オンライン採用が普及したなかで、学生への魅力付けに悩む企業が増えるようになっています。
オンライン採用になると、企業は、地方の学生などにもリーチしやすくなります。
一方で、オンラインでは対面と比べると、“五感全てに訴えかけえる”体験を作れないため魅力付けが難しく、さらに学生も移動時間がなくなる分、より多くの企業に応募を行ない比較できるようになっています。
こうした理由から、魅了付けの必要性で悩む企業が増加しています。
また、面接等に関しても、対面の面接と比べると定性的な部分での魅力付けが難しいと感じる人事の方も多いです。
その中で、対面面接のころからあった「面接フィードバック」を魅了付けの方法として取り入れている企業もいます。
記事では、まず、面接フィードバックの概要と目的、メリットを確認します。そのうえで、効果的な面接フィードバックの実施ポイントを紹介しますので参考にしてください。
<目次>
面接フィードバックとは?
面接フィードバックとは、求職者に対して、面接で良かった点、また改善すべき点などを示すことです。
面接フィードバックは、基本的に、次の選考ステップに進む合格者に対して行なうことが多いですが、なかには、不合格者を含めた全員に実施する企業もあります。
すべての採用にいえることですが、特に新卒採用の場合、不合格になった人が将来の顧客や取引先、パートナーとなる可能性も高いです。
だからこそ、面接フィードバックを通じて悪印象を持たせず、良い印象で終わることが大切になります。
なお、フィードバックとは、相手の行動を評価することで、良い方向に向かわせるためのものです。フィードバックには、大きく分けて、以下2つの種類があります。
- ポジティブフィードバック:良いところや成長箇所を、前向きな言葉で承認するもの
- ネガティブフィードバック:問題点や課題を指摘し、改善のきっかけとするもの
面接フィードバックを実施する目的や効果、メリット
面接フィードバックには、以下のような目的や、効果・メリットがあります。
求職者の不安解消やリテンション
面接を受けた求職者は、以下のような不安や後悔を抱えがちです。
- あんな受け答えで良かったのだろうか……
- 面接官をガッカリさせたのではなかろうか……
そこで、面接フィードバックを実施すると、求職者の上記のような不安な気持ちが解消されます。また、自信や勇気を与えることで、次の魅了付けにもつなげられるでしょう。
また、人事等からすると合格者に対して面接フィードバックを実施することで、パフォーマンスを改善して次の面接に臨んでもらうという意味もあります。
魅了付けによる志望度アップ
選考辞退や内定辞退を防ぐには、面接で自社の価値と求職者の動機、仕事をする意義などを結びつけ、「やっぱりこの企業で働いてみたい!」などの志望度を高めてあげることが大切です。
たとえば、面接フィードバックで「◯◯さんのそういう経験は、営業の仕事の××で活かせるはずだよ」と伝えれば、求職者は自分が営業職として採用され、これまでの経験を活かして活躍するポジティブなイメージを膨らませやすくなるでしょう。
また、面接官である既存社員の人柄の良さなどをアピールできるところも、ポジティブな面接フィードバックの大きなメリットです。
企業イメージの向上
知りたいことを淡々と質問するだけの無機質な面接官よりも、良いところや成長につながるポイントをフィードバックしてくれた面接官のほうが、求職者から好印象になります。
近年では、リアルな友人やフォロワーへの報告として、就職活動の結果をSNSに投稿することも一般的になっています。
また、求職者が面接などで不快な想いをした場合、「◯◯社の面接はパワハラだった」のような悪評が投稿されるケースも珍しくありません。
このように、良いことも悪いことも投稿・拡散される可能性を考えると、今後の採用活動につなげる意味でも、面接フィードバックを通して企業イメージを高めておくことが有効です。
また、これからの時代は、人材の流動化によって、新卒採用で不採用通知を出した求職者が、数年後に同じ業界で成長をして、自社の中途採用に応募する可能性も十分あります。
そのため、現状では自社の採用基準に達しない求職者であっても、将来的に自社と中途採用や取引先としてつながることを想定した丁寧な対応が望ましいでしょう。
効果的な面接フィードバックの実施ポイント
面接フィードバックの効果性を高めるには、以下のポイントを大切にする必要があります。
志望度アップにつなげる意識を持つ
