リファラル採用に関する報酬の支払いで違法とみなされないためには、ポイントを理解して法律に沿った設定にしておくことが大切です。この章では、リファラル採用の報酬を決める際に注意したいポイントを4つ解説します。
職業安定法による規制
リファラル採用で報酬を設定する際、職業安定法で「有料での職業紹介」が規制されていることを知っておく必要があります。職業安定法でいう「有料での職業紹介」とは、いわゆる人材紹介サービス、エージェントの仕事のことです。
職業安定法の第30条では、「有料での職業紹介」について以下ルールが定められています。
<職業安定法30条における「有料での職業紹介」の規制>
第三十条 有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
② 前項の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
二 法人にあつては、その役員の氏名及び住所
三 有料の職業紹介事業を行う事業所の名称及び所在地
四 第三十二条の十四の規定により選任する職業紹介責任者の氏名及び住所
五 その他厚生労働省令で定める事項
③ 前項の申請書には、有料の職業紹介事業を行う事業所ごとの当該事業に係る事業計画書その他厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
④ 前項の事業計画書には、厚生労働省令で定めるところにより、有料の職業紹介事業を行う事業所ごとの当該事業に係る求職者の見込数その他職業紹介に関する事項を記載しなければならない。
⑤ 厚生労働大臣は、第一項の許可をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
⑥ 第一項の許可を受けようとする者は、実費を勘案して厚生労働省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
引用:
e-Gov法令検索リファラル採用で報酬の報酬が「職業紹介」とみなされた場合、職業安定法に抵触することで1年以上10年以下の懲役または20万円以上300万円以下の罰金が課せられます。
企業が職業安定法に抵触しないためには、大きく2点「賃金・給与としての支払い」「妥当な報酬額」を押さえておくことが必要です。それぞれの詳細は、後述しましょう。
なお、2021年4月1日に職業安定法に基づく指針が一部改正されたことで、募集広告における「就職お祝い金」などの名目の金銭提供が禁止になりました。具体的には、求職者に金銭を提供し、求職の申し込みを勧奨することが禁止された形です。
リファラル採用では、たとえば、紹介される側の人材に対して「就職のお祝い金がもらえる」のような勧誘を大々的に行なった場合、職業安定法に抵触する恐れがあります。注意しましょう。
出典:「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止しました(厚生労働省)
賃金・給与としての支払い
リファラル採用の報酬が、職業紹介における報酬とみなされないためには、賃金・給与として支払うことが必要です。賃金・給与として支払う場合、労働基準法の定めに基づいて、就業規則にリファラル採用を業務として記載しておく必要があります。
労働基準法 第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
引用:
e-Gov法令検索
労働基準法15条で、賃金や給料に関する事項は就業規則に明示することが求められています。整備を怠ると法律違反になります。就業規則への記載を忘れないように、注意しましょう。
金額の妥当性
報酬額をあまりに高く設定してしまうと「職業紹介の報酬」とみなされるリスクが生じます。適切な金額に設定することも大切です。
リファラル採用の報酬額の妥当性を考える目安のひとつが、有料職業紹介の報酬相場です。有料職業紹介の報酬相場は、採用者の理論年収の30~40%程度となっています。例えば、理論年収500万円の人であれば150万~200万円が報酬相場です。
リファラル採用の報酬額を有料職業紹介よりも明らかに低い金額で設定しておくことで、職業紹介とみなされるリスクを下げやすくなるでしょう。
なお、リファラル採用の報酬は、先述のとおり賃金・給与として支払うことになります。そのため、月額給与と比較して「妥当性のある金額か?」という視点で考えておくことも必要です。
採用状況による見直し
リファラル採用の報酬は、採用状況に応じて内容を変えることも大切です。
条件の見直しを行なわずにリファラル採用を続けた場合、集まる人材に偏りができるなどのように、企業の成長を妨げるデメリットが発生する可能性があります。
リファラル採用で報酬を支払うときには、採用状況や不足する人材を踏まえて、定期的に報酬制度を見直すことも大切でしょう。