面接では、応募者に答えづらい質問をすることも必要ですが、それが限度を超えてしまうと「圧迫面接」と受け取られてしまいます。
圧迫面接で侮辱や名誉毀損を受けた、うつ病の原因になったとして損害賠償訴訟を起こされてしまうかもしれません。
また、訴訟の可能性だけでなく、ネットへの書き込みによる企業イメージのダウンは応募者の減少につながります。
今回は、知らず知らずのうちに、圧迫面接を行ってしまわないための注意点をご紹介します。
<目次>
なぜ企業は圧迫面接をするのか
圧迫面接では、面接官が意図的に意地悪な発言や厳しい質問を投げかけ、応募者が感情的にならないか、想定外の質問に対して機転の利いた回答ができるかを判断します。
つまり、ストレス耐性や対応力の有無を知ることが目的です。
圧迫面接だと思われてしまう例
圧迫面接では、暴言や侮辱されたなどの事例が報告されています。
履歴書を見て確認しておきたいことや、意欲などを知ることも面接のポイントですが、明らかに採用基準とかけ離れた質問や非常識な態度が多いと応募者に圧迫面接であると思われてしまうようです。
「行動」と「質問」の2点に分けて、圧迫面接であると受け取られてしまう場合の例をご紹介します。
行動例
- 頬杖をつく、あくびをするなど興味がない態度を取る
- 携帯電話に出る、あるいはパソコンで別の作業する
- 「面接してやってるんだ」というような偉そうな(萎縮させる)態度を取る
- 「その考えは浅い」「君の考えは甘すぎる」「平凡な答えだ」など、頭ごなしにすぐ否定する
質問例
- 回答に対して執拗に「なぜそう思ったの?」など、深く掘り下げることが目的ではないのにしつこく質問を繰り返す
- 「話し方の印象が良くない」「当社には向いていない」など人格を否定した質問をする
- 転職回数が多いや学歴など経歴の弱みをしつこく取り上げた質問をする
圧迫面接は訴訟につながる?
応募者は過度な圧迫面接を受けたと感じた場合、企業を訴訟しようと考えることがあります。
圧迫面接は、それ自体を取り締まる法律は存在しませんが、損害賠償訴訟の対象になる可能性があります。
ただし、圧迫面接による損害賠償訴訟では企業側が敗訴することはほとんどありません。
それは、損害賠償をしなければならいほどひどい圧迫面接が行われたという証明が難しいことや、どこまでが圧迫面接なのかといった基準がはっきりしていないためです。
しかし、訴訟を受けた時点で会社のイメージは大きく低下してしまいます。
また、訴訟に至らないまでも、応募者が就職に関する口コミサイトやSNSに面接内容を投稿することにより、企業のイメージの低下や応募者の減少につながる可能性があります。
おわりに
圧迫面接であるかどうかの明確な判断基準はありません。
仕事への取り組み方や熱意を聞くために必要な質問が、問いかけ方や口調、面接官の態度によっては圧迫面接と受け取られてしまうこともあります。
誤解を防ぐためにも、面接官に対しての研修や教育をきちんと実施しましょう。
採用にあたっては、仕事への資質や適正をはかるための質問なのか、必要以上に圧迫している質問なのかを検討すべきです。
過剰な圧迫面接は、企業にも面接者にも良い影響を与えません。
圧迫面接をしたために、内定後に辞退されたケースも当然あります。
採用する側が実質的には立場が上であっても、応募者が将来の顧客や取引先になる可能性や、面接での態度が自社のイメージに影響することを想定して面接を行うべきです。
このようなことを踏まえて、適切な面接が行われているかどうか、自社の面接体制を定期的に見直しましょう。