社内研修の種類や事例|どのような内容がベスト?進め方や作り方も解説

更新:2023/01/31

作成:2022/09/13

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

社内研修の種類や事例|どのような内容がベスト?進め方や作り方も解説

 人材育成に欠かせないのが社内研修。しかし、社内研修といっても、座学からグループワーク、ロールプレイングなど、さまざまな形式があり、内容も階層別研修、テーマ別研修など多様です。

 これから人材育成の仕組みを作ろうと考えたとき、「どう取り組めばいいか?」を思われる経営者や人事の方も多いでしょう。

 本記事では社内研修の種類などの基本を確認して、社内研修の進め方や作り方を紹介します。

<目次>

社内研修とは?

 一口に「社内研修」といっても、いろいろな意味合いで使われており、大きくは以下の3つの定義で使われます。
 

  • 1.外部委託をせず、社員が研修講師として登壇して社内向けに実施する研修
  • 2.自社の社員のみを対象にして実施する研修(インハウス研修)
  • 3.インハウス研修に加えて外部の公開セミナー等に社員を派遣することまで含んだもの(≒社員教育)

 本記事では、最後の社員教育と同じ意味合い、もっとも広義な形での社内研修を前提に解説します。

社内研修の種類・事例

 社内研修には具体的にどのような種類があるでしょうか。社内研修は大きく「場所と時間」「内容とテーマ」「形式」などで分類することができます。

場所と時間による分類

OJT
 OJTは、「On The Job Training」の略で、実際の業務を通して仕事を習得してもらう研修方法です。

 より実践的なスキルや知識を身につけることができます。また、その場でフィードバックをもらえるため成長が早くなることが特徴です。

 一方で、体系的な知識を得にくい、OJT指導者の力量などによって品質や効果に差が出やすいといった注意点があります。

OFF-JT
 OFF-JTは、「Off-the-Job Training」の略で、職場ではない別の場所、また実務ではない時間を割いて、セミナーやロールプレイングなどを行う研修方法です。

 OFF-JTの利点は体系的なノウハウや知識を教え、スキルを一定水準まで高めることができる点です。

 本記事では、主にOFF-JTで実施される社員教育/社内研修に焦点を当てて解説していきます。

研修内容や対象による分類

 社内研修は、対象や内容によって「階層別研修」「職種別研修」「テーマ別研修」などの形で区分することができます。

階層別研修
 階層別研修は、組織内の階層、たとえば部長、課長、若手社員、新入社員などの対象層によって研修を区分したものです。

 階層別研修の中でも、新入社員研修や新任管理職研修など、階層が変わった社員を対象に実施する研修は次の環境でスムーズに活躍するためのオンボーディングとして非常に重要です。

 当然、各階層で求められる責任やスキルが変わるため、各階層によって、また、同じ管理職でも、新任管理職、中堅管理職、上級管理職などによって、研修内容は変わってきます。

職種別研修
 階層別研修は、営業、人事・労務、経理・財務、総務、エンジニア、広報など、職種ごとに必要とされる業務スキルや知識などを習得させる研修です。

 OFF-JT研修だけでなく、OJT研修も行うケースも多くなります。

 職種別研修は社内に人数が多い職種、たとえば、営業やエンジニアなどは比較的研修が実施されやすいですが、人事・労務、広報など社内に人数がいない職種の研修は後回しになりがちです。

 職種の重要度にもよりますが、外部研修への派遣などを通じて、職種の専門性を磨く機会をつくることも大切です。

テーマ別研修
 テーマ別研修は、その名の通り、何らかのテーマにフォーカスして実施する研修です。

 階層別研修や職種別研修のなかで詳細テーマが設定されるケースも多いですが、階層や職種を横断して実施されることもあります。

<階層や職種研修の詳細テーマとして設定されることが多いテーマ>

  • ロジカルシンキング
  • マーケティング
  • プレゼンテーション
  • キャリアプラン
  • コーチング など

<階層や職種を横断して行われることが多いテーマ>

  • ミッションビジョンバリュー(MVV)の浸透
  • ハラスメント
  • コンプライアンス
  • 個人情報保護 など

実施形式による分類

 社内研修は「座学」「グループワーク/ディスカッション」「ロールプレイング」「eラーニング」といった実施形式でも分類されることがあります。

 実務的には実施形式の視点から研修を設計することはありませんが、研修内容やテーマに応じて最適な実施形式を選択することが重要です。

座学
 もっとも一般的な形式で、受講する社員が座った状態で講師の話を聞く形式です。

 手軽に開催できることが最大のメリットですが、知識のインプットだけで実践を伴わないため、時間の経過とともに知識の定着が薄れたり、ノウハウとして身に付きづらかったりする部分があります。

 ハラスメントや個人情報保護などは、比較的座学で実施されることが多いテーマです。

 また、各階層や職種で必要な基礎知識のインプットなども座学で実施されるケースが多いでしょう。ただ、最近では座学による研修はeラーニング等に代替されることが増えています。

