新入社員研修は、企業が行なう研修の中で最も期間が長く、教える内容も多岐にわたります。そのため、研修効果を高めるためにも、座学やディスカッション、実技のほかにユニークな研修やゲーム要素を取り入れる等、実施方法の工夫によって変化をもたらすことがおすすめです。
ただし、ユニークな研修やゲーム性のある研修は“面白かった”だけで終わらないようにするには、ポイントを押さえる必要があります。記事では、ユニークな新入社員研修を実施する目的や効果性を高めるためのポイントを解説します。
<目次>
ユニークな新入社員研修を行なう目的と効果
長い新入社員研修の中に、ユニークな新人研修の要素を取り入れることは、以下の目的とメリットがあります。
受講者のモチベーションが高まる
長期間にわたってインプットが続く新人研修は、退屈感や飽きといったネガティブな気持ちが生じたり、集中力が切れてしまったりする傾向があります。
こうした状況下で受講者のモチベーションや集中力を高めるには、ユニークなプログラムの導入によって研修に「変化」をつけることがおすすめです。
研修内容の定着性を高める
ユニークな研修の多くが、エンターテインメント性やゲーム要素の高い体験型プログラムです。感情を伴う体験や体感が得られやすいこれらのプログラムは、「見る・聞く・書く」といった座学よりも、記憶への定着率が高いことがわかっています。
記憶には、大きく分けて「短期記憶」と「長期記憶」の2つがあり、その字の通り、記憶した内容が短期的に忘れられるか、長期にわたって保持されるかという違いがあります。感情や体感を伴った記憶というのは、長期記憶に入りやすいため定着しやすいのです。
また、面白いエピソードと関連づけた記憶は思い出すことも容易になるため、研修で学んだ内容を仕事に活かすという意味でも、ユニークな研修は効果的な学習方法となるでしょう。
新しい気づきが得られる
ユニークな研修は、受け身になりがちな座学と違って、受講者が主体的に取り組みやすいところも大きな魅力です。こうした研修を受けてみると、発想力やリーダーシップといった、これまで自身も知らなかった新たな自分の可能性やスキルに気づける場合もあります。
ユニークなプログラムを通して得られる新たなスキルや適性の発見は、研修を企画する人事担当者にとっても非常に役立つ情報です。こうした気づきを評価や人材配置に活用すると、配属先と新人とのミスマッチも生じにくくなるでしょう。
チームワークを学べる
ユニークな新人研修の多くはグループワークの要素が含まれ、課題の達成や解決に向けて、同じグループのメンバーと協力したり、話し合ったり、役割分担することが求められます。実際の仕事においては、チームで成果をあげることが不可欠であり、その点でも有意義な体験となるでしょう。
新人同士の交流にも繋がる
ユニーク研修には、メンバーとの積極的なコミュニケーションが求められる内容が多く、同期メンバーとの相互理解や人間関係の構築が可能となります。同期の絆は、研修期間中の相互支援を生み出しますし、配属後も支えあい、また切磋琢磨する関係を作ります。
とくにテレワークを導入している会社においては、新人研修の期間中に新人同士、また、新人と会社との人間関係の構築をしっかり行なうことが重要です。
ユニークな新入社員研修で効果をあげるためのポイント
新人研修にユニークな研修の取り入れたうえで研修を効果的にするには、以下のポイントに注意しましょう。
目的の明確化
ユニークな研修を検討するうえで最も大切なのは、「研修の目的とゴール」です。ユニークな研修は、つい“研修内容の面白さ”に目が惹かれがちです。
そうではなく、新入社員の研修計画とゴール状態があり、その中で、どの要素は体感の要素を取り入れるといいのかを検討します。目的が明確になったうえで、研修の選定を行ないましょう。
研修におけるユニークさは、あくまでも新人研修の効果を高めるための手段です。研修の効果性は以下の2つがそろってはじめて期待できます。
・目的に合ったユニーク研修プログラム
どれだけユニークで面白そうな内容でも、社員研修の全体像と紐付かないプログラムはNGです。研修内容の面白さだけに目がいかないように注意しましょう。
参加者の満足度=研修効果ではない
研修を評価するうえで、参加者に楽しんでもらうことや満足してもらうことに引っ張られすぎないことも大切です。
「参加者が主体的に参加して、前向きな姿勢で学びを吸収した」という点においては、確かに参加者の満足度は重要な要素です。ただし、参加者の満足度は、研修や講師の面白さ、また、極端には研修環境や待遇、具体的には部屋の温度や昼食の質によっても変わります。
