リファラル採用とは?メリットや成功させるポイント、注意点を解説

更新:2022/05/29

作成:2022/05/28

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

リファラル採用とは?メリットや成功させるポイント、注意点を解説

 最近、新たな採用活動の取り組みとしてリファラル採用に取り組む企業が増えています。リファラル採用のメリットや成功させるためのポイント・注意点を解説します。

<目次>

リファラル採用とは?

リファラル採用とは?
 
 リファラル採用とはどのような採用手法でしょうか。リファラル採用の概要、縁故採用との違いを確認します。

社員に人材を紹介してもらう採用手法

 リファラル採用とは、自社の社員に知人や友人を推薦してもらう採用手法です。欧米では広く利用されており、日本でも注目を集めています。

 絶対的な少子化が進むなかで、自社で採用したい優秀人材に出会うには、求人広告を出して待つだけではなかなかうまくいきません。また、後述しますが、リファラル採用には従来の採用方法では得られないメリットがいくつもあります。

縁故採用との違い

 リファラル採用と混同される言葉に、縁故採用があります。混同されると書きましたが、縁故採用を現代版にバージョンアップしたものがリファラル採用といってもよいかもしれません。

 ただし、SNSなどの広いつながりが無かった時代における縁故採用は、知人や血縁などを通じて人材を「出会う」手法であると同時に、「紹介してもらった人はよほどのことがない限りは採用する」といった暗黙の了解もありました。このように縁故採用は、採用基準にも影響を与える、という特徴があります。

 一方、リファラル採用はあくまでも質の高い母集団形成するための手法であり、自社の採用基準を変えることはありません。採用の合否自体はリファラルかどうかに関係なく、しっかりとプロセスを踏んで選考を実施します。

 このように選考基準の独立性、という点が、従来までの“縁故採用”と“リファラル採用”と異なる部分だといえます。

リファラル採用のメリット

リファラル採用のメリット
 
 リファラル採用を導入する主なメリットを紹介します。リファラル採用は、従来までの採用手法に比べて非常に効果的な採用手法です。

入社後のミスマッチを回避できる

 リファラル採用で紹介される人材は、自社でいま働いている社員が「自社に合いそう」と判断した人ですので、職場との親和性が高いことを見込まれ、入社後のミスマッチが生じにくいといえます。

 紹介される人材は、友人や知人である社員と似た価値観を持っているケースも多く、職場のカルチャーに合う人材を集めやすいでしょう。入社後も“紹介元である社員の○○さん”という共通項もあり、職場になじみやすく、即戦力として働いてもらえる期待も高まります。

転職潜在層にリーチできる

 社員の友人や知人を紹介してもらうリファラル採用は、転職エージェントや求人サイトを利用しません。そのため、まだ採用市場に出てきていない転職潜在層にリーチできます。これもリファラル採用のメリットです。

 転職の潜在層は、転職意欲が一定の線を越えないと求人サイトや転職エージェントには登録しません。しかし、リファラル採用であれば、社員を媒介とすることで、一種のヘッドハンティングに近いようなイメージで転職の潜在層にアプローチすることができます。

採用コストを抑えられる

 リファラル採用のメリットとして、採用コストを抑えられることも挙げられます。転職エージェントや求人サイトを利用中なら、大きなコスト削減効果を実感できるでしょう。

 例えば転職エージェントを利用する場合、採用にかかる費用は年収の30~35%が相場です。一方、リファラル採用では紹介してくれた社員に謝礼などを出す場合もありますが、せいぜい数十万円です。したがって、リファラル採用が増えれば、採用コストを大きく落とすことができるでしょう。

社員のエンゲージメント向上に役立つ

 リファラル採用では、社員が一種のリクルーターとなって候補者を探すことになります。採用活動を行なう社員は、リファラル採用を通して職場の状況や企業の将来を考えたり、また、自社の魅力や自分が働いている理由、やりがいなどを相手に伝えたりすることになります。これらの活動を通じて、社員のエンゲージメント向上を期待できる点は、他の採用方法にはない大きな特徴の一つです。

リファラル採用のデメリットと注意点

リファラル採用のデメリットと注意点
 
 リファラル採用にはメリットだけでなくデメリットもあります。リファラル採用の導入を検討する際は、リスクや注意点も考慮して、自社に向いているかを判断しましょう。

計画的な採用が難しい

 リファラル採用では、候補者が見つかるタイミングや候補者の数は、社員の活動次第であり、計画的な採用は難しいです。

 例えば、“毎月3名ペースで必ず採用していきたい”といった計画がある場合、リファラル採用ですべてをまかなうことは難しいでしょう。また欠員補充や事業計画の都合で、“○月までに必ず入社してもらう必要がある”といった場合も、短期間で人材を補充することは困難です。

 計画的な採用が難しいリファラル採用は、組織の体制を長期的に強化していきたいケースで効果を発揮しやすくなります。導入を検討する際は、採用活動の方向性や時間軸を社内で確認することが大切です。

選考中や採用後の人間関係に配慮が必要

 リファラル採用を導入する場合は、選考中や採用後の人間関係に配慮が必要です。「人」同士のつながりをもとに社員と候補者が動いているため、結果次第では関係が悪化してしまう恐れがあります。

