人材募集の効果性を高めるには、数ある求人方法のなかから自社に合うものを選び活用することが大切です。本記事では、まず、求人方法を選ぶ際の基本的な考え方と、人材募集で一般的に使われる7つの方法を確認します。
確認したうえで、求人メディアの運営経験と人材紹介会社の知見も踏まえて、企業のパターンや採用ニーズ別の人材募集のおすすめ方法と、人材募集で応募数を増やすために押さえておきたい3つのポイント、注意点を紹介します。
<目次>
求人方法を選ぶ際の基本的な考え方
採用活動の効果性を最大化するには、以下の基本的な考え方を踏まえて、自社に合う求人方法を選ぶ必要があります。
採用の位置づけの明確化
求人方法の選び方は、以下のような緊急度・重要度によって変わってきます。
- 急募か?時間的余裕があるのか?“良い人がいれば”程度なのか?
- どれくらいの費用をかけられるのか?
- どのような人材の質を求めるのか? など
求人方法を選ぶ際には、上記のような採用の緊急度・重要度を整理しておくことが大切です。「万能な採用方法」というのは早々ありませんので、緊急度・重要度に応じて、どのような利点を重視すべきかを選択する形になります。
採用ターゲット・採用ペルソナの明確化
採用ターゲットは、自社が求める人材の要件を整理したものであり、いわば、採用基準に近いものです。
一方で採用ペルソナは、採用ターゲットから「一人の架空の人物」を想定し、名前・性別・年齢・ライフスタイル・価値観などまで、詳しく設定したものです。採用基準に“人物像”を付与したものが採用ペルソナです。
採用ターゲットと採用ペルソナを書き並べてみると、以下のような違いがあることがわかるでしょう。
- 採用ターゲット:20代後半、システムエンジニア、●●の実務経験が一定以上あり即戦力になる、ビジネスレベルの英語力
- 採用ペルソナ:山田太郎、29歳、男性、独身、年収450万円、大学の理工学部卒、システムエンジニア、開発チームリーダー経験あり、36歳までに地元へのUターンを希望、フリーランスや副業にも興味あり、趣味は海外旅行と英会話、現在SES会社でチームリーダーをしているが自社サービスを持つ事業会社に転職したい
採用ペルソナがいる場所での告知
採用ペルソナを明確にすることで、今回の採用と相性の良い求人方法が以下のように見えてきます。
- フリーランスや副業媒体での認知づくり
- システムエンジニア求人
- Uターン求人
- 事業会社の求人に絞り込んで探せるような求人媒体、人材紹介会社 など
採用ペルソナにとって魅力的な募集要項の作成
採用ペルソナを詳しく作成すると、採用ターゲットのニーズと、ニーズに合う自社の魅力を考えやすくなります。採用ペルソナを考えることで、求人票に記載する募集要項や採用メッセージも、求職者ニーズを踏まえて作成することができます。
- Uターン希望 ⇒ 地方からのリモート勤務が可能、SEの〇%がフルリモート勤務
- 自社サービス ⇒ 「こういう事業・サービスを支えるSEの募集」という形で、自社事業のミッションやビジョンをしっかりと打ちだす
- リーダー経験あり ⇒ リーダー手当〇万円 など
人材募集の求人方法7選
人材募集で使える求人方法には、さまざまな手段があります。本章では、一般的に使われる7つの求人方法の特徴やメリット・デメリットなどを紹介します。
1.自社サイト
自社の公式サイトや採用サイトから、人材募集をする方法です。自社サイトのメリットは、写真や動画、文章などを使って、自社の魅力を自由に発信できる点です。
ただし、自社サイトで採用を成功させるには、TwitterなどのSNS連携で拡散の仕組みを作るなど、自社サイトに人を集める導線が必要です。知名度のある人気企業でもなければ、自社サイト単体で母集団を集めることは難しい特徴もあります。
2.求人サイト・求人誌・求人イベント
各媒体への広告出稿やイベント参加を通じて、求職者からの応募を待つ方法です。
業界でのネームバリューや採用の広報力が高い企業であれば効率良く応募を集められますが、認知度が低い中堅・中小企業の場合、大企業と比べて求職者の目に止まりづらくなる特徴があります。
3.ダイレクトリクルーティング
サイト内の人材データベースを検索・閲覧して、自社に合う人材に直接アプローチできる攻めの採用手法です。
きちんと運用できれば、ネームバリューが低い中堅中小・ベンチャー企業などでも、優秀な人材を獲得しやすい特徴があります。ただし、求職者の心を動かすスカウトメールを作成する、きちんと送付していくなどのテクニックや工数は必要です。
