新人教育にはメンター制度が有効!概要と効果を高める導入・実施のポイント

ブラザー・シスター制度に代表されるメンター制度ですが、HR総研の「人材育成『新入社員研修』に関するアンケート調査 結果報告」によれば4割以上の企業が導入していることがわかります。

記事では、メンター制度の概要や導入の目的、効果性、さらにはメンター制度を使って新人教育の効果性を高めるポイントを解説します。

<目次>

メンター制度とは?

本章ではメンター制度とは何か、さらにメンター制度の目的やメリット・デメリット(注意点)を紹介します。

 

 

メンター制度とは何か?

メンター制度とは、所属する上司とは別に、年齢や社歴が近い先輩社員が新人や若手社員をサポートする制度です。

 

「上司とは別」にサポート役がいることがポイントで、年齢や世代のギャップから起こる認識や意識の差、評価者である上司には相談しにくい悩み等を、「斜め」の関係等でサポートするのが特徴です。ブラザー・シスター制度やエルダー制度と言われるものもメンター制度の類型です。

 

 

メンター制度の目的

メンター制度の大きな目的は、定着促進と退職防止です。今の時代、新人は「転職するのが当たり前」という感覚があり、愛社精神とは別のところで「入社時点から転職も視野に入れて働いている」とも言われます。

 

その中で、組織に馴染むための支援をしたり、気軽に相談できたり話を聞いてくたりするメンターを付けることで、組織に早く馴染ませるとともに、メンタル面のフォローを行う、またモチベーション低下等の予兆を掴むのがメンター制度の目的です。

 

 

メンター制度のメリット・デメリット(注意点)

メリットは当然、退職防止に資することです。副次的には、メンターのマネジメント能力やコミュニケーション能力を向上させる効果もあります。また、違う部署の社員同士で組ませることで、部署を超えた交流やコミュニケーションが生まれることもメンター制度のメリットです。

 

一方、デメリット(注意点)もあります。

 

まず一番に思い浮かぶのが、メンターの負荷です。比較的新人に近い年齢の方をメンターにすることが多いですが、入社3~4年目ぐらいの若手は、ようやく一人前となり、多くの仕事を持ち始めるタイミングでもあります。

 

メンター業務は、現実的にそこまで大きな工数が取られるわけではありませんが、メンターとなった若手がメンター業務に時間を割きすぎてしまう場合もあります。メンターには何をすればいいか、どの程度の時間と意識を割くのか、ガイドラインを提示したほうが良いでしょう。

 

また、上司-部下ほどきっちりとした関係ではないからこそ、メンター制度はメンターによってサポートに個人差が出やすいところもあります。

 

サポートの個人差は、「○○さんのメンターはいろいろとサポートしてくれるけど、自分のメンターは全然気にかけてくれない」といった不満にも繋がります。上記の工数部分と同じように、全メンターに共通して実施して欲しい最低限のコミュニケーション頻度やケアは提示することがおススメです。

新人教育にメンター制度が有効な3つの理由

新人教育において、なぜメンター制度は有効なのでしょう。新人教育や定着促進にメンター制度が有効な3つの理由を解説します。

 

 

新人教育にメンター制度が有効な理由① 直属の上司や先輩とは違う相談相手の価値

前述の通り、メンター制度が有効に働く大きなポイントは「斜めの関係」だということです。「仕事での利害関係が強い直属の上司や先輩だと言いにくいことも、利害関係がない(少ない)メンター相手には相談しやすい」ものです。

 

どうしても、上司やOJTの指導者に相談する際に、「こんなこと相談していいのだろうか」とか「これを話したら怒られるかもしれない」等の心理ハードルが生じます。また、「上司(OJT指導者)との人間関係」や「上司(OJT指導者)の指示」などの相談は、上司のところには基本的に上がってきません。

 

年齢が近く利害関係がないメンターですと、相談のハードルも低くなりますし、気が緩んだ状態で話すことが出来ますので、メンター側から新人の本音やモチベーションも捉えやすくなります。

 

 

新人教育にメンター制度が有効な理由② 悩み解決によるストレスの減少

メンターに相談することで、悩みが解消したり、ストレスが軽減したりすることは大いにあります。たとえば、仕事で失敗をしてしまった時、同じ部署の人だと話しにくいけど、違う部署の人だと気軽に話せる、といったことは大いにあります。また、悩みやストレスは「誰かに話す」だけでも意外と解消されるものです。

 

新人に学んで欲しいことが沢山ありますが、何かに悩んでいる状態ではモチベーションも上がりませんし、成長も止まってしまう可能性があります。仕事に関することは自部署の上司や先輩が教え、精神面のフォローはメンターや人事部門が行うといった形で、新人のサポートを上手く棲み分けをすることが有効です。

 

 

