代表的な選考方法の種類と特徴
採用における代表的な選考方法には、「書類選考」「筆記試験」「適性検査」「面接」「ワークサンプリング」「ロールプレイング」などがあります。
本章では、それぞれの選考方法の特徴を解説します。
書類選考
書類選考は、採用の初期段階で行われる選考方法です。書類審査を行う目的は、主には選考の効率化です。
採用選考において、書類選考の次は適性検査や面接などになります。
適性検査であれば採用企業側に費用が発生しますし、面接であれば日程調整や面接官の工数が必要となります。
従って、書類段階でスクリーニングをすることで基準に満たないエントリーを足切りするなど、以降の選考を効率化します。
また、効率化以外に採用ポジションの検討をするために書類選考を実施することもあります。中途採用の場合、募集時には社内の募集ポジションが決まっています。
書類を確認して、応募してきたポジションには一致しないケースでも、良い人材であれば応募ポジション以外で活躍できる部署があるかもしれません。
このように書類選考を通じて足切りする以外に、他の採用を検討している部署との連携や調整をすることもよく行われます。
書類選考は、主に以下の書類を使って実施します。
①履歴書、職務経歴書
履歴書は新卒・中途の両方、職務経歴書は中途採用の場合に提出が求められます。
②エントリーシート、成績証明書
新卒採用で求められることがある書類です。特にエントリーシートは履歴書には表現されない応募者の“人となり”や自己PRを知る意味でも重要な役割を持っています。
書類選考では、誤字や脱字、言葉遣いや文章表現が適切かなどを通じて基礎的な思考力や論理性、また、志望動機や自己PRで自社に対する理解度や入社意欲がしっかり丁寧に書かれているかといった点を確認することが多いでしょう。
なお、最近では、個別に履歴書・職務経歴書を提出してもらうのではなく、ダイレクトリクルーティングなどの登録プロフィールを利用して選考する場合も多くなっています。
また、デザイナーなどのクリエイティブ職種では、書類選考と合わせてポートフォリオと呼ばれる過去の作品提出を求めることが一般的です。
他にもプランナーなどでは企画書、マスコミや出版社志望でのサンプル記事作成、ITエンジニアであればコード提出などを実施することがあります。
グループディスカッション
グループディスカッションは、主に新卒採用で行われる選考方法です。
5人~7人程度のグループに対してテーマを与え、テーマに沿ってグループ内で自由に意見交換を促したり、制限時間内で結論を出してもらったりするやり方が多いでしょう。
個人面接では見えづらい、協調性やリーダーシップなどを確認できる点がグループディスカッションのメリットです。
新卒採用では、対面での会社説明会において、前半で会社説明会、後半でグループディスカッションといった形で採用選考の効率性を高めるうえでよく取り入れられていました。
筆記試験/適性検査
筆記試験は、短時間の面接内では測りづらい思考力や専門知識、また性格特性などを見極めるために行われる選考方法です。
筆記試験の種類には大きく「一般常識試験」「適性検査(性格)」「適性検査(能力)」「専門試験」「小論文」などの5つがあり、それぞれ詳細は以下の通りです。
・一般常識試験
言語力や数理判断力を確認する試験です。国語と数学といった基本的な科目の課題、また、時事問題などで実施されることが大半です。
・適性検査(性格)
適性検査は、応募者の性格特性を測るために行われます。
また、最近では応募者個人の特性を出すだけでなく、募集ポジション別に設定した採用モデルとのマッチ度が計測できるものも増えています。
適性検査は、様々なベンダーがあり、次に紹介する適性検査(能力)と合わせて提供されていることが大半です。
検査によって出来ること、また、向いている職種や検査の観点も少しずつ異なるので、自社の用途に合ったものを選ぶことが大切です。
・適性検査(能力)
適性検査は同じベンダーが性格検査と能力検査の両方を提供していることが大半です。
能力検査は、一般常識検査の内容をもう少し高度にして、言語的思考力、数理的思考力、論理性、認知力といったいくつかの分野における思考能力や地頭を測定するものです。
・専門試験
専門試験は、研究職など高度な専門知識が必要な職種の採用で行われる選考方法です。専門分野についての知識を問う問題が出題されます。
・論文試験
論文試験では、提示されたテーマに対する主張や見解を小論文形式で解答する選考方法です。主に、文章の構成力や論理展開の巧拙などを確認します。
面接
面接は、日本では採用選考で最も重視される選考です。