グループワーク/ディスカッション
 設定したテーマに対して、参加者同士で議論やワークを行う形式です。座学と比べると参加型になり、学習効果は高くなります。

 また、正解がない問題を考えたり、コミュニケーション力を鍛えたりすることにも繋がりますし、社内実施すれば、グループ内で交流を促す効果もあります。

 従って、多くの社内研修で取り入れられています。

 ただし、座学研修に比べると実施効率は悪くなり、研修実施に必要な時間は長くなります。

 また、参加者のレベルに偏りがある場合、能力の高い参加者に進行を依存して、期待以上の効果を得られないこともあるので注意が必要です。

ロールプレイング
 実際の業務に近い状況を模擬的に作ることで、より実践的なスキルや知識を身につける研修です。

 ロールプレイング形式で取り組むことで、実践的なスキルを身に付けることはもちろん、受講生自身が成長や課題に気付けます。

 コミュニケーションに関する研修などでは、ロールプレイングの実施は欠かせないものだといえるでしょう。

 ただし、社内で実施すると緊張感が薄れて、馴れ合いの進行になりがちです。講師の進行も含めて適度な緊張が生まれる設計を工夫することが重要です。

eラーニング
 インターネットとスマフォ・タブレット・パソコンなどを組みわせた研修形式です。

 eラーニングには動画などの教材を使った「非同期型」と、テレビ会議システムを利用して双方向型で実施する「同期型」があります。

 非同期型のメリットは、動画等を使うことでいつでもどこまで受講者の都合に合わせて学べることです。

 また、研修提供側としても、同じコンテンツを永続的に提供していけますので、社内研修の体系を作ったり、運営の手間を省いたりするうえでは非常に有効です。

 一方で、いつでもどこまで学べるからこそ、学習効果や進捗が受講者のモチベーションに左右される、また、知識のインプットに留まるという点が注意点です。

 同期型のメリットは、座学、グループワーク/ディスカッション、ロールプレイングなどの研修形式を集合せずに実施できることです。

 会場も必要ありませんし、移動時間が発生しないからこそ日程調整なども容易になります。

 同期型のeラーニング(オンライン研修)はzoomなどのツールを使えば、参加者を小グループやペアに分割して同時進行でロールプレイングやグループワークを実施するなども可能です。

 従って、対面での研修と遜色ない効果を得ることもできます。

 ただし、あくまでオンライン越しになるので、参加者の表情や反応を見ながら進行を調整したり、実技を伴う研修を実施したりすることはできません。

社内研修の実施目的とメリット

 そもそも社内研修を実施する目的やメリットはどんなものでしょうか。社内研修の作り方や進め方を解説する前に簡単に確認しておきます。

スキルの底上げ

 社内研修を実施することで、業務内では身につけられないスキルや知識の習得ができます。

 また、研修によって従業員のスキルが底上げされれば、短期的には業績目標の達成、また中長期的には組織の生産性向上や事業成長につなげることができます。

 社内研修では、業種や業界で必要なハードスキルだけでなく、リーダーシップやコミュニケーション、セルフマネジメントなどのソフトスキルも重要です。

 業務内の実践で磨くだけでなく、研修などの機会を通して体系的な知識などを身に付けて、スキルの底上げを図ることが重要です。

 コンプライアンスやハラスメント、個人情報などのリスク回避の研修も広い意味では、スキルの底上げという目的に含まれると考えていいでしょう。

社内連携の強化

 グループワーク/ディスカッションなどを通じて、チーム内、また部門間や事業部間の交流を深め連携を強化することも社内研修の目的です。

 時には社内研修のゴールやテーマ自体が社内連携の強化や組織風土の改善などであることもあるでしょう。

 社内コミュニケーションの活性化は、連携強化による生産性向上だけでなく、異なる部門や視点の意見が掛け合わさることで、今まで考え付かなかったようなアイデアやイノベーションが生まれる素にもなります。

理念やビジョンの浸透

 組織が掲げるパーパスやミッション・ビジョン・バリュー(MVV)は、組織が成し遂げたい構想やあるべき理想の姿を具現化したものです。

 社内研修を通して、パーパスやミッション・ビジョン・バリュー(MVV)に対する理解を深めることで、従業員一人ひとりが自主的に会社にとって適切な意思決定を下せるようになるだけでなく、従業員のエンゲージメント向上や自社にマッチする優秀人材の獲得にもつながります。

