日本の新卒採用は「一括採用」という仕組みになっているため、繁閑期の差が激しく、ピーク時の対応を人事だけで回すことが難しくなりがちです。
また、最近では、経団連が就職指針の策定をやめたことで、早期化・長期化・複雑化が進み、人事の負担はますます重いものになっています。
最近、普及しているダイレクトリクルーティングなども素晴らしいツールですが、運用には工数が必要となってきます。
こうしたなかで導入企業が増えているのが、採用代行サービス(採用アウトソーシング)です。
本記事では、採用代行サービスの概要と利用するメリット・デメリット、費用の仕組みなどを紹介します。
加えて、採用代行を上手に活用するポイント、失敗しない採用代行サービスの選び方なども解説しましょう。
<目次>
- 採用代行(RPO・採用アウトソーシング)とは?
- 採用代行を利用するメリットとデメリット
- 採用代行サービスの費用体系、料金の仕組み
- 採用代行を上手に活用するポイントは?おすすめの活用例
- 失敗しない採用代行サービスの選び方
- ジェイックの採用支援サービス
- まとめ
採用代行(RPO・採用アウトソーシング)とは?
まずは、採用代行が具体的にどういうものか、基礎知識を確認しましょう。
採用代行とは?
採用代行とは、企業の採用業務を代行してくれるサービスの総称です。
採用代行は、Recruitment Process Outsourcing(リクルートメント・プロセス・アウトソーシング)を略してRPO、また、採用アウトソーシングと呼ばれることもあります。
人材紹介との違い
人材紹介は、人材紹介会社が自社に登録する求職者のなかから、依頼企業のニーズに合う人を紹介するものです。
人材紹介では、以下の一連の業務を企業の代わりに実施してくれるため、採用代行的な動きを含んでいるといえるかも知れません。
- 1.求人票の作成
- 2.母集団形成
- 3.求職者への企業紹介と応募意思の取得
- 4.面接日程の調整
- 5.志望度確認
- 6.待遇調整や内定承諾の確認
ただし、人材紹介の場合は、あくまで「人材紹介会社」という立ち位置で、第三者として採用チャネルの一部を担っている形になります。
一方で、採用代行の場合、契約した「採用企業」の“なかの人”として、採用業務を肩代わりします。
企業の採用業務を肩代わりするものなのか、単なる採用チャネルなのかが、採用代行と人材紹介の大きな違いです。
採用代行に任せられる業務
契約内容や代行会社の特徴によって採用アウトソーシングの可能範囲は異なりますが、採用代行サービスを利用すると、以下のような業務の外注が可能になります。
1.採用計画策定 | 2.採用実務 | 3.オペレーション | 4.選考・内定者フォロー |
---|---|---|---|
●採用要件の設定 ●採用施策の立案・提案 ●採用KPIの設定 ●市場調査/媒体・エージェント選定 ●管理ツールの選定 など | ●採用ブランディング ・採用キャッチコピーの作成 ・採用サイトの作成 ●求人媒体の運用 ・求人原稿やクリエイティブ、キャッチコピーの作成、修正 ・掲載手配 ●スカウト運用 ・候補者のピックアップ ・スカウトメッセージの作成、送付 ●エージェント対応 ・要件のすり合わせ ・職務記述書の作成 ・定期的な打ち合わせ ●その他 ・SNS運用 ・会社説明会資料の作成 ・採用広報記事の作成 など | ●応募者対応 ・日程調整 ・合否連絡 ●採用管理ツールの入力 ●KPI管理 ●面接の準備 ・面接の質問作成 ・面接の評価シート作成 ・面接官トレーニング など | ●選考 ・書類選考 ・面接 ●内定フォロー ・内定者研修 ・フォローコールなど ●内定承諾に向けた意向上げ ・面談 ・競合チェック など |
採用代行を利用するメリットとデメリット
採用代行を利用するメリット・デメリットを確認しましょう。
採用代行を利用するメリット
採用代行を利用する最大のメリットは、人事採用担当者の負担・工数を削減できることです。
採用代行を利用すれば、人事採用担当者が、優秀人材への魅力付けや内定者のフォローなど、自社の社員しかできない付加価値が高い業務に集中できる環境を作れるようになります。
代行会社が、自社にない採用ノウハウやオペレーションの品質を提供してくれることで、採用成功にも近づけるでしょう。
また、採用代行の利用で、繁閑期の工数ギャップを吸収することも可能になります。
採用代行を利用するデメリット
採用代行を利用するデメリットは、代行費用が発生することです。
