接遇と接客、どちらも顧客をもてなし対応する行為ですが、どのように違いがあるのでしょうか?
正しい接遇マナーとは何か、消費者に直接接することの少ない企業にも接遇が必要なその理由などについて解説します。
<目次>
接遇と接客の違い
接遇と接客実際にはどんな違いがあるのでしょうか?概要や特徴を確認してみましょう。
接遇とは
接遇とは接客業務におけるスキルを指すものです。状況やお客に合わせて正しく対処し、お客が気持ちよく買い物サービスできるように対処することが求められます。
ソフト面をも網羅できる接客スキルや接客の方法が接遇です。日本の文化で表現するなら『おもてなしの心』といったところでしょう。接遇にはたくさんの要素が含まれています。
- 正しく計算ができる経理能力
- 顧客が要求する商品やサービスを的確に提供する技術能力
- 顧客のニーズに合うアイデアやオプションを解説し提案できる能力
- 営業中やサービスを受けている間、顧客が心地よく過ごせる雰囲気作りができる能力
- アフターケアや不意の事態にも対処できる臨機応変な対応力
以上のような要素がカバーできる能力とスキルを備えた接客を接遇です。
接客とは
基本的に接客とは顧客の対応をすることです。接客に求められる内容としては次のことがあげられます。
- 正しく計算ができる経理能力
- 顧客の意図する商品・サービスを提供する
- 状況に応じた臨機応変な回答や対処ができる
接遇と接客の大きな違いはトータルケアがハード・ソフト面共に加味されているか否かという点です。常識という概念を例にあげると、接客は常識、接遇は良識といったところでしょうか。
基本的に顧客の対応をするということに違いはありませんが、接遇はクオリティーの高いサービスやサポートを常に提供しながら顧客のケアをすることが必須となります。
企業が注目する接遇マナーとは?
近年とくにこの接遇マナーを社員が身につけることで、企業の功績をあげることができるという志向が高まっています。
接遇マナーに企業が注目する理由はどこにあるのでしょうか?大きく分けて2つの理由が考えられます。
①会社のイメージとブランド力につながる
社員の言葉遣いや対応の向上によって、顧客満足度の基準自体をあげ、会社のイメージやブランド力をあげる効果を狙っています。
会社のブランド力があがることで、更に多くの顧客を獲得し、質の高いサービスやビジネスを展開することが可能になります
②社内の統率力と社外との信頼度が増す効果
コミュニケーション能力に秀でた社員が心配りのある対応をすることで、社内での意思の疎通が潤滑になり、仕事への効率性があがります。
こうした動きが社員のモチベーションの向上にもつながり、スムーズなビジネス展開を期待できるため、社会人として信頼のおける社員と取引をするクライアントは安心と信頼をもってビジネスをすることができる基盤を築くことができるのです。
接遇マナーの5つの原則
接遇を正しく行うために押さえておきたい基本となる能力があります。5つの項目に分けて原則となる接遇マナーについて解説致します。
①コミュニケーション能力
接遇マナーの基本となるのが、聞く力と伝える力が必要なコミュニケーション能力に長けていることです。
ノンバーバルコミュニケーションを得意とする日本人の特性からとくに、コミュニケーションがうまくとれる人材は企業にとって重要なポジションとなります。
聞く力の重要性
クライアントや顧客の要望を把握するためには、聞いて理解する能力が重要です。
正確に情報を処理して消化し、確実な回答やアドバイス、サービスなどを提供できるかどうかはこのプロセスが非常に重要になります。
クライアントの意向が熟知できてはじめて社内でのミーティングやビジネス方針に反映をすることができるからです。
伝える力の重要性
伝える力に長けている話し手は、人の興味をひき納得させることが容易になります。
相手の立場に立った話ができることで、クライアントに親近感と安心感をもたらすことができますし加えて、魅力的なプレゼンテーションを展開すれば、企業同士の将来に明確なビジョンを想像させることができるのです。
②接客マナー能力
企業の一社員であってもクライアントはれっきとした顧客。丁寧な接客でもてなされると心地よく感じるのは、人間ならあたりまえの心情です。
マニュアル通りのような機械的な対応ではなく、気持ちの伝わる接客ができているかどうかがキーとなります。
体調を案じるなど何気ない会話に、相手の気遣いを示唆する内容を加えてみます。
しばらく会わなかった相手に親近感を感じさせ、自分のことを気遣ってくれている社員に感謝の気持ちを抱くことでしょう。
プライベートに深く介入することはタブーですが、情報が明らかなことやクライアントから開示した内容に関しては記憶に留めておくことで丁寧な接客に役立ちます。
③ビジネスマナー能力
ビジネスマナーとは社会人として働く人材ならば必ず身につけておきたい基本となるマナーです。
正しい言葉使い・正しい敬語の使い方・電話の対応・身だしなみ・振る舞い方といった項目がそれに相当します。
接遇マナーをマスターするためには基礎ができてなければ改善が難しいものです。
間違った日本語を使うことが習慣になり会話で気が付かないところで、クライアントに失礼はないか、間違った日本語で会話していないかをしっかりとチェックしましょう。
④クレーム対応能力
クレーム対応は接客の中でも一番厄介ですが企業側にとっては重要な位置を占める機能です。
クレームをどのように対応できるかで、今後の会社の明暗を分ける結果を招く重要なターニングポイントとなります。
相手側に納得のいくような説明と謝罪、時には弁解も織り交ぜながら、相手が妥協して落ち着く到着点を導きださなければなりません。
手厚いサポートと適切なクレーム対応によっては、以前以上に自社ファンに転向する顧客も少なくありません。相当の話術と精神的なケアをもって取り組めるかがポイントとなります。
⑤マネジメント能力
マネジメントが上手にできる人はどうして接遇マナーがよくできていることになるのでしょうか?
マネジメントは企業や組織の中で全体を総括する舵取り役です。リーダーシップを発揮して部下の育成や組織運営のノウハウを理解している必要があります。
つまり接遇マナーには臨機応変に状況に合わせた舵取りができる能力が必要とされるのです。
おわりに
企業にも接遇が求められているということは、世間の注目が会社ではなく、個人の活躍にむけられている傾向が強くなってきているということが言えるのではないでしょうか。
会社の一員としての自分ではなく、自分がいるから会社が発展するという、個人的なイバリュエーションを高める必要性が問われているのだという感が否めません。
接遇の原理は本来日本人が大事にしてきたまさにおもてなしの文化。接遇マナーが浸透することで日本社会全体の飛躍にもつながることでしょう。