 例えば、候補者が不採用になった場合は、紹介元の社員が候補者に気まずい思いをすることもあるかも知れません。また、入社後に齟齬が生じれば、候補者が「誘われたときと話が違う」と紹介した社員をネガティブに思うこともあるかもしれません。

 また、候補者が早期退職してしまうと、紹介した社員は職場で気まずい思いをしてしまう場合もあるでしょう。逆に勧誘した社員のほうが職場に不満を抱いて退職した場合、紹介された候補者が困惑してしまい、モチベーションの低下につながることもあります。

 組織側はこういった点に配慮して選考したり、候補者とのコミュニケーションを取ったりすることが大切です。

人材の同質化につながりやすい

 リファラル採用の注意点として、人材の同質化につながりやすいリスクもあります。社員の友人や社員と価値観の合う知人が集まりやすくなるため、似たようなタイプの人材に偏ってしまうことがあるのです。

 人材の同質化が進み過ぎると、思考がマンネリ化して、イノベーションがなかなか創出されないリスクもあります。

 ただし、現実的にはリファラル採用のみで採用をすべてカバーするいうことはほとんどありませんし、友人だからといって思考パターンが同じとも限りません。したがって、人材の同質化はさほど大きなリスクではないといえるでしょう。

リファラル採用を成功させるポイント

リファラル採用を成功させるポイント
 
 リファラル採用を成功させるには、いくつかのポイントを押さえておきましょう。以下に挙げる4つのポイントを意識することで、リファラル採用を効果的に進められます。

社員を巻き込み続ける

 リファラル採用は社員がリクルーターとなって人材を発掘するシステムです。従って、リファラル採用を成功させるためには、社員の意識を巻き込み続ける必要があります。

 リファラル採用では、社員が声をかけたり発信したりすることが重要です。社員の活動を生み出すために、社内報の配信や部署訪問などを行なったり、人事部主導でリファラル採用の啓蒙活動を行なったりすることが大切です。

 カジュアル面談の様子を伝えたり、リファラル採用の成功例を発信したりするのも効果的です。リファラル採用に興味を持ってもらい、メリットを感じてもらえる工夫を凝らす必要があります。

紹介のハードルを下げる

 リファラル採用ではいきなり面接を行なうのではなく、ハードルが低いカジュアル面接に誘導することもポイントです。紹介のハードルを下げれば、社員も声をかけやすくなるでしょう。

 カジュアル面接も1対1ではなく、紹介者・候補者・人事の3者によるランチ面談や、社内におけるピザパーティー・交流会・勉強会といった形式にすることで、堅苦しさが和らぐでしょう。

 また、候補者との会食費用を企業が支給することで、費用面でのハードルも下げられます。1人あたり1,000円のランチ代を出したり、5,000円を上限とした会食費を支給したりと、費用の設定方法は企業によりさまざまです。

紹介者へ感謝を示す

 リファラル採用で成果を上げた社員には、紹介者ボーナスとして報酬を支払うのが一般的です。採用活動に対するモチベーションアップに大きくつながる要素といえます。

 また、報酬の支給だけでなく、感謝を示したり表彰したりすることも、本人のやる気をさらに高めつつ他の社員にも刺激を与える手法です。誰もがわかる形で感謝を示すことで、全社員を巻き込み続けられます。

 社員が一堂に会する場で紹介者を表彰したり、入社後の候補者にインタビューを実施して社内報の記事にしたりする方法がおすすめです。実際にこれらの取り組みで一定の成果を上げている企業もあります。

ツールを活用する

 リファラル採用を本格的に運用したい場合は、ツールの利用を検討することもひとつです。リファラル採用に特化したツールを提供する会社が何社かあります。

 リファラル採用ツールを利用することで、社員は知人や友人に簡単に求人情報を送信することが可能です。また、企業側にとっても、採用活動の状況を把握しやすくなります。

 インセンティブ管理ができる機能や人事の業務管理を効率化できる機能なども便利です。社員と企業の双方で使い勝手を確認し、自社にとって利用しやすいツールを選んでみましょう。

リファラル採用で発生するコスト

リファラル採用で発生するコスト
 
 リファラル採用ではおもに3種類のコストが発生します。報酬・活動コスト・サービス費用の具体的な内容をチェックしましょう。

紹介者への報酬

 リファラル採用で発生するメインのコストは、紹介者である社員への報酬(インセンティブ)です。リファラル採用を導入している大半の企業が、紹介報酬制度を設定しています。

 リファラル採用の報酬額は、1件あたり数万~数十万円程度に設定されるのが一般的です。採用難易度や緊急度、職種などによって、報酬金額に差をつけることもあります。

 報酬金額の設定に関して明確な基準はありません。紹介報酬制度を設けるかどうか、金額をいくらにするかは、企業の判断にゆだねられます。報酬を金銭にせず、有給休暇の追加や人事評価への加点などにしているケースもあります。