フィードバックを実施する時点で他企業との差別化になりますが、ただフィードバックをすれば良いわけではありません。
面接フィードバックを志望度アップにつなげるには、「〇〇〇という点が良かった。入社後に〇〇の仕事で活かせる」などポジティブな内容を中心にすることが有効です。
また、合格者に対して実施する場合にも、入社後をイメージさせる内容にすることも有効です。
対象となる言動・行動を具体的に伝える
たとえば、以下のような漠然とした面接フィードバックをした場合、求職者は、自分の何が褒められているのかを理解できません。
- ◯◯さんは、とても良い人材だと思います
- ◯◯さんのような人は、この業界に向いてると思いますよ
あまりに漠然かつ一般的な言葉を並べた場合、求職者は「これは、すべての人に伝えている社交辞令ではないか?」などの疑心暗鬼を抱き、面接フィードバックが逆効果になる可能性もあります。
求職者の心を動かすには、求職者の言動・行動に対応した、以下のように具体的な面接フィードバックをすることが望ましいです。
- 学生アルバイト時代のリーダー経験は、飲食業界の仕事に必ず役立つと思います。
- 弊社のカスタマーサポートチームでは、〇〇さんのように相手の立場で物事を考え、粘り強くトラブル対応できる人材を求めているのですよ など
ポジティブフィードバックを多く伝える
多くの面接フィードバックは、メリットのところで紹介したとおり、「この企業に入りたい」という志望度を強くしてもらうために行なうものです。
そのため、ポジティブなフィードバックを多く伝えるのが原則です。
ネガティブフィードバックは改善方法とともに伝える
面接フィードバックにおけるネガティブな評価や指摘は、「次回/今後の就職活動で直したほうがいいところ」を伝えるものです。
ただ、やはりネガティブな指摘の伝えっぱなしでは、求職者に「突き放された」や「感じが悪い」などの印象を与えてしまうリスクもあります。
そのため、ネガティブフィードバックは、以下のように改善方法とセットで伝えることが大切です。
- 面接内でのあの表現に関しては、△△な伝え方をしたほうが、○○さんの良さが伝わりますよ。
- ○○さんの誠実な人柄はすごく良いものですが、話すときに少し口ごもってしまうのが自信のなさに感じられてしまう部分があります。答えるまで少し間が空いてもいいので、しっかり考えてから話すと良いですよ。 など
なお、ネガティブフィードバックを多数伝えられると、どんなに伝え方を工夫しても良い気分にはなりません。
最も直すと効果的、また、実際に短期間で直すことができる1つか2つに絞って伝えましょう。
責任を持って面接官の一人称で伝える
面接官は、企業の顔です。そのため、ポジティブ・ネガティブどちらであっても、求職者に伝えるフィードバックの内容には責任を持たなければなりません。
そのため、たとえば、ネガティブフィードバックの場合、三人称を使ったり、「一般的に……」といった主語がない表現をしたりせずに、「私はこう感じた。ただ、こうすれば大丈夫!」と責任をもって伝えることで相手に誠意が伝わります。
また、ポジティブフィードバックでも、「私は、◯◯さんの□□な経験とスキルは、うちの企業の営業で、こういう部分にきっと役立つと思います!」などと一人称でしっかりと伝えることで本気さがより伝わるでしょう。
まとめ
面接フィードバックとは、面接で良かった点・改善すべき点などを示すことです。なお、フィードバックには、大きく分けて以下2つの種類があります。
- ポジティブフィードバック:良いところや成長箇所を、前向きな言葉で評価するもの
- ネガティブフィードバック:問題点や課題を指摘し、改善を求めるもの
面接フィードバックを実施すると、求職者の不安が解消することで、志望度アップや選考辞退を防止できるようになります。
また、求職者が「面接でこんなことを褒められた!」というSNS投稿を行ない、その内容が拡散されると、企業イメージも向上しやすくなるでしょう。
なお、効果的な面接フィードバックをするには、以下のポイントを意識するのがおすすめです。
- 志望度アップにつなげる意識を持つ
- 対象となる言動・行動を具体的に伝える
- ポジティブフィードバックを多く伝える
- ネガティブフィードバックは改善方法とともに伝える
- 責任を持って面接官の一人称で伝える
面接フィードバックをするうえで、フィードバックそのものの技術やノウハウも役に立ちます。ご興味あれば、以下の記事も参考にしてください。