4.人材紹介
各紹介会社(エージェント)から、自社の希望要件に合う人材を紹介してもらえるサービスです。
新卒の場合、新卒紹介と呼ばれます。エージェントは、求職者との条件交渉や面接日程の調整、内定の承諾後の手続きなども代行してくれます。
そのため、採用活動にかかる工数を減らしたい企業にもおすすめですし、求人サイトなどで集まりづらい企業にもおすすめです。また、一般的な人材紹介は完全成果報酬ですので、リスクもありません。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでも、「採用カレッジ」と「新卒カレッジ」というイベント型の人材紹介サービスを提供しています。興味がある人は、以下の資料をダウンロードしてみてください。
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5.リファラル採用
自社の社員による紹介です。いわゆる“縁故採用の進化版”ともいえます。
既存社員は、自社の労働環境や社風、また、紹介する友人知人のこともよく知っています。そのため、リファラル採用は、採用の成功率、マッチング率が高い採用手法です。ただし、計画的な採用や大量採用には不向きです。
6.ハローワーク
ハローワークは、国で運営する職業紹介所です。ハローワークを利用するメリットは、採用コストがかからないうえに、要件に合う特定層の採用などをすれば助成金の対象になることです。
ただし、ハローワークは、就職が難しい層のセーフティーネットです。そのため、活躍可能性の高いキャリア層や若手層の採用は難しい可能性があります。
7.店舗や事務所への貼り紙
たとえば、人通りの多い場所に店舗や事務所があったり、飲食店などで地元のアルバイトを募集したりする場合、見やすいところに求人の貼り紙をするのも一つです。
たとえば、地元の常連が多い飲食店などの場合、貼り紙を見た常連から自社に合うアルバイトなどを紹介してもらえる可能性もあるでしょう。
パターン別|人材募集の方法とおすすめ手法
人材募集のおすすめ手法は、各企業の採用ターゲットや採用力、採用ニーズによって異なります。本章では、以下4つのニーズにおすすめの人材募集方法を紹介しましょう。
専門性が高い求人(経験者)の募集方法
- ダイレクトリクルーティング
- 特化型の求人サイト
- 人材紹介
- リファラル採用
専門性の高い人材を集めたいときは、たとえば、「ITエンジニア」「クリエイター」といった職種や「理系学生」などのターゲット属性に強いサービスを選ぶことも大切です。
急募したい場合の募集方法
- 人材紹介
- ダイレクトリクルーティング
- 自社サイト+SNS採用
大企業ほどの採用広報力がない中堅・中小・ベンチャー企業などが急募する場合は、“待つ”より“攻め”の求人方法のほうがおすすめです。
また、フォロワーの多いSNSアカウントがあるなら、「【急募】興味がある方はDMください」などのコメントをつけて、募集要項などを拡散してもよいでしょう。
地域性の高い求人の募集方法
- 求人誌
- 求人イベント
- ハローワーク
- 店舗や事務所への貼り紙
貼り紙やハローワークは、基本的にお金がかかりません。そのため、工数に余裕がある場合は、地元の求人誌などとの併用で人材募集してもよいでしょう。
採用コスト削減に向けた募集方法
- リファラル採用
- 自社サイト+SNS採用
- ハローワーク
- 店舗や事務所への貼り紙
地域性の高い求人と同じで、お金があまりかからないものを組み合わせるのがポイントです。
リファラル採用やSNS採用などは、お金をかけずに優秀層を採用することも可能です。ただし、たとえば、SNS採用をする場合は、初期費用はかからないものの、運営者の手間や工数はかかってしまいます。
また、リファラル採用は計画的な採用ができません。こうしたデメリットや制限もあるので、ある程度中長期的に取り組むことがポイントです。
人材募集で応募数を増やすためのポイント3つ
人材募集を成功させるには、まず、求職者からの応募数を増やすことが大切です。本章では、応募数を増やすために実践したい3つのポイントを紹介します。
募集する人材ターゲットの明確化
人材募集を効果的なものとするためには、まずは自社の求めるターゲットを明確化することが大切です。
明確にしたうえで、そのターゲット人材がどこにいるのか、転職活動をする際にどのような媒体を使うのかなどを考えていきます。