社内研修の作り方・進め方手順

 最後に、社内研修の作り方・進め方の一般的な手順を解説します。

 前述した通り、新入社員研修や新任管理職研修、また、コンプライアンスなどの研修は社内研修を考えるうえで必須のテーマです。

 ただ、それ以降は「どんな研修を実施する優先順位が高いか?」「いまの研修体系がこれでいいのか?」と考えることもあるでしょう。その際の参考になれば幸いです。

①課題抽出

 社内研修をいきなり企画する前に課題抽出を行うことが大切です。社内研修は何らかの組織課題を解決したり、目標を達成したりするためのものです。

 研修実施の優先順位なども課題解決の優先順位に紐づきます。

 課題抽出には大きく下記の2つのアプローチ方法が有効です。

  • 1.中長期的な経営計画や事業方針を踏まえて、現状とのギャップ=課題を抽出する
  • 2.アンケートやヒアリングを用いて、組織全体、事業部、部署などに点在する課題や問題を棚卸しする

②ゴールの設定

 課題抽出ができたら、社内研修を通じて得たいゴールを設定しましょう。

 きちんとゴールを設定しないと、“社内研修を実施すること”や“良い研修を実施すること”が目的化してしまいがちです。

 研修のゴールは「研修が終わって職場に戻ったときに〇〇な状態になっている」「こういう行動をしている」など、参加者のBefore&Afterで設定すると、研修の効果測定や研修プログラム設計に生かしやすい具体的なものになります。

③研修計画の作成

 社内研修のゴールを設定できたら、研修計画の作成を行います。

 具体的な研修に必要な費用、研修形式、受講対象者、研修日時や期間、開催場所、研修に必要な人材(研修サポートスタッフや研修講師など)確保などを検討します。

 5W1Hのフレームワークを使うと、もれなく計画を立てることができるでしょう。

詳細内容
Why研修の目的
Who研修のターゲット
Where研修の実施会場
What研修内容・テーマ
When研修日時・開催期間
How研修形式

 これを決めたうえで、具体的な研修プログラムの作成や選定に入っていきます。

 社内での実施ではなく、外部の研修会社や公開セミナーを使う場合は、ある程度空白の状態で研修会社の選定等に入ることになりますが、その際も、課題抽出、ゴール設定、研修計画のラフを作ったうえで相談すると効率的です。

④告知とアフターフォローの設計

 当たり前のことですが、研修は実施することが目的ではなく、行動変容を生み出し、ビジネス上の成果につなげることが目的です。

 そして、行動変容を生み出すためには、じつは研修自体の内容以上に、研修に対する参加姿勢をつくる事前のアプローチ、また、研修後の実践を促すアフターフォローが重要になります。

 事前のアプローチでは、学べる内容や効果をチラ見セするような告知、社長や上司などから参加者への期待事項を伝えてもらう、事前学習の動画を提供するなどが有効です。

 また、アフターフォローでは、研修内できちんと実践行動を決めたうえで実践をフォローする、実践結果を共有・発表するような場を作る、講師から復習や疑問解消等のメッセージを送るなどが有効です。

⑤研修の運営

 とくに対面形式での社内研修で実施する場合には、会場の確保、参加者への配布資料、実施日時と会場のリマインド、プロジェクターやマイクなどの動作チェック、アンケートの配布、遅刻者や欠席者の対応など、さまざまな対応業務が発生します。

 事前にトラブルを想定し、準備しておくと、慌てずに研修を進行することができるでしょう。研修が終了したら、参加者にアンケートを取って、良かった点や改善点を集め、その内容を次回の研修に反映します。

⑥効果測定

 社内研修はそれなりの工数や費用などのリソースを投下して実施するものです。従って、研修を実施してどうだったかという効果検証は必須です。

 一般的には研修直後のアンケートなどで実施されますが、研修による効果はすぐ出るものではありません。

 社内研修の終了直後、半年や1年というスパンで、アンケートを実施してその数値の変化を見ることも大切です。

 研修の効果測定は、カークパトリックの4段階評価法(カークパトリックモデル)が基本となります。

 カークパトリックの4段階評価法は、研修や教育による効果を反応、学習、行動、結果の4段階で評価する方法です。

評価内容評価手法
Reaction(反応)満足度アンケート
Learning(学習)学習理解度試験やレポート
Behavior(行動)行動変容期間経過後のアンケート、面談
Results(結果)業績貢献度目標達成、ROI指標

 カークパトリックの4段階評価法と社内研修の効果測定については、下記の記事で詳しく紹介していますのでご興味あればご覧ください。

まとめ

 社内研修は、組織における人材育成の基本となる施策です。OJTとOff-JT、階層別研修・職種別研修・テーマ別研修などの基本を把握して、優先順位が高いものから取り組みましょう。

 実施に際しては、内容やテーマに応じて、座学、グループワーク、ロールプレイング、eラーニングなど適切な実施形式を選択することも大切です。

 なお、社内研修は思い付きで実施されたり、実施自体が目的化してしまったりすることもあります。

 きちんと課題から落とし込んで優先順位やゴールを設定し、また、効果検証していくことが大切です。

 HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、講師派遣による研修、また1名から派遣いただける公開セミナーまで、階層やテーマに応じて研修を提供しています。

 ご興味あれば、提供サービスの一覧をご覧ください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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