書類選考や筆記試験/適性検査が、応募者のスクリーニング・足切りとして、応募者を最終的に採用するかどうかの決断は複数回の面接結果を経て決めるとしていることが殆どです。
選考における面接には、大きく「構造化面接」と「非構造化面接」の2種類あります。
・構造化面接
構造化面接は、あらかじめ決めておいた評価基準と質問項目に沿って、マニュアル通りに実施する面接を言います。
誰が面接官になっても一定の基準で応募者を評価できる点が、構造化面接の一番のメリットです。
また、面接官の能力や場の雰囲気によって質問が変わらないため、きちんと設計された設問に基づいて応募者を評価できるため、非構造化面接に比べて、面接での評価と入社後パフォーマンスの相関性は高くなります。
・非構造化面接
あらかじめ用意した質問事項に沿って行う「構造化面接」に対し、その場の雰囲気や会話の流れに応じて臨機応変に進めるのが「非構造化面接」です。
非構造化面接では、応募者の反応や返答に合わせて質問を投げかけるため、応募者のパーソナリティや予想外の一面を引き出しやすい点がメリットと言えます。
一方で、面接官の力量や場の流れに評価が左右されてしまい、入社後の活躍予測精度は構造化面接と比べて低くなります。
また、面接の具体的な方法としては以下の2つがあります。
・個人面接
応募者と面接官が1対1で行う面接です。
じっくり深堀して応募者の行動特性や価値観を把握したり、オープンに本音を引き出しやすかったりする点が、個人面接の一番のメリットです。
なお、個人面接では、想定する配属先のリーダーや現場メンバーに同席してもらうケースもよくあります。
・集団面接
集団面接は、複数の応募者を同時に選考する面接スタイルです。集団面接では、面接官は基本的に全員に同じ内容を質問します。
応募者それぞれの返答や反応を比較して判断できる点が集団面接の大きなメリットです。
個人面接と比べると、個人を深掘りはできませんので、一次面接などでよく使われるやり方です。
先述のように、面接は採用選考で最も重視されている選考方法です。一方で、一番評価にばらつきが出やすいのも面接です。
「採用学」研究で著名な服部泰宏氏の調査によると、大半の面接官は面接が始まって数分で相手のおおよその印象を決めていたという結果もあります。
「直感が正しい」部分もありますが、一方でこのように第一印象に引きずられてしまうなどの心理的なバイアスが生じやすいのも面接です。
服部氏は「面接の担当者は、感覚的に物事を判断する」という前提を面接官自身が認識することが大切だと話しています*。
先行研究などでは、入社後の活躍予測精度に関しては、適性検査と構造化面接で同じぐらい、非構造化面接の活躍予測精度は適性検査よりも劣るといった事例もあります。
人と人が仕事をする以上、面接での印象などは非常に重要なものですが、一方で面接での判断を過度に信頼し過ぎないようにする、面接の予測精度を高めるための工夫をするといったことも重要です。
https://www.dodadsj.com/content/170404_hattori02/
* d’s JOURNAL「面接=万能な選考ツールではない」。採用学の知見から学ぶ、募集・選考・面接の各フェーズで考えるべき行動とアクションとは?
課題提出
多くはありませんが、応募者の実績や力量を判断するために、課題の提出を求める場合もあります。
とくに企画職やクリエイティブ職などの場合は、次のワークサンプリング的な要素を含めて個別に課題実施を依頼するケースもあります。
課題提出やワークサンプリングは入社後の活躍予測をするうえでは非常に有効な一方で、応募者に負担がかかりますので選考辞退などの原因にもなります。
このあたりでバランスをとって実施する必要があるでしょう。
ワークサンプリング(ワークサンプルテスト)
ワークサンプリングあるいはワークサンプルテストは、入社後に携わる業務を応募者に疑似的に実施してもらう採用手法の一種です。
同手法はこれまで主に海外で主流でしたが、面接では見極められない適性を把握できるとして、日本企業で導入されるケースも増えています。
ワークサンプリングは、1次・2次面接を通過した応募者を対象に、主に最終面接の直前のタイミングなどで行われることが多いです。
ロールプレイング
ロールプレイングは、接客や商談でのトレーニング方法として知られていますが、ワークサンプリングの一種として採用選考で取り入れている企業もあります。
営業や販売職、講師職など、対人系の業務やで実施されることが多くなります。
前職で扱っていた商材でロールプレイングしてもらう、入社後に扱う商材でロールプレイングしてもらうといったことが多くなります。