研修満足度が高い=良い研修ではなく、「研修のゴールは、参加者がどういう状態になっていることなのか」「それが実現されているのか」という視点を持って評価を行ないましょう。
「4:2:4の法則」の重要性
ユニーク研修を取り入れるときには、研修効果への影響をあらわす「4:2:4の法則」もいつも以上に意識する必要があります。
「4:2:4の法則」は「研修効果、とくに研修後の行動変容はどんな要素によって影響されるか?」と示したもので、提唱者の名前をとって「ブリンカーホフの法則」とも呼ばれます。
4:2:4の法則では、研修効果に与える影響は、
・研修そのもの :2割
・研修後のフォロー :4割
とされています。つまり、研修そのものが行動変容に与える影響はじつは2割しかなく、研修前の意識付けと研修後のフォローが重要です。
とくにユニークな研修においては、研修後のフォローが重要です。もちろん効果的な外部研修であれば、研修で学んだ内容を職場での実践に繋げるプログラムは設定されています。
ただ、ユニークな研修は、研修そのものが盛り上がるからこそ、一時的な興奮となって職場での実践に繋がりにくい傾向があります。そのため、ユニークなプログラムを通して学んだことを仕事に活かすための、研修後のフォローアップが非常に大切です。
例えば、座学を行なっていた教室を出て、屋外でユニークなプログラムを実施した場合、研修で得た気づきを振り返る時間を設けるのが理想です。また、配属後の仕事と繋げるためにも、別途でフォロー研修を実施しても良いでしょう。
ユニークな新入社員研修を紹介
多くの企業で取り入られているユニークな新入社員研修プログラムを、以下の3つのポイントに沿っていくつか紹介します。
- 概要
- 目的と期待できる効果
- 自社で導入するうえでのポイント
幼稚園研修
幼稚園で数日間、保父や保母として子どもたちと接するユニーク研修です。この研修の目的は、実体験を通して以下のようなコミュニケーション能力を身に付けることにあります。
- 関係構築の方法
- 相手の目線に合った話し方
- トラブル対応 等
幼稚園研修は、接客業や営業等、人に関わる職種に向いた研修です。
接客業や営業の仕事では、“新入社員である自分の感覚や経験”とは違う価値観や経験を持った相手と接することが多いでしょう。そういった相手との関係構築や相手目線を理解すること、周囲や先輩・上司の助けを上手く求める経験が積める研修です。
暗闇研修
暗闇研修とは、暗闇の中でメンバーが一緒に作業や課題突破をする研修です。近年では、トヨタ自動車等の大手企業でも実施されています。
このプログラムでは、真っ暗な空間で感覚が研ぎ澄まされることによって新たな発想を行なったり、周囲との助け合い、チームワークを習得できたりします。
暗闇研修は、チームビルディングを行ないたい、強化したい場合におすすめです。新入社員にチームワークの大切さを学ばせたり、同期の絆を効果的に養成したりすることができるでしょう。
タフネス研修
タフネス研修は、チームで山に登るという研修プログラムです。厳しい環境の中で疲労や変化に負けず、判断や行動できるタフな人材と組織作り、そしてチームワークの養成に役立つプログラムです。
体力的、精神的に少し厳しい状況では個人の「素」が表れやすくなります。自分のコミュニケーション、人との関わり方、思考パターン等を振り返ることができます。また、チームで何かを達成した経験はチームビルディングに繋がります。
竹とんぼ研修
竹とんぼ研修は、QCD(品質・コスト・納期)を意識した竹とんぼ作りの体験プログラムです。材料費や納期等の制限がある中で、チームごとに“売れる”竹とんぼを作成します。
- QCDを学ぶ
- チームでの話し合いや合意形成、意思決定を体験する
- 顧客ニーズを考えてモノを作り、顧客に提案する
といった体験ができるプログラムです。顧客ニーズを起点に、QCDをクリアしながらチームでモノ作りを行なうメーカー向きの人材育成プログラムです。
ユニークな研修プログラムに興味がある方は、以下の記事でも複数の事例を紹介していますのでご覧ください。
まとめ
ユニークな新入社員研修は、研修期間が長くインプットが多岐にわたる新入社員研修の中に変化をもたらします。また、受講者のモチベーションアップ、研修内容の定着率アップ、新しい気づき、チームビルディング、新人同士の交流等の効果も見込めるでしょう。
ユニークな研修の効果性を高めるには、目的の明確化や、研修効果と参加者満足度を混同しない、研修後の“実践”を重視する等が大切です。記事で解説したポイントを参考にぜひ自社に合ったプログラムを見つけてみてください。