自社にあった求人方法の選定
自社のターゲット人材がいる求人サイトやサービスを使ったからといって、必ずしも多くの応募を集められるわけではありません。
たとえば、業界認知度・マーケティング力・採用活動に使える資金力が低い企業の場合、業界認知度などの3要素が高い大企業と同じ市場で勝負すると、母集団形成に苦戦する可能性が高いでしょう。
また、たとえば、1年後に離職する人材の欠員補充で採用活動をする場合、そもそも高いお金を払って大手の求人サイトを使う必要がないかもしれません。
上記のように、人材募集を効率よく行なうためには、採用ターゲットがいる場所に加えて、自社の採用力や資金力、時間的余裕などを総合的に見て、自社に合う求人方法を選ぶことが大切です。
ターゲット人材にとっての魅力抽出
人材募集では、求職者に自社の魅力を伝え、志望度を上げることが大切です。ただし、「自社が認識する魅力」と「ターゲットが求める魅力」にギャップがあれば、応募や志望度UPにはつながりません。
求職者の志望度を上げるためには、「採用ターゲットのニーズ」をきちんと考えて、「ニーズ×自社の魅力」が重なるところをアピールしていく必要があります。
人材募集で注意すべき3つのポイント
人材募集を効果性の高いものにするには、募集要項などの位置づけを理解したうえで、関連する制度や法律は押さえて活動する必要があります。人材募集で注意すべき3つのポイントを紹介します。
募集要項に載せるべきことを整理する
募集要項は、ただ情報を伝えるだけでなく、求職者とのはじめの接点であり、エントリーしてもらうための求人「広告」的であることを意識する必要があります。
また、求職者に「この企業に応募したい!」と感じてもらうためには、求人票などに記載する募集要項でしっかりと訴求する必要があるでしょう。
訴求の際には、上述したような採用ターゲットが誰か?そして、採用ターゲットのニーズは何か?をきちんと考えることが大切になります。
職業安定法を把握しておく
人材募集をする際には、職業安定法のルールに合った募集要項の作成などが求められます。
まず、募集要項には、職業安定法で定められた必要項目の記載が必要です。2018年1月1日に施行された改正職業安定法では、人材募集するときに以下のような点に留意することが示されています。
- 労働条件の明示が必要な時点(タイミング)
- 最低限明示しなければならない労働条件等
- 変更明示の方法等 など
また、職業安定法では、求人広告の掲載、自社ホームページでの募集をする際に、求人票や募集要項に以下の項目を明示することを求めています。
- 業務内容
- 契約期間
- 試用期間
- 就業場所
- 就業時間
- 休憩時間
- 休日
- 時間外労働
- 賃金
- 加入保険
- 募集者の氏名または名称
- 雇用形態(※派遣労働者として雇用する場合)
性差別表現や年齢制限に注意する
男女雇用機会均等法や労働施策推進法などでは、募集要項に年齢・性別の制限や差別表現を記載することが禁止されています。したがって、たとえば、募集要項に「20代の男性限定」といった記載をすることはNGです。
ハローワークや求人広告などであれば、窓口やメディア側でチェックをしてもらえます。一方で、自社ホームページなどでうっかり掲載してしまった場合、トラブルになりかねませんので注意しましょう。
出典:男女均等な採用選考ルール(厚生労働省)
出典:募集・採用における年齢制限禁止について(厚生労働省)
まとめ
人材募集で使える求人方法には、以下のようにさまざまな選択肢があります。
- 自社サイト
- 求人サイト・求人誌・求人イベント
- ダイレクトリクルーティング
- 人材紹介
- リファラル採用
- ハローワーク
- 店舗や事務所への貼り紙 など
人材募集で応募数を増やすには、以下のポイントを大切にしながら求人方法を考えていく必要があります。
- 採用の位置づけ明確化
- 採用ターゲット・採用ペルソナの明確化
- 採用ペルソナがいる場所での告知
- 採用ペルソナにとって魅力的な募集要項の作成
また、人材募集に最適な方法は、各企業が以下のうち何を重視するかによっても変わってきます。
- 専門性が高い求人の募集方法
- 急募したい場合の募集方法
- 地域性の高い求人の募集方法
- 採用コスト削減に向けた募集方法
なお、人材募集をする際には、職業安定法で定められた必要事項を募集要項に記載しなければなりません。また、性差別表現や年齢制限などの記載は、法律で厳しく禁じられています。注意しましょう。