採用活動コスト

 採用活動中に発生する費用を企業でまかなう分が採用活動コストです。カジュアル面談、パーティー、交流会などにかかる費用が、採用活動コストに該当します。

 また、社員がリファラル採用に関連して活動する費用を企業が負担すれば、社員の費用面でのハードルが下がるため、リファラル採用の促進につながります。どのくらいの金額を支給するかは企業によって異なりますが、ランチで1000円、会食で3000~5000円等が一般的です。

外部サービス費用

 リファラル採用で専用ツールを利用する場合などはツール費用が発生します。

 サービス提供企業やツールの機能などにより、ツール費用には大きな幅があります。採用活動コストと同様に、成果とは関係なく発生する費用となりますので、ツールを導入する際はコスト面を慎重に考慮しなければなりません。

 リファラル採用を導入する際には、いきなり外部サービスを利用し始めるのではなく、リファラル採用が自社に合うシステムなのかどうか確かめて、また、社内で成功事例が出て本格化する際に検討するようなことがよいでしょう。

リファラル採用が違法になるケースとは?

リファラル採用が違法になるケースとは?
 
 リファラル採用に報酬を出す場合、「人材を紹介して報酬を得る」という人材紹介業とみなされないように注意が必要です。人材紹介(職業紹介)は国の許認可事業であり、免許がなければ職業紹介は行なえません。自社のリファラル採用が違法とみなされないようにするために、知っておきたいポイントを紹介します。

報酬が違法になるケースとは?

 人材を紹介して報酬を得る「有料職業紹介」を行なうためには、厚生労働省の認可を取得する必要があります。免許を持っていない人が他人に仕事を紹介して報酬を得ることは、原則として認められていません。

 ただし、リファラル採用において報酬を給料や賃金の形で支払うことは、例外的に認められるとされています。わざわざ国の許可を得なくても、報酬を賃金や給料に上乗せすればリファラル採用の運用が可能です。

 基本的には、生業ではない、つまり、“本業=社員としての業務があったうえで、一時的な謝礼として報酬を出している”形であれば問題はありません。

 ただし、仮にリファラル採用ばかりやっているような社員がいれば違法になりかねません。違反行為に対しては、職業安定法第65条の規定により、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることになってしまいます。

注意するべきポイント

 リファラル採用を違法とみなされないようにするためには、報酬を給料や賃金の形で支給する旨を就業規則に明記することが重要です。支給する時期や金額など、報酬に関するその他の条件も記載しておきましょう。

 一般的な有料職業紹介事業では、年収の30~35%が報酬の相場です。この報酬相場と同様、またはこれを上回るような水準になってくると問題視されやすいでしょう。

リファラル採用の成功事例

リファラル採用の成功事例
 
 リファラル採用の導入に成功した企業事例を紹介します。具体的な施策や成果を知り、導入を検討する際の参考にしましょう。

富士通

 2018年からリファラル採用を導入している富士通は、採用システムを大きく変えることが困難な大手企業でありながら、採用チャネルの一つとしてリファラル採用を確立している企業です。

 約3万2000人の社員を巻き込み、研修や認知促進活動などに努めた結果、2021年までに約90名の採用を実現しました。90名の採用は、費用に換算すると、約1億2,000万円のコストカットにもつながるとしています。

 技術交流を行なっている教授や海外のメンバーなどと信頼関係を構築し、採用が困難な職種でリファラル採用を実現していることが特徴です。

串カツ田中ホールディングス

 2008年に1号店をオープンした串カツ田中ホールディングスは、現在では全国に多数の直営店・FC店を展開しています。成長過程で採用人数が増加する中で、採用コストの高騰や離職率の上昇といった課題も発生したため、リファラル採用で課題の解消を図っています。

 リファラル採用の導入後は、30%を超えていた離職率を大幅に下げることに成功しました。1人100万円程度発生していた採用コストの削減にも実現しています。

 串カツ田中ホールディングスでは、リファラル採用のツールを導入することで大規模運用しています。アナログでリファラル採用を行なっていた時期に比べ、人事の負担が大幅に軽減することができているといいます。

NTTデータ

 NTTデータでは新卒採用をメインとする採用活動から、経験者の積極採用にシフトしています。そのなかで、経験者採用を活性化させるにあたって導入したのが、金銭報酬なしのリファラル採用です。

 リファラル採用では、初年度から10名以上の即戦力採用に成功し、経験者採用の1割を越える比率になっています。リファラル採用の応募からの決定率は、他の採用手法に比べて2倍以上になっており、採用効率という意味でも大きな効果が出ています。

 紹介のルールをしっかりと設計したこと、採用分野(職種)別の人事と連携して全社にリファラル採用を促進する働きかけをしたことが、リファラル採用に成功したポイントです。金銭による報酬を設定せずに一定の結果を出した事例です。

まとめ

 リファラル採用は社員に知人等を紹介してもらう手法です。採用コストを抑えられること、また転職潜在層にリーチできることなどのメリットがあります。

 全社員を巻き込み続けたり、紹介のハードルを下げたりすることが、リファラル採用を成功に導くポイントです。優秀人材の採用や採用コストダウンを中長期的に図りたいと考えるなら、リファラル採用の導入を検討すると良いでしょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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