の会社の状況、売り上げの状況から、

いいこと、悪いこと、

それから、あと、自分の思っていること。

翌月のこととか、何かこういうトピックスがあるとか、

来月、ハワード・シュルツが来るとか、

そういう話をできるだけオープンにして書いていたと思います。

 

僕の中では“サザエさん症候群”って言っていたんですけど、

日曜日の夕方の、マネジメントレターを書かなきゃという時に、

サザエさんの曲が流れるじゃないですか。

“ああ、まだ書けてない”っていう憂うつがあるんですよ。

ボディショップの時は3,000文字、

スターバックスは1,800文字、

1つの記事にしていたんですけど、

ネタがないときは5時間ぐらいかかるわけですね。

 

まず、ネタ探すために本読んだりするわけですね。

もうやめようと、日曜日の夜、楽しみがないわけですよ。

ゴルフ行っても、早く帰らなきゃと思っちゃう。

でも、お店の人たちは特に一生懸命読んでくれているし、

お店回りしたら、「読んでます」「楽しみにしてます」

って言われたら、続けようと思って結局続けていたんですね。

 

900店舗全部は回れないので、

よくやったのが、ラウンドテーブルっていう形で、

エリアごとに、例えば30店舗ぐらいの店長さんに

集まってもらって直接会話する、

直接質問を受けるっていうのをやりました。

 

だいたい30人から50人が1つのグループですね。

エリアマネジャーが担当している、

だいたい地域が1つ30人ぐらいの塊になっているんで、

そこに僕が、どっかの会議室を借りて、行って、

1年目は僕の自己紹介メーンで、あと質疑応答を受ける。

2年目以降は、もうちょっと、

今の会社の方向性とか問題点だとか、

あとは質問をできるだけ受けることをしていました。

 

それから、僕は、それ以上にもっと強力な

メッセージっていうのは人事だと思っていて、

要するに誰を偉くするんですかと。

誰を採用して、誰を偉くするんですか。

 

いくらミッションとか、普段のメッセージで

「お客さんを大事にしましょう」って言っていても、

例えば、極端な話、お客様だましても

数字上げた人を偉くしちゃえば、

これは一貫性ないですよね。

 

もちろん、上に上げていくのには、

実績と会社の理念と、両方持っている人が

ふさわしいんですけど。

成績上げれば、偉くせざるを得ないですが、

でも、そういう人を偉くしていくと、

みんなが、数字だけを狙うような

会社になってしまうと思うんですね。

 

だから、僕は、最大の社長からのメッセージは

人事だと思うんです。

間違った人事をすると、ミッションを

絶対徹底できないと思うんですね。

「お客さんは大事」っていうのに

お客さんを大事にしてない人が偉くなったら、

誰も大事にしないですよね。

ただ数字だけ上げたらいいとか、

会社の経営理念にそぐわない人を偉くすると、

絶対ミッションは徹底しないんですよね。

 

 

3.ミッションと売り上げどちらが大切か

 

まずは、ミッションか売り上げか

っていう考え方自体が、僕は違うと思うんですね。

 

例えばスターバックスのお店で、年がら年中、

ミッションの話をしているか、

そんなことはなくて、他のコーヒーショップと、

99パーセント、僕は同じだと思うんですね。

 

ただ、その中に、ミッションを意識して

自分の仕事をやっているかやっていないか。

ただ単にコーヒーを売っているか。

“われわれは人々に潤いを与えているんだ”

っていう意識でやっているか。

特に異常のときに差が出ると思うんですね。

 

もっといえば、そもそも何か会社を始めるときに、

志ってあったと思うんです。

これを通じて誰かを救いたいとか、

役に立ちたいとか、

この技術を世に問いたいとか。

 

創業のときの気持ちを、常にみんなで分かち合えば、

それでいいと思うんですね。

もちろん、それを意識しながら、日々、

売り上げをつくっていくことをやる。

そこに大きな差が出てくると思うんですよね。

 

ただ単に、売り上げつくれって言われるのか、

いや、これを達成するために、

でも今日は、これをやろうねっていうのと、

そこの意味付けをつくることが、

すごく大きな違いになってくるんじゃないかなって

思うんですね。

 

だから、何のためにその事業を始めたのか

っていうことを、常に意識しないといけない。

 

それから、あと、

「今はそんなミッションは無い」というのも、

僕はいいと思っているんですね。

それは、例えばザ・ボディショップの

アニータ・ロディックも、社会変革をしようと思って

ボディショップを始めたわけじゃなくて、

食うに困って、旦那さんが、

いきなり2年間旅行へ行っちゃったもんですから、

仕方なしに始めたのが、たまたま化粧品会社であるっ

ていうことに過ぎないわけですね。

 

あるいは、スターバックスのハワード・シュルツにしても、

初めから人々に潤いを与えるつもりで

スターバックス始めたわけじゃなくて、

エスプレッソコーヒーに魅せられて、

彼の商売勘でピンときたんだと思うんですね。

 

大事なのは、経営者自身、

それから企業、

それからミッション、

これを三位一体でスパイラルアップっていうんですかね、

みんなが一緒に成長していく。

 

だから、経営者の成長が止まった瞬間に、

会社の規模の成長が止まる。

例えば僕は、孫さんなんかを見ていると、

僕がアトラスの社長をやっているとき、

ちょうどITバブルで、割と身近な若者が上場しました。

上場バブルで、2桁の億も手に入れました。

あの時点では、孫さんも他の人たちもほぼ同じだったんですね。

 

孫さんも、初めから今の事業を

やっていたわけじゃなくて。

だけど、孫さんは、500年後、1,000年後の

日本について考えていたわけですよね。

そのミッションを、さらに大きなミッションを成長させ続けた。

もちろん、孫さん自身も、たぶん勉強されて成長された。

会社も大きくなった。

でも、ほとんどの経営者は、

お金を得て、それで満足しちゃった。

自分のミッション、あるいは自分自身も

止まっちゃったと思うんですね。

だから会社の成長も止まってしまう。

 

もともと企業の存在理由は、何らかの形で

世の中に貢献していますよね。

でも、これを継続していかないといけないから、

利益が必要ですよね。

これはドラッカーもいっている

最小利益って考え方ですね。

僕は、最初、最小利益の意味がよく分かんなくて、

経営者って利益が大きい方がいいんじゃないかっ

て理解していて、

ようやく最近、意味が分かってきた。

 

ドラッカーもちゃんと書いていますけど、

それはちゃんとステークホルダー、

例えば従業員にもちゃんと給料を渡し、

例えば取引先でも、買いたたくようなことはしないで、

お互いにWin-Winの関係であり、

お客さんにとっても適価で、

ちゃんとバリューに合った価格で出しているっていう。

それを満たした上で出している利益が最小利益。

 

ほとんどの企業は、その最小利益にも

満たしてないんだっていう記述があったと思うんですね。

やっぱり、利益は目的じゃないんだって。

だから、もともと、ミッションか利益かっ

ていうこと自体、そもそも変な質問だっていうことですね。

 

 

 

岩田さんは、本も何冊か書かれています。

ご興味を持たれましたら、以下の本をお薦め致します。

 

「ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由」

 

 

「ついていきたいと思われるリーダーになる51の考え方」

 

 

 

 

 

 

 

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役

知見寺 直樹

大手コンサルティング会社を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海支店立ち上げも経験し、現在は本社HRおよび事業開発を担当する。

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