また、自社と代行会社の間に認識のズレやコミュニケーション不足が生じると、成果の最大化が難しくなります。
特に、会社説明会や面接、また合否連絡などの双方向のコミュニケーションなどが生じる部分に関しては、代行会社では求職者の詳細なニュアンスをくみ取って対応することなどが難しい部分もあるでしょう。
代行会社の大半は、採用成功にコミットしてくれるわけではありません。極端な表現をすれば、あくまで切り出された業務をオペレーションするだけです。
したがって、採用代行を利用する場合も、人事採用担当者がきちんと全体設計や検証を回す必要があります。
採用代行サービスの費用体系、料金の仕組み
採用代行サービスの料金システムは、代行会社によって異なります。採用代行で一般的な3つの費用体系を以下で紹介しましょう。
月額課金
月額課金とは、業務の作業内容やボリュームを見積もったうえで、月額いくらという形で費用算出、契約する仕組みです。月額課金は、採用代行のなかで最も多いタイプになります。
月額課金のメリットは、事前に費用が確定できることです。ただし、想定よりも依頼する業務量が少ない場合は、割高になる可能性があります。
また、想定よりも多い場合には、対応してもらえない、もしくは追加費用が生じる可能性もあるでしょう。
従量課金
従量課金とは、作業内容に応じて単価が決められていて、業務量に応じて金額が変動する契約方法です。
なお、月額課金もある程度の業務量を見積もって金額が決まっているケースが大半ですので、事前決定型の従量課金といえるかも知れません。
ただ、事前決定型ではなく、厳密に従量課金として実施する契約タイプもあります。たとえば、「面接の実施代行が単価10,000円で、当月の面接実施件数分だけ課金される」ようなイメージです。
従量課金では、スポット利用などの場合、最小限の費用で済む可能性が高いです。なお、初期導入費用が発生するケースもあります。
成果報酬
成果報酬とは、契約時に決めた「面接に呼び込んだ人数」や「採用が決まった人数」などの成果に応じて、料金が発生する仕組みです。
冒頭で紹介した人材紹介のようなイメージになります。なお、採用代行の場合、あくまで「業務の代行」となるため、成果報酬でサービスを提供しているケースはそう多くありません。
採用代行を上手に活用するポイントは?おすすめの活用例
採用代行の効果性を最大限にするには、自社に合う活用方法を決めることも大切です。以下で、各活用法のポイントも紹介しましょう。
ノンコア業務をアウトソーシングする
ノンコア業務とは、高度な判断が不要であったり、作業自体は付加価値を生まなかったりするような業務のことです。
たとえば、採用活動においては、以下のような業務がノンコア業務とされやすくなります。
- 各種採用チャネルの運用
- 応募者対応
- 説明会の事前準備
- 応募者への事前連絡
- 面接の日程調整 など
求職者とのコミュニケーションや見極め、口説きなどは、比較的コア業務になるという位置付けです。採用代行を利用すれば、ノンコア業務のアウトソーシングが可能になります。
採用を強化したい時期や繁忙期にスポットで依頼する
冒頭でも紹介したとおり、新卒採用には、比較的繁閑期の差が激しい特徴があります。また、中途採用なども、事業計画に紐づいて大量発生が生じるような時期などがあります。
こうした繁忙期には、たとえば、以下のような時期・目的で採用代行にスポット依頼をすることで、既存採用担当者の負荷が軽減できます。
また、採用代行のスポット依頼によって、最小限の担当者で採用活動を進められるようになるでしょう。
- 営業エリア拡大に向けて◯月末までに50人を採用したいので、今から○月末まで○ヵ月だけ契約する
- 新卒の会社説明会と選考を本格実施する2~5月の4ヵ月間だけ契約する
外部ノウハウを吸収して自社の採用力を強化する
採用代行会社は、採用コンサルティングを行なっていることも珍しくありません。また、効率的なオペレーションなどに関しても、ノウハウを持っていることが多い傾向があります。
したがって、代行会社を利用するときには、外部の客観的、中立的な視点で、自社の改善点を見つけてもらうことや外部のノウハウを吸収して自社の採用力を強化していくことも大切です。
失敗しない採用代行サービスの選び方
採用代行を利用しても、自社の求める人材の獲得や、コスト・工数の削減ができなければ、意味がありません。
採用代行の費用対効果を高めるには、以下のポイントを大切にする必要があります。
アウトソーシングしたい業務内容に対応しているか?