新人教育にメンター制度が有効な理由③ 視野・視点の広がり

メンターは基本的には同じ部門やチーム内ではなく、他部署や他チームであることがおススメです。仕事の利害関係、指導関係から外れて相談しやすくすることが目的ですが、副次的に他部署との交流の中から、視野や視点が広がる効果もあります。

 

相談したり、コミュニケーションを取る中で、自部署にいる時には気づかなかった点に気づけたり、他部署がどういうことをしているのかを聞くことで知識の幅が広がったりします。他部署との交流は、新人の視野・視点を広げることに役立つのです。

新人教育でメンター制度の効果を高める3つのポイント

ここからは、メンター制度の導入に向けて、さらに効果を高めるポイントについてお伝えします。

 

 

メンター制度の効果を高めるポイント① メンターの選定

メンターを決める際に大切なポイントは、コミュニケーション力です。中でも最も重要なのは、相手の話を聞く力です。

 

メンターは解決すること、アドバイスすることよりも、新人が相談に来た際は、まずは相手の話をしっかり聞くことが大事です。新人は何かを話したくて来ているのに、メンターが先輩面して、一方的にアドバイスしたり諭したりすると、相手は不完全燃焼になってしまいます。話し上手より聞き上手な人をメンターに据えるようにしましょう。

 

また繰り返しになりますが、可能な限り、他部署の人をメンターに据えるようにしましょう。同じ部署ですと、「ひょっとしたら相談した内容を報告されてしまうかもしれない」と考えてしまい、身構えてしまったり、悩みを相談しにくくなったりする可能性があります。

 

最後に、相性も大切です。メンターに何でも任せるのではなく、メンター選定時はもちろん、メンターと新人両方の話をヒアリングして、相性が合っていないと感じたら思い切ってメンターを替えることも必要です。お互いにストレスを感じているようであれば、メンター制度の目的が全く果たされませんので早めの処置が必要です。

 

 

メンター制度の効果を高めるポイント② メンター研修の実施

メンターを選んだら、メンター向けの研修を必ず実施しましょう。メンターを付ける目的、メンターに期待していること、メンターに気を付けてもらいたいこと等について研修を実施しましょう。メンター向けの1on1ミーティングのロールプレイ等も実施できると良いでしょう。

 

メンター研修では、とくに

・新人に対して最低限実施して欲しいコミュニケーション頻度

・新人と接するうえで気を付けて欲しいこと

をしっかりと提示しましょう。

 

新入社員のメンターとなるのは多くの場合、入社3・4年目の若手社員であり、まだまだマネジメント経験などは未熟です。若手社員がメンターになった時、ありがちなのが、新人が可愛いあまりに、「相談されたことに対して勝手なアドバイスをしてしまう」「悩みを解決してあげたくて、メンター自身が抱え込んでしまう」ことです。

 

メンターの役割は「解決すること」よりも「話を聞いてあげる」こと。自分自身で確証がないことや業務に関することは、勝手なアドバイスや解決しようとせずに、人事部門等に報告・相談するように徹底することが大切です。

 

 

メンター制度の効果を高めるポイント③ メンターへのフォローアップ

メンターの負荷は実務的にはさほど重いものではありませんし、新人のサポートを任せられたメンターもやる気いっぱいであることが多いため、メンター選定して新人と引き合わせた後は、メンターに任せっきりになってしまうことが良くあります。

 

しかし、メンターへのフォローは大事です。メンターを任せているのは、決して経験豊富なベテランやマネジメント経験のある管理職ではありません。経験も少ないですし、やる気が空回ってしまうこともあります。

 

従って、メンターと新人が初回の何か(1on1ミーティングや食事等)をした後には様子を聞くと良いでしょう。メンターが複数いる場合には、1か月~2か月ぐらい経過した時点でメンターを集めて、悩みや上手くいったことを座談会形式などで共有するのも良いでしょう。

 

新人の様子を把握するうえでも、メンターをフォローアップするうえでも、メンター選定後に放置にならないように注意しましょう。

おわりに

新人教育において、メンター制度は新人のメンタル面のフォロー、組織に馴染むプロセスを促進するうえでとても有効です。メンター制度は、直属の上司やOJT指導者、また同じチーム等ではない、他部署で年齢が近い若手社員が新人のメンターとなり、新人との交流を持つ制度です。

 

メンター制度は、

・仕事上の利害関係・上下関係がないことで気軽に相談できる

・メンタル面のフォローになり新人のストレスを軽減できる

・他部署との交流機会になり、視野が広がる

といった効果があります。

 

メンター制度を運用するうえでは、メンターの選定、メンター研修の実施、メンターのフォロー等を実施すると、メンター制度の効果が発揮されやすくなります。記事の内容も参考に、新人教育に役立つメンター制度をぜひ導入いただければと思います。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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