「商品は変わらず、広告宣伝費もかけずに、売上をどう上げますか?」【知見メール173号】

商品は変わらず、広告宣伝費もかけずに、売上をどう上げますか?

 

 

皆様、ジェイックの知見寺(ちけんじ)でございます。

 

 

 

 

先週は、月曜日から土曜日まで上海に出張していました。

 

ほぼ、地下鉄と徒歩で移動しましたが、

上海の中心部は、地下鉄が

たくさん走っていますので、便利です。

 

ただ、朝8時台に乗ったときには、

東京並みの通勤ラッシュで、大変でした。

特に、7号線の嵐阜路駅から鎮坪路駅の間は、

東西線の木場駅から門前仲町駅

(東京で最も混雑している地下鉄の区間です)を

超える混雑ぶりです。

 

あとひとつ困ったのは、トイレです。

ある日のお昼頃、トイレに行きたくなり、

環状線の金沙江路駅に向かいました。

近くに、ショッピングセンターを

見つけることができず、商店も

中国人の個人店しかなかったためです。

 

日本ですと、駅に行けば必ずトイレがありますよね。

ところが、駅に行っても

トイレの標識らしきものがありません。

思い起こしてみると、地下鉄の駅で

トイレの標識をみた記憶がありません。

だめもとで、駅員に英語で話しかけてみますが、

やはり全く通じません。

相手が女性でしたので、ボディーランゲージを

使うわけにもいかず、本当に困りました。

 

翌日、上海の駐在が長い方にこの話をすると、

・確かに、地下鉄の駅はトイレが少ないこと

・あるとすると、ホームの端にあること

を教えてもらいました。

 

それからは、地下鉄に乗り、トイレの標識を発見すると、

持っている地下鉄路線図に書き込んでいます。

その結果、複数の路線が乗り入れているターミナルの駅には、

ほぼトイレがあることがわかりました。

ただ、そんな駅の場合には、

そばにショッピングモールがあるので、

困ることはあまりないんですよね。

 

知らない土地では、自分の思い込み・常識をできる限り、

固定化しないようにしようと思った出来事でした。

 

 

 

さて、今回は、先週の金曜日4月19日に

上海で参加したセミナーからご紹介したいと思います。

 

セミナー講師は、以前ニトリに勤務されていて、

そこから中国版の100円ショップ「一伍一拾」

(イーウーイースー) に

スカウトされた富井伸行さんです。

富井さんは、社内で「ミスターニトリ」と

呼ばれていた実力者です。

 

一伍一拾は、4年間で285店舗を展開しています。

 

この店舗で売上拡大にどう取り組んでいるのかを、

実例とデータとともにお話しいただきました。

 

まず、富井さんから参加者へ投げかけがありました。

その質問は、

「商品は変わらず、広告宣伝費もかけずに、売上をどうあげますか?」

 

実際に、富井さんはこの前提条件で、

静安寺のお店の売上を倍増させました。

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

売上を上げるとは、店の潜在能力を引き上げること。

 

日本の小売業は知識がありすぎて複雑に考えすぎる。

原点にもどって考えたほうが、結果が出しやすい。

 

まずは、お店に1歩入ってもらう。

どうやって、1歩入る人を増やすのか?を工夫する。

 

次に1個買ってもらう。

1回買うとまた来店する可能性が高まる。

 

3つめはレジでの対応が、良かったか。

良かったという視点は、ひとつは速さ、もうひとつは愛想。

中国人は、日本人が求めるような

馬鹿丁寧な対応は求めていない。

監督者がいなくても、

スピーディーにレジを処理しているのか、

笑顔で対応しているのか、が重要。

 

レジまで行ってもらえると、

それまでに商品を一杯見てもらえる。

(このチェーンでは、レジは店舗の一番奥にあります。)

 

4つめは再来店してもらうために、

良い印象が残っているかどうか。

 

この4つのステップを改善するために、

4つのレバーがある。

 

1 商品

2 内装 ポップ

3 作業

4 外観

 

この4つに徹する店を作ると必ず売上が上がる。

 

第1のレバーは商品。

 

SKU

(Stock Keeping Unit 商品管理でおこなう最小単位のこと

サイズ、色、形が異なれば違う単位として扱います)

を1万から5000にした。

そして、売れる商品のフェイス

(単純にいうと陳列棚の表面積です)を大きくした。

この取り組みをした商品は、売上が3倍上がる。

 

当たり前のことだが、売れる商品のフェイスを広げること。

ところが、何にもしないと売れない商品のフェイスが広がる。

それは、売れる商品の在庫がなくなり、

売れない商品の在庫があるから。

 

また、ゴンドラ4段で売れるのは、基本的に上2段だけ。

だから、売れる商品を上の段におくと売上が伸びる。

売れる商品だけフェイスを管理する。

ゴンドラのどこに置かれているかとその大きさを管理する。

 

 

第2のレバーは、内装やポップ。

 

旭山動物園の行動展示を参考にして、内装を工夫した。

 

芳香剤やアロマキャンドルなどは、

においをかげるようにすると、5倍売れる。

 

カーペットを掃除するコロコロ(製品名がわかりません)は、

サンプルをひとつ箱から出して、

手に持てるようにすると、それだけで売上が3倍になる。

 

商品の中身がみえることが大切。

また、価格を大きな表示にすることも重要。

 

ポップは、雰囲気をあげるためのポップと

商品を売るためのポップを明確に区分して作る。

これが明確になっていないと、効果はない。

 

 

時間の関係で、レバー1,2の紹介まででした。

 

流通関係の方からすると当たり前のことと

思われるかもしれませんが、

その当たり前のことを徹底しているところに、

富井さんが成果をあげている

ポイントがあると感じました。

 

 

また、参考になったのが、

中国で店舗の人気があるかどうかを判定する指標です。

 

1.入店時にどれだけの人が、かごをもつか

中国人は、入ってすぐにかごを

自動的に持つようなことはしない。

買う気にならないとかごをもたない。

お店に入ったときにかごをもっているのは、

入るときから買う気がある。

 

2.白人の入店率

不潔、汚い店、陳列が乱れている店に、白人は入らない

西洋人が入る店は、中国人も入る店。

 

3.あなた

お店に行くと売上が足りないので、

何か買って売上に協力して欲しいと言われる。

富井さんだと、平均客単価25元×4倍の

100元分買ってほしいと言われる。

自分のお金を出して買いたい商品がお店にありますか。

お得感、納得感がないと感じて

日本人が買わないのなら、中国人は絶対に買わない。

 

 

富井さんは、自分が上げている成果の要因・要素を分解して、

再現性を高くしていることに素晴らしさを感じました。

セミナー終了後、すぐに富井さんのところに

名刺交換に行き、お礼と感謝をこめて、

両手でがっちりと握手しました。

 

 

 

 

 

著者情報

知見寺 直樹

株式会社ジェイック 取締役|上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 副董事長

知見寺 直樹

東北大学を卒業後、大手コンサルティング会社へ入社。その後、株式会社エフアンドエム副本部長、チャレンジャー・グレイ・クリスマス常務取締役等を経て、2009年ジェイック常務取締役に就任。総経理として上海法人(上海杰意可邁伊茲企業管理咨詢有限公司 )の立ち上げ等を経て、現在はHumanResourceおよび事業開発を担当する。

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