代行できる業務範囲は、サービスによって異なります。また、採用代行会社の沿革などによって、どういった分野にノウハウや強みを持っているかも異なります。
採用代行への依頼を考える場合、アウトソーシングしたい業務を洗い出したうえで、業務に対応できるサービスを探す必要があります。
切り出しがうまく決められない場合は、何社か商談してみて、どこを切り出せるか検討するのもやり方の一つです。
柔軟に対応してくれるか?
採用代行を使い慣れている場合は別ですが、はじめのうちは依頼する業務範囲などがしっかりと決めきれず、運用中にズレる可能性もあるでしょう。
また、採用活動のなかで状況を踏まえて、新規の採用チャネルや人材紹介会社と契約したり、採用プロセスや説明会の回数などを増やしたりする可能性もあり得るはずです。
もちろん契約範囲はありますが、こうした変化に対して柔軟に対応、提案してくれるかは、アウトソーシングするうえで大切なポイントになります。
自発的な改善提案などをしてくれるかどうか?
採用活動のゴールは、自社が求める優秀な人材を獲得することです。
一方で、採用代行は、人材獲得にコミットしてくれるものではなく、特定の業務をオペレーションする契約となるため、双方のゴール地点にはズレが生じます。
契約上でのズレはやむを得ないものですが、自社のゴール、採用成功に寄り添ってくれるスタンスがあるかは重要です。
たとえば、企業から依頼された作業を粛々とやり続けるだけではなく、採用の失敗につながっている問題点の指摘や改善提案などをしてくれる業者が望ましいでしょう。
コミュニケーションは取りやすいか?
採用代行の成果を最大化するには、人事担当者と代行会社(担当者)の密なコミュニケーションが必要です。
チャットツールなどを使ってコミュニケーションを効率化することももちろん大事ですし、担当者の話しやすさや説明のわかりやすさなどもチェックしましょう。
また、実際に依頼するとき、担当してくれるディレクターなどと事前に顔合わせできるかも大切になります。
ジェイックの採用支援サービス
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、採用代行サービスは行なっていません。しかし、採用工数を削減できる採用支援サービスを複数提供しています。
採用したいターゲットが合えば、採用代行に依頼するのではなく、採用支援サービスを使うことも一つの方法です。
採用カレッジ
採用カレッジでは、既卒や第二新卒などを対象とする中途のポテンシャル採用を行なっています。採用カレッジの大きな特徴は、イベント融合型の人材紹介サービスであることです。
株式会社ジェイックの担当者が、求人票の作成から企業紹介、面接調整、クロージングまでしてくれるため、求人企業は、極端にいえば「面接して合否を決める」だけでよくなります。
新卒カレッジ
新卒カレッジは、中期~後期の新卒採用、中堅中小企業の新卒採用に最適なサービスです。関東、中京、関西で100以上の大学と連携する、大学連携型の人材紹介サービスです。
新卒カレッジでも、求人票の作成から企業紹介、面接調整、クロージングまでしてくれるため、極端にいえば企業は「面接して合否を決める」だけで良いサービスです。
FutureFinder
FutureFinderは、新卒向けのダイレクトリクルーティングサービスです。
FutureFinderには、通常は自社で運用、もしくは採用代行会社などに有償で依頼しないといけないスカウトメールの運用代行なども標準で付いてきます。
こうした特徴から、FutureFinderは、人事の手間をかけることなく、活躍する可能性の高い学生とだけ出会えるサービスになっています。
まとめ
採用代行サービスを活用すれば、採用担当者の負担を軽減しながら、採用活動を実施できるようになります。
採用代行を活用するときには、ノンコア業務を採用代行サービスにアウトソーシングすることで、見極めや魅力付けなどに集中して、採用を成功させることが大事になります。
ただし、代行サービスに依頼するうえでは、費用も発生するため、繁忙期の期間だけ依頼する、自社のボリュームに応じて月額or従量課金などの適切な料金形態で利用するなどがポイントです。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、採用代行は実施していません。しかし、採用工数の圧縮やノウハウの補填ができる採用支援サービスを複数提供しています。
少ない工数で効率よく採用活動を進めたい人は、ぜひ以下の資料もダウンロードしてチェックしてみてください。